【特別企画】

「FF7」の原点はここにある! 「CRISIS CORE –FINAL FANTASY VII– REUNION」プレビュー

オリジナル版の魅力を引き継ぎつつ進化を遂げたリメイク作

【CRISIS CORE –FINAL FANTASY VII– REUNION】

12月13日 発売予定(Steam版は12月14日)

価格:
6,820円(通常版)
10,120円(デジタルデラックスエディション)

 2007年にPSPで発売され大ヒットとなったアクションRPG「クライシス コア -ファイナルファンタジーVII-」。そんな本作のリメイク版「CRISIS CORE –FINAL FANTASY VII– REUNION」(以下、リユニオン)として、12月13日に最新のプラットフォーム向けに発売される。この15年の間にゲームを遊ぶ環境だけではなく、ゲームそのものも大きく進化を遂げてきた。今回発売されるリメイク版は、そのギャップを埋め現代のユーザーでもストレスなく遊べるようにチューニングされたタイトルだ。

 以前、「東京ゲームショウ2022」で行なわれた試遊版のレポートをお届けしたが、今回は序盤の3章まで遊ぶことができた。内容的に若干被る部分はあるものの、そこからわかった本作の特徴と魅力をお届けする。なお、本記事では前述したように3章までのネタバレが含まれているため、注意してほしい。

【『CRISIS CORE –FINAL FANTASY VII– REUNION』発売日発表トレーラー】

グラフィックスと操作性の良さが大幅に向上! フルボイス化で物語により感情移入できるように

 この「リユニオン」は、「ファイナルファンタジーVII」(以下、FF7)の前日譚を描いた作品だ。主人公はクラウドではなく、ソルジャークラス1stを目指すザックスである。ゲームの内容そのものは大きく変更することなく、基本的に遊びやすくなるように作り直されているのだが、それを大きく感じるのはグラフィックスのHDリマスター化だろう。

 PSPにて発売されたオリジナル版をつい最近プレイしてみたのだが、当時の3Dグラフィックはお世辞にも美しいとはいえず見た目もかなり粗い。今の感覚でプレイするとグラフィックスや操作感など、違和感を覚える部分がかなりあるのだ

 今作の3Dモデルは元のデータをそのまま流用するのではなく、新たに作り直されている。同じくリメイク版の「FINAL FANTASY VII REMAKE」を遊んだことがある人ならわかると思うが、全編を通してあのクオリティで作り直されているという感じだ。

PSPで発売された、オリジナルの「クライシス コア -ファイナルファンタジーVII-」
上記とまったく同じシーンだが、「CRISIS CORE –FINAL FANTASY VII– REUNION」ではこれだけグラフィックスが進化している

 それに加えて、最初のプレイ時に驚かされたのはモブキャラを含めて多くの登場人物がフルボイスで話すところである。こちらもオリジナル版では主要キャラであっても、テキストのみのセリフになっている部分が意外と多かった。今回は足りない部分は新たに収録し直されているそうで、美しいグラフィックスに合わせて声による演技も楽しめるようになっているのだ。

 物語全体を通してはシリアスな内容になっているのだが、ザックスという明るい性格のキャラクターやそれを取り囲むまわりの面々とのやりとりなどもあり、思わず微笑んでしまうようなシーンも登場する。以前はそれをテキストで読むだけだったのだが、やはりキャラクターが話してくれるとひと味違った雰囲気に感じられるのだ。

ラザード統括の前では、従順な子犬のように振る舞うザックス。他にも微笑ましいシーンがいろいろと出てくる

 最初にゲームを起動すると、難易度や言語、カメラの操作方法などが選べるようになっている。ゲーム難易度は、NORMALとHARDの2種類から選べる。デフォルトではNORMALになっているため、現状より難易度を下げるという選択肢は用意されていない。カメラの操作方法は4種類の中から選ぶことが可能だ。

 オリジナル版をプレイして特に不満に感じたのが、このカメラ操作である。マップを移動するときなどあまり直感的な感じではなく、非常に遊びづらく感じていた。どちらかというとアクション性の高いゲームであるため、戦闘中はキャラクターが思い通りに動かせるかどうかは死活問題である。それが現代風にリファインされており、少なくともそうした部分に不満を感じることはなかった。

移動中などのキャラクター操作もストレスがなくなった

コマンドバトルから進化させた爽快感溢れるアクション!

