【特別企画】
これはもしかして「FF」版「仁王」……? 「FFオリジン」の体験版を早速プレイ!
高難易度アクションと「FF」が融合。EASYもあるよ
2021年6月15日 21:00
- 【STRANGER OF PARADISE FINAL FANTASY ORIGIN】
- 2022年 発売予定
- 価格:未定
戦士たちは戦いの記憶を心の底にしまいこむ――
カオス討伐への強い思いを胸に、
カオス神殿の門を開ける主人公ジャックと
その仲間アッシュとジェド。
彼らは予言の光の戦士たちか、それとも――
6月14日――4時15分から配信された「SQUARE ENIX PRESENTS SUMMER SHOWCASE」にて電撃発表された、プレイステーション 5/プレイステーション 4/Xbox SeriesX|S/Xbox One/PC用アクション RPG「STRANGER OF PARADISE FINAL FANTASY ORIGIN(ストレンジャー オブ パラダイス ファイナルファンタジー オリジン(以下、FFオリジン)」。
本作は、「ファイナルファンタジー」の名を冠する、全く新しいダークファンタジーな要素を盛り込んだアクションRPGだ。開発はコーエーテクモゲームスで「仁王」や「ディシディア ファイナルファンタジー(AC/NT版)」などを開発したTeam NINJA、クリエイティブプロデューサーにスクウェア・エニックスの野村哲也氏、メインシナリオは「FINAL FANTASY VII REMAKE」や「キングダムハーツ」などを手掛けた野島一成氏、音楽には「FINAL FANTASY XI」や「FINAL FANTASY XIII-2」などの水田直志氏が参加するという、ビッグプロジェクトだ。
配信をリアルタイムで見ていた人も、後からネットニュースなどで知った人も、さぞかし驚愕しただろう。ダークな世界観、常に死の危険と隣り合うアクションバトル――公開されたPVからもかなり暗い雰囲気のダークファンタジー感が漂っていたが、果たして「FFオリジン」はどのようなゲームなのだろうか。
生粋の「FF」ファンかつ多数のアクションゲームをプレイしてきた筆者が、少々のトラブルに見舞われたものの、満を持して配信が開始された体験版を通じて紹介していきたい。なお、体験版はPS5のみで、6月24日23時59分までの期間限定配信となる。
【6月17日追記】 体験版の配信開始時に発生した不具合への対応として、プレイ可能期間は6月26日まで延長された。
□体験版の配信ページ
https://store.playstation.com/ja-jp/product/JP0082-PPSA03656_00-SOPFFORIGINTRIAL
本作には、「EASY」「NORMAL」「HARD」と三種類の難易度がある。筆者はまず「EASY」でアクションゲームが苦手な人でも遊べる内容なのかを確認し、2周目ではアクションゲームが好きな人のために「HARD」でプレイすることにした。本稿ではその体験に基づき、「EASY」と「HARD」でのプレイ感を中心にお届けする。
体験版に登場するのは3人の男性ジャック、アッシュ、ジェド
体験版で操作するジャックは野性的な顔つきで、これまでの「FF」の主人公とは明らかに一線を画している。この時点で「FFオリジン」が、他の「FF」タイトルとはコンセプトが異なるだろうことが見て取れる。
ジャックの脇を固めるふたりの男性は、ジェドとアッシュ。ジェドは、3人の中で一番若いように見える。口調も軽めで明るく、「FFXV」のプロンプトを彷彿させるキャラクターだ。アッシュは黒い肌にドレッドヘアー、さらに髭……と、文字だけ並べると「FFXIII」のサッズに近そうに見えるが、実際にはアッシュも「FF」のイメージからは想像がつかないデザインで、落ち着いた性格のようだ。……とは言っても体験版の中では然程セリフを喋る機会もないので、あくまでバトル中のボイスや、僅かなイベントシーンでの印象である。
気になるのはジャック以外のキャラクターも操作キャラクターとして使用できるのかという点だが、体験版では操作できるのはジャックのみ。現時点では操作キャラクター切り替えがあるのかは、まったくの不明だ。
