PCゲームレビュー
Dead Space 3 (ダウンロード版)
前作を完全踏襲するゲーム性。自分だけの武器を作って変化をつけよう
(2013/2/14 00:00)
序盤から急激なストーリー展開で進んでいく本作だが、状況が落ち着いてくればやはり、薄暗い施設でいつ現われるともわからない「Necromorph」との戦いがメインになってくる。
前作と同じく重要になるのは部位破壊戦略だ。腕を撃って破壊すれば敵の攻撃手段は減り、足をちぎれば移動力を減殺できる。うかつに胴体を真っ二つにすると、切断面から触手が飛び出してきて余計に素早くなり、厄介さを増す。
大雑把な射撃ではなかなか有効なダメージを与えられないため、プレーヤーは常に「敵のどの部位を破壊するか」を考え、実行していくことになる。時には敵の数が多すぎ、とにかく撃ちまくるしかないような状況もあるため、余裕のある状況では弾薬をなるべく節約しつつ生存性を高めていくことがゲームプレイ上のポイントになってくるわけだ。
そこで有効に活用したいのが「Stasis」と「Kinesis」という2つの超常能力。「Stasis」を発動すると、狙ったポイント周辺にいる敵やオブジェクトの動きが大幅に減衰し、間合いを保ったままじっくりと狙い撃ちが可能だ。「Kinesis」を使うと遠隔のオブジェクトを持ち上げることができ、オブジェクトを撃ち出すことで武器にもなる。爆発性のボンベや、切断した敵のパーツを投げつければ弾薬を大幅に節約できるので、周囲に利用できるものがないか常に探してみよう。
これらの基本アクション部分は前作「Dead Space 2」とほぼ同じで、プレイ感覚に違いはほとんどない。射撃や「Stasis」、「Kinesis」を使用する際は必ずエイミング操作を行なう必要があり、その間は素早い移動ができないなど、ホラーアクション系ゲームならではのもどかしさも健在。うかつに前進すると、突然背後に敵が現われてピンチになるような、お化け屋敷的なノリもそのままだ。
より工夫が感じられるのは、各所で遭遇するパズル要素だ。青い磁石のようなアイコンがついたオブジェクトはかなりの重量物であっても「Kinesis」を使って動かすことができ、ある特定の位置関係や組み合わせに導くことで先に進めるような仕掛けが随所に用意されている。
一般的に、この手のパズルは解法がワンパターン化しやすいのが常だが、本作では多彩なギミックを用意することで作業感をうまく回避している。ほとんど毎回違った趣向のパズルに遭遇し、そのルールから解き明かしていく必要があるものばかりだ。ヒントは装置の形であったり、動作パターンであったりいろいろだが、一種のIQテストを受けているような感じである。
いろいろと趣向を凝らした状況を楽しめる本作だが、基本的なゲーム体験の内容は前作と大差がなく、淡々とゲームを進めるだけではマンネリ化が避けられないのは明白だ。そこで本作では、プレーヤーの生存戦略に直結する武器に、全く新しいカスタマイズの方法を用意している。
前作までの武器カスタマイズは、まずベースの武器があって、それに各種のアップグレードを施すというスタイルだった。それが今作では、ベースとなる武器すら存在しない。本作での武器は、多数のパーツを組みあわせていちから作ることができるのだ。
武器パーツは「Frame」、「Upper Tool」、「Lower Tool」、「Upper Tool Tip」、「Lower Tool Tip」、「Attachment」2箇所に「Upgrade」と、都合8つの部位からなる。「Tool」というのは武器のエンジン部で、「Tip」というのはバレルに相当する部分だ。それぞれにどんなパーツを当てるかによって、様々な性質の武器が作れるようになっている。
例えばハンドガン状の武器を作るなら、小型フレームの「Tool」部に「Military Engine」を付け、「Tip」部にデフォルトもしくは「Compresser」のような、弾頭を収束させるパーツを取り付ける。シリーズでお馴染みのプラズマカッターなら「Tool」部に「Tesla Core」を取り付け、「Tip」部に適切なパーツを取り付ければOK。
1つの武器には2つの「Tool」および「Tip」を取り付けられるので、2つの射撃モードで打ち分けることが可能だ。例えば「Upper」部位はアサルトライフル的な武器にしておいて、「Lower」部位をショットガン的な武器にすることで遠近どちらのシチュエーショにも対応できる武器をこしらえることができる。
これはなかなかおもしろい仕組みだ。ゲーム中にはかなりの数のパーツが存在し、「Tool」と「Tip」の組み合わせは膨大。実際に作って試してみるまでどんな武器になるかわからないので、試行錯誤して理想の武器を探すだけでもかなりの手応えがある。作成した組み合わせは「Blueprint」としてひな形を保存し、COOPプレイで相手とやりとりすることも可能だ。これは!というものができたらフレンドにオススメしてみよう。
このほか、武器の攻撃力・発射速度・マガジンサイズなど各種能力を向上させるアップグレードパーツも存在する。どれかの能力を重点的に延ばすことで、使いにくいと思っていた武器が一気に化けることもあるのでいろいろと試してみてほしい。
また、武器パーツを含むすべてのアイテムは素材から作成することが可能だ。材料にはゲーム中に手に入る各種の細々としたマテリアルを使用する。これは前作までのゲーム内マネーの概念を完全に置き換える要素なのだが、素材の種類が多数あるため、特定のアイテムを作ろうとしたら素材の1種類が微妙に足りない、といったこともよく起きる。先々で手詰まりにならないためには計画的なリソース管理が重要だ。
ゲームクリア後に挑戦できるようになる「ハードコアモード」などでは、回復アイテムなど基本的なものについても素材からの作成が必須になり、各種素材のリソース管理には最高の厳密性が必要になる。戦闘での立ち回り方から武器の選択まで、プレーヤーの創意工夫の余地は非常に幅広く、高いリプレイ性を約束してくれることも間違いない。