Taipei Game Show 2010現地レポート

XPEC、「Bounty Hounds Online」プロデューサー陳文凱氏インタビュー
幾つもの惑星で傭兵として戦うSFMMORPG、競技性の高い対戦システムを目指す

2月5日~9日開催

会場:台北世界貿易中心

入場料:大人 150台湾ドル
    子供 100台湾ドル


 「Bounty Hounds Online」はXPECが開発するMMORPGである。2006年9月にバンダイナムコゲームスが発売したPSP向けアクションRPG「Bounty Hounds(バウンティハウンズ)」の世界観をモチーフにした作品で、去る2月8日、Wayi International Digital Entertainmentの運営で台湾でのサービスが行なわれるが発表されたばかりだ。

 台湾でのサービス時期は2010年第2四半期から第3四半期を予定し、ビジネスモデルは基本プレイ無料のアイテム課金制となる。日本展開については未定となっている。「Bounty Hounds Online」は弊誌では東京ゲームショウでも取材を行なっているが、このたび、XPEC本社で最新バージョンを見ることができ、さらにプロデューサーの陳文凱氏に話を聞くことができた。

 本稿では明らかになった「Bounty Hounds Online」の各要素を紹介していきたい。また本作はXPEC董事長の許金竜氏が「E-Sportsの競技となるようなコンテンツを」というミッションを提示されている作品である。MMORPGと競技性の実現に対してどんなプランを持っているかも注目である。



■ 企業の傭兵としての戦い。多彩なスキルで戦うSFMMORPG

プロデューサーを務めるXPEC Game Production Division 陳文凱氏
プレーヤーキャラクター。近接と遠距離の2つの武器を使う点は「Bounty Hounds」から受け継ぐ要素だ
スキルツリー。職業によって様々な技があり、組み合わせることで有利に戦える

 「Bounty Hounds Online」は人類が宇宙に進出しいくつもの惑星を開拓していく時代を描くMMORPGである。宇宙進出は巨大企業が率先して行なっており、プレーヤーは企業に雇われる傭兵として様々な惑星に旅立っていく。

 「Bounty Hounds Online」はPSP向け対戦アクションRPGとして2006年9月に発売された「Bounty Hounds」の世界観を受け継ぐ作品である。他惑星へ進出していく人類と、異星人の戦い、時には協力しながらも企業の方針によって争わなくてはならない傭兵達、様々なSF的ガジェットなど作品の土台を共有しながら、「Bounty Hounds Online」では対戦要素を重視したMMORPGとしての方向性を目指していくという。

 今回はテストサーバーでのデモンストレーションに加え、プロデューサーを務める陳文凱氏から本作のコンセプトを聞くことができた。最初に画面に映し出されたのはプレーヤーキャラクターの女性だ。体のあちこちに装甲板が付けられたボディーアーマーをまとっており、一見するとサイボーグのようにも見える。細い体にもかかわらず巨大な武器を持ち易々と移動する姿はどこか人間離れしたパワフルさを感じさせられるが、れっきとした人間である。

 「Bounty Hounds Online」ではキャラクターは「突撃兵」、「重砲兵」、「化学兵」、「工程師」、「特務」の6種類から職業を選び、スキルを育てて行くことでより強力な力を獲得していく。今回の女性キャラクターは重砲兵で強力な遠距離攻撃が得意だ。キャラクターは遠距離攻撃と近接攻撃用の2つの武器を持っている。状況に応じて2つの武器を自動的に切り替え使っていく。

 基本的な操作は、左クリックで移動、右ドラックで視点移動、数字キーでスキルを使うというオーソドックスなものだ。キャラクターはWで前進、AとDで左右へ移動、Sで後退という操作も可能だが、アクションゲームやFPSのようなリアルタイムの駆け引きはしづらくこれまでのMMORPGに近い操作システムだと感じた。前作はコンシューマー機でのアクションゲームだったが、今作はゲームパッドの対応はなく、マウスとキーボードでプレイするスタイルのようだ。

 様々なスキルを使う重砲兵攻撃は派手で迫力がある。小さなロケットを地面に設置すると移動用のアイコンが攻撃範囲を示すサークルに変わり、攻撃範囲を指定するとロケットが空に打ち上げられた後、空中ではじけて地上に炎の雨を降らせた。この後キャラクターはバズーカ砲のような巨大な円筒型武器を担ぎ上げ、射撃攻撃を行なった。