ジェドとアッシュは敵を感知すると戦いに向かってくれるが、敵のヘイトを維持できる能力は有さないようだ。敵がジャックを感知できない距離にいる時は、ジェドとアッシュに敵を引き付けてもらいながら遠距離からチクチクと攻撃することができるのだが、敵の感知範囲に3人が同時にいた場合、敵はほぼ必ずジャックを狙ってくる。また攻撃力も乏しく、彼らに任せておいても敵のHPゲージはほぼ全く削れない。そのため3人いても、実質ジャックと敵との1対1の戦いに近い。(囮として多少使えるだけでも、充分有り難いのだが)
難易度によってまるで別のゲームのようになる
アクションのバランスは、難易度によってまるで違う。
体験版では、ゲームの途中で難易度を変えられるのだが、途中で変更した場合は初期エリア近辺まで戻されてしまう。「HARDで行けると思ったけれど、想定外に難しかった」という場合でもない限り、途中で難易度を変更するのはあまりオススメしない。難易度は2周目以降で再び変えられるので、そのタイミングで変更したほうが良いだろう。とりあえず筆者のオススメ難易度は、「EASY」だ。腕に自信のある人でも、せめて「NORMAL」あたりからスタートして、本作特有のシステムに慣れたほうが良い。
通常攻撃はR1、ガードはL1。このボタン配置に、筆者は少々驚いた。「FFXV」や「FFVII REMAKE」の流れからしても、攻撃ボタンは〇か□あたりに割り当ててくるのだろうと思い込んでいたので、「FF」と名が付くタイトルでR1が攻撃ボタンという想定をしていなかった。更に、R1が攻撃ボタンの場合、(あくまで筆者の体感だが)ボタン連打型のハイスピードアクションではない場合が多い。
その読みはあまり外れていなかった。本作のアクションは重みのある剣戟と爽快なアクションとの中間地点のような立ち位置で、ゲームバランスもいわゆる“高難易度アクション“と呼ばれるジャンルに近い。ただ、「FF」版「仁王」と断じてしまうほど、「仁王」に近いゲーム性ではない。むしろ「仁王」をベースに「FF」の世界観を重ねることによって生み出されたタイトルだと言える。
「FFオリジンは、基本的に難易度が高い」。この大前提を知っているか知らないかで、本作から受ける印象はまるで変わってくるはずだ。
そうわかった瞬間、喜ぶ人もいれば尻込みをしてしまう人もいるだろう。だが、とりあえず待ってほしい。本作の秀逸な点は、難易度によるバランス調整だ。
本作は入手できるポーション(回復薬)の個数は限られているのに、敵から受けるダメージはかなり痛い。なので、できるだけダメージを受けずに敵を倒していくゲーム性は、「EASY」でも「HARD」でも変わらない。だが「EASY」ならば敵のHPも低く、ジャックが受ける被ダメージも他の難易度よりは少な目で、ガードや回避をそこまで重視しなくても倒し切れる。つまり、EASYであればシステムをあまり理解せずに適当に遊んでいてもどうにかなる。一方で、「HARD」はガードや回避など、ゲームのシステムをきちんと把握していなければ、雑魚敵との1対1でのバトルですらあっさり死んでしまう。HARDは敵のHPも高いため、「攻撃を食らう前に強引に倒しきる」という戦法は使えない。「HARD」のゲームバランスは、いわゆる“ムズゲー”よろしくかなりシビアだ。
となるとどうしても「私には遊べないかも」と思う「FF」シリーズのファンも出てくるだろうが、その点は本当に安心してほしい。「EASY」であれば、アクションが苦手でも充分プレイできる難易度に調整されていると感じた。
むしろ「EASYですら難しい」と思ったならば、その意見をぜひアンケートに送ってみてほしい。アンケートは体験版のチュートリアルをクリアした後以降であれば、タイトル画面のアンケートリンクから回答できるようになっている(アンケートの実施期間は6月30日まで) 。
【6月17日追記】 アンケートの実施期間は7月2日まで延長された。
筆者はまだ「EASY」と「HARD」しかプレイできずにこの記事を書いており、現状はHARDのボスで詰まっている状態だが、「HARD」モードこそ歯ごたえある高難易度アクションゲームを愛する人たちが求めている難易度だろう。そしてその愛に応えるに相応しい内容になっているとも感じている。
このジャンルにしては非常に珍しい難易度の搭載によって、ライト層からヘヴィ層まで非常に幅広いユーザーをカバーした作品となっており、難易度によって完全に別のゲームと化している。「FFVII REMAKE」でも難易度による遊び方の違いが顕著だったが、「FFオリジン」でも全く同じことが言えるだろう。さすがに本作はアクションを全て避けることはできないが、それでもアクションが苦手な人でも遊べてゲームとしても成立するギリギリのところで調整されている。
