【特別企画】

eスポーツスタジオに生まれ変わった新生「LFS池袋」をレポート

「早くオフイベントを開きたい!」 E5esports Works 西川典孝社長の意気込みも聞いた

4月取材

会場:LFS池袋 esports Arena

 池袋駅東口から徒歩3分の場所にある「LFS池袋 esports Arena(ルフス池袋イースポーツアリーナ)」は、サードウェーブの子会社E5esports Worksによって運営されているeスポーツ施設だ。2018年の開業からこれまで、当施設はハイスペックなゲーミングPCを手軽に楽しめるeスポーツ施設として運営されてきたが、この4月より「LFS池袋」は配信やイベントに特化したスタジオとしてリニューアルオープンを果たしている。

 以前は100席ほどあったプレイエリアに代わり、新たに配信機材を大幅に増設してスタジオ化を実現させた「LFS池袋」だが、今回その内部を知るべく新生LFSに取材を敢行した。新たなスタートをきった当施設の特徴を紹介したい。

【LFS池袋 esports Arena】

本格的なメインステージと小規模のボックス室、大小を兼ね備えた設備

 地下へと降りる階段を辿り、消毒と検温を済ませると、まず目についたのはメインステージ。「LFS池袋」のメインステージは幅8.2m、奥行き3mと十分な広さがあり、これが当施設の目玉といえるエリアだ。ステージの背には大きなモニターが設置されており、選手のプレイ画面はもちろん、プレゼンなどを映す用途にも使えるようになっている。また、モニターを覆うように背景を一面グリーンバックにすることもできるので、クロマキー合成による配信もこちらで行なえるとのことだ。

メインステージ、中央もグリーンバックにできる

 このメインステージはeスポーツ大会の配信はもちろんのこと、オンライン説明会やウェビナーの配信、ネット番組の収録なども想定して作られている。機材としては業務用ビデオカメラや各種マイクが取り揃えられており、イベントの規模に応じて必要な分だけ機材を借りることができる。必要なら技術スタッフの手配も可能とのことで、専門的な知識がなくても要望を伝えればその通り動いてくれるそうだ。

常設機材の一つである配信用カメラ SONY PXW-X160
大道具としてソファも用意されている

 ステージで収録されたカメラやマイクの出力は分配器を経てオペレーションルームに繋がれており、別室からの操作でリアルタイムのスイッチング、ミキシングを行うことができるようになっている。取材に伺った日は丁度、機材が外部イベントに貸し出されていたそうだが、スイッチャー卓・ミキサー卓の類はかなりの投資をして増設している最中とのことで、どれもプロ仕様のものが揃っている。また、ソフトウェアも最新鋭のものを取り揃えており、リアルタイムでのリプレイの作成や、エンディングで流すハイライトの編集などもオペレーションルームで行なうことができるそうだ。

オペレーションルームの内部
常設機材の一つであるデジタルミキサーYAMAHA TF3

 テレビ業界などでは馴染みも深い「プロンンプター」も導入されたとのこと。プロンプターとはカメラを注視しながら台本を読めるようにする透明なスクリーンで、テレビ局などで使われる専門的な機材だ。担当の方によるとeスポーツ施設でプロンプターを常備しているところはまだ少ないとのことだが、言われてみればeスポーツイベントのMCは、大体台本の冊子を手に持っている。プロンプターがあれば長丁場の進行も、全てカメラ目線で行えるようになるのだという。

 また、ステージ上部には本格的な舞台照明が吊るされており、これを使ってステージ上に様々な照明効果を付けることができるとのこと。中々素人では扱えそうにない照明器具もあるが、調光に関しても専門の技術スタッフを必要に応じて手配してくれるようだ。事前に要望を伝えていればそれに沿った効果を用意してくれるとのことで、プロのスタッフの手にかかれば表彰式の演出なども豪華になることだろう。

ステージ照明の一部

 次に紹介したいのがステージの左右に存在する2つのボックス室だ。こちらのボックス室は選手たちが実際にプレイする部屋として想定されており、FPSやMOBAタイトルであればチームごとに別々の部屋から対戦できるようになっている。ボックス室は遮音性に優れた防音壁で囲まれており、どんなに大声で話しても相手チームに作戦が漏れる恐れはない。ヘッドセットをしてしまえば観客席からの声援も聞こえないくらいの遮音性だそうで、ゲームに集中したい選手からすればありがたい設備だろう。各部屋にはそれぞれ空調があり、室温の調節はもちろんのこと、換気の面も心配ない設計になっている。

