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「ストリートファイターV」、最後の新ファイター「ユリアン」の性能をチェック!
かつての技は今も健在! 「ストIII」シリーズと似た感覚で戦える新生ユリアン
2016年10月4日 00:00
7月27日のジュリ配信からおよそ2カ月、多くのプレーヤーがオンライン対戦でしのぎを削る「ストリートファイターV」に、6人目となる戦士が配信された。発売前から予定されていた6キャラクターのうち、最後の1人となる「ユリアン」。これまでに追加された5人と同様に、ショップでファイトマネーを消費するか、直接ショップで購入すれば使用できる。価格は10万ファイトマネーか、600円(税込)。
プレイしてみたところ、以前のシリーズから大きな変化があったジュリとは対照的に、過去登場作と比べてもそれほど違和感なく動かせた。「ストV」仕様に調整されながらも、確かに息づく「ストリートファイターIII」シリーズのスピリッツ。誤解を恐れずに言えば、最初に配信されたアレックスに近い仕上がりと言えよう。今回は「ストIII」シリーズから変わったところと変わっていないところをピックアップしつつ、新生ユリアンのプレイレポートをお届けしたい。
ギルと酷似した技を持つ、秘密結社の副総統
いかつい外見とテクニカルな戦い方で一部の層に絶大な人気を誇るユリアンだが、元はと言えば「ストIII」の最終ボスであるギルの実弟である。初代「ストIII」には登場せず、「ストIII 2nd IMPACT」で初めて登場。グラフィックスはギルのものを流用しており、いわゆる“コンパチキャラ”だった。
使用する技も、スーパーアーツをのぞいてギルに酷似している。ただし、プレイアブルキャラクターゆえに性能自体はギルには及ばない。さらにメタリックスフィア(飛び道具)以外は制限なしで出せるコマンド技ではなく、特定の方向への溜めが必要な溜め技になっていた。
キャラクター的には、長い手足を活かして相手を寄せつけずに戦うタイプ。さらに、ダッシュの全体動作が短く、スキが小さい突進技のチャリオットタックルと、相手に接近しつつ頭突きをくり出すデンジャラスヘッドバットを持つため、近~中距離からの奇襲も強力だった。そして何より特筆すべきは、スーパーアーツ3のエイジスリフレクターを使った連係。とくに相手を画面端に追い詰めてからエイジスリフレクターを盾にした攻めは、見る者をして「インチキすぎるだろ!!」という感想を抱かせずにはいられないインパクトがあった。
基本技・必殺技はほぼ変化なし! 「ストIII」時代と同じ感覚でプレイできる!!
では「ストV」でのユリアンを見ていきたい。「ストV」のユリアンは、基本技と必殺技に大きな変化は見られない。むろん、全体のフレームや攻撃判定の位置などに多少のちがいはあるが、いわゆる“ユリアンらしさ”は損なわれていないように感じた。たとえばリーチの長い立ち中Kは、本作でも牽制の主力。しゃがみ強Pの2ヒット目は、相手を追撃可能な吹き飛び状態にする。立ち中Pは長さと速さを兼ね備えており、立ち強Pは空中の相手にヒットすれば叩きつけダウン。……などなど、往年の「ストIII」プレーヤーにとっては、懐かしさ満載のキャラクターに仕上がっている。
いずれの技もわずかに威力が弱まっているが、それは相対的なもの。ブロッキングシステムを搭載した「ストIII」は、もともととがった技が多かった。そのため「ストIII」と比べると、どうしても見劣りしてしまうのはやむなしといったところか。
大きな違いとして、しゃがみ中Kがキャンセル不可能になっている点があげられる。「ストIII」では立ち回りにおける主力の1つだっただけに、これには不満を抱くユリアン使いも多そうだ。筆者自身も慣れるまでは、相手が攻撃を空振りしたスキにしゃがみ中K→チャリオットタックルを決めようとして、しゃがみ中K単発で終わってしまうことがよくあった。
必殺技も若干の性能差はあるものの、「ストIII」と同じものがそろっている。ただし、チャリオットタックルはスキが増加しており、反撃を受けやすくなった。連続技以外で出すときは「ストIII」以上に相手との間合いに気をつける必要があるだろう。
