【特別企画】
「パラノマサイト」ファンの「にじさんじ」エクス・アルビオさんが石山ディレクターと対談! “人生最高のゲーム”と称する本作を語る
制作の裏側からVTuberの配信事情まで
2026年5月1日 00:00
- 【パラノマサイト FILE38 伊勢人魚物語】
- 2月19日 発売
- 価格:2,480円
スクウェア・エニックスによるADVシリーズ「パラノマサイト」。2作目となる「パラノマサイト FILE38 伊勢人魚物語」(以下、伊勢人魚物語)は2026年2月に発売され、高く評価される一方、配信者たちによる実況プレイも盛り上がっている。なお、リリース後、初となるセールが実施中で20%オフの1,984円で販売されている。期間はSwitch/iOS/Android版は5月11日までで、Steam版は5月7日まで。
今回はそんな配信者の1人である「にじさんじ」所属VTuberのエクス・アルビオさんと、本シリーズのディレクター・シナリオを担当した石山貴也氏による対談をお送りしたい。
元々石山氏はエクスさんの配信を楽しんで観ていたそうで、スクウェア・エニックス側の強い要望から、今回の対談が実現した。
なおエクスさんは本シリーズの大ファンを公言しており、これまでの2作を熱量たっぷりに配信してきた。「伊勢人魚物語」の実況を終えた際には「とんでもないなこのゲーム」、「間違いなく今までの人生で一番面白かったと思う」という言葉が飛び出したほどだ。
2人の対談は「パラノマサイト」の話から始まり、石山氏が語るゲーム開発の裏側や、エクスさんによるVTuberの配信事情など、さまざまな話題へと広がりを見せた。ぜひ熱い交流の模様を見届けてほしい。
「パラノマサイト」と出会ったきっかけはボイトレの先生? 対談が実現するまでの経緯
――まずは自己紹介からお願いします。
石山氏:どうも。スクウェア・エニックスで「パラノマサイト」というゲームのディレクターとシナリオを担当しております、石山と申します。今日はエクスさんと対談できるということで非常に光栄ですし、非常にドキドキしています。よろしくお願いします。
エクスさん:にじさんじ所属バーチャルライバーのエクス・アルビオです。人生初の対談なので緊張していますが、めちゃくちゃうれしい機会ですし、たくさんお話ができればと思っています。よろしくお願いします。
石山氏:うわああすごい、本人だ!(笑) ……いや、実はうちのスタッフにエビオさん※のメンバーシップに入っている者がいまして、「メン限(メンバーシップ限定)の配信でもパラノマサイトを褒めてたよ」と聞いて、そこまで言ってもらえるならぜひ対談を……という運びになりまして。
※:エクスさんの愛称
エクスさん:メン限で言ったことがまさかここにつながるとは(笑)。
石山氏:そのスタッフも「自分の作ったものがエクスさんの目に触れるのか!」と大興奮してました。
エクスさん:いや僕の方こそ大興奮です! 本当にありがとうございます。
――石山さんはエクスさんの実況を観られましたか?
石山氏:全部通してではないですが、「本所七不思議」も「伊勢人魚物語」も拝見しました。「伊勢人魚物語」のラストの方は、もうライブでずっと見てました。
エクスさん:ありがとうございます。最後の配信が終わったときの呟きをX(旧Twitter)でリポストしていただいて、びっくりしました!
石山氏:そりゃもう、人生で一番とまで言われちゃったら。ほらほらみんな、こんなに絶賛されてるよ、見て見て!って(笑)。
エクスさん:本当に人生でマックスというか、もうこれ以上ないだろうなというのを、ここで経験しました。
パラノマサイト FILE38 伊勢人魚物語最後までご視聴いただきありがとうございました???♂?
— エクス・アルビオ??エビオ (@Ex_Albio)March 21, 2026
人生でやったストーリーゲームで間違いなく一番面白かった…!!!!!!!
次回作も超超超楽しみにしてます??
――エクスさんが「パラノマサイト」シリーズを知ったきっかけはなんですか?
