【特別企画】

アーケードゲーム「テラクレスタ」が稼働40周年! 多彩な合体・フォーメーション攻撃が繰り出せる、ニチブツの名物シューティング

【テラクレスタ】
1985年10月 稼働開始

 日本物産が1985年10月に発売したアーケードゲーム「テラクレスタ」が、2025年10月で稼働40周年を迎えた。

 本作は、自機のウイングギャリバーを8方向レバーとキャノンビーム(ショット)、フォーメーションの2ボタンで操作して敵キャラを倒していく縦スクロールシューティングゲーム。ウイングギャリバーは、格納庫から出現するパーツと合体することでパワーアップし、フォーメーションボタンを押すと一時的にパーツが分離してフォーメーション攻撃を繰り出すことも可能となる。

 以下、筆者がゲーセンで遊んでいた当時の記憶をたどりつつ、本作の特徴や面白さを改めて振り返ってみた。

【テラクレスタ】
※写真はNintendo Switch版で撮影(以下同)

数々のド派手な演出、合体&フォーメーション攻撃の面白さに衝撃

 筆者が本作と最初に出会ったのは1985年の年の暮れ、友人といっしょに出掛けた、田舎の呉服屋さんの一角にあったゲームコーナーであった。

 デモ画面をひと目見ただけで、自機と敵キャラのデザインのカッコよさと、飛行場や砂漠、水面が描かれた地上マップの美しさにまず驚かされた。しばらく画面を眺めていると、今度は巨大なボスキャラと思しき敵が立て続けに出現し、地上には口から炎を吐きながら前進する恐竜が出て来たと思ったら、自機の合体パーツまでもが現れるとは! 筆者も友人も、今まで見たことがないド派手な演出の数々にテンションが大いに上がりまくり、当時から大のシューティングゲーム好きだった筆者は、迷うことなく100円玉をすぐさま投入した。

 初期状態の自機は、正面に2連射のショットしか撃てないが、格納庫に閉じ込められたパーツを出現させて合体すると「チャキーン!」という合体音とともに、自機がどんどんパワーアップするのが実に気持ち良かった。合体システム自体は、同じ日本物産の「ムーンクレスタ」ですでに経験していたが、本作では2号機と合体するとワイドショットが発射可能となり、3号機は後方ショット、4号機は貫通弾、そして5号機は後部バリアが装着される豊富なバリエーションが用意され、見た目の派手さも爽快感も旧作をはるかに上回っていた。

 サウンドのインパクトも抜群で、プレイ中のテンションを高めまくる、ハイテンポなBGMもすぐに気に入った。敵を破壊したときの「ドカン!」という爆発音も「ザコ敵を倒しただけなのに、派手過ぎじゃない?」とツッコミたくなるほどの大音量で、恐竜が出現すると「ガオー!」と吠えるボイスもすごい迫力だった。

【4種類のパーツ】
格納庫を囲む幽閉機(数字)をすべて破壊するとパーツが出現
2号機と合体すると、ショットが4連射にパワーアップ
後方にショットが撃てるようになる効果を持つ3号機
4号機と合体するとショットが大幅に強化され、ザコ敵を貫通するようになる
5号機はビームを強化する効果はないが、敵の後方からの体当たりを防ぐバリアーを張る

 さらに驚かされたのが、自機とパーツの合体後にフォーメーションボタンを押すと、一時的に分離して強力なフォーメーション攻撃も使用可能になること。しかもフォーメーション攻撃は、合体したパーツの数によって攻撃方法も発射音もそれぞれ異なるので、合体数を増やすたびに新たな攻撃を繰り出せるのがとにかく楽しかった。

 5機すべての合体に成功すると、自機が「科学忍者隊ガッチャマン」を彷彿とさせる「火の鳥」に変身し、一定時間無敵になる演出にも感動した。またフォーメーション攻撃中は、合体攻撃では破壊できない空中物も一掃できる(※倒せない敵も一部存在する)のですこぶる快感だった。

 どのパーツでも、合体中は敵の攻撃を1度だけ防げるシールド効果が発生するが、パーツはすべて破壊されてしまう(※5機合体時は、1発浴びると3機合体状態になり、2度目の攻撃を受けると初期状態になる)。またフォーメーション攻撃の使用回数は3回に制限され(※新たなパーツと合体するごとに回数が補充される)、もし分離している間に自機が敵の攻撃を受けると即ミスとなり、パーツをすべて失った状態からリスタートするリスクも生じる。

