【特別企画】

アーケードゲーム「グラディウス」が稼働40周年! ダブル、レーザー、オプション……斬新なパワーアップシステムを搭載した稀代の傑作シューティングを振り返る

【グラディウス】
1985年5月29日 稼働開始

コナミが1985年5月29日に発売したアーケードゲーム「グラディウス」が、2025年5月29日で稼働40周年を迎えた。

 本作は、自機のビックバイパーを8方向レバー、ショット、ミサイル、パワーアップの3ボタンで操作して敵キャラを倒していく横スクロールシューティングゲーム。特定の敵を倒すか、敵編隊を全滅させると出現する、パワーカプセルを集めてビックバイパーをパワーアップさせる斬新なアイデアを導入し、稼働直後から多くのプライヤーたちを魅了した。

 以下、筆者がゲーセンで遊んでいた当時の記憶をたどりつつ、本作の特徴や面白さを改めて振り返ってみた。

※写真はNintendo Switch版「アーケードクラシックス アニバーサリーコレクション」で撮影(以下同)

あまりのカッコよさと美しさに衝撃を受けるも、独特のパワーアップシステムには大苦戦

 筆者が「グラディウス」の名前を最初に目にしたのは、正確な日時は忘れてしまったが、確かマンガ雑誌「コミックボンボン」に掲載された新作アーケードゲームの紹介コーナーだったと記憶している。

 記事はカラーではなく1色のページだったが、岩肌に囲まれた宇宙空間(※おそらくステージ1か2)を舞台に、巨大サイズの敵キャラ(多分「ビッグコア」だったと思う)が掲載された画面写真をひと目見て「面白そうだな」と思ったことを、何となくだが覚えている。

 ところが、筆者が当時住んでいたド田舎には、新製品をちゃんと入荷するゲーセンが1軒もなく、本作を遊ぶ機会にまったく恵まれなかった。筆者が初めて本作をプレイしたのは、翌1986年のゴールデンウィーク頃、友人に案内してもらった、当時は存在すら知らなかった遠征先のゲーセンだった。

 自身で遊ぶ前に、まずは友人に「お手本プレイ」を見せてもらったが、あらゆる面で衝撃の連続だった。自機のビッグバイパー、青や緑色を基調とした、敵キャラたちのメタリックなデザインのカッコよさ、リアルに描かれた岩肌や、背景を流れる星々も実に美しい。ステージごとに火山やストーンヘンジなど、舞台がガラリと変わることにも驚かされた。

 今までまったく聞いたことがない、美しい音色と軽快なリズムを奏で、店内に高らかに鳴り響くBGMも素晴らしく、特にステージ1のBGM(※曲名は「Challenger 1985」)のメロディは涙が出るほど感動した。

ステージ1は火山ステージ。最終盤では火山岩が大量に出現する
ステージ2は、進路を塞ぐ赤色の岩を破壊しながら進むストーンヘンジステージ
後にシリーズ名物となる敵キャラ、モアイはステージ3に登場
ステージ4は、ステージ1の天地を入れ替えた、その名も逆火山ステージ
ステージ1~5のボスキャラにあたるビッグコア。そのサイズと威圧感は凄まじいものがあった

 いざ自分で遊んでみたら、特定の敵または敵編隊を倒すと出現する「パワーカプセル」を回収したうえで、ビックバイパーの装備をパワーアアップさせる、本作独特のシステムにまず戸惑った。

 友人のプレイを「真似すれば簡単だろう」と思いきや、最初のザコ敵編隊を全滅させ、パワーカプセルを回収することすらままならない。しどろもどろの状態で「ダブル」をどうにか装着したが、連射ができないせいなのか、思ったように敵を狙い撃てず、ステージ1の中盤であっさりやられてゲームオーバーに。「難しいゲームだなあ……」と率直に思った。

 パワーアップが思ったようにできないもどかしさはあったものの、今まで体験したことがない面白さを持った本作を一発で気に入り、その日だけでも数回繰り返しプレイした。当時の筆者は、数か月に一度のゲーセン遠征の際は、時には昼食代も削り、なるべく多くのゲームに触れたいと思っていたので、同じものを続けて遊ばないのが普通だったが、本作はその数少ない例外となった。

 何度かプレイしているうちに、少しずつ敵の出現パターンを覚え、画面下部に表示されたパワーアップの順番と、その仕組みも理解できるようになると、ますます楽しが増していった。特に、画面の端から端まで届く、レーザーの描く青い軌跡の長さと美しさに加え、ザコ敵を貫通する威力と爽快感の高さにはすっかり魅了されてしまった。

 確か、初日はモアイが出現するステージ3まで到達するのが精一杯だったと記憶している。ステージ3では、多数のモアイがリング状の弾を口から次々と放つ迫力に圧倒され、文字どおり(?)手も足も出ないままやられてしまったが、本作に出会った驚きと感動は今なお忘れられない。

