【特別企画】

これは完全にアウト! 「ポケモン」を清々しいまでにパクった韓国産アプリ「ポケットトレーナーDX」をプレイしてみた

2020年年末 配信開始

基本プレイ無料(アイテム課金制)

 1996年に第1作目が発売されて以来、世界中で大人気な「ポケットモンスター」シリーズ。ゲームだけでなく、アニメやマンガ、カード、玩具など様々なコンテンツで展開されており、代表的なポケモンである「ピカチュウ」を知らない人はいないのではないかというほどの知名度を誇っている。

 しかし、世界的に人気になるということは、多かれ少なかれパクリゲーが登場してしまうのが世の常だ。日本映画の歴代興行収入1位を獲得した「鬼滅の刃」では、かつて「鬼殺の剣」というパクリゲーが配信され、わずか5日で配信停止されたことがある。

 これまでも「ポケモン」シリーズを真似したゲームは数多く配信されてきた。しかし今回、超えてはいけないラインなどとうになかったかのようにぶっちぎったAndroid/iOS用RPG「포켓 트레이너DX(ポケットトレーナーDX)」が韓国で2020年の年末に配信された。

【ポケットトレーナーDX】
パクリっていうか……そのままじゃん!

 パクリゲーと言われると、キャラクターたちが本家に似つつも、微妙に相違点があるようなデザインを思い浮かべるかと思う。しかしこの「ポケットトレーナーDX」は、“どこかで見たことあるような気がする”キャラクターではなく、“見たことある”キャラクターたちを使った完全なる盗作なのである。

これ公式じゃないの!? アニメーションも取り入れたハイクオリティなゲーム面

 パクリゲーと言われてもう1つ思い浮かべるのは、非常に低クオリティなゲームになりがちであるということ。しかし本作はアニメーションを取り入れたド派手な戦闘シーンをはじめ、ログイン画面やホーム画面、ガチャなど、何も言われなければ公式なのではないかと間違えるほどのクオリティに仕上がっている。

 また、ゲーム音楽もとてもいい。ログイン画面はこれからゲームがはじまるワクワクを表現したBGMが、ホーム画面ではゆったりと落ち着けるBGMが、戦闘シーンではバトルに力が入る白熱したBGMが流れる。まぁ、本家「ポケモン」のBGMをそのまま盗用しているからなんですけどね。

ログイン画面。バンギラスがクマシュンを追いかけるアニメーションになっている
ロード画面は美麗なイラストが映される。このイラストもどこからか盗ってきたものなのだろうか
ゲームをはじめるとアニメ映像が流れる。恐らく本家アニメ版の映像だろう
おなじみサトシと、アニメ「ポケットモンスターXY特別編 最強メガシンカ」の主人公・アランが登場

 戦闘は、6対6のターン制コマンドバトルとなっている。それぞれのポケモンには2種類の攻撃と1種類の必殺技が用意されており、ターンがきたら、どの技を使うか、どのポケモンを攻撃するかを選択する。前列後列の概念もあるようで、細かいシステムはわからないが、キャラクター編成等々を含めて奥深い戦闘を楽しめそうではある。

 しかしながらこの戦闘シーンもどこかで見たことなるような画面になっている。全くのオリジナルというわけではなさそうだ。

オープニング後にはじまるチュートリアル戦闘
右下のボタンで使用する攻撃を選択する
通常攻撃でも派手なエフェクトでプレーヤーを盛り上げる
エンテイの必殺技を発動!
少し臭うものの、本当にパクリゲーなのか疑うほどの派手なアニメーションで攻撃する
それぞれのポケモンに特有のアニメーションが用意されている本格っぷり

 チュートリアル戦闘が終わると、最初のパートナーを選ぶという「ポケモン」シリーズおなじみのイベントがはじまる。本作では初代「ポケモン」より、フシギダネとヒトカゲ、ゼニガメから選択する。デザインは本家そのままなのでもちろん可愛い。

当然のように登場するオーキド博士。オーキドも公式だと騙されたのか自信満々な表情をしている
ヒトカゲさん、手に持つその骨付き肉は何のお肉なんですか……?
主人公の性別も選べる。だけど女主人公がカスミなのはなぜ?

 アプリストアの説明を読む限り、登場するポケモンは200種以上となっている。全てのポケモンが登場するわけではなさそうだが、御三家やピカチュウ以外にも数多くのポケモンが登場する。ポケモンはクエストでゲットすることもあるが、ソシャゲよろしくガチャも搭載されている。

 そのほかにも、ポケモンのレベルを上げたり、進化させたりといった育成要素であったり、プレーヤー同士で対戦するPvP要素もあり、ゲームとしての完成度は高そうであった。

ガチャ演出でデリバードが登場。本家でもありそうな演出
ポケモンのタイプもしっかり再現。ステータスも公式と同じく、HPとこうげき、ぼうぎょ、とくこう、とくぼう、すばやさの6つだろう
ゲットしたポケモンたちでバトル
進化含め、育成要素も用意されている

 本作は完全にライン超えのパクリゲーだが、ガチャでのデリバード演出や戦闘、ステータス画面での細かなアニメーションを見ていると、「ポケモン」への愛情を感じられなくもない。もちろん製作者の肩を持つわけではない。権利の面だけでなく、「ポケモン」ファンからしても、パクリゲーを制作するという行為は到底許されることではない。本家のデザインや世界観をそのままパクった本作では、公式と間違えて課金する人も現われるだろう。そういう事態になれば、筆者もいち「ポケモン」ファンとして心が痛む。

 なお、本作は執筆現在もGoogle Playにて配信が続けられている。いち早く配信停止されることを願っている。