 合体したまま身を守りつつ戦うのか、それとも強力なフォーメーション攻撃を使って敵をなぎ倒すのか? 筆者のほかにも、多くのゲーム仲間や上級生のお兄ちゃんたちも、本作ならではの攻略パターンを作る面白さに魅了され、一時期夢中になって遊んでいた。

【華麗かつ強力なフォーメーション攻撃と「火の鳥」】
2機合体時に使用できる、正面に半月型のワイドビームを撃つ「ムーンフォーメーション」
左右広角にショットを放つ、3機合体時の「エクステンドフォーメーション」
4機のときは、高速で回転する弾丸が飛び交う「サイクロンフォーメーション」が繰り出せる
5機合体に成功すると、ウイングギャリバーが無敵の「火の鳥」に変身!
5機合体時のフォーメーションは、X字型にショットを放つ「クロスフォーメーション」

目からウロコが落ちた強敵の倒し方。広大なマップとサウンドの演出にも感激

 独特の飛行パターンで動き回る敵の倒し方をみんなで共有したり、遠征先のゲームセンターなどで上手なお兄ちゃんが遊んでいるのを見て攻略パターンを盗みまくったりしたことでも、筆者にとって本作はとても思い出深い。

 空中に出現する敵のザコ編隊は、毎回同じタイミングで出てくるのはすぐにわかった。だが、一部の敵編隊は状況によって、編隊の組み方や出現位置が異なることに最初はかなり戸惑った。その後、しばらく遊んでいるうちに敵編隊の出現位置が、自機の居場所(X座標)によって変わることに気が付いた。

写真の位置に出現するザコ編隊は、自機が左右の端寄りにいた場合は反対側から出現する
自機が中央付近にいた場合は、ザコ敵が2編隊に分かれて左右から出現する

 地上物の砲台も出現位置は固定されているが、厄介だったのが水面に出現する砲台。水面の砲台は、最初は姿を隠していて、自機が接近すると突然出現して弾を撃つからだ。特に、弾をバラまく空中の敵と同時に出現すると、途端に逃げ場が狭まるのが実にいやらしかった。

 具体的にどんな話をしたのかまでは覚えていないが、みんなで本作を遊ぶたびに、敵の編隊や砲弾のパターンを盛んに話題にしていた。砲台のほか、格納庫も含めた各地上物の出現地点は、上手な見知らぬお兄ちゃんたちが遊んでいるところもチラ見しながら、少しずつ覚えていったように記憶している。

一見すると何もない水面から、突如砲台が出現する場面がひんぱんに現れる

 特定の場所で出現する2種類の中ボス、チューボとダイコンもインパクト抜群の敵キャラだった。チューボは、何かしらのパーツと合体していれば比較的簡単に倒せたが、ダイコンは攻撃が激しくて耐久力も高いのでなかなか倒せず、初めのうちはここで何度もゲームオーバーの憂き目に遭った。

 「どうすればダイコンを倒せるのかなあ……」と悩んでいたあるとき、遠征先のゲームセンターで見知らぬお兄ちゃんが「エクステンドフォーメーション」時に放つ、左右の斜め方向に放つショットを利用して、ダイコンの側面から出現するザコ敵を一掃しながら、ダイコン本体にも効率よくダメージを与え、ものの見事に倒しているところを偶然目撃した。

 当時の筆者は、ダイコン本体が連射する弾よりも、援軍として次々と射出するザコ敵の体当たり攻撃に手を焼いていた。なので、ザコ敵を出現直後に倒しやすくなる「エクステンドフォーメーション」を利用した攻略パターンは、まさに目からウロコだった。早速、自分でも真似したところ、ダイコンの撃破に初めて成功し、ザコ敵よりもさらにド派手な爆発音が鳴り響いたときは本当に嬉しかった。

 その後、ある上手な友人が5機合体後、ダイコンの手前でわざとパーツを削って「エクステンドフォーメーション」が使える状態にして攻略するパターンを編み出し「ナルホド!」と唸らされたことも、今でも鮮明に覚えている。無論、そのパターンも早速盗み、自身のハイスコア更新にありがたく利用させてもらった。

【2種類の中ボス】
上下左右の先端から次々とザコ敵を分離し、弾を撃ちながら自機を追い掛けてくるチューボ
撃破に成功すると、ひと際派手な爆発音が鳴り響くので実に快感!
強敵、ダイコンには「エクステンドフォーメーション」が絶大な効果を発揮する