エクスさん:ボイストレーニングの先生から「人生で一番面白いゲームがある」、「なんとか配信でやってほしい」と薦められたのが最初のきっかけです。
石山氏:「本所七不思議」の方ですか?
エクスさん:そうです! 僕はストーリーゲームに苦手意識があったんですが、あまりに強くオススメされたので、お試しでやってみたらとんでもないゲームに出会ってしまいました。
石山氏:おお、なるほど。そんなにも強く。
エクスさん:ボイトレの先生には申し訳ないのですが、歌が上手くなるよりこのゲームに出会えた方が感謝しているレベルですね。
石山氏:えええ、そうだったんですね。その先生にはぜひよろしくお伝えください(笑)。でもこういうゲームが苦手だったとは思えないくらい、上手に遊んでくれていましたよね。
エクスさん:ストーリー系のゲームもこんなに楽しくできるんだなと、自分でも驚きました。
実は配信の需要を意識して作られていた「パラノマサイト」
石山氏:エクスさんの実況は、本人が楽しんでいるのが観ている側にも伝わってくるところがすごく良かったです!
エクスさん:めちゃくちゃうれしいです。
石山氏:正直、テキストを読むゲームの実況は難しいと思うんですよね。ですがエクスさんは、ストーリーを楽しみながら、セリフを丁寧に読み上げて、合間合間で状況整理したり自分の考えを伝えつつ、コメントにも反応する、というのがとても上手いので、なるほどアドベンチャーの実況はこうやるのかと、みんなにお手本にしてもらいたいくらいでした(笑)。
エクスさん:いやいや、そんな……。それは言い過ぎです!(笑)。でも「パラノマサイト」はキャラクターのボイスがないじゃないですか。自分の声でテキストを読み上げられるので、配信に向いているなと思いました。
石山氏:お、そうでした?
エクスさん:プレーヤー側の感情を乗せられる分、没入感が出るので、配信との相性がめちゃくちゃいいなと。
石山氏:なるほど、それはよかった! じつは「本所七不思議」を作っていた時から、積極的に配信してもらうことを意識していまして。ジャンルをホラーにしたのも、その方が配信してもらいやすいかなーという狙いがあってのことです。ホラーだとリアクションしやすいですし、びっくりするところは切り抜きやすいかな……と。
あと「本所七不思議」の発売当初は、エンディングの部分のみ配信の制限をかけていましたが、3週間ほどで解除しました。これも、どんどん配信してほしいからです。ADVゲームは配信に制限があるタイトルが多いですが、配信する側からすると、視聴者と一緒にエンディングまで見れないですし、どこまで大丈夫なのか気にしながらプレイしないといけないので、制限があると配信しにくいのかなと思いまして。
エクスさん:そうですね。
石山氏:それで最後まで全部配信OKにしたところ、色々な人がやってくれて、一気に広まった感じでした。これは、すぐ対応して良かったと思ってます。
お手本のような実況? ゲームクリエイターの目線から見たエクスさんの配信
石山氏:色々な「パラノマサイト」の実況がある中でも、エクスさんの配信はとても面白いと感じたんですよね。テキストを読み上げながら「これってこういうことだよね」と自分の考えも入れてくれるし、気付いたことをちゃんと立ち止まってまとめてくれるから、観ている方からもすごくわかりやすくて。
エクスさん:でも、頭で考える系のゲームはあまり配信してこなかったんですよね。
石山氏:そうとは思えないくらい察しが良かったです。気付いてほしいところに気付いてくれるし、びっくりしてほしいところでびっくりしてくれるし、ホントお手本のように楽しんでくれてるだなと!
エクスさん:めちゃくちゃうれしいです。神ゲーを作っていただいて本当にありがとうございます。
――スクウェア・エニックスのユーザーアンケートでも、「エクスさんの配信が面白かった」というコメントがいくつかあったそうです。
石山氏:はい。エクスさんの配信で「パラノマサイト」を知ったという方もたくさんいたので、これはお互いに良かったのではなかろうかと(笑)。
エクスさん:このゲームがどんどん世に広まってほしいなと思っています。
石山氏:「パラノマサイト」以外のストーリーゲームも配信されるようになりましたよね。
エクスさん:そうなんですよ。「パラノマサイト」がきっかけで幅が広がりました。こういうゲームが自分にもできるんだなと気付いたので。
石山氏:それは嬉しいですねえ。プライベートでもストーリー系のゲームはやらないんですか?
