【特別企画】
「Left 4 Dead」15周年! 難易度調整システムが協力プレイとFPSの楽しさを教えてくれた作品
2023年11月21日 00:00
- 【Left 4 Dead】
- 2008年11月21日 発売
Valveが2008年11月21日にPC版「Left 4 Dead」を発売してから本日で15周年を迎えた。PC版発売から約2カ月後の2009年1月22日にXbox 360版も日本で発売。現在でもSteamにて本作をプレイすることが可能となっている。
本作は4人協力プレイのFPSで、ウイルスに感染して襲いかかってくるようになったゾンビを倒しながら、脱出ポイントに向けてプレーヤー全員で力を合わせて進んで行くゲームとなっている。
筆者が本作と出会ったのはPC版ではなくXbox 360版が発売されてからおよそ1カ月後だった。筆者にXbox 360と「Gears of War」を薦めてきた友人が、会社の先輩にまたおもしろいゲームを教えてもらったからみんなでやろうと本作を薦めてきた。大学時代に「バトルフィールド1942」などの対戦FPSでボコボコにされてから、FPSに苦手意識があった筆者はちょっとだけプレイするのをためらったのを覚えている。
特に4人協力プレイというのがその頃の筆者にとってはネックだった。絶対足を引っ張るのは見えているし、いたたまれない雰囲気になるのが嫌だった。その空気を察してかオフラインで2人+NPC2体でもプレイできるので試しにプレイしてみてはどうか? と言われてプレイしたのが始まりだ。
そこで本作に搭載されている、プレーヤーの行動によって難易度が変化する「AI Director」というシステムのおかげで、筆者はFPSに対する苦手意識が少なくなった。むしろ協力ゲームの楽しさを覚えたのは本作の影響が大きい。
そんな気軽に遊べる「Left 4 Dead」の15周年を記念し、本作を振り返っていこう。
4人協力プレイでしっかり固まって脱出を目指す
本作の舞台はアメリカの北東部がモデルで、マップは映画の撮影セットのようになっている。ゲームのコンセプトとして、プレーヤーたちは映画の登場人物という設定で、ロード画面が映画のポスター風になっていたりと芸が細かい。プレイアブルキャラクターはフランシス、ルイス、ビル、ゾーイの4人となっており、外見と声以外に大きな能力差はない。
本作は、プレーヤー全員で協力しながら脱出ポイントまで進むことが目的となる。道中は大量のゾンビが襲いかかってくるので、さまざまな武器で倒しながら進んでいく。武器はステージの最初に選べるショットガンやマシンガンのほか、道中で様々な銃や火炎瓶などを拾って使うことができるようになっている。
便宜上ゾンビと言っているが、本作で登場する感染者たちはゾンビではなく、あくまでもウイルスに感染した生きている人間だ。その為ゾンビのようなゆったりした動きではなく、かなりきびきびと動く。そのためプレーヤーたち生存者を見つけると、全速力で走ってくるのだ。
また、敵は通常の感染者のほかにも特殊感染者と呼ばれる強い敵が複数存在。プレーヤーたちの連携を乱してくる。
特殊感染者には自らの胆汁をプレーヤーに吐きかけて視界不良と感染者に襲わせる「ブーマー」、長い舌でプレーヤーを拘束し自身のところまで引きずりこみ、他のプレーヤーから引き離したところでじわじわとダメージを与える「スモーカー」、暗闇の中をしくしく泣いており、プレーヤーが攻撃もしくはライトで照らすなどして見つかると一瞬でプレーヤーに飛びかかってダウンさせる「ウィッチ」など、かなり個性的な能力の特殊感染者がいる。1人で特殊感染者に立ち向かうのは難しいが、仲間と協力すれば切り抜けられるようになっている。
本作のキャンペーンモードは最大4人でオンラインプレイができ、1人でNPCの3人を連れて行くもよし、オフラインで2人とNPC2人でプレイする、オンラインで友達と一緒に遊ぶ、オンラインで知らない人とマッチングして遊ぶといった様々な遊び方ができる。
4人協力プレイを前提にゲームシステムが作られているので、自ずとプレーヤーたちが固まって集団行動で進んでいくことになる。その為プレーヤー同士の連携がとても大事になっており、当時筆者はボイスチャットを繋ぎながらプレイすることが多かった。
各マップの最終チャプターに到達すると、脱出用の乗り物に乗る準備をするための籠城戦(フィナーレ)が始まる。マップごとに脱出用の乗り物は異なり、ヘリや車、ボート、戦闘機など。脱出の準備ができるまで、ひたすらその場所で生き残るために戦うのだ。
