【特別企画】
「SPY×FAMILY」や「マジルミエ」など10月発売予定のオススメコミックスを紹介!
高校生4人の成長と恋愛を描く「氷の城壁」は最新5巻が発売
2023年10月1日 00:00
2023年も残り3カ月と年末シーズンが近づきつつあるが、本記事では10月にコミックスの最新刊が発売される注目の4作品についてピックアップして紹介する。
TVアニメSeason 2の放送スタートに加え、12月には劇場作品の公開も控える「SPY×FAMILY(スパイファミリー)」12巻や、一般社会からは断絶されたお屋敷に住むシャドー一族と生き人形たちの物語を描く「シャドーハウス」15巻など、10月も多彩な作品の最新刊が発売となる。
本記事ではこれら4作品の見どころと、前巻の大まかなあらすじを紹介する。既にアニメとしても放送され話題となっている作品に加え、もうすぐ少年ジャンプ+での連載2周年を控える「株式会社マジルミエ」などファンタジー作品を中心にピックアップ。一方、記事の最後に紹介する「氷の城壁」は連載が終了しているにも関わらず、コミックスとしての販売がスタートした作品だ。こちらは各々の視点から恋愛を描く、現代が舞台の作品となる。これら話題の作品から個人的にオススメしたい作品までの4つを紹介していく。なお、発売済みの巻のネタバレをやや含むため注意してほしい。
SPY×FAMILY
出版社:集英社(少年ジャンプ+)
著者:遠藤達哉
最新刊:12巻(10月4日発売予定、価格:572円)
スパイの「黄昏(たそがれ)」は政治家である「ドノバン・デズモンド」と接触するという任務を達成するため、偽装家族になる必要があった。そこで「アーニャ」と妻役となる「ヨル」と出会う。アーニャは人の心が読める超能力があり、一方のヨルは殺し屋というもう1つの顔を持っていた。「SPY×FAMILY」ではそれぞれの素性を隠したままの家族の物語が展開される。
本作の見どころはシリアスな展開も多いスパイマンガでありながら、ドタバタコメディであるというところだ。アーニャの学校視点で描かれる物語以外にも、ロイドの仕事先での生活や、ヨルの日常など至る所にコメディ要素が散りばめられている。それでいてバトルシーンや回想シーンではかっこいい場面や心打たれる場面があるなど緩急のついた物語が読んでいて楽しい。ボケやツッコミ役が決まっておらず、そのシチュエーションごとにアーニャやロイドがボケたりツッコんだりしていく作品となっている。
前巻のあらすじと次巻への期待
アーニャたちの学校生活や、ロイドの潜伏用の職場である病院での出来事が描かれる。一方、アーニャたちの乗った遠足バスがテロリストによってハイジャックされてしまう。ロイドやヨルたちが助けに来れない状況で、幼いアーニャがテロリストたちに立ち向かっていく。
頼れる大人たちがいない中で、アーニャが置かれた最大のピンチに11巻後半は緊迫感もありドキドキハラハラする。テロリストたちに立ち向かったアーニャがどうなってしまうのか、バスジャックは無事に解決されるのか。大人たちがいない中でアーニャの動向が気になる12巻となっている。
株式会社マジルミエ
出版社:集英社(少年ジャンプ+)
著者:原作・岩田雪花、作画・青木裕
最新刊:9巻(10月4日発売予定、価格:715円)
本作は魔法少女が「仕事」として成り立っている世界が舞台となっている。魔法少女が仕事としてある以上、魔法少女たちが所属している会社もあり、そこで彼女たちは怪異と呼ばれる謎の超常現象と戦い、街の平和を守っている。そんな本作のタイトルになっている「株式会社マジルミエ」は魔女少女を派遣している会社だ。
本作の主人公「桜木カナ」は就職活動中の大学生。就職活動がうまくいかず、進路に悩んでいた。そんな時、魔法少女事業のベンチャー企業「株式会社マジルミエ」に所属する魔法少女「越谷仁美」と出会う。カナは真面目で自分がどうなりたいのかよくわからなかったが、子どものころ憧れていた魔法少女の仁美が彼女の心を大きく動かす。魔法少女になることを決めたカナは仁美の所属する「株式会社マジルミエ」の門をたたく。というのが本作の物語の始まりだ。
本作の見どころは「魔法少女」が世界でビジネスとして成り立った世界ということだ。魔法少女らしくちゃんと変身もするし空も飛ぶ。怪異との戦いも魔法を使う。ただしビジネスが故、いろいろな大人たちの思惑が交錯する。また、魔法少女たちが使う魔法は最新のテクノロジーで作られており、そのプログラムを杖に送って戦うというのがメインとなっている。魔法少女というファンタジーと会社という現実世界が見事に融合したことで、魔法少女がリアルの世界にいても違和感がない設定となっており、魔法少女をより身近に感じられるのがおもしろい。就職活動から入社したカナが魔法少女としても社会人としても成長していく姿をしっかり描いているのが本作の見どころだ。
前巻のあらすじと次巻への期待
前巻で京都、塔ノ森での怪異事件が人為的なものではないかと考えるマジルミエ社長の重本。魔法少女になって1年が経つ主人公カナは自分たちが置かれている立場や周りの状況がだんだん見えるようになって戸惑いを吐露する。そんな中、次の人工怪異が起こるであろう情報を社長秘書・翠川が掴んでくる。株式会社マジルミエと人工怪異との対決がはじまるというものだ。
