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「ドラゴンボール ファイターズ」ワールドファイナルがフランスパリで開幕!
当日最終予選は日本の立川選手が涙の勝利! 王座を狙うトップ選手たちのインタビューもお届け
2020年2月9日 11:30
「ドラゴンボール ファイターズ」(以下DBFZ)は、発売から2年以上が経つ今でも、未だに根強いファンベースを持つ格闘ゲームだ。その人気の理由は、「ドラゴンボール」のキャラクターたちが縦横無尽に動くゲーム性もさることながら、活発なeスポーツシーンの存在が大きい。発売当初から「ワールドツアー」として世界各地で大会が開かれており、ラスベガス開催の「EVO 2019」では、1,000人を超えるプレーヤーが集まる盛況ぶりを見せた。さらに先日発表された「EVO 2020」のメインタイトルにも選出されており、「DBFZ」はeスポーツ競技として着実に成長しているタイトルといえよう。
2月8日~9日にかけてパリにて開催される「Red Bull Dragonball FighterZ World Finals」は、2年目となるワールドツアーの集大成ともいえる大会だ。ツアーのポイントランキング上位15名の招待選手の中には、「DBFZ」界のレジェンドである日本のGO1選手や、The Game Awardsのベストeスポーツプレーヤーに輝いたこともあるアメリカの若手Sonic Fox選手などもいる。また、最後の1枠を賭けた当日予選には200名を超えるプレーヤーが参戦し、白熱した対戦の数々を見せてくれた。ニッチでありながら固い人気を誇る「DBFZ」のeスポーツシーン。その実態を大会初日の様子を振り返りながら紹介したい。
まさにドラゴンボールの祭典!会場の盛り上がりをレポート
大会初日は、TOP16の最後の1枠を決める当日予選と、TOP16からTOP8まで絞り込むブロック戦が行なわれた。これはどの「DBFZ」大会にも言えることなのだが、本大会は特に会場が一体となってイベントを楽しんでいる様子がうかがえた。来場者たちがプレーヤーである以前に、皆“ドラゴンボール好き”であるという共通項があるからだろう。
会場には、悟空の等身大フィギュアや、単行本第1巻を彷彿とさせるモニュメント、さらにはかめはめ波を打てるフォトスポットなど、ドラゴンボールファンの心をくすぐる仕掛けが多数用意されていた。ドラゴンボールグッズの物販や、さらには「ドラゴンボールZ KAKAROT」の試遊台まで設置されており、試合以外にも楽しめる要素が多く用意されていた印象だ。
とはいえ、やはり一番盛り上がるのは試合。ワールドファイナルともなると、出場選手たちのレベルは軒並み高く、他の大会に比べてもハイレベルな戦いの連続だった。それだけに観客の興奮度も高く、ゲーム内で元気玉が決まれば観客たちも元気玉のポーズをとったり、主題歌が流れれば合いの手を入れたりと盛り上がっていた。
さらに「DBFZ」のeスポーツシーンは国際色が豊かなので、各国のサポーターたちによる応援合戦が印象的だった。特に応援が凄まじかったのは、やはり地元フランスのサポーターたち。歓声が大きいのはもちろんのこと、ホイッスルやエアーホーンまで持ち出して応援しており、フランスの選手が勝てば会場はパーティー会場のような盛り上がりになっていた。
昨年の屈辱を果たす快挙! 当日予選優勝は日本の立川選手!