 オープニングでは、神羅カンパニーの施設が建ち並ぶミッドガルの風景からロゴマークが映し出されるという、おなじみの演出からスタートする。今回はPS5版でプレイしたのだが、その直後に列車が登場するシーンで音と共にコントローラーが震えたことで、思わずびっくりしてしまった。それにしても、お約束とはいえ「FF7」ファンのハートを掴むには完璧すぎるオープニングである。

ミッドガルの光景を見ると、「FF7」の世界に戻ってきたような気分にさせられる

 列車から飛びおりた後は、警備兵といきなりバトルが始まるという、これまたリメイク版「FF7」のスタイルを踏襲したようなチュートリアルが用意されている。特に本作はコマンド選択式のRPGとは異なり、どちらかというとアクション性の高い作品になっている。そのため、しっかりとバトルの基本を教えてくれるのはありがたい。また、その直後には強力なモンスターであるベヒーモスとの対戦も用意されていた。あくまでもチュートリアルということもあり難易度は低めになっていたのだが、バトルの楽しさを体験するのはちょうどいいバランスになっている。

チュートリアルで、いきなり強敵モンスターのベヒーモスと対決することになるとは!?

 バトルはキャラクターを動かしながら「たたかう」で剣による攻撃を行ない、「ガード」や「回避」で敵の攻撃を避けていく。それに加えて、マテリアを装着することでMPを消費して魔法を使ったり、APを消費して特殊な攻撃ができたりするアビリティも使用することが可能だ。実際のバトルでは、これらを駆使しながらリアルタイムで攻撃をしていくことになるのである。

 ゲームを始めたばかりの頃はやや操作が難しく感じる部分だが、慣れてくるとそれが爽快感に変わっていく。ゲームを進めていくにつれて徐々に敵が強くなっていき、要求されるアクションのレベルも上がっていくといった感じだ。キャラクター自体の成長に加えて、新たなマテリアやアクセサリーなどで強化していくことはできるのだが、それに伴いプレーヤー自体の成長も要求されていくようになるのである。

剣による近距離攻撃と魔法の遠隔攻撃などを織り交ぜていきながら、敵を倒していこう

 特にゲームに慣れていないときに注意したいのが、体力を表すHPバーの残量だ。アクションに夢中になってついつい見落としがちだが、気が付けば体力が0に近くなり、攻撃を受けてゲームオーバーになるということもある。バトル中はHPの残量を気にしながら、減ってきたときは回復魔法や手持ちのアイテムで回復しよう。

 また、強力なモンスターとのバトルで特に注意しなければいけないのが、「スキルパワーゲージ」である。敵が強力な技を繰り出す前の詠唱状態になると、画面に「スキルパワーゲージ」が表示される。その間にダメージを与えることで、技の威力を下げることができるのだ。モンスターによっては回避不可能な技を繰り出すものもいる。一撃で死んでしまうこともあるので、可能なら「スキルパワーゲージ」が出ている間に止めたいところである。

ピンク色の「スキルパワーゲージ」が表示されたときは要注意。できるだけダメージを与えて、威力を下げよう

バトルに運要素を盛り込んだ特殊なシステム「D.M.W」

 もうひとつ、本作のバトルを特徴づけている要素が「D.M.W」だ。これはデジタルマインドウェーブの略語で、ものすごく簡単にいうとパチスロのように3つの絵柄が回転して、揃った数字によって様々な効果が出るというものである。3つの数字が揃わないときでも、一定時間は物理攻撃や魔法攻撃が無効になったり、APやMP消費が一定時間消費ゼロになったりするなど、戦闘に有利な効果を得ることができる。

 それとは別に、同じキャラクターの絵柄が揃うと敵に強力なダメージを与えるリミット技の発動や召喚獣が呼び出せる。リミット技は自動で発動されるわけではなく、プレーヤーの好きなタイミングで出すことができる。とはいえ、タイミングを待つよりはすぐに使った方が有利になる場合が多いため、あまり難しいことは考えずにどんどん使っていっても問題ない。

絵柄が揃う瞬間の演出シーン。本編に出てこない映像が見られる
リミット技では特別な演出が見られる

 ちなみに、絵柄が揃う演出時には、本編にも登場しないアニメーションが流れ、初見の際には特に楽しめる。バトルはアクション性が高いが、この演出が流れているときとリミット技が発動するときのカットシーンは一休み状態になる。ジュースを飲むぐらいの余裕ができるので、これはこれでありがたい仕様だ。

 以前は「D.M.W」の演出を飛ばすことができなかったのだが、今作ではスキップすることも可能だ。テンポ良くバトル続けたいときなどは演出をスキップして、早めにケリを付けることもできるのである。