スタイリッシュな演出が多いのだが――
前述した通り、本作のアクションは重みのある剣戟と爽快なアクションとのちょうど狭間のようなアクションになっている。通常攻撃の振りは比較的重いが、コンボからの派生技ではカッコいいアクションを出してくれる。特に敵へのトドメ技として使う攻撃はエフェクトもド派手で、より一層「私、ちょっと今カッコいいんじゃない?」と思わせてくれるアクションを出せる。
一方で、カッコいいアクションがガードや回避の重要性と若干噛み合わない印象も受けた。それは「EASY」、「HARD」とも同様で、派手な演出のアクションを連発していると、プレーヤーからはハイスピード型アクションに見えがちになる。そしてプレーヤーは、スタイリッシュなプレイがしたいと感じると、そこにガードを挟むことがおろそかになりがちだ。実際スタイリッシュなプレイをウリにしているアクションでは、ガードの概念をほぼなくしたタイトルすらある。うまく共存しているタイトルはもちろんあるが、スタイリッシュさはガードというシステムと共存しにくい傾向にあるらしい。
少々否定的な話をしてしまったが、これはあくまで「スタイリッシュが故にそう錯覚させてしまう」というだけなのだが、前知識なくこのタイトルに触れた場合、ガードの必然性に気づきにくいという欠点は事実としてある。なので、これは筆者が実際に触った所感として大きな声で言いたい。
「本作は、ガードをおろそかにしていいゲーム性ではない」。EASYでも、さすがに一切ガード(回避)をしなければ恐らくボスには勝てないと思われるので、そこは遊びながら少しずつ修得していってほしい。
また、アクションというジャンルで操作感に大きく関係してくるのはジャンプの有無なのだが、本作はジャンプがないタイプ。フィールドをジャンプやダッシュなどですいすい進みながら敵を片付けていくアクションとは、大きな違いがある。
なお、本作の体験版にはマップが存在しない。どのボタンを押してもマップが開くことはないので、そういうゲーム性なのだと思ってほしい。ジャンプができないこともあり、障害物に阻まれたり、不意に落下したりすると自分が今どこにいるのか、どこに行けばいいのかなど迷いがちになるが、体験版で遊べるエリアは、マップの構造自体は単純なところが多い。敵はキューブに触らない限りは復活することはないので、一度敵を倒し切った場所ならば、安全に探索ができる。落ち着いて、自分がまだ足を踏み入れていない場所を探してほしい。
アクションが苦手でもこれだけは覚えておきたい6つのこと
本作は、チュートリアルの時点でかなり情報量が多いゲームだ。
そこで、結論から述べたい。日頃からアクションが得意で、どんなに難しい操作でも簡単に覚えられる、というアクションのスペシャリストでなければ、まずは難易度EASYで体験版を遊んでみてほしい。EASYであれば「最悪、よくわからなくてもどうにかできる」からだ。
……とは言っても多少のアクションは必要なので、「難しめのアクションゲームは初めて」という初心者に、これだけは覚えてほしい操作を6つ紹介する。なおこれは全て難易度EASYに挑む初心者に向けた内容で、HARDでは一切通用しないので悪しからず。
1.通常攻撃
通常攻撃はR1。モーションをよく見てコンボをつなげよう。
2.ソウルバースト
敵を攻撃しているうちに敵の周囲に「〇」のマークが表示されたら、その瞬間に〇ボタンを押すだけ。上手くタイミングが合えば敵にトドメがさせる、フィニッシュ技。慣れたら比較的簡単に出せるので、まずは「〇」表示を見逃さないようにしよう。
3.回避・ガード
回避は×ボタン、ガードはL1ボタン。難易度EASYであれば雑魚戦ではそこまで重要ではないが、ボス戦へ至るまでに回避かガードのどちらかは意識できるようになっておきたい。ジャストガードとか他の要素は、一切忘れて良い。
4.HP回復
回復は、十字キーの下ボタン。ただし、ポーションを持っていないと使用できない。ポーションの所持数は、画面左下の緑色のアイコンの数字。
5.ジョブチェンジ
ゲームが進むと、ジョブチェンジができるようになる。体験版で修得できるジョブは、「大剣士」、「槍士」、「魔術士」の3つで、そのうちのいずれか2つを自身にセットする。セットしたジョブは、△ボタンでリアルタイムに切り替えが出来る。
6.魔法の切り替え