そんなフランス色の強い本大会で、アウェイの中当日予選を突破したのは、22歳の若手日本人選手、Burning Core所属の立川選手だ。「DBFZ」を追いかけてきた者であれば、立川選手の苦労は知っているだろう。
これまでの立川選手といえば、それまでプレイしていた「ストリートファイターV」から「DBFZ」へ移行し、結果のために熱心にプレイを続けるもなかなか努力が実らず、ついには昨年のワールドファイナルへの出場をも逃してしまっていた。今シーズンも精力的にワールドツアーを周るも、大型大会での優勝はできず、それでも「DBFZ」をプレイし続けた理由は、ひとえにワールドファイナル出場の目標を達成するためだったという。
目標を追ってパリまでやってきた立川選手がファイナルに出場する唯一の道は、200人以上が参戦する当日予選を勝ち抜くこと。数々の強豪プレーヤーの前に、その道のりは至難のものとなった。当日予選には地元フランスのプレーヤーが数多く参戦したが、立川選手曰く彼らの強さは「フィジカルの強さ」にあるという。
「DBFZ」は他の格ゲーに比べても格段にゲームスピードが速いが、その中でダッシュや投げといった行動にどれだけ反応できるかが重要なゲームだ。フランスのプレーヤーたちは、その優れた反応速度をもって確実にこれらの状況に対応してくる。
実際、立川選手が窮地に立たされたシーンは何度もあった。ウィナーズセミファイナルでは、フランスのAlioune選手が操る魔人ブウの前に苦戦を強いられ、グランドファイナルではフランスのKayne選手にリセットを許すまで追い詰められていた。フランス勢が勝つたび大歓声が上がるアウェイ環境の中、最終予選を突破できた理由は、そのチーム編成にあるという。
「DBFZ」は「MARVEL VS CAPCOM」シリーズを彷彿とさせる3対3の格闘ゲームだ。各プレーヤーは総勢38体のキャラクターから3対を選んで1チームとするため、可能な組み合わせの数は膨大で、各プレーヤーの編成力が試されるゲーム性が特徴だ。立川選手はこれまで、人造人間18号、ヒット、フリーザという異色のチームで大会を周っていた。しかし今回はその編成をガラッと変え、少年悟飯、GT悟空、ヤムチャというチームを使用している。
立川選手の編成は、コンボ火力・アシストの強さ共に優れた構成だが、その操作難度の高さから使用プレーヤーは少ない。しかし立川選手はチームの強さを信じ、ひたすら練習を続けたという。今まで立川選手といえばフリーザといったイメージがあったが、そこまで使い込んだキャラを手放してのチーム変更は、勝利への貪欲さの表れだろう。
筆者の印象に特に残っているのは、当日予選優勝が決まった際に立川選手が見せた涙だ。試合に勝った瞬間に崩れるように泣く姿は、立川選手の本大会への想いが感じられるようだった。本人に涙の理由を聞くと「今まで苦しい時期が長かったんです。だから思わず泣いてしまいました」と語ってくれた。
立川選手の涙の裏には、先日「EVO Japan 2020」の「ストV」部門にて優勝を成し遂げたナウマン選手の存在もあったという。立川選手の「ストV」時代には、2人はチームを組んで大会に出場する仲で、今でもお互いの試合前にLINEで応援メッセージを送りあっているとのこと。戦友であるナウマン選手の活躍に感化され、負けてはいられないという気持ちが芽生え、一層本大会に懸ける想いを強くしていたのだ。
立川選手は当日予選優勝後、その勢いのままにTOP16では地元フランスのWawa選手やアメリカの強豪ChrisG選手にも勝利し、ウィナーズのまま明日のTOP8出場を決めた。
Wawa選手は、11月に日本で行なわれたプロツアー「Red Bull DRAGON BALL FighterZ World Tour Japan」で優勝した新進気鋭の若手選手。本ワールドツアーファイナルでも優勝が期待された選手だが、意外な伏兵に足をすくわれる結果となった。日本の若手選手の更なる挑戦を、是非応援したいところだ。
他にも多数の日本人選手がTOP8入りを果たす!
初日を終えて2日目へ勝ち残ったのは、日本からは立川選手に加え、まっど選手、GO1選手、フェンリっち選手、マトイ選手の5名と、アメリカからはDekillsage選手、Apologyman選手、Supernoon選手の3名の計8名となった。あれだけ多くいたフランス勢が1人も勝ち残っていないのを見ると、実力が高いプレーヤーが順当に勝ち上がっているということがわかる。
立川選手をはじめ5名の日本人選手がTOP8入りを果たしたわけだが、中でも注目はやはりCAG所属GO1選手だ。シーズン1から「DBFZ」のトップに君臨し続けるGO1選手だが、今シーズンも出場した大会を11連続で優勝するなど凄まじい成績を残しており、多くのプレーヤーから“世界最強”と目されている。
GO1選手の印象をTOP8進出プレーヤーたちに聞いてみると、立川選手は「勝てる確率は20%くらいしかない」、アメリカのDekillsage選手は「他のどの選手とも互角に戦える自信はあるが、GO1選手だけはわからない」と述べており、GO1選手だけは他のトッププレーヤーたちより一段上のレベルにいるようだ。
そんなGO1選手だが、昨年のワールドファイナルは出場を果たすも惜しくも3位に終わっている。「EVO」を含め様々な大会で優勝を成し遂げてきたGO1選手が、唯一達成できずにいるのがワールドツアーファイナルの優勝だ。今年のワールドツアーファイナルはGO1選手にとってリベンジの場でもあるのだ。GO1選手にTOP8への意気込みを聞くと「いつも通りの動きをして、1試合づつ確実に勝っていきたいです」と答えてくれた。
GO1選手の強さは圧倒的だが、同時に他の選手たちが打倒GO1を目標に練習を積んできているのも確かだ。果たしてGO1選手は念願のワールドファイナル優勝を達成することができるのか、はたまた他の日本勢やアメリカ勢が番狂わせを見せるのか。「Red Bull Dragonball FighterZ World Finals」TOP8は要注目だ。
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