 「D.M.W」のもうひとつ重要な要素が、ザックスのレベルアップである。実は本作ではどれだけ敵を倒したところでキャラクターのレベルが上がっていくわけではない。しかし、「D.M.W」でリーチになった状態で777の数字が揃ったときのみレベルが上昇するのである。運要素が強く、人によってはうまくレベルアップできずに詰んでしまうと思われるかもしれない。だが、実際は気が付けばレベルが上がっていたという感じなので、それほど気にすることはないだろう。

ルーレットの目でキャラクターがレベルアップしていくというのも、他にはない本作ならではの特徴だ

バトルの練習にもオススメのサブクエスト要素「ミッション」

 本作では、メインストーリーとは別に「ミッション」と呼ばれるサブクエストも多数用意されている。ミッションには★1などのランク付けがされており、数字が大きくなるほど難易度も上がっていく。特定のミッションをクリアすることで新たなミッションが開放されるほか、メインストーリーを進めていくことでも解放される場合がある。

ミッションでは、マップ上のどこかにいるターゲットを倒すとクリアとなる

 サブクエストはあまり重要ではないと考える人もいるかもしれないが、先ほど紹介した「D.M.W」で呼び出せる召喚獣は、主にミッションで入手することができる。ほかにも、装備できるアクセサリの数を増やしたりマテリアが入手できるなど、様々な報酬が用意されているので、可能な限りクリアしていきたいところである。

召喚獣を使えるようにするには、ミッションをクリアする必要がある
無事イフリートに勝利し、リミット技に追加することができた

 また、単純にバトルをもっと練習したいという人にもオススメだ。★1や★2あたりのミッションはそれほど難易度が高くないが、それ以降は登場する敵も固くなり、手強く感じる。戦闘もそれに伴いシビアになっていくのだが、ある程度こちらのミッションで慣れておくことでメインストーリーに出てくる敵との戦闘に余裕を持って挑めるようになるのだ。

サブクエストの「ミッション」では、ランクによって難易度が設定されている。クリア報酬も確認することが可能だ

ソルジャークラス1stへの昇格でマテリア合成が解放!

 ゲーム開始はソルジャークラス2ndからのスタートだったザックスだが、メインストーリーを進めていくことでソルジャークラス1stへ昇格することができる。それにより、装備できるマテリアの数が最大6つまでに増えるほか、「マテリア合成」ができるようになるのだ。

ラザード統括より、ソルジャークラス1stへの昇格を告げられる

 この「マテリア合成」は、ふたつのマテリアを合成して新たなマテリアにできるというものである。こうした合成要素というのは、ゲームではよく見かけるシステムだ。実際に合成してみないと結果がわからないということも多いが、「マテリア合成」では合成前にどんなマテリアができるのか確認できる。そのため、手持ちのマテリアの組み合わせで合成できるものも簡単にチェックすることが可能だ。

 ちなみに、マテリアは装備しておくことで使用頻度にかかわらずランクが上がっていくが、マスターレベルまで育てたマテリアを合成することで、より高ランクのマテリアを合成することができるようになっている。ソルジャークラス1stになると装備できるマテリアの数に余裕ができるので、育成目的でセットしておくのもいいだろう。

ファイアとブリザドを合成して、新たにサンダーのマテリアを入手することができた

アクションが苦手という人にも挑戦してほしい名作

 ざっと序盤のゲームプレイで感じたことやポイントなどをご紹介してきたが、全体的にはかなり遊びやすくなっているという印象だ。細かな点でいうと、随所にインフォメーション画面が表示され、何がポイントなのか教えてくれる親切設計になっている。また、オリジナル版にもあった要素だが、メールを見ることで、Q&A的に情報が読めるようになっているところもありがたい。

このように、重要なポイントはわかりやすくアナウンスしてくれる

 オリジナル版を遊んだ人や「FF7」のファンはもちろんのこと、リメイク版「FF7」のエンディングに登場したザックスというキャラクターに興味をもったならば、ぜひともプレイして欲しい1本だ。単純にストーリーを深掘りして楽しめるというだけではなく、どのようにこの世界観が作られていったのか歴史を体験することができるのである。

シリーズではおなじみのキャラクターたちとも再会できる!?

 アクションは苦手なのでオリジナル版の「クライシス コア -ファイナルファンタジーVII-」は避けていたという人もいるかもしれない。だが、最新のゲーム機で遊べるようになったことから、操作性も含めて全体的にゲームプレイ自体はかなり快適になっている。プラットフォームも大きく変わり、ゲーム自体も最新の技術をふんだんに盛り込んだものに生まれ変わっているので、これを機に挑戦してみるのもいいのではないだろうか。

各章の合間に見られるイラストも見どころのひとつだ