【特別企画】

「PlayStation VR2」でゲーム体験は変わるのか? 「Horizon Call of the Mountain」などローンチタイトルでその没入度をチェック

【PlayStation VR2】

2月22日 発売予定

価格:74,980円

 ソニー・インタラクティブエンタテインメントは2月22日、スペックから使い勝手までマルっと進化した最新VR機器「PlayStation VR2(PSVR2)」の発売を予定している。前機にあたる「PSVR」に比べて解像度を初めとした内部性能が向上した事に加え、レンズ間の幅調整や各種ケーブルや本体デザインの変更などにより、さらにユーザビリティの上がったVR機器となっている。

 今回はそんなPSVR2を使い、注目タイトルの1つである「Horizon Call of the Mountain」を中心に3つのローンチタイトルを遊んでみたので、その体験をレポートをしたいと思う。

圧倒的美しさでヒーリング体験できる「Kayak VR: Mirage」

【Kayak VR: Mirage】
メーカー:Better Than Life B.V.
価格:3,080円
プレイスタイル:シーテッド

 今回先行して遊ぶことができたゲームは、カヤックに乗って美しい自然の景色を楽しめる「Kayak VR: Mirage」、物を打ったり引っ張ったりなどVRゲームの基本を体験できる「WHAT THE BAT?」、そしてPSVR2と同時に発売予定で大注目のアクションアドベンチャー「Horizon Call of the Mountain」の3つだ。どれも方向性が異なっていて、PSVR2の性能を試すには丁度良いラインナップとなっている。

 ゲームを開始するに当たって本体をセットアップしたのだが、格段にレンズを幅調整しやすくなっているのを感じた。ここの設定がしっかりしていないと映像がボヤけたり、崩れて映ることになり、見づらいばかりかVR酔いを起こしやすくなってしまう。しかし、映像の見え方調整や視線トラッキングの調整といった各種キャリブレーション、さらには外部に取り付けられた「レンズ調整ダイヤル」によって簡単かつより細かく自分に適した設定にできるようになっている。

 筆者は実はかなり”VR酔い”をしやすいタイプの人間で、前機であるPSVRを遊んだ際には、自分の目に合致した設定をしてない状態で遊んだ時には爆速でぶっ倒れ、しっかりセットアップしたときですら数時間遊ぶと眼球疲労でデロンデロンになる位の人間だったが、今回の試遊では3時間近く遊んだ上でそこまで疲れを感じなかったので、映像美の進化と設定の細分化でここまで快適度が変わるモノなのかと感動したのが印象深い。

 しっかり調整した上でプレイした「Kayak」は、想像以上に美しい自然の光景を堪能できた。PSVR2は、前機の「1920×1080」から「2000×2040(片目あたり)」と解像度が進化している。目視ではそこまで変わらないのではと思っていたが、これがかなり違う。特に、水や遠くの景色の映り方はハッキリわかる位には進化している。モニターやテレビ等とは違い、目とレンズの距離が近いVRハードだからこそ解像度の進化は効果が強いのだろう。

【Kayak VR:Mirage アナウンストレーラー | PS VR2】

 ゲーム性は、両手でカヤックのオールを漕ぐように動かす操作のみで水面を進んでいくというもので、特に大きな仕掛けがあるわけではないが、圧倒的映像美とイヤホンから静かに聞こえる穏やかな音楽、波の音が合わさると、ほぼヒーリング体験で、「VRを装着しているから疲れる」といった事を感じさせないゲームとなっていた。

 激しいアクションゲームをプレイした後の休憩タイムや睡眠時にも使えるレベルなのでは、と思う位の癒やしだったので、進化した映像美を堪能するには申し分ない体験だったと言える。

【Kayak】
画像だと分かりづらいが、VRとして目の前に広がっているとその迫力は凄まじい。映像美の進化もひと目で分かるほどハッキリ感じ取れた。GMや波の音が合わさり、あまりの心地よさに完全にお昼寝モードになれるほど穏やかな作品となっている

ユーモアの効いたVRパズル「WHAT THE BAT?」

【WHAT THE BAT?】
メーカー:TRIBAND PRODUCTION
価格:未定
プレイスタイル:シーテッド、スタンディング

 次にプレイした「WHAT THE BAT?」では、進化したユーザビリティをゲームの中で強く感じることができた。「WHAT THE BAT?」は、最初から両手に持っているバットを使って物を飛ばす、叩く、掴む(両手のバットで挟むようにする)といった基本的なアクションを用いて様々なギミックを解いて進むゲームだ。

【WHAT THE BAT? - ローンチトレーラー | PS VR2】

 映像そのものは、どちらかというとアニメ調の比較的シンプルな仕上がりで、ユーモアやひねりの効いた仕掛けで見せていくタイプのゲームだ。あまりその場から動かずに様々な仕掛けを解いていくので、VRゲームの基本や機能性を確認するにはうってつけの作品と言ったところだろう。見た目からして易しいゲームかと油断していたら、意外と上手くクリアできないステージも存在し、シンプルながらも夢中になれるようなゲーム作品となっている。

 バットが何かに当たると、ハプティックフィードバックによる振動が発生して、オブジェクトの固さを感じられたり、叩いたときの感触が手に伝わってくるのもポイントだったりするが、ただそれ以上に筆者が助けられたのが、今回からPSVR2に備わった新機能「インサイド・アウト・トラッキング」だ。

 これはヘッドセットに内蔵されたカメラを使って、PSVR2を装着した状態でも本体の「ファンクションボタン」を押すことでいつでも周りの景色を見られる機能。白黒映像にはなるが、ワンボタンでいつでも周りの状況を判断できるのは想像以上にユーザビリティの高い機能だと感じた。

