ニュース

「ストリートファイターV」、「ジュリ」の性能をチェック!

必殺技が一新され「ウルIV」とは異なる戦い方が要求される!

7月27日 解放

価格:
7,990円(税別、パッケージ通常版)
7,398円(税別、ダウンロード版)
8,990円(税別、HOT!パッケージ)

 7月1日に「いぶき」と「バイソン」が解放されたばかりの「ストリートファイターV」だが、8月を待たずして早くも次なる戦士の登場と相なった。アレックスから数えると5人目の追加キャラクターとなる「ハン・ジュリ」。ほかの追加キャラクターと同じく、ショップでファイトマネーを消費するか、直接ショップで購入すると使えるようになる。価格は10万ファイトマネーか、600円(税込)。

 今回のジュリは「ウルトラストリートファイターIV」と比べると、別人と言ってもいいほどの大きな変化を遂げている。どのようなキャラクターに仕上がっているのかを、「ウルIV」との比較を交えながらレビューしていこう。

クセの強い技を使いこなして戦うテクニカル・ファイター

「ウルIV」のときの衣装とは異なり、今回は身体のラインがわかるライダースーツのような服で戦う。露出度は減ったものの、セクシーさはむしろアップしたと言えよう! アレンジコスチューム「戦闘服1」の髪を下した姿もなかなか可愛い

 ジュリは「ストリートファイターIV」シリーズのキャラクターだが、初代「ストIV」には登場せず、アッパーバージョンの「スパIV」ではじめて姿を見せる。その後は、PS3やXbox 360などでリリースされた対戦格闘「ストリートファイター X 鉄拳」にも参戦している。

 韓国人のキャラクターだけあって、使用するのは韓国の国技テコンドー。足技がメインの格闘技ゆえに、強P攻撃はすべて蹴り技になっているほか、特殊技や必殺技、スーパーコンボにも足を駆使した攻撃が多い。モーションが特殊で全体的にクセが強く、使いこなすには慣れが必要だ。

 戦闘スタイルは、スキの少ない飛び道具の風破刃で牽制しつつ、ときおりスキを狙って奇襲を仕掛けていくタイプ。対空技は空対空も含めて優秀なものがそろっており、使い分けがやや難しいものの、間合い管理と意識配分さえできていれば、通常の飛び込みはほとんど迎撃できる。ただし、信頼できる無敵技に乏しいため、攻め込まれると途端に苦しい展開に追い込まれてしまうのが欠点。相手の攻めをしのぐセンスと、連係のスキにベストな切り返し技を差し込むテクニックを要求されるキャラクターだった。

必殺技は総入れ替え! 変化の大きさは追加キャラクターのなかでもNo.1!

 ジュリは、本作の追加キャラクターのなかでも過去作から非常に大きな変更が施された1人。まず基本技だが、遠距離・近距離の区別がない本作では遠近のどちらか一方の技が削られ、すべて1種類に統一されている。これはほかのキャラクターでも同じだが、ジュリは遠近の差が大きかったため、技数が少なくなった印象を受けないでもない。とはいえ、高威力コンボの要だった近距離立ち強Kは特殊技に逃がすなどされており、重要な技はほぼ残っている。

 逆に必殺技は、残っているものが1つとしてない。空中から急降下する疾空閃は完全に削除され、おもにコンボの締めとして使っていた穿風車は天穿輪へ、当て身系の必殺技だった化殺視はVスキルの化殺襲へ、それぞれ変化している。また、前作にはなかった必殺技・両断殺が新たに追加された。

 そして、なかんずくは風破刃の代わりとして追加された風刃連脚だ。1回目のコマンド入力で足を振り上げる動作を行ない、2回目のコマンド入力で攻撃をくり出す。攻撃モーションは弱~強で大きく異なっていて、弱は「ウルIV」の弱・風破刃と同じような弾を発射し、中は小さく跳ねて足を振り下ろし、強は2ヒットする連続蹴りを放つ。

 また、風刃連脚の各攻撃は別の強さの風刃連脚でキャンセル可能。たとえば、弱の弾発射→強の連続蹴り→中の振り下ろしといった連続技も成立する。中や強の攻撃はガードされると反撃を受けやすいので、弱の弾発射でスキを軽減するのも有効だ。ただし、足を振り上げる動作(1回目のコマンド入力)ではキャンセルできない点に注意。

ジャンプ中Pを当てたあとは、強Kで追撃できる。新たに追加された空中投げと並んで重要となる空対空だ。ちなみにターゲットコンボで出した強Kは、ジャンプ攻撃ながらしゃがみガードされてしまう
天穿輪は弱~強で用途が異なる。弱は発生と突進力に優れ、弱攻撃からでも連続ヒットするのが強み。中は部分無敵があり、早めに出せば対空技として機能する(引きつけ過ぎると一方的に潰されるので注意!)
新必殺技の両断殺は、連続技の〆に最適。飛び道具を超えつつ攻撃できるので奇襲としても有効だが、ガードされるとスキが大きい。確定状況以外では、Vトリガーでキャンセルするなどのフォローが必要だ
同キャラ戦では、開幕バックダッシュ風刃連脚×3までは予定調和(笑)。コマンド入力を終えると、Vゲージの横にアイコンが表示される(=アイコンがあるときは風刃連脚の派生攻撃を行なえる)

