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「LEVEL∞」がNVIDIAと共同でマルチゲーミングクラン「父ノ背中」とスポンサー契約を締結

発表会と併催のファンミーティングは大盛況!

2月25日 開催

スポンサー契約発表会とファンミーティングの会場となったのは、東京・秋葉原の「e-sports SQUARE AKIHABARA」

 2月25日に東京・秋葉原の「e-sports SQUARE AKIHABARA」を会場に、マルチゲーミングクラン「父ノ背中」に対するスポンサー契約についてのメディア発表会が開催された。

 会場において、ユニットコムがiiyamaブランドで展開するゲーミングPC「LEVEL∞」は、NVIDIAとともにマルチゲーミングクラン「父ノ背中」とスポンサー契約を締結すると発表した。その直後には、クラン初となる14名全員の参加によるファンミーティングが開催され、eスポーツの盛り上がりを実感するイベントとなった。

「LEVEL∞」と「父ノ背中」、スポンサー契約を締結!

 司会進行のOooDa氏、アシスタントMCの宮本りおさんによって紹介されステージへと上ったのは、ユニットコム広報の石田雅人氏。同氏のスピーチで開始早々に明らかになったのは、ユニットコムが展開するゲーミングPCブランド「LEVEL∞」とマルチゲーミングクラン「父ノ背中」がスポンサー契約を結ぶというものだった。

司会進行を務めたのは数々の大会でゲーム実況を務めるOooDa氏(画像左)。アシスタントMCにはこれがMC初挑戦という宮本りおさん(画像右)
「LEVEL∞」による「父ノ背中」へのスポンサー契約を発表したのは、ユニットコムの石田雅人氏

 「父ノ背中」と言えば、「Rainbow Six Siege(レインボーシックス シージ)」を中心にさまざまなゲーム大会での実績を誇り、YouTubeなどでの動画配信でも多くのファンを持つゲームクラン。スポンサードの詳細が報じられる前に、リーダーのteru_shan(以下、てるしゃん)選手をはじめとする14名のメンバー全員が舞台へと姿を現わした。各メンバーの居住地は日本全国にまたがっているため、コミュニケーションはオンラインが中心。全メンバーがオフラインで顔を合わせるのは、なんとこれが初めてのことになるという。

 メンバー紹介のあと、マイクを取ったてるしゃん選手は、「スポンサー契約を受け、ゲームプレイや配信といった情報発信力を活かし、より一層、パソコンゲームを普及させていきたい」と意気込みを語り、契約書へのサインが取り交わされた。

契約書にサインを交わす石田氏(画像左)と、「父ノ背中」のリーダー、てるしゃん選手(画像右)

 今回のスポンサー契約で提供される「LEVEL∞」は、BTO形式で提供されるコストパフォーマンス重視のゲーミングPC。ユーザーサポートにも力を入れていて、ユニットコムが全国に展開するPCショップ「パソコン工房」での対面サポートを実施している点もセールスポイントにしている。

 石田氏によれば、今回のスポンサー契約により全メンバーに「LEVEL∞ R-Class 父ノ背中コラボモデル」のうち最上位モデルが提供されるとのこと。その仕様として、CPUには Core i7-8700K、ビデオカードにはGeForce GTX 1070Ti 8GB、ストレージとして240GBのSSDと1TBのHDDを搭載している。

 ただし、後に確認したところによると、ユニットコムではサポート契約の期間中は、常に最新、最強の環境を提供する用意があるとのこと。実際に選手に手渡されるものは、もっと性能が強化されている可能性も高い。

プロ活動を広範に支援!ソフトウェアメーカー、ハードウェアメーカーも契約を歓迎

 ユニットコムはPCの提供に留まらず、日本各地でファンイベントを定期的に開催するなど、プロ活動全体を積極的に支援していく予定だという。そうした取り組みはすでにはじめられていて、2月3日には愛知県のパソコン工房グッドウィル岡崎店を「父ノ背中」のメンバーであるApple(アップル)選手と、サブリーダーであるkenki(けんき)選手が訪問。80名という来場者を集め、3時間にわたってゲーム大会が開催されたそうだ。

 今回のスポンサー契約は、日本でも急速に加速しつつあるeスポーツの普及、人気拡大を如実に表すものと言える。これはプレーヤーのみならず、ゲームに関わるハードウェア、ソフトウェアの各メーカーにとってもまさに歓迎すべきムーブメントだ。

発売後3年を経てもなお「レインボーシックス シージ」のユーザー数は増加の一途であると語ったユービーアイソフトの宮田幸子氏。そこには日本はもちろん、全世界的なeスポーツの盛り上がりと、プロゲーマーの影響が大きいと言う

