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古参格闘ゲーマー&ゲーミングPC初心者が「ストV」推奨PCを体験

さらにスペックが上がった「かずのこモデル」の実力に触れてみた

筆者紹介:泊 裕一郎

 対戦格闘ゲーム「スーパーストリートファイターII X」初の全国大会優勝者にして、当時のダルシム使いたちが集結した伝説(?)の対戦集団「ヨガ・ストライク・バッカーズ」総帥という黒歴史まがいの経歴を持つ、ゆるふわ格ゲーマー。「優勝さえしなければゲームライターにはならなかったはず」とは本人の弁。人生、何が影響してくるかわからないから怖いものです。

 マウスコンピューターより発売された、国内初の「ストリートファイターV(以下、ストV)」推奨PCシリーズ。その名のとおり、これまで同社より発売されていたゲーミングPCのなかでも「ストV」に特化したモデルとなっていて、スムーズに「ストV」をプレイできることが大きな特徴となっている。

 ちなみに、筆者はゲームライターでありながら、ゲーミングPCとは縁のない生活を送ってきており、「ストV」に関してもプレイステーション 4(以下、PS4)だけで楽しんでいた。いわば30年前の感覚のままであり、「安定してアクションゲームを遊ぶなら断然コンソール機でしょう!」というそれはとても古い先入観も手伝って、PCでアクションゲームをプレイするなどと考えるようなこともなかった、というのが正直なところだ。

 「ストV」についてもこれまではPS4版でプレイしていたが、今回「『ストV』推奨PCを使ってプレイできる」という機会を得ることができたので、ゲーミングPC初心者の筆者が「ストV」推奨PCを使用してみたところの実感をレポートしていきたい。

 今回使用することができたのは、「Capcom Cup 2015」覇者であるかずのこ選手の使用モデル「かずのこモデル」であるマウスコンピューターの「LITTLEGEAR i310SA3-KZ」。「かずのこモデル」についてはPC版「ストV」と共に登場してからしばらく経っているが、実際のところはモデルチェンジをしており、最新モデルでは7月19日に発売解禁となったGPU「GeForce GTX 10シリーズ」の登場にあわせて、搭載GPUが当初の「GeForce GTX 970」から「GeForce GTX 1060」へと変わっている。

 また「ストV」にはこの9月23日のアップデートで新ファイター「ユリアン」が追加され、予告されていた追加ファイターすべてが出揃ったことになる。ファイターが揃い、これから格闘ゲームe-Sportsの中心となっていくであろう「ストV」を本格的に始めるにはいい機会であるので、PC版「ストV」の始め方を改めて知る意味でも、当初よりもスペックが向上した「i310SA3-KZ」の性能を知る意味でも、本稿をご覧いただければ幸いだ。

LITTLEGEAR シリーズ「LITTLEGEAR i310SA3-KZ」

OS : Windows 10 Home 64ビット
CPU : インテルCore i7-6700 プロセッサー(4コア/3.40GHz/TB時最大4.00GHz/8MB スマートキャッシュ/HT対応)
グラフィックス : GeForce GTX 1060
メモリ : 16GB PC3-12800 DDR3L (8GB×2/デュアルチャネル)
SSD : 240GB Serial ATAIII
チップセット : インテル H110 Express
電源 : 500W 【80PLUS SILVER】

まずは準備から!

準備その1:まずはSteamクライアントをインストールして「ストV」を購入

「Steam」のホームページ。まずはここからクライアントをダウンロードしよう。ページ右上にある緑のボタンを押せばOKだ
各種登録が済んだらいよいよ「ストV」を購入! 「カートに入れる」ボタンをクリックして購入画面へと進もう

 PC版「ストV」はダウンロード版のみの販売となっており、PCソフトのプラットフォームである「Steam」を通じて購入しなければならない。筆者はSteamのことをあまりよく知らず、さらにはPC版「ストV」の購入方法がSteamのみということにも気づかなかったため、長らくインターネット上をさまよいつづけるハメになってしまった。しかし、カプコン「ストV」公式サイトをよく見ると、サイトの右上にちゃんと「STEAM BUY」というボタンが用意されている。ここからSteamに行けば、購入することができるというわけだ。