相手をかく乱するVスキルとコンボが可能になるVトリガー

 Vスキルは上でも述べたように、「ウルIV」の化殺視のマイナーチェンジ版とも言える化殺襲。姿勢を低くしてから前方へ突進し、後方へ向かって蹴りをくり出す。突進中は相手をすり抜けるため、キャミィのVスキルであるアクセルスピンナックルのような使い方(めくり)もできるが、ガードされると反撃を受けやすい。多用はせず、あくまで奇襲として仕掛ける程度にとどめよう。

 なお、ボタンを押しっぱなしにすると、姿勢を低くしたままの状態で待機することが可能。待機中は前方ダッシュや後方ダッシュでキャンセルできるほか、最大までためると突進にも攻撃判定が付加される。さらに、突進時に中P+中Kを同時押しすれば急停止もできるので、これらのフェイントをまじえて相手に的を絞らせないよう使っていく感じだろうか。

 Vトリガーは「ウルIV」でウルトラコンボだった風水エンジン。ゲージが尽きるまでのあいだ、弱→中→強の流れでコンボが可能になる。ただし、基本技をキャンセルして特殊技を出すことはできず、しゃがみガード不可の→+中Kからのコンボや多段ヒットする近距離立ち強K(本作では←+強K)がらみの連続技もできなくなった。中段からの大ダメージがなくなったのはうなづけるが、それなら春麗やネカリの中段大ダメージ連続技もなんとかしていただきたいものである。

 その一方で、「ウルIV」にはなかったメリットもある。風刃連脚は、1回目のコマンド入力なしで攻撃部分を出せるように変化。とくに弱の弾発射は2ヒット技になって飛距離が約1.5倍に伸び、ヒット効果もダウンになる。もちろん、攻撃モーションを別の強さの風刃連脚でキャンセルできる仕様はそのままなので、コンボと相まって強烈なラッシュをかけられるようになる。ただし、コンボや風刃連脚を使うたびにVゲージが減少するため、ラッシュを持続できる時間は短い。

化殺襲を出すさい、ボタンをすぐに離すと突進動作へ移行するが、押しっぱなしにした場合は構えたままの状態を維持できる。このあいだは前方ダッシュや後方ダッシュでキャンセルすることが可能だ
しゃがみ中K→(キャンセル)化殺襲は比較的ヒットさせやすい。ただし、あくまでも奇襲なので、しっかり反撃できる相手にはダッシュキャンセルや急停止をまじえて的を絞らせないように使っていきたい
風水エンジンは、(現時点では)コンボを伸ばすために使うのがベストか? ダッシュしゃがみ中K→強・風刃連脚の1ヒット目をキャンセルして発動して発動すれば、下段攻撃からかなりのダメージを見込める
風水エンジンのコンボで出した基本技は、ヒット効果が吹き飛びダウンになったり、必殺技でキャンセルできなくなったり(風刃連脚でならキャンセル可能)といったペナルティが付与されるのが欠点

【総評】テクニカルさに磨きがかかり、やり込み甲斐も大幅アップ!

 もともとテクニカルな部分のあるキャラクターだったが、本作ではその傾向がさらに強くなった。その理由は言わずもがな、風刃連脚システムの導入。飛び道具が大幅に弱体化したため、安易な待ち戦法が使えなくなったのも大きい(もっとも「ウルIV」では飛び道具に対抗する手段が豊富だったため、一概には比較できないが)。

 必殺技自体は「ウルIV」よりも少なくなったが、戦略の幅がせまくなったようには感じない。むしろVスキルの化殺襲が追加され、やれることが増えたという印象を受けた。ガードされると反撃を受けるとはいえ、一部の基本技をキャンセルして仕掛けたり、動作自体をダッシュや中P+中Kの同時押しでキャンセルすれば、相手をかく乱する手段として十分に利用できそうだ。

 ジャンプ中P→強Kのターゲットコンボと空中投げ、上半身無敵と思われる中・天穿輪のおかげで対空も万全。EX天穿輪は無敵時間が長く、「ウルIV」時代には苦労した接近戦でのラッシュも容易に切り返せる。読まれてガードされると大ダメージを受けてしまうが、防御面が前作より強固になったのは間違いない。

 一方で、強力な突進技を持つキャラクターは、やや苦手だと思われる。自分の間合いに強引に入ってこられるうえ、パワー型のファイターが多いので、体力レースでも負けやすいからだ。また、疾空閃と風破刃の削除により飛び道具は前作よりもキツく感じた。

 総合的に見ると、前作から戦略の幅がさらに増し、よりやり込み甲斐のあるキャラクターになったのではないだろうか。対空技にせよ、連係への割り込みにせよ、最低限のものはそろっている。それらをどう使うか、どう活かすかが問われるキャラクターと言えそうだ。個人的には、登場時や勝利時の顔がもう少し可愛ければ言うことなしだったのだが、今のままでも十分に魅力的なキャラクターだと思う。ジュリの顔が好きな人も身体が好きな人もライダースーツが好きな人も、もちろんテクニカルなキャラクターが好きな人も、ぜひ「ストV」で生まれ変わったジュリを堪能していただきたい次第だ。