フィナーレは各マップの最終チャプターでしか体験できない特別な戦闘となっており、脱出時間になるまでひっきりなしに感染者や特殊感染者たちが前後左右から襲い掛かってくる。どこから感染者が来るか、どの特殊感染者来るか、量はどのくらいかは来てみないとわからない。クリア目前ということもあり戦闘はかなり激しいが、そのドキドキハラハラ感が楽しい。時には複数の特殊感染者がやってくるという、生き抜くには厳しい状況も発生するが、仲間との連携で、何とか乗り越えた時には達成感と生き抜いた喜びでヘッドフォン越しに歓声や拍手が聞こえることもよくあった。
また本作には「AI Director」というシステムが採用されている。この「AI Director」は、プレーヤーたちの動きを常に監視してプレイ中に難易度を変更していくシステムだ。本作にはゲーム上の難易度も複数用意されており、「Easy」、「Normal」、「Advanced」、「Expert」から設定できる。この難易度設定で感染者たちから受けるダメージや感染者たちの体力などが決まるのだが、プレーヤーが与えたダメージ量や武器、弾の残数などに応じて、同じ難易度・同じキャンペーンでも道中の感染者の配置や登場パターン、アイテムの配置などが変化する。これによって同じマップでもいつでも新鮮な体験ができるようになっている。
「AI Director」というシステムがFPSを楽しいと思わせてくれた
筆者がFPSを面白いと感じられるようになったのは、この「AI Director」のおかげだ。
筆者はプレーヤースキルがとにかく低く、友達とオンラインで遊ぶにしても、ソロで知らない人と遊ぶにしても、仲間の足を引っ張ることに定評があった。だが、本作のAI Directorによって随分FPSのスキルが安定するようになった。
上記でも説明した通りこのAI Directorは、プレーヤーの動きを監視し、ダメージ量や武器の種類、敵やアイテムの配置を変化させるシステムだ。そのため同じ「Normal」であっても、弾の弾数が少なかったりすると、敵の数が控えめになったり、落ちているアイテムの数も少し潤沢になったりする。
キャンペーンの序盤はかなりボロボロになってしまう筆者でも、徐々にAI Directorが全体の難易度を調整してくれる。プレーヤー同士の協力なくしては進めないゲームでは、どうしても上手なプレーヤーの負担が多くなることがあるが、AIがプレイ中に自動で難易度を変動させてくれるので、上手なプレーヤー・下手なプレーヤーどちらの立場としても助かる。
またAI Directorは、ソロでプレイしていても適応されるので、1人でひたすら練習するのにもかなりありがたかった。はじめのうちは友人たちとプレイしていた時よりもうまくいかないことが多かったが、その分感染者や特殊感染者たちが少なくなるので、とにかく自力で前に進むことだけに注力してプレイしていた。
そこから少しずつ、武器の扱い方や感染者たちが押し寄せるラッシュなどのチャプターにいくつかある山場を上手く立ち回るための動きなどを考えれるようになっていった。落ち着いて周りが見えるようになってくると、ソロでプレイしていても友人たちとプレイしていた時と同じような感染者の数になってくる。プレーヤーが成長すると、AIがそれを読み取って調整してくれるので、ソロで練習していても成長しているのが実感できた。
そして、次に友人たちとプレイすると、友人たちも同様に上手くなって、さらにキャンペーンが難しくなっていく。それをクリアするために、さらにソロで練習に勤しむというループが発生していた。
もちろん4人協力プレイが前提のキャンペーンモードを1人でコツコツ練習していると、本作の醍醐味は少し減ってしまうが、Normalという難易度の中でもプレーヤーにあった調整が入ることで、心折れずに何度でもチャレンジできる。そして何度もプレイすることで必然的に上手くなっていくし、上手くなると他のプレーヤーと遊ぶのも楽しく感じられるようになった。
筆者はこのAI Directorによって、FPSを練習すること、上手くなること、誰かと遊んで楽しいと思えること、ソロで他のプレーヤーとマッチングして遊ぶことに対する引け目がなくなったので、筆者にとってFPSに対する考え方が変わったように思う。
当時はとにかく休みとあらば遊んでいた本作は、筆者にとっては「Gears of War」に続き、かなり遊んで人生を変えたゲームでもある。個人的にAI Directorというシステムには感謝しかない。あまりにゲームが下手でどうしようもなかった筆者が心折れずにFPSのスキルを向上させられたはこのシステムのおかげだ。また、今でも友達とゲームを楽しくプレイできるスキルを身につけることができたことを感謝している。
改めて「Left 4 Dead」15周年おめでとうございます。本作のおかげで筆者はFPSが楽しくなりました。