 なお、Steam上には大量のゲームが用意されているため、すぐに「ストV」を見つけることは難しいかもしれない。そんなときは、検索で「ストV」と入力すれば発見できる。あとは「ストV」をカートに入れ、カートページヘと飛び、購入ボタンを押せばいい。支払い設定をきちんと終えれば購入は問題なく完了。この一連の手順を済ますことで、Steamクライアント上の「ライブラリ」からゲームをダウンロードすることが可能となる。

準備その2:コントローラーを準備する

 せっかく「ストV」を推奨PCで楽しむのだから、コントローラーにも相応のものを用意したいところ。ここでは、「ストV」をストレスなく楽しむことができる代表的なコントローラーをいくつか紹介していきたい。

・リアルアーケードPro.V HAYABUSA(HORI/15,984円[税込])

アーケードコントローラーには定評のあるHORI製のアーケードスティック。PCだけでなく、PS4、PS3でも使用できるため、手持ちのハードにあわせてより有効に活用できる。

 本製品はボタンユニット“HAYABUSA”を搭載しており、同社従来品よりもボタンのストロークを0.3mm短縮。また、ジョイスティック部分もスティックレバーユニット“HAYABUSA”を採用していて、なめらかな入力が可能となっている。同シリーズに比べて、総合的に素早い入力が行ないやすくなっているという印象だ。

・STREET FIGHTER V Arcade FightStick Tournament Edition 2+(Mad Catz/29,970円[税込])

 Mad Catz製の本製品は、アーケード筐体でおなじみのVEWLIXに準拠したボタン配列と、三和電子製のスティックとボタン採用により、ゲームセンターで遊ぶのと同様のプレイ感覚を再現しているのが特徴。メンテナンス性に優れ、ボタンひとつでパネル部分の開閉が可能となっており、部品交換やカスタマイズがかなりラクに行なえる。

 また、本製品は何と言ってもプロゲーマーのウメハラ選手、ときど選手、マゴ選手使用モデルであり、彼らの要望も盛り込まれたモデルとなっている点にも注目。なお、PC版「ストV」に対応させるためには、公式サイトよりドライバをダウンロードし導入しておくことが必要だ。

【現行モデル以前でも、「XInput」対応コントローラーなら使用可能】

 なお上記現行モデルを持っていない場合でも、「ストV」ではMicrosoftのコントローラーAPI「XInput」が対応しているので、「XInput」対応コントローラーを用意すればPS4版では使用できないコントローラーでも使用できることとなる。つまりXbox 360、Xbox One用のコントローラーを含めて、いろいろな製品を試せるのがPC版のメリットの1つと言える。

【XInput対応コントローラー一例】

 なお、XInputに対応していないDirectInputコントローラーの場合は、ただPCに認識させるだけではゲーム内で使用できない。これについては「Xbox 360 Controller Emulator」というツールの導入や、「JoyToKey」というソフトを介してキーボードのキーをレバーや各ボタンに割り当てるという方法で動作が可能だが、いずれも公式にはサポートされていないものになるので、実施に使用する際は注意していただきたい。

 ちなみにこれらの方法を試した場合、ごくわずかに遅延が発生する場合があると言われている。ただし、筆者が「JoyToKey」を介して「リアルアーケード Pro.V4 隼」および「リアルアーケードPro.V3 SA」を使用してみたところ、遅延まわりの部分はとくに気にせずプレイできた。筆者の感覚が鈍っている可能性も否めないが、どうしてもという場合にはこれらの手段を頭の片隅に置いておいても良いかもしれない。

それでは「ストリートファイターV」を遊んでみたいと思います!

グラフィックスを比較してみる

 ここからは使用感をお届けしていきたい。起動してみると、PC版「ストV」は、画面構成のすべてがPS4版「ストV」と比較して変わるところはない。本作はクロスプラットフォームであるし、よく考えなくても当たり前の話なのだが、実は筆者としてはここで驚いてしまった。長年古いPCを使っていて妙な先入観に凝り固まっていた筆者には「PCとPS4で同じ画面が出力できる」という事態だけでもとても新鮮で、かなり感動してしまった。

 試しにモニターを並べてPS4版との比較もしてみたが、ボタン表記の部分がハードウェアに合わせて若干異なっている程度で、それ以外はぱっと見、どちらとも見分けがつかなかった。

