【特別企画】

『真・三國無双8 Empires』TGS先行プレイレポート&開発者インタビュー

在野の一武将から一国一城の主へと成り上がり、全国統一する遊び方が本作の醍醐味です

 体験プレイ終了後、『真・三國無双8 Empires』のゼネラルプロデューサーである鈴木亮浩氏に話を伺うことができたので、今回遊べた部分で気になった箇所をいろいろと聞いてみた。当日は、本作のディレクター・栗田崇祐紀氏にも同席していただいている。

今回話を伺った『真・三國無双8 Empires』プロデューサーの鈴木亮浩氏。大学卒業後、プログラマとして光栄(現:コーエーテクモゲームス)に入社し、「真・三國無双」シリーズや「無双OROCHI」シリーズ、『三国志13』などのプロデューサーを担当。現在は、エンタテインメント事業部の執行役員とω-Forceブランドプロデューサーも務める。

――今作のコンセプトを教えてください。

鈴木氏:「Empires」シリーズ最新作ということで、同シリーズのコンセプトである“一騎当千の爽快アクションと国盗り”の両方が楽しめようになっています。今作も、それを踏襲していますが、戦闘部分だけは従来の“兵站を繋げながら陣を取っていく”という形ではなく、攻城戦へと大きく舵を切りました。

――その攻城戦ですが、導入のきっかけや、メインに使用とした理由を教えてください。

鈴木氏:『真・三國無双8』でオープンワールドにチャレンジし、そのときに中国大陸全土に渡るステージを制作し、しかも主要都市もしっかりと作り込んだ形で完成させました。なので、それを有効に使えないかというのが一つです。もう一つは、城をしっかり作ったところ、大きなスケール感になりましたので、この巨大さがあれば本来の……というのはおかしいんですが、“ゲーム化した戦い”ではなくて、リアルに近い攻城戦が実現できるのではないかというのがありまして、今作ではそれにチャレンジしようかなというのが始まりです。

――城を攻める要素としては、今日プレイできたバージョンでは城門を攻める衝車や、石を投げる投石などがありましたが、城壁にハシゴをかけて登るといった要素もあるのでしょうか?

鈴木氏:その要素に関しては、井闌という攻城兵器に集約した形になっています。

――前作にあたる『真・三國無双8』から3年ほど時間が経過してからの登場となりましたが、それには何か理由があったのでしょうか?

鈴木氏:『真・三國無双8』は、発売から1年ほどしっかりとアップデートを続けてきましたので、その間はかかりっきりという状態でした。それが終わった後に本作立ち上げという話になっただけでなく、なおかつ今回は攻城戦という新しい要素にチャレンジするということで、それらを含めて少し時間がかかりました。実際に作り始めて、去年のTGSで制作発表を行いましたが、実はその時点ではもう少し早く完成するかなと思っていました。

 しかし、制作に入りチーム内でいろいろ検討してみると、やはりバランスを取る部分などで大幅に時間がかかりまして、予想よりも後ろ倒しになってしまうことに……。制作発表会から1年が経過しても発売日がでていませんが、今回のTGSにて満を持して12月23日と発表させていただきました。じっくり何度も遊んでもらうタイトルになるので、年末までに発売できる目処が立ってよかったです。

――バランス調整のために相当時間がかかったということは、ゲーム自体の規模もかなり大きいということでしょうか?

鈴木氏:それもありますが、やはり従来の戦闘方式とは違うというのが、時間がかかった理由ですね。

――攻城戦の魅力を端的に伝えるならば、何になるでしょうか?

鈴木氏:端的に伝えるのであれば、やはり“蠢(うごめ)く戦況”です。この、戦況が流動的であるということが、一番面白い要素だと思います。前作までですと拠点があり、兵站を繋げながら地道に敵を囲うようにして戦い、前線を押し上げていくことで、最終的には敵本拠地を落とせるという、わりとオーソドックスな攻め方が定石でした。

 しかし今回は、城周辺がちょっと広めの戦場になってますし、拠点も別に兵站が繋がっているわけではなく、どこに行くにも自由です。また、これは敵味方そうなんですが、作戦秘計という項目を盛り込んだことによって、どこを狙うかということがプレイヤーの判断に委ねられるため、これが戦況を左右する非常に大きな要素となります。どこを攻めて、どういうふうに戦況を自分で有利に導くか、という選択肢が常について回るということです。

――逆に言うと、プレイヤーの戦略力が求められる……。

鈴木氏:そうですね。でも、本作はベースに無双アクションがあるので、難易度にもよりますがキャラが強くなっていれば多少の無理は利くんです。なので、戦術的にあまり自信がない人は、自分が操作するキャラと自軍を強くして、戦う前にかなり強い状態にしたところで弱い国に攻めるというのが一番のコツですね。反対に、自軍が弱い状態だったとしても、戦場の動きによっては不利を覆して勝利に導くこともできますので、そこが本作一番の醍醐味だと思います。

――プレイヤーの腕に合わせた遊び方ができるということですね。

鈴木氏:そうですね。

――今作は、武将の数が非常に多い印象ですが、最終的に操作可能な武将は何人になるのでしょうか?