エクスさん:全くやったことないです。
石山氏:へえ。それなのに物語の読み方というか、ADVゲームの楽しみ方がわかっているんですよね……。素であれができていたとすると、もう天才ですね。
エクスさん:いやいや、そんなやめてください!(笑)。
石山氏:正直、個人的にはADVゲームは楽しめる人が限られているというか、わりと人を選ぶジャンルだと思っていまして。そもそも文字を読むのが苦手な人は好んで遊ぶことはないでしょうし。でもそういう人も、配信であれば楽しめますよね!
エクスさん:確かに。それはそうですね。
石山氏:自分でやるのは苦手だけど、配信を観るのは大丈夫という人に対して「ADVゲームはこうやって楽しむんだ」と見せてくれている感じがしました。ADVゲームにも上手い下手はあると思っているんですが、エクスさんはセンスがあるんでしょうね。
シリーズの醍醐味となる“メタ”な謎解き
石山氏:配信で感想がわかるというのは、良い世の中だなと思います。プレイした後の感想を聞くことはあっても、人がリアルタイムで遊んでいるところを見ることはないので、「あ、ここで詰まるのか」とわかって反省することもるので、ありがたいです。
エクスさん:ちょうど先日、今作も調整が入りましたね。
石山氏:そうなんです。配信なども観て、「ここはちょっと直した方がいいな」と思ったところをパッチで修正させてもらいました。
【#パラノマ伊勢アップデート(ver.1.1)のお知らせ】
— パラノマサイトシリーズ【公式】 (@PARANORMA_PR)April 16, 2026
いつも『パラノマサイト FILE38 伊勢人魚物語』をご利用いただきありがとうございます。
本日 全プラットフォームのアプリを Ver.1.1 にアップデートいたしました。
環境よって反映まで時間がかかる場合がございます。…
4月16日にアップデートが配信され、謎解きの際のヒントが増えるなど調整が行なわれた
エクスさん:その部分は石山さんとしてはどれくらいの難しさだと思っていたんですか?
石山氏:元々社内でテストプレイをして、意見を集めて調整していたんですが、謎解き系はヒントの出し方が肝だと思ってましてね。
エクスさん:出しすぎても良くないですからね。
石山氏:「このくらいあれば気づくかな」と思って出したところ、みんな「わからない、わからない」と反応していたので、そうか、たしかにもっと導線があっても良かったかと……。
エクスさん:じゃあ、ちょっと簡単になったのでしょうか?
石山氏:まあ前よりはマシだろうというくらいには(笑)。以前よりはわかりやすくしてみたけど、これでどうだろうかと反応を見ているところです。
エクスさん:一番面白いところですからね。僕も配信では1時間半くらい悩みました。
石山氏:ずっと「そこ気付いて!」と思いながら観てました(笑)。たぶんクリア済みのリスナーも「ああ、そこ!そこ!」となっていたんじゃないかと。
エクスさん:「本所七不思議」も「伊勢人魚物語」も、深く読み込んで考えないと解けないのは一番最後のところですよね。それ以外のところは、ちゃんとプレイしていれば理解できるように誘導されている。だからめちゃくちゃ遊びやすい。
石山氏:ありがとうございます。そこはすごく気を遣っている部分です。でも「伊勢人魚物語」でエクスさんが真相に気付いた時の反応がすごく良かったです。5分くらいずっとハアハアしてて(笑)。
エクスさん:僕も一番印象に残っています(笑)。あそこは本当に鳥肌立ちました。「うわー、やってくれるなパラノマサイト~!」となりました。
石山氏:いやあ、観ていて楽しかったです。
エクスさん:一番メインになる謎解きの部分については、最初に決めてから制作していったんですか?
