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「ストリートファイターV」、「豪鬼」の性能をチェック!

背中の文字は“天”から“神人”へ! 拳を極めし者の強さや如何に!?

12月21日 解放

価格:10万ファイトマネー/600円(税込)

 3カ月前のユリアン参戦により追加キャラクターがすべて出そろった感のあった「ストリートファイターV」。しかし、今月の4日、早くも追加キャラクター第2陣が発表された。第2陣の最初の参戦者となるのは、拳を極めし者・豪鬼。

 豪鬼は、第1陣の追加キャラクターたちと同じく、ショップでファイトマネーを消費するか直接購入すれば使えるようになる。価格は10万ファイトマネー、または600円(税込)。そのほか、豪鬼を含む新追加キャラクター6人がまとめて使用可能になる「ストリートファイターV 2017キャラクターパス」も発売されている。価格は3,000円(税込)。

 今回は、豪鬼が初登場した時代から対戦格闘に明け暮れていた筆者が「ストV」の豪鬼をプレイ。一部の作品ではまさにAKUMA的な強さを誇った豪鬼が、本作ではいったいどう変わったのか。そのファーストインプレッションを、過去作の豪鬼の情報を交えつつレポートしていきたい。

プレーヤーを驚愕させた鮮烈なるデビュー

赤い髪に黒い胴着といういでたちは変わっていないものの、髪(とヒゲ?)が伸びてより人間離れした姿になった。ちなみに、過去の豪鬼イラストは獣をイメージして描かれたとのこと

 豪鬼は、1994年3月にリリースされた「スーパーストリートファイターIIX」で初登場。隠しボスでありながらオープニングデモで存在が示唆されるなど、「スパIIX」の発売前から話題となった。しかし、何よりプレーヤーの度肝を抜いたのはその登場シーン。これまでの「ストII」シリーズで最終ボスとして君臨していたベガを一瞬でKOしてプレーヤーに挑む姿は、まさに“拳を極めし者”と呼ぶにふさわしいツワモノだった。

 衝撃的だったのは登場シーンだけではない。ジャンプ中に2発の弾を同時に撃ち出す空中波動拳(斬空波動拳)、1発で最大3ヒットするファイヤー波動拳(灼熱波動拳)、残影を残しつつ無敵のまま移動するテレポート(阿修羅閃空)、竜巻旋風脚(竜巻斬空脚)からの昇龍拳(豪昇龍拳)につなげる空中コンボなど、豪鬼の技は当時のプレーヤーにとって想像の埒外だった。さらに、しゃがみ弱K→投げのような連係を仕掛けてきたりと(当時、攻撃を当ててから投げを仕掛ける行為は“ハメ”と呼ばれ、一般プレーヤーにはタブーとされていた)、その驚きは20余年を経た今でも色あせることがない。

 初登場時はリュウ・ケンのパワーアップ版といった性能だったが、作品を重ねていくうちに徐々に戦闘スタイルが変化。百鬼襲や瞬獄殺といった強力な奇襲技が追加され、多彩な攻め手をくり出すことが可能になった。その一方で「ストリートファイターZERO」以降の作品では体力と気絶値が大幅ダウンし、1回のミスや事故で致命的な大ダメージを受けてしまうように。以来、高性能な攻撃手段を豊富に持つ反面、耐久力が低いという、今日の豪鬼のコンセプトが確立された。

必殺技はほぼ据え置きながらも性能は大きく変化した

しゃがみ中P→立ち中Kが豪鬼の基本連係。ヒット時は竜巻残空脚やVスキルにつなげたい。立ち中Kがナチュラルに暴れ・投げ抜け潰しになっているのもポイント
昇龍拳などのスキには、立ち強K(クラッシュカウンター)→しゃがみ強P→立ち中K→弱・竜巻残空脚→強・豪昇龍拳がお手軽で、ダメージもそこそこ高い

 では、「ストV」での豪鬼はどうか。シリーズごとに性能差の激しい豪鬼だが、本作ではこれまで以上に大きな変更が加えられている。基本技しかり、特殊技しかり、必殺技しかりだ。各カテゴリーごとに、特徴的な技を見ていきたい。

・基本技

 まず基本技だが、これまでと同じ感覚で使える技は少ない。なかでも立ち強Kとしゃがみ強Pは大きく変わり、立ち強Kは単発の回し蹴りに。「ストリートファイターIV」における遠距離立ち強Kの2ヒット目は、特殊技として強Kの追加入力で出すようになった。ヒット時の大幅有利は変わらないが、前進距離の低下・ヒットバックの増加・(その他の基本技の)リーチの短縮などにより、ほぼ密着状態で当てなければ連続技には持ち込めない。

