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【EA Asia Showcase】EA/Visceral Games「Dead Space 3」プレビュー

1人プレイからストーリーが変化するCO-OPモードに要注目! さらにホラー度が高まったスペースシューター

12月11日、12日開催

会場:Luxe Hall

 「Dead Space」シリーズは日本においては不運のタイトルだ。日本のCEROのレギュレーションでは、人型キャラクターが欠損する行為、あるいは欠損したキャラクターへの攻撃が厳しく規制されており、それをゲーム性の土台に据えた同シリーズは日本で1度も販売が認められていない。

 「Dead Space 3」もそれは変わらないどころか、ミュータントの四肢を欠損させて攻撃能力を削ぐというゲーム性はますます磨きが掛かっているため、PS3版とXbox 360版は絶望的といっていい。近年、EAがグループを上げて機能強化を図っているPC向けのデジタルダウンロードサイト「Origin」を通じて、PC向け英語版の販売が関の山といったところだろう。

 しかし、このフランチャイズは、バトルにおける部位欠損による戦術性も含めた部分で、欧米では非常に高い評価を受けており、最新作「Dead Space 3」の注目度もすこぶる高い。「EA Asia Showcase」では、「Dead Space 3」の最後の秘密であるCO-OPモードについて、具体的な仕様が公開され、実際にプレイすることができたのでその模様をレポートしたい。

 なお、「Dead Space 3」の欧米での発売は2013年2月7日を予定。日本発売については、限りなく可能性はゼロに近い「未定」だが、前述のようにCEROの制約を受けないPC版の発売の可能性は残されている。正式発表を待ちたいところだ。

【Dead Space 3】
“スペースホラー”の分野を確立させた「Dead Space」シリーズ。「Dead Space 3」では、厳冬の惑星で何を見るのだろうか? ちなみに主人公が手に持っているのはもともとプラズマカッターと呼ばれる“工具”の一種だが、ネクロモーフと戦うために改造に改造を加え、いまやれっきとした武器となっている

同じステージなのにアイザックとカーヴァーでストーリーが違う? 世にも不思議なCO-OPモード

「Dead Space 3」のCO-OPモードの試遊は、EA Australiaのオフィスで行なわれた
3作連続の主役となるアイザック・クラーク
アイザックの後ろにいるのが、新しい仲間となるカーヴァー
カーヴァーが見る世界には、血みどろのトイソルジャーが至る所に潜んでいる。これは何を暗喩しているのだろうか?

 インプレッションの紹介に入る前に簡単に「Dead Space 3」について触れておくと、「Dead Space」シリーズは、孤立した宇宙空間の中で「ネクロモーフ」と呼ばれる突然変異体と対峙するという極限状態でのホラーを追求した作品となっている。ネクロモーフは様々なタイプが存在するが、多くは人型をしており、単なる銃撃では倒せないため、四肢を切断して身体能力を削ぎ、それでもアイザックへの攻撃を辞めない敵の頭部を粉砕したりしてトドメを刺す。生き残るためにあらゆる手を尽くすという比類なき凄惨さが「Dead Space」シリーズの最大の売りだ。ここを修正してしまっては「Dead Space」の魅力の大部分がスポイルされてしまうため、泣く泣く発売そのものを断念しているわけである。

 ゲームの時代設定は時は26世紀、宇宙開拓時代である。主人公アイザック・クラークは、宇宙資源採掘艦USG ISHIMARUから届いた救援信号を受けて調査のために派遣されるところからシリーズがスタートする。シリーズ第3弾となる「Dead Space 3」では、主人公はかわらずアイザックが務め、何人かのキャラクターは引き続き登場するようだ。ストーリー的には「Dead Space 2」からの続きとなり、舞台は、氷に閉ざされた惑星となる。

 従来のシリーズとの大きな違いは、John Carver(ジョン・カーヴァー)という新規キャラクターがメインストーリーにおいて大きな役割を果たすところだ。彼はもともと優秀なソルジャーだったが、ネクロモーフにより妻と子供を失い、彼らを根絶やしにすることを心の支えにして生きている。CO-OPで操作可能な2人目のキャラクターはこのカーヴァーで、リリースによれば、彼でプレイすると違ったストーリーが味わえるという。それはどういう意味なのか?

 FPSやTPSタイトルで、キャンペーンモードにCO-OP(複数人によるキャンペーン協力プレイ)を搭載することは、ほぼ当たり前となってきた昨今だが、「Dead Space 3」初のマルチプレイとなるCO-OPモードはひと味もふた味も違っていた。

 「Dead Space 3」のCO-OPプレイでは、アイザック側でプレイすると、シングルプレイとまったく同じ内容の2人1組による協力プレイが楽しめる。お互いに死角を補ったり、助け合いながら、同じ恐怖を共有することができる。しかし、カーヴァー側でプレイすると、一見同じゲームプレイだが、ポイントポイントで“見えている内容”、“聞こえてくる内容”、“今いるエリア”が違ってくる。

 今回CO-OPモードでプレイできたのは、氷に包まれた惑星を舞台とした「チャプター6」と呼ばれるミッション。2人で惑星にある基地に潜入し、基地の奥を目指していく。基地は正体不明の敵兵士が出迎えてくれたかと思いきや、高速で動くネクロモーフに背中から内蔵を突き破られ殺されてしまう。どうやら、ここはネクロモーフの住処となっているようだ。

 違いに気づいたのは、基地の中に入って、いくつかの扉を開けたところ。居住区となっており、商店街らしき区画が続いている。そこの一角にカーヴァーにだけ、血みどろのトイソルジャーが置かれているのが見えるのだ。この血みどろのトイソルジャーが何のメタファーなのかは不明だが、カーヴァーが思わず手に取り眺めるカットシーンが入る。しかし、アイザックの視点からは、そのカットシーンは何か透明のものを抱えているようにしか見えない。アイザックは心配して声を掛けるが、カーヴァーから見たアイザックは、なぜかヘルメットがなく、顔が薄汚れた女性の顔になってしまっている……。どうやらカーヴァーは心を病んでおり幻覚を見てしまっているようだ。

 また奥に進むと、カーヴァーの視点だけトイソルジャーがずらっと並んでいるように見えたり、途中にある端末にアクセスすると、アイザックには女性の笑い声にしか聞こえないのに、カーヴァーだと女性が明瞭な声で語りかけてくる。同じゲームを遊んでいるはずなのに、見ているもの、聞こえるものが違うという、まさにホラーな展開だ。

 試遊デモの終盤では、ネクロモーフのラッシュ攻撃に襲われるが、その肝心な瞬間に、カーヴァーは頭を抱えて苦しみ始め、カーヴァーの視点では、あの世のような赤茶けた不思議な世界に飛んでしまっている。アイザックは、ひとりで奮戦してネクロモーフを撃退すると、カーヴァーが意識を取り戻し、今見た幻覚を語り始める……。

 この世にも不思議なCO-OPは、ストーリーそのものが変化するわけではないようだが、カーヴァーの視点を通じて、1人プレイでは体験できなかったサイドストーリーや、カーヴァー独自のストーリーを味わうことができる。「Dead Space 3」を1人でクリアした人にとっては、CO-OPは2周目を楽しむ大きなモチベーションになるだろうし、純粋にCO-OPを遊びたいユーザーも、CO-OPを誘いやすくなる。CO-OPの新しいアプローチという点で大いに注目されるし、ぜひ両方の視点でプレイしてみたいところだ。

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(中村聖司)