 本作の最強の敵、マンドラーはデモ画面で見られることもあり、その存在は最初から筆者もゲーム仲間の誰もが知っていた。

 マンドラーの巨大なボディは凄まじい威圧感を誇り、赤いブーメラン状の弾と、4本の腕からまるで「マジンガーZ」のごとく、自機を追尾するロケットパンチを間断なく撃ってくるので、最初はとんでもなく強そうに見えたことでも本作は思い出深い。筆者が初めて、実際にマンドラーと戦っている場面を見たのも、見知らぬお兄ちゃんがプレイしているところだった。ブーメランとロケットパンチの連続攻撃に加え、恐怖感を大いに煽る不気味なBGMも相まって、ただ見ているだけでも凄い迫力だった。

 後に、自身でもマンドラーの出現地点まで進めるようになったが、しばらくの間はしつこく追い掛けて来るロケットパンチの餌食となるミスを繰り返した。自機が裸状態になるのを恐れるあまり、初めのうちはフォーメーションボタンをなかなか押せなかったが、繰り返し遊んでいるうちにフォーメーション攻撃中でもマンドラーの攻撃をある程度避けられるようになったことで、数十回の挑戦を経てようやく倒すことに成功した。

 マンドラーに初めて勝ったときは、もちろん大いに喜んだ。だが、マンドラーは破壊した直後にコアの部分が浮き上がり、画面の左右全体に弾をバラまく、イタチの最後っ屁のような嫌がらせを仕掛けてくるので、最後の最後まで油断できない。マンドラーが「最後の悪あがき」をすることは、上手なお兄ちゃんが遊んでいるところを見ていたおかげで事前に知っていたので、初めて倒した後も慌てることなく、無事にかわせたときはホッとしたのと同時に「往生際の悪いヤツだなあ……」と、思わず苦笑したのも忘れられない思い出である。

【最強の敵:マンドラー】
4本の腕から繰り出す、自機をジワジワと追い詰めるロケットパンチが手強いマンドラ―
倒した直後に敵弾をバラまき、こちらのミスを誘うのも実に嫌らしい

 見知らぬお兄ちゃんが、マンドラーを倒す瞬間を初めて見たときに、筆者は「マップがスタート地点に戻って2周目に突入するのか?」と思いつつ、しばらく画面を眺めていた。すると、予想に反して未知なるマップがさらに続き、敵の攻撃の激しさが増すとともに、今まで見たことがない新たなザコ敵も登場したので、またまた驚かされた。

 やがて自身がマンドラーを倒せるようになると、マンドラー撃破後のマップでは格納庫の出現頻度が少なくなっている印象も受けた。チューボ、ダイコンも当然ながら手強くなり、もし途中でやられてしまうと、場所によっては格納庫がしばらくの間出てこないため、復活するのが格段に難しくなっていた。

 その後も試行錯誤を繰り返し、2回目のマンドラー撃破に成功した辺りのタイミングで、マップがループしていることに気付いたときには「ようやく1周できた!」と、この上ない達成感が得られたことも今なお忘れ難い。

最初のマンドラーを撃破後も、未知なる敵キャラやマップが待ち受ける
一定時間、自機を包囲してショット攻撃を不可能にする、驚愕の敵も登場!
3機以上のフォーメーション攻撃を使えば、包囲中でもショットが発射可能となる

 冒頭でも触れたように、メインBGMや派手な爆発音のほか、ミスをした後のリスタート時に流れるジングルも、筆者は今でも大のお気に入りである。リスタート時のジングルは、自機のストックがまだ残っている場合に流れる曲と、ゼロだった場合に流れる曲の2種類があり、特に後者はいかにもゲームオーバーの危機が迫っていることを知らせるスリリングな曲になっていたので、子供心に大いに感動した。

 ゲーム雑誌「Beep」(日本ソフトバンク発行)の付録のソノシートに収録された、本作の海外版BGMも特大のインパクトがあった。筆者は当初、本作のBGMが収録されていることを知らず、たまたま友人から借りたソノシートを聴いていたら、普段ゲーセンで聴き慣れている音色とはまったく異なる、まるで本物のエレキギターやベース、ドラムを鳴らしているかのようなハードロック調に変わっていて「同じゲームなのに、こんなに曲が違うとは!」と驚かされたことも今なお忘れられない。

写真だけではわからないが、リスタート時のジングルが残機がある場合とゼロの場合とでは異なる演出にも感動した

 本作は、現在でもハムスターの「アーケードアーカイブス」の1タイトルとして、Nintendo Switchとプレイステーション 4向けにも配信されており、今でも手軽に遊ぶことができる。

 まだプレイしたことがない人も、合体とフォーメーション攻撃を使い分けて敵を倒しまくる、本作ならではの快感をぜひ体験していただきたい。

□Switch版「アーケードアーカイブス テラクレスタ」のストアページ
□PS4版「アーケードアーカイブス テラクレスタ」のストアページ