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公式大会初のマスターズルール/賞金制大会「ドラゴンクエスト ライバルズ マスターズカップ in TGS2019」が開催
優勝者には50万円+1億ゴールド! 決勝戦最終戦はまさかの「ゼシカミラー」で劇的な決着
2019年9月17日 14:55
- 9月15日 開催
- 会場:幕張メッセ(e-Sports X RED STAGE)
スクウェア・エニックスのDCG「ドラゴンクエスト ライバルズ」の公式大会「ドラゴンクエストライバルズ マスターズカップ in TGS2019」(以下マスターズカップ2019)が、9月15日、TGSのeスポーツ大型ステージ「e-Sports X RED STAGE」で開催された。
ドラゴンクエスト ライバルズは、ドラゴンクエストのキャラクターやモンスターが活躍するDCGで、当初はスマートフォン用としてリリースされたが、2018年2月からはPC版、2019年2月からはNintendo Switch版も加わり、プレーヤーを増やしている。「ドラゴンクエスト ライバルズ」には、過去に登場したすべてのカードが使えるマスターズルールと、一部のカードしか使えないグランプリルールがある。
「マジック:ザ・ギャザリング」でいうなら、グランプリルールはスタンダードで、マスターズルールはレガシーみたいなものだ。通常の公式大会は、グランプリルールで行なわれているが、今回のマスターズカップ2019は、公式大会として初めてマスターズルールで行なわれる大会である。また、公式大会で初めて賞金が出る大会でもあり、大きな注目を集めていた。賞金総額は100万円(優勝50万円、準優勝30万円、ベスト4 10万円)である。
マスターズカップ2019は、まず、8月27日から31日の間、オンラインゲーム内で予選が行なわれ、上位の選手が9月8日にスクウェア・エニックス本社で実施されたオフライン予選に出場。オフライン予選の上位4名が、この決勝大会に出場することとなった。面白いのは、決勝大会は、選手がそれぞれ3デッキずつ用意し、BO3(2本先取)で行なわれるのだが、そのデッキの中身がすべて大会前に一般公開されているという点だ。もちろん、対戦相手にもお互いのデッキの中身は筒抜けである。他のTCGやDCGではあまり行なわれない方式だが、手の内が分かっている状態での対戦というのも、また高度な読み合いが求められることになる。
マスターズカップ2019に出場したのは、オフライン予選4位の”静謐なる合理主義者”あ選手、オフライン予選3位の”絶対零度の魔術師”トシ選手、オフライン予選2位の”孤高の剣豪”リデ選手、オフライン予選1位の”千変万化の武術王”アリィナ選手の4名である。なお、この二つ名は、オフライン予選での各選手の様子を見て、「ドラゴンクエスト ライバルズ」のプロデューサー二木達博氏が名付けたものだ。
ステージでMCを担当したのはタレントの高野光平氏、実況を担当したのはテレビ東京アナウンサーの田口尚平氏、解説を担当したのはゲームライターのちょもす氏という、万全の布陣である。マスターズカップ2019は、「ドラゴンクエスト ライバルズ」初の公式賞金制大会となるが、それ以外にも大会副賞として、優勝者にはNintendo Switch用「ドラゴンクエストX オールインワンパッケージ」とDQX内で使える通貨1億ゴールド、Nintendo Switch「ドラゴンクエストXI S ロトエディション」が贈られる。また、準優勝者とベスト4には、Nintendo Switch用「ドラゴンクエストX オールインワンパッケージ」と「ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて S」ゴージャス版が贈られる。