ボックス室内部

 この2つの部屋はステージと共に借りることもできるが、1部屋単体で借りることもできるのが魅力だ。小規模のゲーム配信やウェビナーであればこのボックス室から一人で配信や収録を行うことができるため、個人の利用者にはありがたい。一通りの機材は揃っているため、手ぶらで来場してそのまま配信ができてしまうというわけだ。運営会社のE5が行っている配信番組「E5なう!」などもこのブースから配信されているそう。またステージ同様、こちらも背景一面をグリーンバックにすることができ、スチール撮影のスタジオなどとしての活用も考えられる。

【E5 Channel E5 配信の裏側 with STREAM DECK】
もう一つのボックス室は配信仕様になっていた

 そしてゲーミングPC「GALLERIA」の販売元であるサードウェーブの子会社が運営している施設だけあってゲーミング環境もひととおり用意されている。ゲーマーとしてはPCのスペックなども気になるところだが、これまでeスポーツ施設として運営されていただけあって最新鋭のマシンが⽤意されている。現在施設に常設されている機種はCPUにIntel Core i9、GPUにGeForce RTX 3080を搭載する「GALLERIA UA9C-R38」。ここまでのスペックがあれば、どんなゲームでもまず困ることは無いだろう。そしてモニタはリフレッシュレート240Hz、GtG応答速度1msを誇る「BenQ XL-2546」が用意されており、モニタの性能が公平性に大きく左右するeスポーツ大会でも問題なく使用できるスペックとなっている。

サードウェーブのゲーミングPC「GALLERIA UA9C-R38」。貸出料金は1台2,200円
BenQのゲーミングモニター「XL2546」。貸出料金は1台1,100円

 気になる利用料金だが、全フロア貸し切りの会場費は電気使用料込みで平日6時間110,000円、休日275,000円となっている。この会場費にプラスして必要な機材を別途で借ることができ、もしどういった機材が必要か分からない場合はスタッフが相談に乗ってくれるそうだ。また、2日分おさえれば前日の設営やリハーサルなどにも対応してくれるとのこと。一方ボックス室1部屋の料金は平日6時間2,750円、休日4,400円と手軽な値段に設定されており、こちらは個人での利用も十分視野に入ってきそうだ。

利用料金表

企画段階のイベントから相談できる

 以上が当施設の紹介になるが、次に運営会社のE5esports Worksについても紹介したい。E5はLFS池袋の開業と共に設立された会社だが、こちらは当施設の運営に加えてオンラインイベントやネット番組の企画・制作も行っている。これまでに「全国高校eスポーツ選手権」や「GGC」の運営をはじめ、様々タイトルのeスポーツイベントに携わっており、豊富な実績とノウハウを持っている。

E5esports Works概要

 「LFS池袋」を利用してイベントを企画したくても、どのような準備が必要なのか分からない場合もあるかと思うが、そんな時は是非E5に相談してほしいとのこと。E5はイベントの企画・台本制作から、プロモーションのサポート、さらにはイベント後の動画コンテンツの作成まで、幅広くイベント運営をサポートしてくれる。企画のアイデアされあれば、E5がこれまでに培ったノウハウを活かしてそれを実現させてくれるというわけだ。

 また今後はE5主催のeスポーツイベントも多数⽤意しているとのこと。E5代表の⻄川典孝社⻑は「自社主催のイベントを通してE5の企画力と技術力を知ってもらい、それらをモデルケースにして色々なイベントを我々に任せてもらえるようになりたい」と語る。また、今後開催したいイベントについて聞くと、「早くオフラインイベントが開けるようになりたいですね」と語ってくれた。

西川典孝社長

 eスポーツ施設から配信スタジオへと⼤きな⽅向転換をした「LFS池袋 esports Arena」だが、設備の充実度、運営会社のノウハウ、どれをとっても不足のない施設になっているといえよう。もしこれからイベントを企画する際は、是非「LFS池袋」の活用を検討して見てほしい。