石山氏:そうですね。メタな謎解きでいこうというコンセプトは、「本所七不思議」の時から決めていました。ゲームの外で関わるものを使ったり、普段ゲームの一部ではないと思っているものを使ったり……といったことですね。
エクスさん:「伊勢人魚物語」の仕掛けは本当にヤバかったです!
石山氏:よかった! でも、次の謎解きをどうしようかというのは何も考えていません。もう次のこととか考えたくない(笑)。
エクスさん:2作ともあれだけすごい仕掛けを作ったら、次が大変ですよね。
高まった期待のハードルを越えてきた「伊勢人魚物語」
石山氏:「伊勢人魚物語」が発表された時は、すぐに気付きましたか?
エクスさん:僕が気付くというより、リスナーから信じられないくらい連絡がきました。「頼むからやってくれ」と(笑)。
石山氏:おお(笑)。じゃあリスナーの方も続編を楽しみにしてくれていたんですね。
エクスさん:そうですね。とても人気のあるゲームだなと思いました。
石山氏:いやあ。というより、みんなエクスさんのあの反応を、また見たかったんだと思いますよ。
エクスさん:そういう意味では「伊勢人魚物語」にはハードルの高さを感じてました。「本所七不思議」はとても面白かったし、ゲームとして珍しい部分がたくさんあったじゃないですか。だから初見でびっくりするところが多かったんですが、今回はそうした作風をすでに知っている状態での続編なので、そこを超えられるのかなと思っていたんです。でも実際にやってみるとめちゃくちゃ面白くて、1作目より2作目の方が好きになりました。
石山氏:本当ですか。ありがとうございます。
――実際に「伊勢人魚物語」をプレイしてみた感想はどうでしたか?
エクスさん:「本所七不思議」と「伊勢人魚物語」の一番大きな違いだと思ったのは、最後の終わり方ですね。ビターな終わり方だった「本所七不思議」に対して、「伊勢人魚物語」はハッピーエンドじゃないですか。そこがめちゃくちゃうれしかったです。基本的にハッピーエンドが大好きなので、「最後幸せにしてくれて本当にありがとう」という気持ちになりました。
石山氏:それは良かったです。僕の作品を昔から追っている人からは「ビターエンドが多い」とか「救われない話が多い」と言われているので、ならば今回はハッピーエンドにしてやるぞ、おれだってやればできるんだ! と(笑)。
エクスさん:そういう想いがあったんですね(笑)。
石山氏:人魚や不老不死の話はたくさんありますが、大体あまり後味が良くなくて、不老不死を求めた人は不幸になって終わることが多いかなと。だから逆にこれを使ってハッピーエンドにしてやろうという思いは、最初からありました。
エクスさん:作品の途中でも、「不老不死は幸せにならない」というテイストがありましたよね。だから幸せにならないんだと思っていたら、綺麗にフリが回収されて……。
石山氏:そこを最後の最後まで隠しておく、ということも狙っていたので、きちんと刺さってくれたなら良かった。
エクスさん:多くのゲームの続編には前作のキャラクターが登場するイメージがありますが、今作はそれが全くないじゃないですか。名前は出るけど、登場人物としては出てこないという。そこはどう考えていたんですか?
石山氏:シリーズの幅を出したかったんです。2作目って大事で、たとえばここでミヲちゃん※を続投させると、「パラノマサイト=ミヲちゃんが出てくるゲーム」みたいになり、今後幅を広げるのがキツくなってしまうなと。
※:「本所七不思議」の登場人物・黒鈴ミヲ
エクスさん:なるほど。ファイルごとに別のお話なんだよ、という。
石山氏:時代も舞台も全部変わってもいいんだよと。だからミヲちゃんや津詰刑事が人気だとわかっていても、強い心でキャラクターを一新しました。
エクスさん:それがめちゃくちゃ刺さっている感じがします。
石山氏:リリース前から今に至るまで、一番怖かったのがここですね。「あのキャラ出ないの?」という声は絶対あるとして、「これはこれでいいでしょ?」と言えるくらいの説得力がなきゃいけないと思っていたので。だからこういう濃いキャラクター設定になりました(笑)。
エクスさん:たしかにみんなキャラが濃かったですね(笑)。結命子とか、割烹着をふだん着ている人なんていないですからね。
石山氏:その辺に買い物に来たような主婦が、色々調査しているという。
三重県の離島が舞台となった理由は?