 それを表すように、ゲストとしてユービーアイソフトで「レインボーシックスシージ」ブランドマネージャー兼eスポーツマネージャーを務める宮田幸子氏、ゲーミングデバイスで知られる「RAZER」の輸入を手がけるMSYの橋本篤氏、NVIDIAのコンスーマーマーケティング部部長兼チャネルセールスマネージャー高橋一則氏が次々と登壇。今回のスポンサー契約について祝辞を述べた。

 宮田氏によると、「レインボーシックス シージ」は2015年12月の発売以来、今年で3年目に突入するタイトルながら、未だにユーザー数は増加中で、日本では50万人が遊んでいるそうだ。ユービーアイによれば、eスポーツがその原動力となっていることは間違いないとのことで、たとえばNVIDIAの協力を得て開催した最初のゲーム大会では10組程度がエントリーするくらいの規模であったのに対し、今ではPS4版では400チーム以上、2,500人が参加するまでに成長。

 PC版の世界大会では1万人がストリーミングを視聴するほど活況だといい、やはりそこには「父ノ背中」をはじめとするプロのeスポーツ選手たちの影響が非常に大きいという見解とともに、賞金総額1億円超えの大会を予定していることも語られた。

共同パートナーのNVIDIAもハードウェア提供以外の面でサポート

「RAZER」や「THRUSTMASTER」といったゲーミングデバイスの輸入を手がけるMSYの橋本篤氏。1年前に「父ノ背中」とサポート契約を結んでいるMSYは、この発表会の開催にも尽力。プレゼント商品の提供なども行っていた

 ゲーマーやストリーマーを支援する「GRAPHT」という活動も行なうMSYは、ユニットコムよりも先、昨年2月から「父ノ背中」のサポートを開始し、RAZERブランドのゲーミングデバイス提供を行なってきた。橋本氏は今回の契約への祝辞を述べるとともに、「RAZER」ブランドの普及における「父ノ背中」の影響は大きいと語った。

 また、今回のイベントにおいては、「父ノ背中」メンバーが身に付けているチームユニフォームやTシャツ、パーカーを作成を「GRAPHT」で作成。これにはチームの新しいロゴに加え、「父ノ背中」をサポートする各企業のロゴが大々的にプリントされている。

プロのeスポーツ選手はもちろん、PCゲームユーザーから絶大な人気を誇るNVIDIAの「GeForce GTX」シリーズ。同社の高橋一則氏はCPUなどの負荷を最小限にとどめたままプレイ動画を記録する「SHADOWPLAY」などの周辺ツールの充実についてもアピール

 続いてOooDa氏は、NVIDIAの高橋氏を紹介。その際に初めて判明したのだが、今回のスポンサー契約は「LEVEL∞」単独ではなく、NVIDIAとの共同スポンサーという形だそうだ。NVIDIAのプロをはじめとするゲーマーから高く評価される「GeForce GTX」シリーズだが、高橋氏は同社が海外はもちろん、国内でもさまざまなゲーム大会をサポートしてきていることをアピール。

 また、アメリカの本社には「GeForce eSports Studio」というプロゲーマー向けの練習施設が用意されているとのこと。「父ノ背中」に向け、大会出場のために訪米した際には、ぜひ最先端のハードウェアを取りそろえたこの施設を利用して欲しいと語っており、ハードウェアの提供だけでなく、こうした形でもNVIDIAは「父ノ背中」をサポートしていくそうだ。

チームの方針は「1秒でも長くゲームをすること」

 メディア発表会の最後に行なわれた質疑応答では、まず最初に司会進行のOooDa氏から海外進出についての質問が出された。これに対し、マイクを取ったのは、kenki選手。「国内だけでなく、海外においてもeスポーツの大会で勝っていくのはチームの活動における大前提」とした上で、さらに言葉を重ねた。

 kenki選手によると、「父ノ背中」はゲームが好きで集まった集団であり、各種の大会についても、楽しいと思えば出るし、勝ちたければ勝つ、とのこと。しかし、彼らが目指すのは「ゲームでお金を稼いで、1秒でも長くゲームができること」なのだそうだ。こうした発言には、ゲームタイトルごとに明確にメンバー選別を行なったりしない「父ノ背中」独特のスタイルが現われていると言えるだろう。

 続いての質問は、ユニットコムの石田氏に向けられた。同社がサポートするプロチームとしては「父ノ背中」が3チーム目になる。他の2チームとのどういった違いに期待しているのかとの問いに、プレーヤーとしての強さはもちろん、何よりストリーミング配信で高い人気を誇る点に注目。ユニットコムとのコラボレーションにその発信力を活かして欲しいと返答した。

 最後の質問では、今回が全メンバーが初顔合わせだったことに対する感想が求められた。「イベントとしてみんなで楽しくゲームをプレイできればいい」というApple選手の感想にも、やはり「父ノ背中」の基本的なスタイルが表れていたと言えるだろう。