前巻までで魔法少女たちを取り巻く環境や魔女少女事業の在り方を描きつつ、最新刊では人工怪異との激戦が繰り広げられる。
シャドーハウス
出版社:集英社(週刊ヤングジャンプ)
著者:ソウマトウ
最新刊:15巻(10月19日発売予定、価格:748円)
シャドーハウスという屋敷で暮らす、顔を持たない一族「シャドー一族」と彼らに使える「生き人形」たち。顔がないということを除けば富豪の屋敷だが、シャドー一族は顔がないだけではなく常にすすを出し続けている。そしてシャドーに仕える生き人形はシャドーそっくりの姿形をしている。一般社会からは断絶されたお屋敷の中で、シャドーたちは何のために同じ姿形の生き人形たちを従えて暮らしているのか。謎ばかりの屋敷の中で、シャドーのケイトと生き人形のエミリコを中心に物語が動きだす。
シャドーと生き人形という2種類の人物たちが中心となるため、一見ファンタジーのように感じるが、読み進めていくとミステリーやサスペンス要素も強く感じる。そもそもシャドーとは一体何なのか、シャドー一族の狙いや生き人形とは何なのか、といった謎が物語の中に散らばっている。
ケイトとエミリコを中心にそれらが少しずつ解き明かされ、真相に迫っていく過程がドキドキワクワクしておもしろい。だんだんと物語が真相に近づいているように感じても、まだまだ見えないところが多く、読み進める楽しさが尽きないのも本作の魅力だ。
前巻のあらすじと次巻への期待
シャドーたちの中には自ら出ているすすを様々な形に変えたり、遠隔操作するなど「すす能力」として使うことができる者もいる。子どもたちの棟ではこの「すす能力」を巡り、すす能力がない子どもたちを攻撃する「無能力者狩り」が発生していた。ケイトたちはこの事件の黒幕を見つけ出し決闘することでこれら事件は終息を迎える。
ケイトとエミリコは、大人の中に裏切り者がいることを伝えるために子どもたちの棟のリーダー「星付き」のトップと対面する。そして投票を経てケイトは目標の1つであった「星付き」に昇格。様々な特権を手に入れることができた。この2人がここからどう行動していくのか、どうやって大人たちと渡り合っていくのか、15巻での展開に期待したい。
氷の城壁
出版社:集英社
著者:阿賀沢紅茶
最新刊:5巻(10月4日発売予定、価格:990円)
本作の主人公・氷川小雪はあるトラウマから人と接するのが苦手で、人との壁を作りやすい。高校に進学しても仲のいい美姫以外とはつるむことなく学校生活を送っていた。そんな中、人との距離がほぼ0、誰とでも仲良くなる雨取ミナトと出会う。なぜかグイグイ距離を縮めてくるミナトとそれに戸惑う小雪、小雪の友達でみんなの人気者・美姫、おおらかで優しい陽太。三者三様に少しだけどこかが拗れた4人の葛藤と恋愛模様をリアルに読むことができる作品だ。
本作はもともと2020年から2022年までLINEマンガで連載されていたWeb漫画だった。既に連載は終了しており、縦読みマンガということもあり、連載されていた当時はコミックス化されなかったが、集英社の手で2023年7月より改めてコミックス化された。
高校生ならではの子どもから大人になっていく際に感じる自分自身との葛藤や、もどかしさ、周りとの付き合い方などが登場人物ごとに描かれており、そこに恋愛感情が入ってくることでより複雑に心模様が交錯していくのが、非常にリアルでおもしろい。よくある恋愛に他の人物がちょっかいを出してかき乱され拗れるというよりは、それぞれ自分自身と向き合いながら成長していく中に恋愛があり、その恋愛感情と自分の状況やトラウマを重ねながら葛藤していく様はリアリティがあり、どのキャラクターにも感情移入しやすい物語となっている。
前巻のあらすじと次巻への期待
4巻では大きく陽太と美姫にスポットが当たる。父と継母との間に双子の弟妹ができてから家庭内に居場所が見つけられなくなった陽太は、小雪にその思いを吐露する。小雪に励まされて、周りが見えるようになった陽太は家庭内で感じるモヤモヤした感情を感じることが無くなっていく。
また、美姫はクラスの女子たちとの距離感に悩み、気が付けば仲良しグループから避けられてしまったと思い疎外感を感じる。中学時代にも同じ経験をして高校では同じ轍は踏まないように頑張ってきた美姫だったが、また同じ過ちを犯してしまったと落ち込んでしまう。陽太やミナトのさりげないフォローや小雪の辛辣なアドバイスを受け、勇気を出して仲良しグループと素直に話し合う。
4巻では主人公の小雪ではなく周りのキャラクターにスポットが当たった。小雪を取り巻くキャラクターたちの全貌が見えたことで、より小雪の性格や考え方も浮き彫りになったのが印象的だった。お互いが与え合う影響により、少しずつ成長していく4人が5巻でどのように変化していくのか楽しみだ。
まとめ
今回はこの4作品をピックアップした。どの作品もここから物語が急展開していくものや、人として成長していく事件があったりとさらに作品が盛り上がっていくものばかりだ。もちろん10月はここにピックアップしていない魅力的な作品もコミックスとして発売されるので、興味が湧いた作品を是非手にとって読んでみてほしい。
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(C)遠藤達哉/集英社
(C)岩田雪花・青木裕/集英社
(C)ソウマトウ/集英社
(C)阿賀沢紅茶/集英社