エクスさん:なぜ今作の舞台は神島※なんでしょうか。最初にこの島ありきでストーリーを考えたんですか?
※:「伊勢人魚物語」の舞台となる「亀島」は三重県に実在する「神島」がモデル
石山氏:いや、最初のきっかけは、プロデューサーからの「次は人魚伝説はどう?」という提案でした。
エクスさん:人魚スタートでここまで来たってことですか? すごっ!
石山氏:前作の「本所七不思議」はテーマがいまいちマイナーだったので、今度はメジャーな題材にしようかというところから、ワールドワイドに知られている人魚が浮上しました。それで不老不死などを絡めればドラマチックな話にできるだろうなと。で、「じゃあ人魚の伝説が伝わっている場所はどこだろうな」と調べているうちに、伊勢湾に人魚がいた伝説があることを知り、さらに色々な伝承にも繋がっているのがわかってきまして。
エクスさん:すごいですね……。
石山氏:そこで「伊勢湾にしよう」となってから、神島という名前の島を見つけて、「離島でのジュブナイルという方向性に寄せてみようか」と決まっていきました。そこからプロデューサーが三重県や鳥羽市の観光課の人に「一緒にやりませんか?」と話を持ち掛けたんです。
エクスさん:じゃあ奇跡的なつながりなんですね。てっきり三重の人が「ここにしませんか?」と提案したところからスタートしたのかと思っていました。人魚スタートだったんですね……。「本所七不思議」の時はどうだったんですか?
石山氏:「本所七不思議」はゼロの状態から何を作ろうかという段階で、予算的にほかに選択肢がないからADVゲームを作りましょうというのが最初にありました。ADVゲームの良いところは、なにより安く作れるところでして(笑)。
エクスさん:それは全然知らなかった(笑)。
石山氏:それで配信者に取り上げてもらいたいという理由からホラーにすることになり、題材を決める段階で、「本所七不思議」という怪談をプロデューサーが見つけてきました。これは地元に根付いた話で、墨田区も観光資源にしているから、一緒にプロモーションできるんじゃないか……という流れですね。
エクスさん:なるほど、結構現実的な理由なんですね。
石山氏:わりと商品設計として計算で考えられています(笑)。ただ、それをどうゲームに落とし込むかというところで悩んで、呪いや蘇りの秘術といった要素を足していきました。
エクスさん:僕は小説家のイメージというか、散歩中に設定が降ってくるみたいなことしか聞いたことがないので、どういう風に脳ができているのかわからないです。
石山氏:でもそういうきっかけも必要ですよ。「本所七不思議」にしたって「じゃあ呪いの力で蘇りの秘術を奪い合う話にしよう」みたいなところは閃きが要りますし、色々試してみないといけない。「伊勢人魚物語」でも、アヴィの話では「これだと上手く動かないな」という部分をちょっとずつ変えていって、話が動くようにしました。
大枠こそプロモーションの都合などで決まりますが、それをどう面白くするかは後から頭をひねって、うんうん唸りながら悩んで作るところですね。「面白くなれ、面白くなれ」と念じながら(笑)。
エクスさん:それが完成するというのはすごいことですよね。
石山氏:まあ、途中は色々ありますけどね……。「これもうダメじゃね?」みたいになることも何度もあります。そんなことをおくびにも出さず、しれっと「あ、作りましたよ」みたいな顔をしていた方がクリエイターとしてかっこいいとは思うんですが、自分はそんな泥臭い作り方をしています(笑)。
エクスさん:石山さんも神島には行かれたと思うんですが、ゲーム内の背景は実際に現地を見てから決めたんですか?
石山氏:はい、最初にロケハンしました。背景にする場所はこんな感じの話だからこんな場所が欲しいな、2人で話ができる場所も欲しいな、でも見晴らしのいい場所が良いな……といった感じで、とりあえず使えそうな場所や、特徴的な場所の写真をたくさん撮っておいて、後から「ここ使おうか」と絞り込んでいきました。
エクスさん:現地まんまの風景ですもんね。
石山氏:そうですね、写真を加工して作っているので。実際に行ってみると「同じだ!」となると思います。
エクスさん:ちなみに神島に行く際の注意点はありますか?