【「グラディウス」名物のパワーアップシステム】
特定の敵、または敵編隊を全滅させるとパワーカプセルが出現
パワーカプセルを1個取るとメーターが点灯し、パワーアップボタンを押すとビックバイパーが「スピードアップ」する
2個ストックした状態でパワーアアップすると、着地後に地面に沿って前方に進む「ミサイル」が撃てるようになる
3個ストック時のパワーアップは、ショットを正面と右上に2発同時に撃つ特徴を持つ「ダブル」
4個目のパワーアップは、連射はできないがザコ敵を貫通する強力な性能を誇る「レーザー」
5個目の「オプション」を選択すると、自機をトレースしながら動き、自機と同じ攻撃性能を持つ球体が出現。同時に最大4個まで装着が可能
最後の「?」マークのパワーアップは、敵の攻撃から身を守るバリア。ただし、背後からの攻撃は防げない

友人宅での修行で苦手を克服

 本作を大いに気に入った一方で、ミスしたときのハンパない絶望感にはとことん苦しめられた。

 たった1回でもミスをすると、リスタート時にビックバイパーのパワーアップはすべて消滅してしまう。ミスをした際にパワーカプセルをストックした状態であれば、リスタート時に1個だけカプセルをもった状態、つまり「スピードアップ」を1回だけ装着できるが、たとえステージ1であっても、敵が多数出現する地点では焼け石に水で、どうあがいても復活できない。

 特に、ステージ3のモアイステージでは、モアイが放つ弾の多さに加え、ザコ敵や砲台が後方からでもどんどん弾を撃ってくるので、途中でミスをした瞬間「もうダメだ……」と匙を投げるしかなかった。またステージ3では、ビックバイパーを上下に大きく移動させると、マップが縦方向にもスクロールする。縦方向にスクロールさせた刹那、画面上部または下部から突如出現したザコ敵や、砲台がいきなり弾を撃つ「不意打ち」に気付かず、何度もミスをする失敗を繰り返した。

 ビックバイパーの「スピードアップ」を、何段階までパワーアップさせるかにも悩まされた。初期状態ではあまりにも遅いので、最低でも1回は「スピードアップ」させることが必要なのは明らかゆえ、最初のうちは1速(1回パワーアップした状態)でプレイしていた。実は、友人からは2速をすすめられたていたのだが、速過ぎて思うように操作ができず、何度もミスを繰り返した。特に、勢い余って壁にぶつかり自爆したときは死ぬほど悔しかったこともあり、筆者はずっと1速でプレイしていた。

 その後も、1周クリアを当面の目標にはしていたが、ステージ4(ここも途中でミスをすると、復活が鬼のように難しかった……)に到達するのがが精一杯。やがて本作がゲーセンから姿を消し、遊ぶ機会をしばらくの間失ってしまった。

ミスをすると、リスタート時にせっかく装備したパワーアップがすべて消滅してしまう
難所でミスした場合は、復活するためには高度な復活パターンが要求される

 筆者にとって大きな転機となったのは、本作に出会ってからおよそ1年が経過した、翌1987年のゴールデンウィーク頃。「グラディウス」が置いてあるゲーセンを教えてくれた友人が、今度はホビーパソコンとしては当時の最高峰スペックであったX68000を購入し、筆者に遊ばせてくれたことだった。

 X68000には、本体のオマケソフトとして「グラディウス」が同梱され、しかもアーケード版のクオリティをそっくりそのまま再現していることが、マイコン雑誌などですでに発表されていた。その友人は、ご丁寧にジョイスティックも用意してくれたので、これ幸いとばかりに友人宅に何度も通い、本作を繰り返し遊んだことで一気に攻略が進んだ。

 敵が多数出現する場所でミスをすると、まったく復活ができないのは相変わらずだったが、2速でビックバイパーを操作するコツをようやくつかみ、時には筆者よ先に1周クリアした友人のプレイを盗みつつ、各ステージの攻略パターンも自然と覚えることができた。やがて、いつ頃だったかは忘れてしまったが、X68000版で覚えた攻略パターンを駆使して、ゲーセンで初めて1周クリアに成功した。ほんの一瞬しか表示されないものの、エンディング画面を地力で見られたときの感動は今なお忘れられない。

 2周目に入ると、敵を倒した地点から敵弾が次々と飛んでくる、いわゆる「撃ち返し弾」が出現し、1周目とは比較にならないほど難しくなる。当時の筆者は、1周クリアしただけで十分に満足したので2周目以降はあまりプレイしなかったが、凄まじい数の「撃ち返し弾」のインパクトもこれまた強烈だった。

ステージ5は、見た目も動きも不気味さが際立つ触手ステージ
ステージ6の細胞ステージは障害物が多いので、レーザーがないと苦しい
最終面となるステージ7の要塞ステージ。逃げ場が狭く、敵がどんどん弾を撃つので本当に苦労した
2周目以降に登場する、後のシリーズ作品でも名物となる、敵を倒して地点から弾が飛んでくる「撃ち返し弾」も衝撃だった

 本作はNintendo Switch、プレイステーション4、Xbox ONE、Steamでコナミが配信中の「アーケードクラシックス アニバーサリーコレクション」に収録されているほか、ハムスターの「アーケードアーカイブス」の1タイトルとして、Nintendo Switchとプレイステーション4向けにも配信されており、今でも手軽に遊べる。

 また、きたる8月7日には、本作をはじめ「グラディウスII」「沙羅曼蛇」「ライフフォース」「グラディウスIII」「沙羅曼蛇2」に加えて、完全新作となる「沙羅曼蛇III」も収録した「グラディウス オリジン コレクション」の発売も予定されている。これを機に、今後も後継シリーズ作品のリリースが続くことを大いに期待したい。