第2部では来場者やネット視聴者が参加してのゲーム大会も開催

 16時30分から開催された第2部のファンミーティングでは、あらかじめ抽選で選ばれた約100名の「父ノ背中」ファンが会場を埋め尽くした。このファンミーティングは、「レインボーシックス シージ」、「PLAYERUNKNOWN'S BATTLEGROUNDS(以下、PUBG)」と、2つのタイトルを遊び、「父ノ背中」メンバーとファンの交流を図るというもの。

第2部のファンミーティング来場者に配られたのは、ユニットコムが手がけるiiyamaブランドの小冊子と、「RAZER」のキーボードそのままなLED内蔵の携帯ストラップ、そして限定100部しか作られていないという「父ノ背中」とスポンサーロゴ入りのクリアファイル
第1部のメディア発表会に続き、第2部のファンミーティングで受付を担当していたお2人。手にしているのが、来場者に配布していたiiyamaのブックレットと100部限定の特製クリアファイル

 まず「レインボーシックス シージ」では、「父ノ背中」メンバーのみによる紅白戦のほか、来場者を含めたMIX紅白戦も開催。さらに、「PUBG」では、「父ノ背中」メンバー10名と来場者10名、さらにネットで募った参加者によるゲームが行なわれた。

 もともと「父ノ背中」は「レインボーシックス シージ」を中心に各種大会で優秀な成績を収めているクランだけに、最初の紅白戦に限らず、来場者参加のMIX紅白戦でもマップの地形を熟知した戦略的なプレイを展開。会場を唸らせるプレイの連続には、来場者も「父ノ背中」の実績の高さが実感できたことだろう。

「レインボーシックス シージ」による「父ノ背中」の紅白戦。会場に詰めかけた観客はさすがファンだけあり、ゲームへの理解度も非常に高かった
「レインボーシックス シージ」ではてるしゃん選手とKINCHI(きんち)選手がゲームを解説。このイベントでは「ヨット」など今ではあまり使われないマップが使われたことも含め、実況のOooDa氏とともにゲームを解説。場内を盛り上げていた

 一方、運の要素も非常に強い「PUBG」では、「父ノ背中」メンバー同士の撃ち合いや、来場者の思わぬ健闘でさらに場内は白熱。「PUBG」の人気と関心の高さが改めてうかがえるものとなった。

「PUBG」では「父ノ背中」メンバー10名と来場者10名、さらにネットからの参加者を含めて2ゲームの交流戦が行なわれた。会場内のプレーヤーが優勝した場合は、「RAZER」のヘッドフォンなどのゲーミンググッズがプレゼントされる予定だったが、2試合ともネットユーザーが勝利した

 予定されていた「PUBG」の2試合を終えた時点ですでに20時を経過していたが、場内のテンションはまったく落ちることなく「じゃんけん大会」、そして最後のプログラムであるファン交流会へと突入し、予定時間の21時をオーバーしてこの日のイベントは幕を下ろした。

 今回のイベントで驚いたのは、来場者の約4割が女性だったこと。来場者は抽選で選ばれたわけだが、確認してみたところ、応募者全体の男女比もほぼ同じで、厳正な抽選の結果なのだそうだ。同社がサポートする他のチームとは明らかに違っていると、話を伺ったユニットコムのスタッフも目を丸くしていた。

来場者の約4割が女性。「PUBG」でも積極的に参加する姿が見られた。ファンミーティングだから記念にプレイ、といった雰囲気はもちろんまったく感じられず、みんな操作は非常に手慣れていた

 日本ではeスポーツが長らくマイナーな状態であったが、その理由のひとつとして、日本ではPCでゲームを遊ぶユーザー数の少なさが挙げられていた。しかし、今回のイベントはPCゲームを中心としたものであったことと、女性ファンの多さを考えるに、そうした認識は確実に過去のものとなってきていると言わざるをえない。ゲームは「遊ぶもの」、そしてさらに「見るもの」としても、着実にファンを増やしてきているのだ。

ファンミーティングでは、飲み物と軽食がフリーで提供された。長時間に渡るイベントだっただけに、これはうれしい配慮
ステージに上がっていない「父ノ背中」のメンバーは、会場内で気さくにファンと会話を交わしていた。サインをしているのはサブリーダーのkenki選手。各メンバーとも、スケッチブックや色紙だけでなく、ゲームパッドやヘッドフォンなどにもサインを求められていたのは、さすがゲーム系イベント
ゲームプレイが終わった後には、「PUBG」優勝者に与えられる予定だったものを含め、「RAZER」の豪華な製品がもらえるじゃんけん大会を開催
最後に登場したのは、「父ノ背中」メンバー全員のサインが入った「AKRacing Nitro ゲーミングチェア」
最後は終了時間を過ぎるまで、自由な交流タイム。来場者たちは各々目当てのメンバーの元へと向かい、サインを求めていた