【特別企画】

「リネージュW」の自動翻訳機能がすごい!スマホMMORPGで国際交流体験

ゲーム専門用語もきちんと翻訳できる賢いAI

【リネージュW】

11月4日 配信開始

プラットフォーム:iOS、Android、Windows

利用料金:基本無料(一部アイテム課金制)

 MMORPG「リネージュ」シリーズ最新作として、スマートフォンやタブレット、NCSOFTのクロスプラットフォーム「PURPLE」を介してPCでもプレイができる「リネージュW」が11月4日に世界同時リリースされた。リリース時点で、日本を含む世界13の国と地域でグローバルサービスを展開するというシリーズ初の試みに挑戦している。

 今作はゲームとしてはPC向けにリリースされた初代「リネージュ」の持つダークファンタジーな雰囲気を踏襲した見下ろし視点の本格派MMORPGだ。複数のワールドが用意され、さまざまな国籍のプレーヤーが同じ世界で同時に冒険できる。プレーヤーは「血盟」というコミュニティを通じて互いに協力し、時には対立しながら覇権を競っていく。

 グローバルサービスということで、気になるのは言語の壁だ。本作で重要な「血盟」はプレーヤー同士の寄合であり、チャットによる意思疎通は必要不可欠。「日本語以外の言葉はわからないから……」という理由で本作を敬遠している人もいるのではないだろうか。

 「リネージュW」では、そんな不安を払拭する機能としてチャットでのコミュニケーションを支援する「自動翻訳」が備わっている。チャットに投稿される文章を指定の言語へと自動的に、瞬時に翻訳する独自機能だ。その威力を確かめるべく、本稿では複数の言語が飛び交う血盟にお邪魔して、異なる言語での血盟メンバーとのコミュニケーションを試してみた。

血盟への参加はレベル20から。道のりをおさらい

 まずは血盟に参加するまでの流れを簡単におさらいしよう。プレイ開始当初は、血盟機能がロックされているが、チュートリアルを進めていくうちに利用可能になる。基本的な操作や序盤の進め方は掲載中のプレイレポートをご確認いただきたい。今回は改めて「君主」クラスのキャラクターを育成して血盟加入までの流れを復習した。

今回は「君主」でプレイを進める。国を追われた主人公だが、立派な君主として成長を遂げる。エルフと魔術師のオープニングはダークな感じが漂うが、君主のストーリーは比較的明るい雰囲気。
ゲームを始めたばかりの頃の写真だが、周りのキャラクター名を見てみると漢字やハングルが目立つ。このワールドはアジア圏のプレーヤーが多い様子だ。

 最初に立ち寄る“話せる島の村”でチュートリアルにあたるクエストを進めていくと、ダンジョン「黒い戦艦」の攻略を請け負うことになる。このダンジョン攻略を完了した辺りでレベル20に到達。「血盟」を創設するか、または加入するか、それとも1人で活動するかを選ぶことができるようになる。

 血盟は、多くのMMORPGにおいてギルドと呼ばれるものと同等の要素。加入することで限定アイテムが購入できるようになるほか、野良ではなく互いを知った血盟員とパーティを組むことで狩りやレイドをプレイしやすくなるというメリットが享受できる。ただし、血盟を創設できるのは君主のみ。君主で予算が工面できるプレーヤーであれば独自の血盟創設も可能だ。君主以外であれば、特にデメリットはないので血盟に加入すると良いだろう。

魔術師でプレイした時も苦労はしなかったが、改めて君主で戦いを挑んでみたところ、より簡単にダンジョンのボスにも勝利できた。HP量が多いキャラクターなので初心者にもオススメしたい。
この選択肢以降は、メインメニューの血盟が機能するようになる。友人たちを集めて血盟を創設するも、見ず知らずの血盟に加入するも、すべてはプレーヤーの考え次第だ。

非常に優れた翻訳機能のおかげで、どんな会話が飛んできてもコミュニケーションが取れる!

 レベルが20に到達し、血盟への加入や創設ができるようになったということで、いよいよ国際交流に本腰を入れてみることにした。

 本作は、執筆時点で世界13の国と地域にて配信されているため、プレイしているとさまざまな国の文字を目にする。特に、全体チャットで流れてくる割合で多くを占めるのが、韓国・台湾の言葉。しかし、そもそも若干の英語以外の外国語がわからない筆者からすると、どのような会話をしているのかがまったく想像がつかない。

全体チャットで話をしている中に、日本語や英語はまず見かけない。主に韓国、台湾のユーザーが会話をしているようだ。

 これではコミュニケーションをとる以前の問題、ということで調べてみたところ、「リネージュW」にはそれを解決してくれる、驚くべき機能が備わっていた。それが、チャット設定内にある“自動翻訳”機能だ。左がオリジナルで、右が自動翻訳をオンにした時の、それぞれの会話内容となっている。こうして見ると、非常に分かりやすい日本語に翻訳されていることがわかるだろう。