 しゃがみ強Pは、ナッシュのものと酷似。モーション自体もさることながら、遠距離対空として機能する点やヒットorガードを問わず豪鬼が先に動ける点もよく似ている。クラッシュカウンター対応技だが、確定状況ではダメージ効率に優れた立ち強Kスタートの連続技を使ったほうがいいだろう。

・特殊技

 これまでの豪鬼には特殊技が少ない印象があったが、本作ではターゲットコンボも含めて計6つ。まったくの新技としては、天破(←+強P)、赤星拳(→+強P)、金剛拳(強P・強P)が加わった。天破は掌底をほぼ真上に突き上げる2段技で、1・2段目ともにキャンセル可能。2段目のヒット効果は吹き飛びダウンで、豪昇龍拳や百鬼豪衝などで追撃できる。

 赤星拳は、小さく跳ねて手刀を振り下ろす。「スパIV」に登場した狂オシキ鬼の必殺技・赤星地雷拳のような攻撃だ。見た目に反してしゃがみガード可能だが、スキが小さくヒット時は弱攻撃(重ねやカウンター時は中攻撃)につなげられる。

 金剛拳は立ち強Pから派生する特殊攻撃で、モーションは実兄・剛拳が使う金剛身の攻撃部分と同じ。ガードされると大きなスキが生じるうえ、キャンセルも効かない(瞬獄殺でもキャンセルできない)。移動距離が大きいので、乱戦に持ち込みたいときなどにVトリガーキャンセルを前提にした強引な接近手段として用いるのが吉か?

・必殺技&クリティカルアーツ

 必殺技で大きく変化したのは飛び道具関係。豪波動拳は、春麗の気功拳のように弱→中→強の順に射程距離が短くなり、弱でも画面の端から端までは届かない。残空波動拳は着地後のスキが増大。撃った高度によっては、相手にヒットさせていても反撃を受けてしまう。灼熱波動拳は「赤鴉豪焦破」という名に変わったが、こちらは今までどおりの使い方でOKだ。なお、斬空波動拳や空中竜巻斬空脚は前方ジャンプからしか出せなくなったが、これは本作が持つ基本システムなので(本作に垂直・後方ジャンプから特殊技や必殺技を出せるキャラクターはいぶきのみ)、特異とするには当たらないだろう。

 阿修羅閃空も、ほかの作品とは大きく異なる。これまではコマンド完成の瞬間から完全無敵だったが、本作では投げられ判定が残るようになった。相手の必殺技をすり抜けるなど、大幅に弱体化しながらも画面端以外ではまだまだ使えるところは、もともとの性能がどれだけ異常だったかを物語っていると言える。

 最後にクリティカルアーツ。豪鬼のトレードマークだった瞬獄殺はVトリガー発動中専用技になり(後述)、通常のクリティカルアーツは赤鴉空裂破に変化した。これは「スパIV」の豪鬼のエンディングで初登場した技で、豪鬼のやや前方に上昇する気の柱を出現させる。空中コンボ能力があり、各種必殺技からもつなげられるため、使い勝手はいい。

スキが増えたとはいえ、残空波動拳はまだまだ強力。ゲージを消費するEX無敵技とザンギエフのダブルラリアットをのぞけば、一方的に負けることはまずない
飛んでいるあいだは無防備だが、出てしまえば判定の強い百鬼豪衝。ガードされても豪鬼のほうが先に動けるようになるため、そのまま攻めを継続できる

一部の必殺技が大幅パワーアップするVトリガーに注目!

羅漢豪脚を当てたあとは百鬼豪衝が安定。弱・竜巻残空脚(空振り)→強・豪昇龍拳にすれば与えるダメージは大きくなるが、位置が入れ替わるので入力がやや難しい
豪鬼のVトリガーは、すべての技をキャンセルして発動できる。連続技中に発動してコンボを伸ばすか、バクチ豪昇龍拳の保険として使うのがオススメだ

 「ストV」独自のシステムであるVスキルとVトリガーに目を向けてみたい。Vスキルの当て身技「羅漢」は、公式の説明に“相手の攻撃を受け流す”とあったため、配信前は「エックス・メン チルドレン オブ ジ アトム」の昇龍煉獄のような自動反撃の技をイメージしていたのだが、実際に使ってみるとまったく別物。やや乱暴な表現になるが、「リュウの心眼に追加攻撃の要素がプラスされたもの」とでも言えば、おわかりいただけるだろうか。

