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“妄想できることは実現できる。”PSの生みの親・久夛良木 健氏が語るコンピュータエンターテインメント【TGS2024】
基調講演の模様を速報レポート
2024年9月26日 16:06
- 【東京ゲームショウ2024】
- 会期
- ビジネスデイ:9月26日・27日 10時~17時
- 一般公開日:9月28日 10時~17時
- 9月29日9時30分~16時30分
- 会場:幕張メッセ 展示ホール1~11(千葉県千葉市美浜区中瀬2-1)
本日9月26日より開幕したイベント「東京ゲームショウ2024」。オープニングに際して行なわれる恒例の基調講演では、プレイステーションの生みの親である久夛良木 健氏が登壇した。
現在はアセントロボティクスの代表取締役CEO、そして近畿大学情報学部の学部長・教授として活躍する久夛良木氏。今回は、初代プレイステーションからプレイステーション 3までの開発を主導した“プレイステーションの生みの親”として、当時の振り返りながらこれからのコンピュータエンターテインメント、AIがどのように進化していくかを語った。
今年はプレイステーションが30周年を迎える記念の年であり、まずは初代プレイステーション開発中の思い出を語った。発売前年となる1993年3月頃に日本のゲームソフトメーカー数十社に出向き、開発陣の思いを伝えつつ、期待している部分、期待していない部分を聞いて回ったが、メーカー側は“完璧な塩対応”で全員が「間違いなく100%失敗する」と言われ、ソニー社内ですら誰も成功すると思っていなかったという。
当時の家庭用ゲーム機は技術レベルでこなれたパーツを上手く利用して、子供に手が届く玩具として流通していたが、開発チームは「進化する世界についていく」のではなく、「進化する世界へ引っ張っていく」という想いがあり“コンピュータエンターテインメント”を作ることを目標にした。そこでリアルタイムにインタラクションできるゲームを作るために、リアルタイムで動くコンピュータを作ってやるというところからプレイステーションの開発が進んでいった。
潮目が変わったのは、ナムコのアーケード部門に行ってプロトタイプで作ったビデオを見せた時で「本当にこれが動くんですか」と食いついてきたという。そこから色々なメーカーの対応が変わり、新たなエンターテインメントを作る準備が整っていった。1993年10月、ソニーの講堂に改めてゲームメーカーを招待して、プロトタイプのデモを見せた翌日から電話が沢山鳴り「開発ツール何台でも寄こせ」というオーダーがあったと語った。
そこからはプレイステーション 2、そしてプレイステーション 3まで一気に進んだという。現在はゲーム業界から離れたところで活躍する久夛良木氏だが、世界中の人がゲームをプレイする時代からゲームを作る時代へシフトし、中国発の「黒神話:悟空」のメガヒットにも触れた。
映画「2001年宇宙の旅」に登場したものがどんどん実現していったように、“妄想できることは実現できる”と語った。これからはAIも活用した「リアルタイムコンピューティング」が加速していき、あらゆるものが計算できるようになり、数十億人の人間がそれぞれ別の脳を持っているように、それぞれ個性を持ったAIがいずれ来るだろうと予測した。
最後に若い世代のクリエイターには「皆さんの今のチャレンジはすごすぎる」と語り、ゲームファンには「これからは皆さんが未来を創っていきます。楽しみにしています」とメッセージを送った久夛良木氏。今回の基調講演の全編は「東京ゲームショウ」公式YouTubeチャンネルにて見ることができる。
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