栗田氏:無双武将が94人と、汎用武将という形で操作できるキャラが約700人なので、合計すると約800人となります。

――そろそろ1000人の大台が見えてきましたね。

鈴木氏:バリエーションは、あればあるだけプレイヤーが選びやすい、というのもあるほか、三国志ファンの人は“この武将もいる!”というのもあるので多くなっています。

――エディットモードも、非常に細かいところまで調整が効くようになっていたので、どうしても欲しい武将がいたらそこでそっくりに作ってしまう、という方法もあるということですね。

鈴木氏:そうですね。従来の「Empires」シリーズでも皆さん、そうして楽しんで頂いたと思うんですが、無双武将にいない好きな三国志の武将とかを、自分で作ったりしてプレイするというパターンも結構ありますね。だから今回のエディットは、顔もしっかり細かく作り込めるので、その辺は凄く楽しめるのではないかと思っています。

――先ほど教えていただいた、血縁という要素も凄いと思いました。親子関係をドンドン作れるということですよね。

鈴木氏:さすがに「ウイニングポスト」シリーズのように、ずっとは繋がっていかないです(笑)。

栗田氏:ゲーム内で血縁関係を意識したリアクションや制限があるのは二親等までですが、つなげ続けることはできます。エディット武将で徳川家康を作り、子供をもうけて15代ずっと続けたり(笑)。子供も、父親と母親の特徴を見て顔を自動合成させます。それをユーザーが気に入らなければ直すこともできるようにしてあるので、これで遊びの幅が少しでも広がれば、ということですね。

――これだけ細かいと、苦労した部分も多いと思うのですが?

鈴木氏:エディットに関しては、元々は『仁王2』に搭載したエディットのシステムがありまして、ベースはそれになります。今回は、三国志のキャラを作れるようにということで、衣装関係は三国志ものなどを数多く用意しています。さらに、重ね着ができるという特徴がありまして、衣服を着てその上に防具というコーディネートができるので、より三国志に登場する人物に近い武将も作れます。重ね着という部分だけでも結構なバリエーションがありますので、そこだけでも楽しんでいただければと思います。

――数億通りの組み合わせになりそうで、簡単には遊び尽くせないですね。ちなみに、全体のボリュームはどのくらいになるのでしょうか?

鈴木氏:戦略マップで表示されているのは中国全土25地域なんですけれど、基本的には主要な城の単位で国を分けていますので、25個のステージがあるという感じです。大きな城と、その周辺の戦場という。

――クリアまでのプレイ時間は、早い人だとどのくらいになりそうでしょうか。

鈴木氏:統一までの1プレイで15から20時間ぐらいだと思います。

栗田氏:例えば、後半の三国鼎立とかですと、曹操でプレイすればいきなり北半分が曹操の勢力なので、統一までは時間がかからないです。

鈴木氏:結局、中国全土を統一するという目的がありますので、国が強ければ強いほど天下統一までの時間が短くなります。歯ごたえが欲しい人であれば、裸一貫の国を持たない状態から始めることもできるので、在野の状態からスタートして仲間を集めて国を起こし、一国から始めて25国全部統一というプレイなら何十時間もかかるかと思います。

――在野の一人で始めて成り上がっていくのは、かなり面白そうですね。

鈴木氏:面白いですね。やっぱりそこが「Empires」シリーズの醍醐味でもあるんですけれど、難易度的にはなかなかどうして結構高いです。しかし、思った以上に好んで遊ぶ人はそうしていますね。

――一番の柱になりそうな遊び方と言えそうですね。

鈴木氏:そうですね。自分の好きな武将を探して仲間にして……という遊び方ができます。

――最後に、発売まで3カ月弱となりますが、読者の方に向けてのメッセージをお願いします。

鈴木氏:今作はやはり攻城戦です。今までとは違う戦いが体験できるというところが一番の押しでして、スケール感のある城と、その周辺の拠点でのやり取りになります。自分たちでプレイした感じでも、かなり歯ごたえがある難易度に仕上がっています。自分のアクションスキルだけじゃなくて、味方武将にどう指示を出してどのように動かすか、敵味方の作戦秘計に対してどちらを取るか、どう処理するか、そのような判断を随時行いながら戦っていくっていうところが、非常に面白く出来上がったなと思っています。

 攻城戦は、実際にプレイしていただくと魅力がわかると思いますし、本当にそこが一番です。逆に、簡単な難易度でサラッとクリアしてしまうと、今までとの違いがそんなにわからない気がしますが、ちょっと難易度を上げてプレイしてみると、面白さの違いを大きく感じると思います。できれば体験版などでプレイいただける機会を設けられると良いなと思って、現在色々と検討しています。

――それは嬉しいお知らせですね!

鈴木氏:本作は、何度もゲームオーバーになりながらも、何かと工夫しながらやって突破していくという部分が本当に面白くできていると思っています。

――難易度を上げて、その難しさにみんな泣けと(笑)。

鈴木氏:そうですね(笑)

――ありがとうございました。