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ソフトバンクの実力はいかに! 「LJL 2020 Spring Split」開幕戦レポート

DFMの最強神話は続くのか

2月8日 開幕

 ついに2月8日に開幕した「LJL 2020 Spring Split」。前シーズンから多くのチームがメンバーをがらりと変えたほか、新チャンピオンが3体も追加され、さらにはドラゴンにも大きな変更が入った。これにより波乱が予想される今大会だが、開幕戦で一番の注目チームは、やはり初参加となる「福岡ソフトバンクホークス ゲーミング」(以下、SHG)だろう。また、前シーズンを優勝したことで3連覇を果たした「DetnatioN ForcusMe」(以下、DFM)の試合も、もちろん見逃せない。

 なお、本大会は、日本国内プロリーグ「LJL(League of Legends Japan League)」における2020年度の春季リーグ。前シーズンの優勝チームである「DetnatioN ForcusMe」(以下、DFM)をはじめ、全8チームが優勝賞金1,000万円と、世界大会にあたる「2020 Mid-Season Invitational(MSI 2020)」への参加権をかけて戦う。

 2月8日に開催された開幕戦は、おなじみになりつつある東京・渋谷のヨシモト∞ホールにて開催された。

満員御礼の会場。選手がスーパープレイを決めるたびに盛り上がる
入り口にはでかでかとLJLマークが。アガる
その隣には各チームメンバーの決めポーズポスターが飾ってある
ステージ上はこんな感じ。観客席との距離が近く、試合中は選手たちの叫ぶ声が直に聞こえる。これは会場でしか味わえないライブ感だ
ケイン・コスギさん(とリポビタンマン)も駆けつけていた。「ファイト一発!!」の掛け声に会場は大盛りあがり
出前館がオフィシャルパートナーとなったことで、会場に出前を頼むことができるようになった。観戦時間が長くなるLJLの熱い試合を見ながら、できたてほやほやのご飯を食べられるのは嬉しい。ピッツァタイム!
ピザは手がベタベタになるのでおすすめしません。でもこのワチャワチャ感が観戦っぽくて好き

 開幕戦は各チーム2試合ずつの全8試合が行なわれ、その中にもちろん初参加チームSHGの試合も含まれている。

 Week1でのSHGの試合は1勝1敗に終わった。Week1を終えた時点で、2勝したDFMと2敗してしまったAXZ以外のチームは1勝1敗に終わっており、順位としては2位タイと健闘している。また、試合自体もかなり良く動けており、可能性のあるチームに思う。BAN&PICKで強力なチャンピオンをあえてBANしないという相手の固定観念を利用した戦法をとるなど、戦略面でも見どころのあるチームとなっているように感じた。本稿では、そんなSHGの試合を中心に、「LJL 2020 Spring Split」開幕戦の模様をお届けしたい。

福岡ソフトバンクホークス ゲーミング! 左からTopのDasher選手、JungleのTussle選手、MidのRamune選手、ADCのHoney選手、SupportのPooh選手、コーチのAwaker氏。黄色のユニフォームに、BotDuoがハニー選手とプー選手というハチミツ感のあるチーム
Week1の試合結果

SHGの実力はいかに! 固定観念を利用した大胆な戦略も行なわれた見応えのある試合内容

 記念すべきSHGの初陣は、対Crest Gaming Act(以下、CGA)。CGAは、今回非常に活躍しているチャンピオンであるセトをピック。そのほか、リー・シンにゾーイ、セナ、ノーチラスと、相手のチャンピオンをピックアップすることが得意なチーム構成になった。一方のSHGは、Midレーンにコーキを採用するという今シーズンの中では比較的珍しいピックを見せる。また、Topレーンにはケイルをピックした。ADCのミス・フォーチュンとあわせDPSが高いチームとなり、レイトゲームをみすえた構成となった。

SHG記念すべき1戦目のBAN&PICK。

 最初にゲームが動いたのは試合開始からわずか3分のこと。Gango選手操るセナのWによるスネアからのダメージ交換でヘルスを削ったのち、ジャングラーYoshi選手とMidレーナーのAria選手を含めた3人でのタワーダイブでCGAがファーストブラッドを獲得する。しかし、寄ってきていたRamune選手とTussle選手が反撃し、SHGはキルを2つ獲得。レーン戦が終わるころには5対6のスコアでSHGがリードする形となる。また、すでにドラゴンを3体獲得しており、試合に王手をかけていたといっても過言ではない状態だった。だが、そこから魅せたのはCGA。SHGとしては何としても勝ちたい4体目となるドラゴン戦で、CGAのAria選手のゾーイがドラゴンをスティールする。その直後にGango選手のセナによるWで3体にスネアを決めたのを見て、またしてもゾーイのQが炸裂。これにより集団戦で大勝したCGAは、そのまま勢いにのりバロンを獲得し、ゲームに勝利した。

タワーダイブによるファーストブラッドと、カウンターでSHGが2キルを獲得
きれいな3マンスネア。見逃さないAria選手が……
Qをぶち当てる! 一瞬にしてヘルスの8割を削られたのち即落とされるのはHoney選手のミス・フォーチュン
CGAはバロン獲得後の集団戦で難なく勝利。このままゲームエンドに