一方、メタリックスフィアとバイオレンスニードロップは、わずかながらパワーアップしている。前者はボタンを押しっぱなしにして溜めて撃つと2ヒット弾に変化。単発の飛び道具であれば、打ち消しながら進んでいく。後者はガード時に跳ね返らず、そのまま着地するようになった。高い打点で当てると反撃が確定する半面、低い打点で当てれば相手より先に動ける。そのまま攻めを継続するか、投げを仕掛けるか、はたまた無敵時間のあるEXデンジャラスヘッドバットで暴れ・投げ抜けを潰すのか、相手の動向をにらんで決めていきたい。
これぞユリアン!! な「エイジスリフレクター」のマニアック連係
ユリアンのVスキルはメタリックオーラ。使用するとユリアンが肌が黒褐色に変化し、メタリックスフィア以外の必殺技にアーマー効果(相手の攻撃を1発まで耐える能力)が付加される。これは「ストIII」にはなかった要素だ。
能動的に Vゲージを溜められるのはうれしいが、いかんせん、動作時間が長い。筆者は、遠距離でメタリックスフィアを撃って相手の動きを制限したあとに使っていたが、それでは使いどころが限られてしまう。
そして、Vトリガーはユリアンの代名詞とも言うべき光の壁・エイジスリフレクター! 「ストIII」では、この技のせいで多くの他キャラ使いがユリアンの楽しさ・おもしろさに惹かれてキャラ変した(笑)。それほど可能性を秘めたスーパーアーツだったと言えよう。
本作ではVトリガー発動時に光の壁を発生させるほか、Vゲージのタイマーが切れるまでのあいだは強P+強Kで2枚目の壁を設置可能。壁は、強P+強Kで4キャラ分ほど前方に、←+強P+強Kでユリアンの目の前に、↓+強P+強Kで目の前かつ上方に現われる。画面中央ではユリアンと壁で相手をはさみ込める強P+強K版を、画面端では中P攻撃が届くか届かない程度の位置から←+強P+強K版を使うのが基本。相手の動きを制限したりガードを崩したり、あるいは連続技のつなぎに利用したりと、今後の研究しだいでまだまだ伸びそうなVトリガーだ。
【総評】確かに感じるユリアンらしさ! かつての戦法もしっかり継承!
プレイした印象としては、とにかく「ユリアンらしい」と感じることが多かった。ガイルやバイソン、ジュリが完全な新キャラクターと呼べるほど大きな変更が施されたのにくらべ、ユリアンはかつての「ストIII」ような戦い方が可能。長い手足で相手を突き放す牽制しかり、しゃがみ強Pで相手を浮かせてからの空中連続技しかり、エイジスリフレクターによる超強力な連係しかりだ。個人的には、15年以上ものあいだ現役で活躍している「ストIII」シリーズに対するリスペクトのようなものを感じられた。
むろん、ガチの「ストIII」プレーヤーのなかには“こんなのユリアンじゃない!”と思う方がいるかもしれない。筆者としても、ジャンプ中Pが横方向ではなく上方向を攻撃するようになった点(空対空性能の低下)と、チャリオットタックル→エイジスリフレクターができなくなった点(クリティカルアーツではないため、スーパーキャンセルができない)は残念だ。しかし、後者に関してはEX版なら1段目・2段目ともにキャンセル可能という救済措置がある。「チャリオットタックルで接近→エイジスリフレクター発動でスキをフォロー→壁を盾に、ガード困難な連携を仕掛けて一気に体力を奪う」という戦法も健在だ。
総評としては「ストIII」シリーズのユリアンと言われても違和感のないキャラクターに仕上がっていると思う。非常にテクニカルなキャラクターなので、自在に使いこなせるようになるのには時間がかかってしまうが、「ストIII」シリーズのユリアンにくらべれば敷居は低い。かつてのユリアン使いが本作で復帰するも良し、使ってはいなかったものの“エイジス連係おもしろそうだなー”と眺めていたプレーヤーが新規参入するも良し。やり込み甲斐はどんなキャラクターにも負けないので、本作の新生ユリアンを使ってぜひとも新たな戦場を戦ってほしい。
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