 その追加攻撃は、P(羅漢豪掌)とK(羅漢豪脚)の2種類あり、羅漢豪掌はガードされるとスキが大きく、使いどころが難しい。羅漢自体の当て身判定を活かして、1アクションで出せる対空として使うくらいか? もちろん、空ジャンプには弱いので、多用はできない。

 羅漢豪脚は立ち状態の相手にしか当たらないものの、キャンセル可能。ヒット時は相手が食らい判定を持ったまま吹き飛ぶので、百鬼豪衝か竜巻残空脚(空振り)→豪昇龍拳で追撃できる。こちらも相手との距離しだいで、対空として機能する。

 そして最注目はVトリガーの怒髪衝天。豪鬼の真の力を解放するVトリガーで、発動後は豪波動拳、豪昇龍拳、残空波動拳が強化される。豪波動拳は射出までの時間(=発生)が早くなり、弱攻撃からもつながるように。さらに射程距離の延長、空中コンボ能力の付加などの特典を得られる。

 豪昇龍拳は無敵時間が増加。ヒット時には最後に相手を叩きつける動作が加わり、受け身を取られなくなる。安定した起き攻めを仕掛けられるのが利点だが、残念ながらめくり攻撃は間に合わない。前方ダッシュから攻めるのがセオリーだ。

 残空波動拳は同時に2発の弾を撃ち出すようになり、垂直or後方ジャンプ中も使用可能に。着地のスキもほとんどなくなるため、飛び道具を盾に強力な攻めを展開できる。唯一の天敵は、ザンギエフのダブルラリアットくらいか。

 最後に、1番の特徴である瞬獄殺。基本的な性能は過去作のものと同じだが、豪昇龍拳や赤鴉豪焦破、百鬼豪斬などをスーパーキャンセルして出せるようになった。ただし、特殊技の赤星拳と金剛拳だけはキャンセルできない。

Vトリガー発動中は残空波動拳が2発に。着地後のスキも少なくなる(ゼロになる?)ため、弾を盾にして中段攻撃の頭蓋破殺やすかし下段をキメやすい
一瞬で数十発ものの攻撃を叩き込む瞬獄殺は、暗転を見てからの回避は不可。ちなみに、瞬獄殺の攻撃シーンが見えるのは1997年の「ポケットファイター」以来だ(笑)

【総評】さまざまな手段を使った攻めが楽しい攻撃特化型のキャラクター

 大きく変わった豪鬼だが、個人的にはその本質は変化していないように感じた。「ストZERO」シリーズや「CAPCOM VS. SNK 2 MILLIONAIRE FIGHTING 2001」で豪鬼を使っていた者からすると、豪鬼のおもしろさは攻め手の多彩さ・豊富さにあると思う。赤鴉豪焦破を交えた飛び道具の撃ち合いもそう、天魔空刃脚&残空波動拳による空中からの攻めもそう、百鬼襲を使った奇襲やラッシュもそうだ。本作の豪鬼も、豪鬼が本来持っている「攻めの楽しさ」をそのまま継承……というより、むしろブラッシュアップしたような印象を受けた。

 むろん、弱体化している部分はある。筆者がもっとも気になったのは中足(しゃがみ中K)の短さ。地上戦での差し合いでは要の1つとして活躍していただけに、この変更はかなり大きい。リーチの長い技を持つ相手に、近づきにくくなってしまった。立ち強Kがしゃがみ状態の相手に当たらなくなったのも痛い。そして髪型は……前作のほうがカッコよかった。

 しかし、それらの変更によって新たに生まれた武器もある。パッと思いつくのは、立ち強K(空振り)→瞬獄殺。立ち強Kがしゃがみ状態の相手に当たらなくなったからこそ可能になった連係だ。そのほか、百奇襲は過去作のなかでも最高の使いやすさのように感じたが、本職の豪鬼使いの方々はいかがだろうか?

 空中から放てる残空波動拳に、ジャンプ中に軌道を変える天魔空刃脚、無敵時間が短くなったとはいえ、まだまだ強い豪昇龍拳。使い方しだいで超強力な武器になるであろう技は、十二分にそろっている。VスキルやVトリガーを使った連係・連続技も、今後の研究しだいでどんどん伸びていくことだろう。何よりも動かすのがとにかく楽しい。これまで豪鬼を使っていた人にも使ったことのない人にも、本作の攻撃に特化した豪鬼が持つ「攻めの楽しさ」を味わってほしい。メインキャラを何にしようかと1年近く悩んできた筆者だが、豪鬼に決めようかと考えている今日この頃だ。