【特別企画】

祝「Apple Vision Pro」日本発売! 日本発の専用“手裏剣”シューター「Shuriken Survivor」を体験

コントローラー不要の新感覚ゲームプレイ。シュシュッと忍者を倒す

【Shuriken Survivor】

6月28日 配信開始

価格:500円

 6月28日、ついに日本でもApple Vision Proが発売される。4K以上の高解像度ディスプレイと高性能チップを搭載し、コントローラー不要で直感的に操作できる革新的なヘッドセットデバイスだ。その発売にあわせて、Graffityが新作ゲーム「Shuriken Survivor」をリリースする。

 本作は、Apple Vision Pro専用のSpatial(空間)シューティングゲームで、ハンドトラッキング技術を駆使した没入型体験を提供する。プレーヤーは自らの手で手裏剣を投げ、レンズを通して現実世界に出現する忍者軍団から城を守る。

 Apple Vision ProならではのAR技術により、プレーヤーの部屋そのものがゲームの舞台となり、現実と仮想が融合した新たなゲーム体験を実現している。

 発売に先立ち行われたメディア向け体験会に参加できたので、本稿では、新鮮さを感じる体験の詳細をお届けする。

プレゼンを行ったGraffity代表取締役CEOの森本俊亨氏
シニアUnityエンジニアの小林慶祐氏

視線と手で操る未来型デバイス「Apple Vision Pro」

 まず、本日発売となったApple Vision Proについておさらいしておきたい。Apple Vision Proは、Appleが開発したヘッドセット型の空間コンピューティングデバイスだ。4Kレベルの高解像度ディスプレイと高い処理能力を備え、コントローラーを必要とせず、目の動き、手のジェスチャー、音声による直感的な操作が可能である。

 特筆すべき特徴は、その直感的な操作性だ。視線追跡とハンドトラッキング機能により、従来のコントローラーを使用せずにゲームやアプリケーションを操作できる。例えば、ゲームでは敵を見つめるだけで照準を合わせ、指を動かすだけでアクションを起こせる。

 この新しい操作感覚は、最初こそ慣れを要したが、すぐにスムーズに操作できるようになった。Apple Vision Proならではの操作方法によって、ゲーム体験もよりスマートになるようだった。

空間に浮かぶアイコンを視線で選択し、ハンドトラッキングでアプリを起動する。これは今までに体験したどのデバイスにもない独特な体験だった
Graffityが開発した「Hand Gesture Tool for Apple Vision Pro」も体験でき、ハンドトラッキングにより、手の動きを読み取って手からエネルギーを出すような体験もできた

 本製品は、2月2日にアメリカで発売され、既に20万台以上が販売されている。6月28日には日本を含む新たな国々でも発売される。データ収集のオンラインプラットフォーム「Statista」のレポートによると、初年度で35万台、5年間で累計3,000万台の販売が予想されており、AR/MR市場に大きな変革をもたらすと期待されている。

 このデバイスは、現実世界と仮想世界をシームレスに融合するMixed Reality(複合現実)体験を提供し、ゲームやエンターテインメントだけでなく、教育やビジネスなど幅広い分野での活用が期待されている。

Apple Vision Proのハンドトラッキングをフルに活かした体験ができる「Shuriken Survivor」

 Graffityは、「ARで、リアルを遊べ。」をミッションに2017年に設立された、AR技術に特化したエンターテインメント企業だ。今回の「Shuriken Survivor」は、同社にとって2作品目のApple Vision Pro向けタイトルとなる。

「Shuriken Survivor」

 本作は、Apple Vision Pro専用のSpatialシューティングゲームで、ハンドトラッキング技術を活用した没入型ゲーム体験を提供する。Apple Vision Proを通して現実世界の部屋がゲーム空間へと変わり、奥から襲ってくる可愛らしい忍者軍団を倒していく。

 ゲームの最大の特徴は、Apple Vision Proのハンドトラッキング技術を活かした操作方法にある。敵の忍者には手裏剣を飛ばして攻撃するが、プレーヤーは手のひらを重ねて、実際に手裏剣を投げるような動作をする。

 敵を倒すとレベルアップし、様々なパワーアップ要素を選択できる。パワーアップ要素はランダムで3択が表示され、レアリティなども設定されている。例えば、手裏剣の速度を上げるパワーアップや、より高レアリティのパワーアップが出やすくなる要素もある。ゲームは1回5分~10分程度の内容だが、このランダム性により、高いリプレイ性を実現している。

画面奥から迫ってくる忍者を手裏剣で倒していくのだ
ランダムなパワーアップ要素もあり、リプレイ性を高めている

 「Shuriken Survivor」の魅力は、ARならではの没入感にある。筆者はVRゲームのプレイ経験があるが、Apple Vision Proと本作のAR体験はそれとは全く異なるものだった。現実世界にデジタルな情報を付加するというARの特性を活かし、現実世界と融合したゲーム体験を提供している。

 プレイ中、忍者は現実の部屋の形状に合わせて移動する。例えば、ゴミ箱などの障害物があればそれを避けて近づいてくる。投げた手裏剣も、現実の壁や家具に当たると、そこに刺さったように見える。この現実と仮想の絶妙な融合が、他に類を見ない没入感を生み出している。

 また、ハンドトラッキングの精度も高く、かなり広い範囲で手の動きを認識できるのはApple Vision Proの強みだ。手と手を擦り合わせることで、通常のコントローラーの振動に相当するフィードバックを得られるのも面白い工夫だ。

ゲームのプレイはコントローラーなどは必要なく、ほぼ全てが手を擦って手裏剣を投げる操作で進行する。押し寄せてくる忍者を手裏剣で倒していくのは爽快感があり楽しい

 細かい工夫はいくつもあるが、ゲームとしてはカジュアルな仕上がりだ。直感的な操作なので、老若男女問わず誰でも簡単に楽しめる。手を擦るスピードによって投げる手裏剣の速度が変わったり、足元に配置されている仮想のお茶を拾うことでゲームを一時停止できるなど、細かな工夫も施されていたのも面白いポイントだ。

 直感的な操作性を高めるための実装にも注力している。例えば、音量調節には3Dのフェーダーが空間に登場し、直感的に操作できるようにした。敵の出現や移動も現実の障害物をリアルタイムに認識して行われ、ARらしいリアルな体験を提供している。

できるだけ2DのUIを使わない工夫など、Apple Vision Proでプレイするゲームならではの体験ができるように工夫しているのだという

 本作の開発にはUnityが使用された。Appleによるプログラミング言語「Swift」は2D UIの作成は簡単だが3Dコンテンツ制作には不向きな面があり、Unityは多くの3Dゲーム開発実績があることから選択されたという。しかし、Apple Vision Pro向けの開発には多くの課題があった。そもそもドキュメント自体が少なく、開発チームはUnityに直接ヒアリングを行い、トライアンドエラーの繰り返しで開発を進めたという。

ドキュメントなどが少ない中、直接のヒアリングや、トライアンドエラーの繰り返しで開発を進めたという

 「Shuriken Survivor」は、従来のVRやスマートフォンのARゲームとは異なる「Spatialゲーム」という新しいジャンルの可能性を感じさせてくれた。特に、手裏剣を投げる動作や、現実世界と融合したゲーム空間など、これまでのVRゲームともまた違った没入型のゲーム体験を味わうことができた。

 「Apple Vision Pro」のような新しいタイプのデバイスの普及に伴い、ゲーマーには今後もさらなる新しい体験ができるようになっていくのだろうと思う。今後の展開が非常に楽しみだ。