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Ubisoft、謎のVRホラー「トランスファレンス」がどんなゲームか見えてきた

不気味すぎる赤い家の中で、ヒントを求めて右往左往するサスペンス

8月22日(現地時間)

会場:Koelnmesse

 Ubisoftは、Ubisoft MontrealのスタジオFunHouseと俳優のイライジャ・ウッドさんが設立したSpectreVisionと共同開発しているホラーVRゲーム「トランスファレンス」を、Gamescom 2018に出展した。昨年のGamescomでは開発中のバージョンをプレイする機会があったが、今回はより製品版に近いものをプレイすることができた。

 本作の主人公は実験の被験者として、ある家族の記憶をシミュミレートしたデジタルデータの中に入り込む。プレーヤーは部屋に散りばめられたオブジェクトを組み合わせてパズルを解きつつ、そこで何が起きたのかという謎を解き明かしていく。

【「トランスファレンス」E3 2018トレーラー】
家の主人である父親の映像。過去に撮影されたもののようだ
あるものをアンロックすると、過去の記憶が一気にフラッシュバックする

記憶を合成して作られた不気味な赤い家の謎を追う

 本作はさまざまなVRデバイスに対応する予定だが、今回の試遊にはOculus RiftとOculus Touchを使用した。装着すると両手の部分に青いポリゴンメッシュでできた手首から先が現われ、ゲーム内のオブジェクトにインタラクトできるようになる。

 操作は左手のスティックで移動、右手のスティックで視点の切り替えを行なう。左のスティックを押し込むと屈んで、立っている時には手が届かない場所に手が届くようになる。ものを掴むには人差し指のボタンを使用する。

 家の中は特に廃墟になっているとか変容しているというわけではないのだが、常にどこか陰惨さを感じさせる赤い光に照らされているせいで、全体的に異様な雰囲気を醸している。さらに、探索の最中にはしょっちゅうどこからともなく聞こえる幻聴のような子どもの声や、母親の声に悩まされることになる。時には差し迫った雰囲気に気おされて声の主を探してみたりもしたが、鍵がかかっている部屋が多いこともあり、姿を見つけることはできない。ただ、1回だけ廊下で子どものシルエットを見かけた。こちらが見ていることに気づいたのか、あっというまに駆け去ってしまった。

常に赤っぽい光に照らされているせいで、不気味な雰囲気
家のあちこちに子どものものと思われるいたずら書きがある
ドアは最初のうちはほとんど鍵がかかっている
遠くに見える少年の人影はなにを訴えようとしているのだろうか

欠落した記憶のヒントを元に必要なアイテムを探す

 スタートの段階ではほとんど鍵がかかっており、限られた場所にしか入ることができない。階段を上っていくと、記憶が壊れている場所に遭遇した。階段の上に部屋があるのだが、ドアの代わりに黒い空間が広がっている。そこには映像でヒントが浮かんでおり、この時には下の階にあるドアの飾りを持って来て、ドアに近づければ記憶が修復され、飾りが正しい位置についたドアが現われる。

 謎解きをする上で重要な役割を果たすのが電気のスイッチだ。部屋に時折ある白く輝くスイッチを押すと、過去の同じ場所へ瞬時に移動する。試遊では過去の部屋でラジオをチューニングして、戻ってきた赤い世界で同じラジオを再びチューニングする事で達成できるシークエンスもあった。

 最後は子供の必死な声に導かれてキッチンに行く途中、黒いドットでできた体に赤い目が輝く不気味な人影に遭遇、その人影が筆者を覆い尽くそうと襲い掛かってくる瞬間、画面が切り替わりタイトルに戻って試遊は終了した。

ドアノブの飾りを正しい位置へ運ぶ
記憶が欠落している所は黒く抜け落ちている。そこにドアノブのためのヒントが赤く表示されている
設置すると、プログラムが走るような演出があり、次の部屋へ入ることができるようになる
謎解きのカギを握るスイッチ
台所のドアのあたりで記憶が欠落している
過去に戻ると台所の雰囲気はガラリと変わる
過去でラジオをいじった後、戻ってきた部屋で同様の操作をするとシークエンスがコンプリート
記憶が修正されてドアが現われる

ホラー好きはもちろん、サスペンスの謎解きが好きな人にもおすすめ

 今回解説した部分は、全てが筆者自信で見つけた答えではない。どちらかというと、一向に正解にたどり着かない筆者を見かねて、スタッフが教えてくれたヒントによるところが大きい。本作では実に多くのものがインタラクトできるよう作られている。そして家の中には、いかにも意味ありげな写真や手紙、縦笛、音叉、紙切れなどが大量においてある。どれをどこで使えばいいのか、アイテム側には一切ヒントがない。

 しかもVRの特製上、アイテムを持てる最大数は左右の手に1つずつの最大2つなので、これらのアイテムを抱えて合う場所を家じゅう探し回るのは、いかにも効率が悪い。まずは家のどこかにある欠落した記憶を探し出し、そこにあるヒントを確認したうえで、該当のものを探すというのがおそらく正しいプレイなのだろう。

 本作はホラーゲームというくくりだが、今回短い時間ではあるがプレイした印象では、ホラーというよりはスリラー、サスペンスという言葉のほうが似合うような気がした。不気味ではあるがいきなり物陰から何かが襲ってくるようなゲームではなく、不気味な記憶の欠落もデジタル的なものだと思えば気持ち悪さも和らぐ。現状ではホラーはどうしても苦手という人でも、遊べるレベルだった。もちろんこれからストーリーが進んでいった先に、何が待ち受けているのかは知る由もないのだが。

 VRゲームとしては、グラフィックスのクオリティは申し分ない。だが狭い家の中をウロウロしていると、やはり少し3D酔いしてしまった。こればかりは個人で違うので、遊んでみるしかないかもしれない。筆者の個人的な経験では、視点切り替えをコントローラーで行なうタイプのVRゲームは酔いやすい気がする。開発的にもしっかりした3D酔い対策を求めたいところだ。「トランスファレンス」は2018年秋に、プレイステーション 4/Xbox One/Windows/PlayStation VR/Oculus Rift/HTC Vive用として発売される。

家族が映った写真
子ども用のリコーダー
図書館のカード
電話番号の覚書き
不気味な黒い人影が突然襲い掛かってきたところで試遊は終了した