まったく読めない・理解できない文字列が並んでいる状態から、一瞬にして意味のわかる・読める日本語へと翻訳表示される。特に、完全なゲーム用語である“血盟”や、会話でよく使われる“笑”といった単語がきちんと変換されているのは、すごいの一言。

 しかし、ゲーム内だけでは翻訳精度がどれくらいのものなのかはわからない。そこで、翻訳ツールとしては有名な「Google翻訳」と、その精度の高さから人気を誇る「DeepL」を使い、ゲーム中の翻訳とはどの程度違うのかを見てみた。ちなみに、自動翻訳機能をオンにしておかなくても、発言の最後に表示されている“文A”というアイコンをタップすれば、その都度日本語/元の言語へと変換してくれる。

会話の最後にある“文A”アイコンが翻訳ボタン。押すたびに、元の言語と日本語がかわるがわる表示される。

 まずは、全体チャットで流れてきた韓国語の「중립 혈원 모집니다」だが、ゲーム中の翻訳機能を使うと「中立血盟員募集します」と訳された。次に、Google翻訳へ手書き入力を頼りに元の韓国語を入力してみる。するとGoogle翻訳は「中立血源が集まります」と訳した。ゲーム内での翻訳と比較するとまるで異なり、意味がよくわからない結果だ。“血盟”というワードが「リネージュW」固有のもので正しく翻訳できなかったためだろう。なお、DeepL翻訳は韓国語への変換オプションがなかったため、ここでは見送っている。

ゲーム内での翻訳と、Google翻訳を利用した結果。単語の意味としては近いがゲーム用語の翻訳や訳文の自然さという点で内蔵の翻訳機能が優れている。

 先ほどは韓国語だったので、今度は中国語で表示された会話を取り上げてみた。「有人要打巴風特マ(くちへんに馬)」という発言をDeepLに入力してみたところ、「誰かバファートを殴りたい人はいませんか?」と出力。同じ単語をGoogle翻訳で試すと「Bafengtを倒したい人はいますか?」と、ほぼDeepLと同じニュアンスに変換されている。これがゲーム内翻訳を使用すると「バフォメットを叩きたい人はいますか」となった。

 「巴風特」のみであれば、Google翻訳は「バフォメット」でDeepLが「Bafonte」だったものの、言葉がさらに続くと惜しい結果に。こうして比べてみると、ゲーム内翻訳は非常に精度が良いことがわかる。

DeepLで中国語を翻訳
Google翻訳の結果
「巴風特」を「バフォメット」と翻訳するなど、DeepLよりもGoogle翻訳が健闘した形だ。が、それでもゲーム内翻訳には及ばないことを考えると、「リネージュW」の翻訳機能が非常に良くできていることがわかる。

 となれば、ゲーム内翻訳だけで日本人以外のプレーヤーと日本語でコミュニケーションを図ることも十分に可能なはず。そこで、血盟の中からメンバーが国際色豊かなものを探して加入してみた。

血盟は、加入前にメッセージやメンバーなどを見ることができる。血盟メッセージはチャットと同じく、翻訳ボタンを押すことで日本語になるので安心。ちなみに左がオリジナルで、右が翻訳した画面。
構成メンバーと活動内容は、必ずチェックしておこう。日本人が1人も居ない血盟に加入してしまうのも、ある意味気まずいものだ。なお、血盟には即座に加入できるもの(即時加入)と、加入申請を出して受理されることで始めて加入できるもの(加入申請)の2種類がある。
今回加入した血盟には、名前が英語表記のプレーヤーが数人と、ハングル語表示が2人、そのほかは漢字の表記だった。

 実は今回、プレイ中に“カエルが出現した”といったメッセージが表示されるのを見かけたのだが、それが何を意味するのかがまったくわからなかった。そこで、同じ血盟の人に向けて「カエルは何かいいことあります?」とチャットで質問を投げかけてみることに。

 すると、即座に中国語で返事が届いた。つまりこれは、筆者が入力した日本語メッセージを日本人以外のメンバーが自動翻訳で受け取り、発言内容を理解して返信してくれたということ。

 ただし、届いたメッセージは何が書かれているのかわからないので、翻訳ボタンをタップ。すると「まだカエルを倒していません」という回答で、ちょっと拍子抜けしてしまった。とはいえ、質問に対する明確な答えではなかったものの、こんなに簡単に他国の人と母国語でコミュニケーションを取れるとは思っていなかったので、少々小躍りしてしまったのも事実。

実際に会話をしていたシーンだが、こちらの発言に違う言語で返信をもらえるうえに、その意味もわかる。これらがゲーム内で完結しているというのは、実にすごいことだと素直に感じた。