 2試合目は対Sengoku Gaming(以下、SG)。SGは、韓国の超強豪チームであるSK Telecom T1への所属経験があるBlank選手とPirean選手の2名のスター選手が所属しているチームだ。SGとしても今シーズン初試合ということで、どちらのチームにも注目が集まる試合となった。

新Sengoku Gaming! 左からTopのapaMEN選手、JungleのBlank選手、MidのPirean選手、ADCのYutorimoyashi選手、SupportのEnty選手

 この試合、一番の注目はBAN&PICK時に見せたSHGの戦略だ。SHGは、BAN時にセトやアカリ、アフェリオスなどの強力なチャンピオンをBANしないという選択に出た。これにより、SG側がイレリア、セト、ルシアンをBANするも、これまで100%BANされていたアカリと、強力な万能ADCであるアフェリオスが空いてしまう。ファーストピック側のSGは、実質アカリかアフェリオスをピックせざるを得ない状態になり、そこでアカリを選択。対するSHGは当然アフェリオスをピックした。これは、SG側の選択肢を狭めるという戦略であると同時に、アカリのカウンターチャンピオンとなるルブランをピックして、Ramune選手をキャリーさせていこうという戦略だ。また、“BANされる前提”となっているアカリを、あまり練習していないのではないかという読みもある。

2試合目のBAN&PICK。アカリが試合で使われるのはかなり久々のことになる。SG側は選んだというより、選ばされたといえよう

 こうしてBAN&PICKからSHGが作戦を成功させた本試合は、狙い通りMidのRamune選手のファーストブラッドから始まる。MidからゲームをつくっていくSHGに対し、SGはDasher選手のブラッドミアをソロキルしたapaMEN選手のケネンがいるTopからゲームをつくる動きをみせる。有利になったTopに追い打ちをかけるようにリフトヘラルドを召喚し、タワーを折りきる。さらにBotレーンとスワップしたあと、こちらにも2体目のリフトヘラルドを召喚してBotタワーを折りきった。

Midでのファーストブラッド。Tussle選手のタワーダイブでギリギリダメージが足りた
apaMEN選手としては10カ月ぶりに参加するLJLでこの活躍

 試合が大きく動いたのは、レーン戦が終わりを向かえたゲーム中盤。相手のBotジャングル側に身を潜めていたRamune選手のルブランが、まさかそこにいるとは思っていないYutorimoyashi選手のミス・フォーチュンを一瞬で倒して集団戦に勝利。バロンを獲得し、そのままTopのセカンドタワーとMidのインヒビタータワーを折りきった。その後も、Ramune選手がプレッシャーをかけつづけ、SGを寄せ付けずにドラゴン4体目を獲得したSHG。マウンテンドレイクのドラゴンソウルにより付与されたシールドを盾に、強引なイニシエートで集団戦を勝利したSHGが1勝を手にした。

実に1分近く潜んでいたRamune選手
ドラゴン戦が始まることを見据えていたのか、大胆な作戦にさすがに気づけないSG。Q→R→Wコンボのバーストでミス・フォーチュンを溶かす
Ramune選手のプレッシャーでドラゴンに近づけないSG。泣く泣く4体目のドラゴンを手渡す
ドラゴンソウルのパワーでゴリゴリ行くSHG。SGは手も足も出ない状態に

やはりDFMは強かった! 日本最強チームの座はまだまだ渡さない

 現在3連覇中のDFM。チームメンバーが変わっていないこともあり、やはり強い。1試合目のV3 Esports戦は、13対6というスコアでわずか24分でゲームエンド。2試合目のBurning Core(以下、BC)戦では、序盤にやや不利なゲーム展開になったものの、中盤にSteal選手が魅せたジャーヴァンIVのイニシエートから、集団戦で勝利。以降、BCもDFMに食らいつくが、持ち前のマクロ・ミクロの上手さとその判断の良さからスコア差をつけていき、DFMの勝利に終わった。危ないシーンが何度かありながらも、ペースを崩すことなく最善手をチョイスしていく様は、これまでも見せてきたDFMの強さをこれでもかと見せつける形となった。

Mid上部のブッシュから……
ここまで届くイニシエート。徹底してRoki選手をフォーカスして、BCのダメージ源を削る戦略。Roki選手は為す術もなく倒され、DFMが集団戦で勝利

 次回Week2は、2月11日13時より開始される。1戦目はV3 Esports対Sengoku Gaming。注目の試合としては……。この際、全試合と言ってしまおう。というのも、前述した通り全8チーム中6チームが1勝1敗という拮抗した状況になっている。チーム間でも大きく差があるように思えない。Week2でどれだけ順位が変動するか見ものだ。それでも注目する試合を上げるとすれば、やはりWeek1で全勝しているDFMの試合だろう。LJL最強チームとして今回も力を見せつけたDFM。強力なJungle、Midレーナーを持つSGか、ダークホースとなりそうなSHGか、どのチームがDFMに土をつけるか、はたまたDFMの全勝で終わってしまうのか。大いに楽しみだ。

Week2の試合スケジュール