 個人的には、PSVR2の機能の中でも「偉すぎる」と感じている。筆者は本作のようなゲームであっても、VR内のあちこちが気になってついつい移動してしまう。そのためどこまでが安全か突然不安になったりするのだが、ふと思った時に適度に回りの状況を確認できるだけで、安心度と快適度は段違いだった。VRゲームのプレイ中、現実の壁や物に激突するリスクがかなり減ることになると思う。

【WHAT THE BAT】
ボールを打ち出して的に当てたり、バナナや物を叩いて飛ばしたりなど、単純ながらもVR感覚が試される作品となっている

これこそ第2の現実! リアリティ段違いの「Horizon Call of the Mountain」

【Horizon Call of the Mountain】
メーカー:ソニー・インタラクティブエンタテインメント
価格:7,980円
プレイスタイル:シーテッド、スタンディング、ルームスケール

 そして最後にプレイした「Horizon Call of the Mountain」は、進化した機能性をフル活用した“The新時代VRゲーム”といった感じになっていた。

 進化した圧巻の映像美から繰り出されるド迫力のアクションシーンの数々は、下手なテーマパークのアトラクションよりも視覚的衝撃が強く、解像度を初めとした様々な性能が向上した事で一人称視点のリアリティが格段に向上しているのを感じた。本作はシーテッド、スタンディングくらいのスタイルでプレイできるが、下記のように体を大きく動かすアクションもあるので、広さはルームスケール程度の余裕があったほうが安心かと思う。

【『Horizon Call of the Mountain』プレオーダートレーラー】

 タイトルの「the Mountain」からも分かる通り、今作では足場が最悪の岸壁や山道を進む事になるのだが、キャラクターとの一体感が強すぎて、崖から飛び移ったりパルクールアクションを行うような場面では自然とため息と深呼吸が出てしまうほどだった。

 VRゲームが登場した最初期は、一人称視点の動きが頭の動きと連動するようになっただけで、やはり現実とは違うなと感じてしまう部分も正直あった。しかし、本作をPSVR2で体験すると、「これは第2の現実では」と言ってしまっても過言ではないほどグラフィックスや体験が洗練されている。ここが本作で最も驚いたところだ。

【Horizon Call of the Mountain】
山を登り切って不意に横や下を見たらこんな景色が広がっていてるのだからビックリもする! 映像美の進化によって、言葉通りゲームの中の世界に入っているような感覚を強く感じることができるだろう

 アクション面においても本作はVRの利点を活かしたことで没入感が別格な作りとなっている。頻繁に行う事となるクライミングアクションでは、本当に山や崖を登っているかのように、手を伸ばしてはつかみ、手を伸ばしてはつかみ、という操作を繰り返す必要がある。

 手を掛けられる場所がある程度決まっているとはいえ、ボルダリングのようにどのようなルートで登っていけばスムーズに進めるかなどを考える必要がある。それでいて下を見れば地面ははるか彼方、奈落の底へと繋がっているような景色が広がっているため恐怖感も強い。飛び移りをミスり、落ちそうになった時は周りに人がいる事を忘れてデカい声が出そうになったほどだ。

 また弓を使ったシューティングアクションの完成度も本作はズバ抜けている。武器の出し入れは、肩に背負った弓を取り出すイメージで、肩に手をやる→トリガーでつかむ→手の位置を元に戻す、とコントローラーを操作して行う。

 また矢は、弓を持っていない方の手で(弓は両手のどちらでも取り出せる)、弓と同じように操作すれば取り出せる。そのまま弓につがえれば準備完了で、あとは矢を引き絞る→トリガーを離す、と現実で弓を射る時と変わらない動きをすれば攻撃となる。ここにも、リアリティの高さがある。

 弓の向きや矢を射る速度も自分自身のアクション次第なので、意外とフィジカルが必要になったりもするが、襲い来る機械獣の攻撃を避けながら実際に弓を射るアクションを行なっていると、アニメキャラになったかのような高揚した気分で戦う事ができる。

 気分は正に日本のホークアイ、東京のアーチャー、現代の那須与一と言ったところだ。操作感の連動と映像美によって、ゲームへの没入感の概念が吹っ飛ぶようなリアル過ぎるゲーム体験を本作では味わう事ができるだろう。

【Horizon Call of the Mountain】
アクションの全てが現実で弓を使うモーションと繋がっているため、臨場感は他のゲームとは一線を画す仕上がりとなっている。飛行型の機械獣の群れに襲われるシーンでは操作が忙しい事に加えて矢を乱射する事になるため息を上げながらプレイしていた程だ……!

 今回の先行プレイでは限られた時間のなかでの体験となったので序盤付近しか遊べていないが、それでも映像・アクションの両方が圧巻の満足度だった。もししっかり時間を作ってプレイできたら無限に遊べてしまうだろうなという印象だ。

 物語を進めていけば「Horizon」シリーズではお馴染みのキャラクター達や、強大な機械獣達との戦いを楽しむことができるため、シリーズファンやアクションゲームファンには堪らない1作になっていると筆者は感じている。

 今回初めて話題のPSVR2に触ってみたが、技術力の進歩とユーザビリティの向上を触った瞬間に感じ取れるほど分かりやすく体験できたので、VR機器を持っていないゲーマーや、VR酔いで購入を諦めていた人などにも、PSVR2は試してみる価値はある。未だ進化し続けるVR技術の今後が楽しみになるような機体だった。