あ選手とリデ選手が決勝戦に進む
4選手がカードを引いて、トーナメントの組み合わせが決定した。準決勝第1試合は、あ選手vsトシ選手の戦いとなった。1戦目は、先攻のあ選手がアンルシアアリーナデッキを選択、後攻のトシ選手もアリーナデッキを選択した。あ選手が堅実なプレイで、着実にアドバンテージを稼ぎ、先攻8ターン目にさそりばちをプレイし、武術カードでHPを削りつつさそりばちの攻撃力を上げ、トシ選手にとどめを刺した。
1戦目で勝ったデッキは、2戦目や3戦目で使うことができないルールであり(負けた側は同じデッキを使ってもよい)、デッキの読み合いも重要になってくる。2戦目は、後攻のあ選手がアンルシアククールデッキを選択、先攻のトシ選手はレックステリーデッキを選択した。2戦目も、あ選手の立ち回りが見事で、トシ選手に勝利。2-0で決勝に進出が決まった。
準決勝第2試合は、リデ選手vsアリィナ選手の戦いとなり、1戦目は、先攻のリデ選手がアンルシアクルールデッキを選択、後攻のアリィナ選手はレックステリーデッキを選択した。前半はアリィナ選手が優勢に試合を進め、6ターン目にはリデ選手のHPは4まで減ったが、リデ選手はここから耐えて反撃に転じ、先攻10ターン目にリデ選手がアリィナ選手のHPを削りきった。
第2試合の2戦目は、後攻のリデ選手がレックステリーデッキを選択、先攻のアリィナ選手はアンルシアアリーナデッキを選択した。2戦目は1戦目とは逆に、序盤はリデ選手が優勢であったが、後半さそりばちの攻撃力を上げたアリィナ選手がリデ選手のHPを削りきって勝利した。これで1-1の同点に。最終戦(3戦目)の勝者が決勝に進むことに。
3戦目は、後攻のリデ選手が再びレックステリーデッキを選択、先攻のアリィナ選手もレックステリーデッキを選択。ミラー対決となった。一進一退の攻防が続いていたが、後攻7ターン目、多くのユニットを展開したリデ選手が、アリィナ選手に総攻撃をかけ、リデ選手が勝利した。
決勝戦の最後にラーミアが空を舞う!
決勝戦を開始する前に、「ドラゴンクエスト ライバルズ」のプロデューサー二木達博氏とドラゴンクエストXのプロデューサー青山公士氏が登場。青山氏が、ドラゴンクエストXのキャラクターやモンスターが「ドラゴンクエスト ライバルズ」にもたくさん登場することや、優勝するともらえる1億ゴールドの使いみちなどを説明した。
試合開始前に、ちょもす氏が各選手の注目デッキの解説を行なっていたが、リデ選手のデッキの中でも注目すべきデッキが、ゼシカデッキである。ラーミアによる特殊勝利(6つのオーブを集める)を狙うデッキだが、通常ヒーローカードは入れても2枚までなのに対し、リデ選手はヒーローカードを3枚入れた、トリプルヒーローが特徴だ。ヒーローカードは、必ず初期手札にくるようになっているため(マリガンで交換することはできる)、先攻なら初期手札が固定されているデッキになるのだ。それに対して、あ選手のゼシカデッキは、ヒーローカード2枚のオーソドックスなタイプだ。
1戦目は、先攻のあ選手がアンルシアアリーナデッキを選択、後攻のリデ選手はアンルシアセーニャ(ククール)デッキを選択した。前半は両者とも互角の戦いを繰り広げたが、10ターン目のはじめには、あ選手のHPが8まで削られ、後攻10ターン目、リデ選手があ選手に勝利した。
2戦目は、後攻のあ選手は再びアンルシアアリーナデッキを選択、先攻のリデ選手はレックステリーデッキを選択した。もう後がないあ選手だが、着実なプレイで後攻9ターン目に、リデ選手のHPを削りきり、1-1のイーブンに。優勝の行方は最終戦(3戦目)までもつれ込むことになった。