 これで何となくあったコミュニケーションの壁が取り払われた感じがしたので、血盟チャットを眺めていたところ、先ほど返信してくれた人から「在打王?」という発言があった。翻訳ボタンを押すと「王を倒す?」と変換されたが、今一つ意味がわからない。すると、同じ血盟に加入している日本人プレーヤーが同様の疑問を持ったらしく、「王??」と返信。これに先ほどの人が「BOSS」と返してくれたので、つまりはレイドボス戦に行きたいですねという意味だったと理解できた。

音声入力機能も精度抜群。ただし使用には注意点も

 チャットにはもう一つ、“Voice to Text”という音声入力機能が備わっている。これは、音声認識でテキスト入力が行なえるというもの。こちらも精度が気になったので、実際に試してみた。

 iPad mini 6thを机の上に置き、特にマイクを意識することなく約20cm上方から「誰かバフォメット倒しに行かない?」や「アデナ稼ぎはどこがいいかな?」などいろいろ発声してみたところ、文字おこしだけでなく変換も完璧。これには非常に驚かされた。筆者の標準語で話す限りは「エモい」「ぱねぇ」のほか、別のゲームタイトルであったり、はてはゲームに全く関係が無いアニメ作品の名前まで正確に変換されてしまい、もはや“参りました”としか言いようがなかったほど。ただし、××弁といった訛りが入ると、正しく変換されない可能性があるかもしれない。

 なお、音声入力したテキストは、チャットに流すと再生ボタン付きの発言として表示され、再生ボタンを他の人が押せば声が聞けてしまうようだ。キャラクターと中の人の性別が別で、キャライメージを大事にするなどの場合は、あえて“Voice to Text”はパスするという手もあると思った。

通常のチャットではキーボードが画面を占拠してしまうが、“Voice to Text”機能を使用すれば一瞬にして入力が可能。使用する時は、マイクのアイコンをタップして音声を発声後、再びマイクアイコンをタップすればOKだ。
“Voice to Text”でテキスト入力すると、チャット欄には再生ボタン付きで流れてしまうようだ。再生すれば声が出てしまうので、人によっては痛し痒しか。

 こうしてしばらく会話を楽しんだが、自動翻訳機能のおかげで国を意識せずにコミュニケーションを図れたことは素直にすごいと感じた。ただし、全世界規模でリリースされているゲームなので、文化の違いによるプレーヤー間のトラブルには注意したい。

 例えば、「リネージュ」シリーズでは問題ないとされているPK(プレーヤーキル)だが、それを嫌がる日本人は多い。また、外国人プレーヤーを優先的にPKする、というユーザーも一部には存在するという話もある。そのため、少しでも憂慮を少なくして平和に過ごしたいということであれば、日本人の登録が多いサーバーを探して選ぶのが良いだろう。

サーバー数は大量に用意されているので、自分のプレイスタイルに合わせて選ぶのもあり。

 また、日本人が少ないサーバーでプレイしていると、常に全体チャットが流れてくるのも気になるところだ。内容がわからなければ会話も楽しめないし、ずっと表示されていると快適にプレイできるとも言いにくい。さらに、自動翻訳をオンにしてケンカ腰の会話だということがわかると気分を害することもあるだろう。そうならないためにも、日本人プレーヤーが少ないサーバーでは、全体チャットはあらかじめオフにしておくことも選択肢の一つだ。

 ちなみに、「リネージュ」シリーズは韓国生まれの作品なので、必然的にプレーヤーも韓国の方が多くなっている。そんな彼らが多いのはエヴァサーバーらしいので、情報として覚えておこう。

筆者が最初にプレイしたキャラクターのサーバーでは、ちょっと物騒な会話が全体チャットで行われていた。こんな話は、翻訳しないか見ないようにするのが一番。
プレーヤー名にカタカナを付けるとPKされやすいという噂があるようだが、筆者がこうしてキャラを放置しておいたものの、言われているような物騒なことは起きなかったので安心してほしい。

自動翻訳機能は精度も高く十分使えるので、国ごとの文化的差違を意識しながらコミュニケーションをとりたい

 今回は主に「自動翻訳」機能の検証として「血盟」での国際コミュニケーション、特に韓国・台湾のプレーヤーとの意思疎通を紹介した。今回取り上げた以外にも「血盟」内でのコミュニケーションは円滑に行なえており、従来のMMORPGではなかなか味わえなかった手軽な国際交流を体験することができた。

 自動翻訳機能は非常によくできており、余計な設定を必要とせずに自国以外の人と会話ができるというのは、非常に驚かされた。これならば、どのような国の人とでも安心してコミュニケーションを図ることができるだろう。ただし、国ごとの文化を尊重する気持ちだけは忘れないでおきたい。

 文化的価値観を合わせるために日本人の多いサーバーや血盟でプレイするのも良いが、余裕ができたらぜひ国際交流を楽しんでみてはいかがだろうか。もしかすると、これまでとは違った新しい世界が開けるかもしれない。