魔法は「魔法を選んでから詠唱する」のではなく、「詠唱をしながら打ちたい魔法を選ぶ」という、従来の「FF」にはない操作手順となっている。魔術士のジョブになっていなければ、魔法は使えない。魔術士の時にR2長押しで、魔法を詠唱する。魔法の詠唱中はMPが徐々に回復するので、MPが0でも、やがて魔法が撃てるまでに回復する。だが、詠唱中は無防備で、敵に攻撃されたら詠唱はキャンセルされる。
アクション以外の気に留めておいてほしい要素
本作は「仁王」など高難易度系のアクションゲームに慣れているプレーヤーならば瞬時に理解できるシステムが多いのだが、初めてという人には戸惑う部分も多いはずだ。なので、初心者に覚えておいてほしいシステムや小ネタを、いくつか紹介しよう。
・キューブ
本作では「キューブ」というマップ上の球体に触れるとHP/MPが回復し、ポーションを補充できる。だが、キューブに触れるとダンジョン内の敵が復活し、拾っていないアイテムは消滅してしまうので、注意しよう。HPが0になった場合は、最後に触れたキューブから再開になる。新しいキューブを見つけたら絶対に触っておこう。
・キューブを拠点にレベル上げ
キューブを拠点にして何度も敵をリスポーンさせ、より良い装備品を狙ったり、ジョブのレベルアップなどを進めることができる。本作には敵を倒してドロップする装備品などで自身を強化していく、ハクスラ的な要素もある。敵がドロップする装備品は高難易度のほうがより強いものがドロップしやすくなる。まずはキューブの近辺でゆっくりと装備品を集めて、ジャックの強化に努めてほしい。
・ショートカットの開通
ダンジョン内には、「ショートカット」と呼ばれる扉や梯子がある。わかりやすいように説明すると、エリア1→エリア2→エリア3……と進み、エリア4でエリア1へのショートカットを開通すると、今度はエリア1からエリア4へと簡単に行けるようになるのだ。このショートカットは一度開通させておけば、戦闘不能になっても維持される。
有用性が解りにくいと思うが、例えばエリア4にはキューブがなく、エリア5を攻略していたら戦闘不能になってしまいエリア3まで戻され、エリア3~5までを再攻略しなければならなくなってしまった……なんていうことは度々あるのだが、もしもエリア4でエリア1へのショートカットを開通させた時にエリア1のキューブに触れておけば、戦闘不能になった時にエリア1からショートカットですぐエリア4までもどれるのだ。
・ジョブツリーの修得
ジョブレベルが上がったら必ずジョブツリーでスキルを修得しよう。アクションはわざわざ変えなくても良いが、力がアップするマスなども少しずつ進めなていかなければ取れないので、ツリーを埋めることはしておいたほうが良い。
・戦闘不能になってもデメリットが少ない
一般的にこうしたジャンルのゲームは死亡すると持ち物を全て失うなど、大きなデスペナルティを課されることが多いのだが、本作はデスペナルティがほとんどない。もしも戦闘不能になったとしても、失われるのは最大MP値。EASY、NORMALでは最大値が1つ削られ、HARDでは初期値に戻る程度だ。(一応他にも多少失う要素はあるが、EASYであればそこまで重要なものではない)EASYの場合のみ更に「SAFETY」モードが選べ、SAFETYならば戦闘不能になってもMPすら減らなくなる。
デスペナはHARDでも大きくは変わらないので少々拍子抜けするくらいなのだが、最大MPが減少すると魔法はもちろんのこと、MPを消費して使うアクションなども使用できなくなるので、減らないに越したことはない。できるだけ戦闘不能にならないように進めていくのが、重要になる。
HARDでは全てのアクションを見直そう
アクションが苦手な人でも遊びやすいEASYモードに比べて、HARDは恐らく全てのアクションを駆使し、それでいて装備品やジョブレベルなども強化していかなかければ、相当に厳しい戦いとなる。2周目以降はチュートリアルをスキップできるが、あえてチュートリアルをもう一度見直し、これまでに失念していたアクションがないかを確認するのも良いだろう。特に筆者が上記で「スルーして良い」としたソウルシールドや、EASYではあまり使い道もなかっただろうライトブリンガーという敵のブレイク値を大幅に削れる効果は、HARDではほぼ必須となる。
また、難易度が上がると敵のブレイクはしにくくなる変わりに、ジャックのブレイクゲージはゴリゴリと削られていくので、L1のガードだけでは凌げなくなる。ガードとソウルシールドとの使い分けやジャストガード、溜め攻撃、各武器のコンボの繋ぎ方、属性相性など、様々な点で自身のこれまでの戦い方を見直すところがあるはずだ。