 ちなみにPC版には、ハードのスペックに合わせてグラフィックスのクオリティを調整できる機能が備わっている。これらは「スケーリング解像度設定」、「アンチエイリアス設定」、「テクスチャー設定」など6種類の項目に分かれていて、細かく調整を行なうことが可能だ。なお、今回はそれらすべてを最高になるような設定で実行している。このことによって、よくよく見るとビジュアルのクオリティもPS4版にくらべて多少向上する。以下に、PS4版とPC版のゲーム画面の比較画像を並べたので、参考にしていただくとわかりやすいだろう。

【PC版にて撮影したステージ画面】
【PS4版にて撮影したステージ画面】
上がPC版にてグラフィックスのレベルを「最高」にして撮影したステージ写真。下のPS4版と比較すると、PC版の方が背景に流れる水の表現が繊細になっていたり、キャラクターにかかる陰影がより自然なものになっていることがわかる
【春麗のアップ(対戦開始画面)】
左がPC版、右がPS4版の春麗のアップ。肌にかかる陰影、服などの装飾、髪の毛の質感などすべてにおいてPC版のほうがきめ細かい

気になるスピードもチェック! SSD搭載モデルの実力はいかに

 つぎに、各ハードのローディングにかかるスピードも計測してみることにした。具体的にどのくらい短いのかについては、調査して以下にまとめてみたので参考にしてほしい。なお、ここで筆者が使用したPCは、もちろん今回使用している「かずのこモデル」となっている。

 こうして結果を見てみると、通信によらないデータローディングの待ち時間に関してはPC版の方が圧倒的に短くなっていることがわかる。これについては、今回使用した「かずのこモデル」に搭載されているSSDによるところが大きい。筆者はこれまでSSDなるものの存在は知っていたものの、実際に使ったことはなかったため、今回の試用ではそのスピードにかなりの衝撃を受けた。

 とくに注目すべき点は、やはりランクマッチに見られる待ち時間の短さだろう。PS4版(今回はDL版を使用)同士ではマッチングが成立してから約50秒かかっているところが、PC版においては平均値が約32.5秒と、だいぶ短い待ち時間でのプレイが可能だった。とくに、ランクマッチを重点的に楽しみたいときには、この1プレイにつき最大約17秒の差というのはなかなかに大きいように感じられる。

 また、相手との通信を必要としないキャラクターストーリーやトレーニングモードといった部分でもその差は出ており、データのローディング時間においてもPC版の方が速いという結果が出た。バトルラウンジについてはロードを省いて連戦できるモードがあるのでついでの計測といったところだが、それでもややPC版の方が速く、結果、すべての面でPC版が優れているという形になった。

 ハード性能を改善しづらいPS4と比較して、推奨スペックに近いほど快適にゲームをリプレイできるPCは、サクサクとゲームを楽しみたい、とりわけランクマッチをたくさんプレイしたいプレーヤーにはピッタリのハード選択ということになる。とくに、SSDを標準で搭載している「かずのこモデル」は、とことん「ストV」を楽しみたいプレーヤーにはメリットが大きい選択と言える。

 余談ではあるが、この「かずのこモデル」はPCの起動時間からしてもかなり速い。具体的には、電源ボタンを押してから使用できるようになるまでの時間に10秒とかからないほどだ。これもまたSSD搭載モデルならではの恩恵といったところなのだろうが、現在筆者が所有している一般向けのPCが起動に3分ほどかかることを考えると、正直言ってこれは欲しくなる速さだ。

 調査が終わったあとも対戦など楽しんでみたが、グラフィックスの崩れや気になるようなラグなども発生せず、まったく問題なく遊ぶことができた。むしろ、できればこのままPS4版には戻らず、ずっとPC版にて遊びつづけたいほどである。ゲーミングPCを本格的に使用すること自体が初めてだったが、「ストV」を通してゲーミングPCの実力を様々な面で知ることができた。

 PS4版でもプレイへの支障はもちろんないが、「かずのこモデル」を使うことで「ストV」プレーヤーとして注目すべき部分が多くあったので、これから「ストV」をプレイする場合は、選択肢の1つとして「かずのこモデル」をオススメしておきたい。