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SCARZ Absolute、SCARZを脱退。“アジア最強”を求めて新たな環境へ

SCARZ友利代表「気持ちはわかるので、今後も応援していく」

11月13日発表

 「Counter-Strike: Global Offensive(CS:GO)」の国内トップチームであるSCARZ Absoluteが、11月13日の夜、突如脱退を発表した。これによりSCARZ Absoluteは、創設初期の名前Absoluteに戻り、新たな所属先を探していく。

 今回の発表は、母体であるプロゲーミングチームSCARZと、チームでインゲームリーダー(IGL)を務めるcrow選手から、公式サイトおよびTwitterを通じて同時に発信された。

 脱退の理由は、「アジア最強を目指し、活動の場を海外に移したいと考えたため」。SCARZ代表の友利洋一氏によれば、脱退の相談は10月中旬に中国上海で行なわれた「CS:GO」のAPAC大会「eXTREMESLAND 2018」終了後にあったという。

 SCARZ側としては、Absoluteの要望に応じる形で、新たにスポンサーを募り、今年8月よりフルタイム給与制およびゲーミングハウスに移行。国内では最高の環境を整えたばかりだったため、長期の契約を要請したが、Absolute側の意思は硬く、脱退という形でSCARZとAbsoluteは袂を分かつ形となった。

 一方のabsoluteは、国内最大規模の「CS:GO」の大会GALLERIA GAMEMASTER CUPを2連覇し、国内最強の名をほしいままにする存在だが、国際大会では今年6月から7月にかけて、FACEIT Major Asia Minorでオーストラリアの強豪Renegadesに、DreamHack Masters Stockholm 2018 Asia Closed Qualifierでは、韓国最強のMVPにそれぞれ勝利するなど快進撃を見せていたものの、8月に環境が変わり、poem選手が離脱してからは、思うような結果が挙げられていない。

GALLERIA GAMEMASTER CUPで2連覇を達成したSCARZ Absolute

 現役のeスポーツタイトルとしてはもっとも長い歴史を持つ「CS:GO」は、世界中に無数のプロチームが存在し、チームメンバーの国際化も当たり前のように行なわれている。10代から海外で武者修行し、チームを代表するエースに成長することも少なくない。Absoluteのメンバーは、この数年で国際大会に出場する機会が増え、海外の強豪チームと交流を深めたことで、様々な刺激を受け、勝つために何が足りないか、長くはないアスリート人生において何をすべきかを感得したのではないだろうか。

 筆者は、eXTREMELAND 2018でグループリーグ敗退した後のインタビューで、「お疲れ様でした」では済まない、チーム全体を漂う深い失望を感じた。その結果がこのような形になって残念だと思うと同時に、「Counter-Strike」初の国内プロチームである4dimensioN以来、久々に世界を志向するチームが現われてくれたことにファンの1人としてワクワク感も覚えている。Absoluteが今後どのような形で「CS:GO」に関わっていくのか注目したいところだ。

 電話取材に応じてくれたSCARZ代表の友利氏は、今回の件について「最初聞いたときは混乱したのは事実です。ただ、選手達の気持ちもわからなくはないので、こちらとしては多くの関係者にご迷惑を掛けることになってしまいましたが、快く送り出すことに決めました」とコメントしてくれた。

 SCARZの「CS:GO」部門は今後も継続し、チームとして活動を続けていくという。

Absoluteは今後もこの5人で活動するとしている。左上からReita選手、crow選手、takej選手、Laz選手