 バズーカ砲のような武器は様々な機能を持っているようで、スキルによってマシンガンのような連続攻撃をしたり、銃口から炎を出し火炎放射器として周辺をなぎ払うなど多彩な攻撃を披露した。接近されるとキャラクターは棒状の武器に持ち替える。両側に穂先のついた槍のようなデザインだが、攻撃の際にはパーツが分離し三節棍になる。この他にも竜巻のような衝撃波をぶつけて敵を吹き飛ばすスキルもあり、スキルを組み合わせることで敵に対してかなり有利に立ち向かえる。

 「Bounty Hounds Online」の大きなセールスポイントが「ペット」である。本作のペットは犬やサソリ、ゴリラや虎など動物をモチーフにした機械生命体で、プレーヤーを補助するロボットだという。プレーヤーと同じように経験値を得て成長し、プレーヤーの心強い相棒になってくれる。さらにこれらのペットは戦闘してたまるゲージを使うことで一定時間強力な攻撃を繰り出す砲台型ロボットに「変形」するのだ。このペットは「Bounty Hounds」にはなかった要素だ。

 ペットは「タクティカル コンバット コア」という卵のようなパーツから生み出される。コアを起動させると外見、能力、AIといった要素がランダムで決定されるため、性能や外見はまちまちだ。自分の戦い方を補助するようなペットを選んだり、得られたペットに合わせた戦い方を目指すと言うこともできる。ペットはランダム要素が強くなっており、より強いペット、自分に合ったペットを手に入れ、育て上げる楽しさを体験できる。

 また、キャラクターの装備に関しては有料でのアイテムも販売する予定だ。プレーヤーキャラクターは成長することでより強力な装備を使うことになり、以前の装備は不要になる。陳氏はここに「以前の装備の活用」を盛り込んでいきたいと語る。以前の装備をアイテムとして利用することで属性や補助能力を追加できるような考えているという。「特に有料アイテムはお金を出して買うものだからリサイクルできるようにしたい」とのことで、どういったシステムを盛り込むか注目したい。

 この他、有料アイテムでは期間限定のセットアイテムやアバターアイテムなども発売される。アイテムの中には装備アイテムの中にはプレーヤーキャラクターに特別なスキルをもたらすものも存在するという。特別スキルの存在や、アバターの方向性などはまだ未定のようで、今後の具体的な機能や、ゲームのバランスにどう影響を与えていくかも注目したい。


ミサイルを発射し、火炎放射器でなぎ払い、三節棍をたたきつける。多彩な攻撃が楽しめそうだ
装備を変えることでキャラクターの外見は大きく変わる。中央はペットの変形する姿。右は敵を吹き飛ばすスキルだ
ペットの変形。2足歩行形態になると強力な攻撃が可能に



■ 惑星を超えて続く壮大な冒険。現在の課題は「高い競技性を実現する対戦システム」

いくつもの惑星が確認できる。今後の冒険の舞台となる
闘技場で待ち受けるのは前作のプレーヤーキャラクターだ
アイテムモール。セットアイテムやアバターなど装備品も多数販売されるという

 「Bounty Hounds Online」で現在実装されているマップは1つの惑星のみだが、今後はたくさんの星へ旅立っていくという。すでに星間マップも用意されているが、最初の惑星でもキャラクターをレベル60まで育てられるフィールドが用意されているだけでなく、大規模対戦が行なわれる「衛星」まで存在し、サービスの最初からかなりのボリュームを持ったコンテンツとなりそうだ。

 本作ではストーリー要素も強く、独特の世界観と「傭兵」にフォーカスしたストーリーが展開していく。プレーヤーはキャラクター作成時に8つの企業から1つを選ぶ。8つの企業は2つの勢力にわかれて戦っており、プレーヤーはやがてこの企業間の戦いに深く関わっていくことになるという。

