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「クロックタワー」を彷彿とさせるイタリア製ホラー「Remothered」プレビュー
すでに日本語字幕も実装済み! 殺人鬼に追いかけられ続ける古典的パニックホラー
2018年3月25日 01:05
毎年恒例となっているXboxのインディゲームプログラムID@Xboxのメディア向け体験会。ID@Xboxを使って開発されたゲームをいち早くプレイできる貴重な機会で、毎年会場は世界中のメディアでごった返す。今年も18タイトルがプレイアブル出展され大盛況だったが、GAME Watchではその中でも目にとまった3タイトルをピックアップしてご紹介したい。まず最初に取り上げたいのは、イタリア産のホラーゲーム「Remothered: Tormented Fathers」だ。
「Remothered: Torment Fathers」は、イタリアのゲームデベロッパーStormind Gamesが手がけたアクションアドベンチャーゲーム。PC版は2018年1月にSteamを通じてリリースされ、Xbox OneとPlayStation 4、そしてNintendo Switch向けにコンソール版を開発中としている。
「クロックタワー」や「バイオハザード」、「サイコブレイク」など、日本製のパニックホラーゲーム、とりわけ「クロックタワー」の影響を強く受けており、ゲーム性や雰囲気のみならずミステリアスな女性キャラクターの名前を同名の“ジェニファー”にするなど、インスパイア系のゲームといっていい。
コンポーザーは「メタルギアソリッド」や「Halo」、「サイコブレイク」、「ファイナルファンタジーXIV」の作曲・編曲などを手がけた戸田信子氏が担当しており、幾重にも日本のゲーム市場へのリスペクトが感じられるゲームだ。
よほど日本のゲームファンにプレイして欲しいという願いが強いようで、筆者が日本のメディアだと知ると、ディレクターのChris Darril氏をはじめ、スタッフ全員で歓待してくれ、「『クロックタワー』を現代に蘇らせたようなゲームなんだ」と嬉しそうに語り、写真撮影までお願いされた。日本のパブリッシャーは現在探しているところということで、発売時期は残念ながら未定だ。
実際にプレイしてみたが、まさに「クロックタワー」そのものといっていい、洋館で巻き起こるパニックホラーだ。プレーヤーは洋館の住人であるフェルトン博士を調査に来た女性ローズマリー・リードで、捜査の過程で洋館に閉じ込められ、本性を現したフェルトン博士をはじめとした館に巣くう殺人鬼の集団から逃げ、洋館から脱出することを目指していく。
ゲームの基本は、音を聞きつけて追ってくる殺人鬼から逃げ続けながら、洋館を隅々まで調査し、謎を解いてオブジェクトをクリアしながら先に進んでいくというもの。調査中に住人に見つかったら長椅子の下や、テーブル、クローゼットなどに隠れて追求を逃れ、ほとぼりが醒めた頃に出てきて調査を再開する、これを繰り返していくゲームだ。
隠れればもう安心かというとそうでもなく、住人が近づいてくると、QTE(Quick Time Event)が発生し、それに失敗してしまうと発見され、無残に斬殺されてしまう。
ひととおり遊んでみた印象は、洋館の作り込みや、印象に残るビジュアル表現、これでもかとばかりに多彩かつ猟奇的な死亡表現、ヘルスバーすらないアナログなゲームデザイン、恐怖を助長させるおどろおどろしいサウンドななどど、随所に光る要素はあるものの、クリエイティビティにテクノロジーがまだ追いついていない印象で、アクションの処理は雑だし、肝心の音もしっかり定位していないし、ビジュアルとアクションが噛み合っていないところが多々見受けられる。さらに日本語が入っているのは素晴らしいが、機械翻訳に毛が生えたレベルで、ほぼ全編において翻訳がおかしいなど、粗が目立つというのも正直な所だ。
「これなら『バイオハザード7』や『サイコブレイク』のほうが楽しめる」と評価するのは簡単だが、実績のないインディデベロッパーの14.99ドル(1,530円)のタイトルにどこまで求めて良いのか悩むところ。むしろ処女作としてはよくできていると評価すべきではないかと思うし、彼らの次回作において、クリエイティビティとテクノロジーがマッチした時、どのようなホラー体験が生み出されるのか興味がある。新進気鋭のデベロッパーによる温故知新的なホラーゲームとして、ホラーファンはぜひ一度プレイしてみることをオススメしておきたい。