お互い1勝ずつしているため、3戦目で使えるデッキは2種類ずつしかない。運命の3戦目、両者が選んだのはともにラーミアゼシカデッキだ。相手のリーダーを見て、思わず頭を抱えたのがリデ選手。ゼシカミラーはお互いラーミアで勝つしかなく、いかにデッキを引き切るかの勝負になるのだ。
先攻はあ選手、後攻がリデ選手だが、リデ選手の初期手札に注目。ヒーローが3枚入っていることがわかるだろう。ラーミアゼシカデッキは、相手のHPを削って勝つデッキではなく、ラーミアによる特殊勝利を目指すデッキなので、序盤はゆっくりとした滑り出しになる。先に動いたのはあ選手。先攻7ターン目にラーミアをプレイ。ラーミアは卵となり、6つのオーブがデッキの中にランダムで入る。このオーブを全て場に出せば相手のHPにかかわらず勝ちとなるルールだ(いわゆる特殊勝利)。
返しのターンで、今度はリデ選手がラーミアをプレイ。ラーミアをプレイした時点でのリデ選手の残り山札はわずか3枚であり、6枚のオーブが追加されて9枚に。つまり、2/3の確率でオーブをひけることになる。確率的にはまだ山札が多い、あ選手のほうが不利に思えたが、先攻9ターン目、あ選手が素晴らしいプレイを見せる。それはもうひとつの基本ルール、手札枚数の制限を利用する方法だ。
「ドラゴンクエスト ライバルズ」では、手札の上限は10枚までであり、11枚目をドローした場合、強制的にそのカードが捨てられてしまうルールとなっている。先攻8ターン目、リデ選手の手札が7枚であることに気づいたあ選手は、まず1MPでまほうの小ビンをプレイ。相手の手札にまほうの小ビンが加わる。続いて、2MPでやまびこのさとりをプレイ、続けてもう1枚のまほうの小ビンをプレイ。また相手の手札にまほうの小ビンが加わる。
さらに、やまびこのさとりの効果で自分の手札にまほうの小ビンが加わる。そこで、3枚目のまほうの小ビンを。これで相手の手札に合計3枚のまほうの小ビンが加わり、リデ選手の手札が上限の10枚になったのだ。全ては、次のリデ選手のドローで決まる。前述したように、リデ選手の残り山札は9枚。このうち6枚がオーブであり、そのオーブをひいた瞬間、リデ選手の勝ち筋は、手札からこぼれたオーブとともに消滅する。お互い手を合わせて祈る姿が印象的であった。そして、運命の後攻8ターン目のドローは「ブルーオーブ」!
しかし、手札が10枚あるので、ブルーオーブは捨てられる。もはやリデ選手が6つのオーブを揃えることは不可能になったのだ。がっくりうなだれるリデ選手。
先攻9ターン目、先攻9ターン目。あ選手が魔性の道化師ドルマゲスをプレイ。手札の特技カードのコストが-5されるという、強力なユニットだ。この時点で、あ選手の残り山札は7枚。ここからコスト0でプレイできるまほうの小ビンなどを使って全てのカードを引ききれば、あ選手の勝利だ。オーブを場に出すことでも、1枚ドローが可能なので、ここから全ての山札を引き切ることは容易だ。最後から2枚目を引くと、6つのオーブが揃った。オーブをプレイして山札を全て引き切り、奇跡が! 「おおぞらは おまえのもの」ラーミアが甦り、空高く舞う。
あ選手が約1時間もの激闘を制し、マスターズカップ2019の優勝者となった。この時点で、終了予定時刻を30分以上過ぎていたのだが、素晴らしい戦いを見せてくれた両者に、大きな拍手がおくられた。二木プロデューサーも、まさか決勝戦でラーミアが空を舞うとは思わなかったと、勝者を祝福した。筆者も、とてもいいものを見せてもらったという感動で、身体が震えるほどであった。
最後に二木プロデューサーから、9月19日から「ドラゴンクエスト ライバルズ」チャンピオンシップ「勇者杯2019秋」のエントリーが始まることと、勇者杯2019夏で錬金された伝説のカード「勇者姫アンルシア」が9月27日、全プレーヤーに配布されることが発表された。