 キャラクターはレベル30からPvPが可能になり、中級者向けの「フリーPKゾーン」で他プレーヤーを襲うことができる。レベルの近いプレーヤーを倒すことでプレーヤーは「チケット」を入手できる。このチケットは“攻撃値にプラス効果をもたらす”など様々なステータスにボーナスを与える効果があり、最大200枚まで貯めることができる。他プレーヤーを倒すほど強力になれるのだ。

 レベルが離れているプレーヤーを倒すと反対にチケットをとられてしまうという。衛星では1週間に1度など一定時間で大規模戦争が行なわれる。この戦いで勝利を収めた側は一定時間資源が得られる地域を占拠できるなど様々なメリットがあるという。

 この他、「闘技場」があり、ここではパーティーを組み様々なボスと対戦できる。今回見ることができたのは「Bounty Hounds」に登場するプレーヤーキャラクターとの対戦だ。ボスは人間の姿だがその体は見上げるほどに大きい。本来このボスとはパーティーを組んで戦うバランスになっているため倒されてしまった。倒せばレアアイテムがゲットできるスタッフからの挑戦状となるコンテンツになる。

 XPEC董事長の許金竜氏は「Bounty Hounds Online」について、「3対3や6対6のチームバトルによる競技性を盛り込みたい」と語っている。対戦要素をピックアップすることでE-Sportsの競技種目になるようなコンテンツを実現したいという。MMORPGで競技性を実現したいというアイデアはなかなか難しい提案である。

 許氏から提示されたテーマについて、陳氏は「競技性のある対戦要素は、現在社内で話し合い、方向性を模索している」と語る。陳氏が現在考えているのは、地形によって生まれる有利不利や、先手と後手という関係になったとき、どうバランスをとればエキサイティングな対戦が実現できるかを考えている。「WoW」でのGvGのような「戦争に参加しているような戦い」をプレーヤーに提示したいというのも目標の1つだ。

 例えば、「1つの塔を巡り、その塔を巡って戦う。片方は塔の上から敵を狙い、もう片方はそこに肉薄する」など戦いに関しては様々なシチュエーションが考えられる。「Bounty Hounds Online」は移動して射撃するシステムが用意されているが、E-Sportsの競技を前提に対戦システムを考えるとなると、大きくアクション性を強化するという方向性が考えられる。もう一方では、敵の進行位置を予測した範囲攻撃や正確な狙撃など、シミュレーションゲームとしての要素を強化するという方向性も検討しているという。

 「攻撃の成功率とダメージ計算だけが結果につながる、数字だけをやりとりするMMORPG戦いは淡泊すぎるという考えも持っていました。E-Sportsを前提にするのであればひと味違う何かを盛り込まなくてはなりません。この競技に特化し、例えば3対3の戦いをする際にはメンバーの職業すら強制的に変わるという、通常のゲームとは全く別の対戦システムを盛り込むという方法もあります。その際にもチームワークの楽しさ、戦略性の深さを追求したいと思います」と陳氏は語った。

 対戦システムと共に、「観戦システム」に関しても社内で激しい議論が繰り広げられているという。この挑戦はこれまでの開発の中でも最も難しいミッションだと陳氏はとらえている。スポーツ中継を見ているような感覚で観戦できるシステムを目指している。これまでのMMORPGとは違うカメラ移動を実現すべく挑戦を続けている。

 「これからももっともっと力を注いで、日本の皆様がプレイしたくなる、プレイをしたらやめたくなくなるようなゲームにしていきたいと思います。3年以上の時間をかけて開発した私達の熱意を感じてください。PSP『Bounty Hounds』のファンの方には大変お待たせしましたが、必ず喜びと驚きを上げてもらえる、きちんとした続編としてゲームを作りました。ぜひプレイしてください」と、最後に陳氏はユーザーに向けてこう語りかけた。


惑星マップはGvGの戦場となる衛星も。1つの惑星でもマップによって雰囲気が大きく変わる。「傭兵としての殺伐とした雰囲気」も本作で追求するテーマの1つだという
闘技場で対決。ボスに勝つことで性能のいい「タクティカル コンバット コア」が出やすいなど様々な特典があるという
スクリーンショット。衛星の上のような場所や巨大な敵の姿が確認できる
ゴリラ型、翼竜型などペットは非常に多彩だ。こだわりのモデリングも注目である

(2010年 2月 10日)

[Reported by 勝田哲也 ]