なお筆者は現在HARDのボスで止まっているため、HARDのボスの攻略法は現時点でまだ把握できていないものの、10回ほど死んだ中から推察するに、恐らくそれなりにレベルの高い武器防具、ジョブツリーを全て埋める、ジョブの選択など、様々な点でまだ至らないところが多いのだろう。
同じボスで10回も死んでいると、いい加減、心が折れそうになる。でもこの難易度が、実に心地良い。難易度の感じ方は個人差があるが、筆者に合っているのは間違いなくHARDである。
立ち向かう心はとっくに折れかけていて、だが何度くじけても再び立ち向かう。EASYと違って、ミリも減っていかないボスの体力。いったい何が悪いのか。本来ならばもっと時間をかけてもっと良いレベルの武器を取ったほうがいいのだろうが、筆者は今この記事を書かなければならない。大変悔しいが、その時間はない。そろそろ脳内をそのままオートで文字化する手段くらいあっても良くない? そうしたらもっと遊んでいられるんだけれど。いや、そんなくだらないことを考えている場合ではない。せめて何か、刺さる攻撃はないのか。模索しているうちに、武器で殴るよりもモリっとボスのHPゲージが減った。魔法だった。
だが、魔法には詠唱がある。ターゲットロックさえしなければ、ボスはジェドとアッシュを相手にしているくせに、こちらがギリギリのところからターゲットロックをした瞬間、こちらに向かってくる。実にいやらしい。すぐ側でジェドとアッシュがアンタを殴っているのに、なんでタゲった瞬間、こっち向くの? しかも「え、その間合いから飛んでくる!?」というようなくらい、無茶苦茶な距離を一気に詰めてこないでほしい。こちらにはそんな風に間合いを詰める攻撃なんてないのに、実にずるい。(こっちには、魔法とか槍投げとかあるけれど)
そうこうしているうちに、また死んだ。せめて体験版の配信期間中に、「HARDクリアしたぞ!!!!」と叫びたい。きっと超絶腕の立つプレーヤーたちが「誰でも勝てるFFオリジンHARDボスバトル」とかいう動画を上げてくれる。そう信じている。段々他力本願になってきたが、これが心が折れるということだ。だが、ゲーマーならば誰もが知っている。折れた心が再び立ち上がり、そして成し遂げた時の高揚感を。そのために我々は、今日も心を折られながらプレイするのだ。
「FF」らしさとTeam NINJAらしさが合体したゲーム
HARDモードにすっかり感情が揺さぶられ少々情緒が崩壊したが、何はともあれ「FFオリジン」は「FF」っぽさとTeam NINJAっぽさが融合した、非常に”面白い”ゲームだ。
体験版で舞台となる「カオス神殿」は、言うまでもなく初代「FF」の舞台となったあのカオス神殿であり、そこに待ち受けるボスは「カオスとなる者」という鎧の男。BGMははっきりオリジナル楽曲のアレンジとわかるようなものではなく、原曲のフレーズがところどころに挟み込まれているのだが、BGMは全体を通して非常にカッコイイ。
音楽は前述の通り「FFXI」などを担当した水田氏。アコースティックな楽曲が多い「FFXI」と違い、本作の音楽はかなりヘヴィだ。水田氏らしい郷愁感のある音色は残しつつも、ハードな世界観を活かす音楽となっている。
なお、「ディシディアFF」をプレイしている人ならば、「なんだか『ディシディア』っぽい」と感じるのではないだろうか。「FF」+Team NINJAといえば「ディシディアFF」(AC/NT)だ。キャラクターモデリングは「ディシディアFF」らしさを感じないが、舞台となるカオス神殿の作りなどはかなり「ディシディアFF」を彷彿させるグラフィックとなっている。むしろ「ディシディアFF」を共に作り上げてきたタッグだからこそ、本作を世に産み落とすことが出来たのだろう。
きっと、思っていた以上に「FF」らしさを感じることだろう。そして、思っていた以上にTeam NINJAらしさを感じることだろう。
本作はいわゆる高難易度アクションゲームの入門作としても、非常に良い出来だ。EASYでは誰でも遊びやすい難易度、(NORMALは飛ばしているが)HARDでは難しいほどうれしくなってしまうようなマニアも満足の難易度になっているため、まずは本作で徐々に難易度を上げていってほしい。
深淵をのぞく時、深淵もまたこちらをのぞいているのだ。
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