石山氏:山登りするくらいのつもりで準備して行った方が良いですよ! ということでしょうか。自分が行った時はその辺をよく知らず、しかも真夏に行って大変な目に遭いました。とはいえその分、風景は最高です。
レトロな世界観を作り上げた「パラノマサイト」シリーズ
エクスさん:世代的なこともあって、「パラノマサイト」の時代背景をほとんど知らず、調べながらプレイしていました。時代設定を現代にしなかった理由はなんでしょうか?
石山氏:ちょっと不思議な、オカルト的な雰囲気にしたくて。1980年代が舞台ですが、あの時代はオカルトブームで、普通にテレビでも心霊特番を放送していて、心霊スポットに行って逃げて帰ってくるような番組がたくさんあったんです。それで世の中的にも、みんなそういうものがあると信じていた。都市伝説なんかも出てきて、不思議な空気感のある時代だったんですよね。
作中でも少し古い映像のように見せるため、画面をわざとノイズでザラザラにしたり、色収差で色がはみ出たりするようなフィルターを入れてます。それで独自の雰囲気を出せればなという狙いがありました。
エクスさん:なるほど……。
石山氏:あと、作中に携帯電話が出てこない方がミステリーとして描きやすいなと。何かあったら携帯で連絡しようとか、ネットで調べようという流れにならない方が都合が良いので……。
ただ、その分ちょっとめんどくさい部分もあって、当時はこんなものないよとか、こんな言葉遣いしなかったよとか指摘を受けて。開発中に直していきました。自分自身もちょうど小学生くらいだったので、その頃の空気感を思い出しながら開発していました。今の若い人たちにとっては、逆に空想世界っぽい感覚になるかもしれないですね。
エクスさん:たしかにそうですね。
石山氏:自分たちにとっての戦後くらいのイメージに見えるといいなと思います。生まれる前の、ちょっとレトロな雰囲気。
エクスさん:そこがゲームのテイストとマッチしていますよね。
石山氏:まあでも、キャラクターの考え方はわりと現代的だったりするんですが(笑)。
エクスさん:たしかに勇佐くんや里ちゃんは今の時代にいたら、人気配信者になっていたかもしれません。
石山氏:令和ではVTuberになって、ライバルになっているかもしれない(笑)。
コミカライズでも大活躍の黒鈴ミヲ、謎に包まれた案内人……個性豊かな登場人物たち
エクスさん:石山さんの中で一番好きなキャラクターや思い入れのあるキャラクターはいますか?
石山氏:いやあ。それが、本当に全員がお気に入りで……。まあ、自分が気に入るように作っているから、当たり前なんですが(笑)。だから聞かれるたびに違う人を答えてるんですけど……。「今回は誰にしようかな」みたいな感じです。
エクスさん:なるほど、ちなみにマンガも読んだのですが、なぜミヲちゃん※が出てくるんですか?
※:公式コミカライズ「パラノマサイトFILE25霊感少女・黒鈴ミヲの邂逅」には、「本所七不思議」から黒鈴ミヲが登場する
石山氏:ミヲちゃんは「本所七不思議」を出した時に人気があったので、コミカライズのメインキャラに決まりました。そもそも僕は開発中から「これは人気出るぞ」と思っていたのですが、プロデューサーが半信半疑だったので、「それ見たことか!」と(笑)。
エクスさん:ミヲちゃんは本当に良いキャラですよね。呪詛というとんでもない力に、己の力で抗うことができていた人たち。「伊勢人魚物語」でいうとキルケちゃんとか双奴くんにはめちゃくちゃかっこいいシーンがありますね。
石山氏:今作はそういう人たちが活躍できる状況ですからね。
エクスさん:アヴィのところとか、マジで感動しました。めちゃくちゃ良かった。
石山氏:アヴィがあんなだから、キルケも大変だったでしょうね(笑)。
エクスさん:アヴィのキャラ設定はすごいですよね。最初からこの設定でいこうと思っていたんですか?
