【特別企画】
セガ、札幌スタジオ開所式を実施。「ソニック」や「龍が如く」などの開発・デバッグ業務を担当予定
2022年3月4日 22:09
- 3月4日 実施
セガは3月4日、札幌市のセンチュリーロイヤルホテルにて、「株式会社 セガ札幌スタジオ 開所式」を執り行なった。
セガ札幌スタジオは、セガが開発体制強化のため、2021年12月1日に札幌市に設立したスタジオ。現地採用を中心とし、ゲーム制作におけるプログラミング業務や、デバッグ業務などを行なうという。
開所式ではセガ札幌スタジオ会長の内海州史氏や、札幌市長の秋元克広氏らが挨拶を行ない、札幌スタジオの代表取締役社長である瀬川隆哉氏がスタジオ設立の背景やその役割などについて語った。
式ではまず、セガ札幌スタジオ会長の内海州史氏が「札幌という地で我々がスタジオを作ることができ、嬉しく思っています」と挨拶をし、札幌ではかつてハドソンが立ち上がり、ゲーム業界の黎明期に、その文化を作ったことに触れた。
続いて秋元克広市長が登壇し挨拶。秋元市長は、企業の開発拠点等が首都圏に集約していることから、札幌で学んだ学生が就職の際に道外に出てしまい、若者の人口流出が避けられないという事態が札幌にあったため、札幌市ではITやバイオといった創造型の産業の集積を目指した様々な取り組みを行なっていた。そんな中で、セガから市内の人材育成・専門学校の状況、企業誘致の助成制度等に関する問い合わせがあり、それから総合的な判断でスタジオ設立に繋がったという。
また札幌は、2030年の冬のオリンピック・パラリンピックの招致を目指している。現在eスポーツが注目されていることから、秋元市長は「2030年に正式な競技になるかは別として、札幌での解説が実現した時には何らかの形でITとスポーツを結びつける提案などもしていければ、今後の広がりにつながっていけると思います」と語った。
スタジオでは開発やデバッグ業務をはじめ、IT教育も行なう
続いて代表取締役社長の瀬川隆哉氏が登壇し、スタジオの役割などについて語った。まず札幌スタジオだが、質が高くて安定的なクオリティを生み出せる開発ラインを確保するべく設立されたという。近年、世界のゲーム人口が30億人を突破し、世界レベルでゲーム市場が拡大。それに伴ってゲームのコンテンツに対する需要も増大しており、ソフトメーカーにとって、開発体制の強化が重要になっているからだ。
瀬川氏は「札幌市は古くより北海道の政治・経済・文化の中心だということもあり、大学や専門学校など教育機関が豊富であり、人材確保の観点からも非常に魅力的だった」と語った。また、札幌での雇用に加え、新たにU・Iターンを希望する従業員との契約にも繋がると考えているとのことだ。
札幌スタジオについては、セガ100パーセント出資のグループ会社であり、セガIPに関するタイトルの開発と、デバッグ業務を担うとのことで、「ソニック」シリーズや「龍が如く」シリーズなどの担当を予定しているとのことだ。
瀬川氏によるとセガ札幌スタジオは、「開発」、「品質管理・デバック」、「IT支援・育成」の3つの役割があるという。「開発」では、セガタイトルの請負作業による人材の育成を行なっていき、開発ノウハウの蓄積を目指す。中長期的には海外も含めたグループタイトルの請負作業による事業幅の拡大。そして最終的には札幌スタジオのみでのオリジナルタイトルの開発し、世界へ発信することを目標としている。
「品質管理・デバッグ」では、セガタイトルのバグチェックを通じ、チームと人材の育成を行ないながら、AIを利用したデバッグを導入する取り組みを行なっていくとのこと。また、デバッグサイクルの強みとして、開発と品質管理の距離の近さを活かしていきたいとのこと。中長期的には、培ったノウハウを活かし、タイトルのコンサルを行なったり、開発に寄り添ったサポートを目指していく。
「IT支援・育成」においては、千歳市で行ない好評を得た学生向けのぷよぷよを使ったプログラミング講座のような学校での特別講義を、北海道の各地で行なっていくという。講座を教えるメンバーは札幌スタジオの人員で構成する予定だ。
瀬川氏は、この講座を通じて未来の北海道のゲーム開発を担うクリエーターの育成支援を行ない、将来、セガに就職したいという気持ちを持ってもらえるような取り組みをしていきたいと語った。
札幌スタジオは、5年後に開発60名・デバッグ150名を目指し採用活動を行なうとのことだ。札幌でのスタジオ設立及び、地元での雇用は、業界が取りこぼしてきた新たな人材の確保に繋がることが見込まれるのではないだろうか。今後の動向に期待したい。
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