石山氏:アヴィは人魚の肉を求めて日本に来た外国人、というところを最初に決めたのですが、「じゃあどういう理由で人魚の肉を探しているのか」というところで、最初はもう少しシリアスな理由を付けていました。家族が不治の病だ、みたいな……。
エクスさん:ああ、なるほど。不老不死が必要だという。
石山氏:だけどそれだと上手く話が回らなかったので、結局“ロマン全振りおじさん”になりました(笑)。そっちの方が活き活きするなと。
エクスさん:めちゃくちゃ良いキャラだと思います。「伊勢人魚物語」は「本所七不思議」と比べて結構明るめじゃないですか。その明るさにもマッチしていますよね。逆に「本所七不思議」にアヴィが出ていたら、「めっちゃ明るいやついるじゃん」と浮いていたはず(笑)。
石山氏:今作は明るくしようと最初から決めていたので、それに合わせたところはありますね。キービジュアルも青空、青い海を押し出してガラッと雰囲気を変えたかったんです。「それでもちゃんとパラノマサイトだぞ」と、幅の広さを見せたかった。
エクスさん:シリーズの根幹に関わることかもしれないんですが、僕は2作目が終わった段階で初めて案内人がお面を付けていることに気付いたんです。すごい不思議だなと思ったんですが……。
石山氏:んん~? そうなのかな~?
エクスさん:そこはやっぱり内緒なんですね(笑)。
石山氏:お面の下にどんな顔があるのかは、まだ今後のお楽しみにというところでございます。
エクスさん:案内人は本当に良いキャラしているなと思います。
石山氏:若いのか年を食っているのかもわからないし、正体不明ですよね。そういう胡散臭いキャラクターを案内人としてシリーズの顔にしていきましょうと最初に決めて、出てきたデザインがあれだったんです。
エクスさん:すごいですよね。和服の上にスーツを着ていますからね。
石山氏:非常に特徴的なので、公式の大きな告知の時にはうちのプロデューサーがあの格好で出てきますからね。
エクスさん:案内人が急にカットインで割り込んでくるところもあって、めちゃくちゃテンション上がりますよね。「今ここで入ってくるの?」という。
石山氏:人によっては、案内人が出てくるとクイズを出されるので緊張する人もいるみたいですけど……(笑)。
エクスさん:解けないかもしれないという緊張感(笑)。自分の中でもう答えが出ていることだったら、「はいはい、これを聞きに来たのね」となるんですが、まだピンと来ていないことだと緊張しますよね。
石山氏:まさにそういう反応が欲しかったんです。ありがとうございます。
エクスさん:そこが盛り上がりどころですよね。本当に好きなキャラです。
石山氏:プレーヤーとゲームの間にいる人という、ちょっと不思議な存在感ですね。「パラノマサイト」を象徴する存在なので、次があるとしても、多分出てくるでしょう。まあ作るのかどうかまだ全然わからないですが……。
エクスさん:「パラノマサイト」はシリーズを通してコンビの話で、しかも2人1組みたいな掛け合わせが各々あると思います。でも他のゲームではこういうものってあまり見たことがないんですよね。基本的に主人公がいて、その周りに色々広がっていく感じじゃないですか。それと比べるとこの組み合わせは“タッグ”という感じがあって大好きです。
石山氏:いいですよね。我々は「群像バディ」と呼んでいます。そもそもは、一人称視点でぐるっと見回すシステムなので、画面にキャラクターが誰も映っていない状態を避けるために、それぞれ主人公に相方がいる構成にしたかったんです。そうするとキャラ同士の関係性も見せられて面白かったので、続く「伊勢人魚物語」でも同じスタイルにを継承しました。
エクスさん:そう言われて気付いたんですが、一人称視点で自分の姿が見えていないのに、誰の視点なのか迷わなかったのは、基本的にタッグの人がいるからなんですね。
(C) SQUARE ENIX
(C)ANYCOLOR, Inc.































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