【特別企画】

「テトリス」を通じ誰かと繋がり、感情を共有する。「テトリス エフェクト・コネクテッド」先行体験レポート

「テトリス エフェクト」の魅力をさらに増す、繋がるという新体験

11月10日 発売予定

価格:4,500円(税込)

 エンハンスは、11月10日にXbox One/Xbox Series X|S/Xbox Game Pass (Smart Delivery対応)/PC用パズルゲーム「Tetris Effect Connected(テトリス エフェクト・コネクテッド)」を発売する。今回は発売に先駆けて「テトリス エフェクト・コネクテッド」のデモプレイを体験することができた。

 「テトリス エフェクト」は誰しもが知っている「テトリス」の基本ルールをベースに、時間が止まったようになる「ゾーン」という独自のシステムや、サウンドやビジュアルなど様々な“エフェクト”で、全く新しい感情に訴えかけるようなゲームプレイを体験させる作品だ。そして「テトリス エフェクト・コネクテッド」は「テトリス エフェクト」にマルチプレイモードを追加した作品になる。

 正直なところ本作を体験するまでは「テトリス エフェクト」は1人プレイ用のゲームとして完成していると考えていて、本作のマルチプレイがどんな体験になるかは全く想像できなかった。今回プレイしてみて感じた最も大きな要素は“繋がる気持ち良さ”だ。

 本作のプロデューサーの水口哲也氏は「コロナ禍で外に出られない、繋がれないというときに、『テトリスエフェクト』で繋がってもらいたい。そういう思いを持って作ってきたものです」と語る。まさにその繋がりを強く感じたゲームプレイだった。

左から本作のプロデューサーの水口哲也氏、ディレクターの石原孝士氏、マルチプレイゲームデザイナーの立島智央氏
【Tetris Effect: Connected Announce Trailer | Xbox Series X, Xbox One, Windows 10 PC】

“繋がる”。新しい「テトリスエフェクト」の体験

 今回はプレイできたのはマルチプレイモードの「CONNECTED」、「ZONE BATTLE」、「SCORE ATTACK」という基本の3モード。この中で筆者が一番印象に残ったのが「CONNECTED」だ。プレーヤー側の3人で協力して、魔物側の1人を倒すというモードである。

 ゲームの流れはこうだ。まずは魔物を含む全てのプレーヤーは「テトリスエフェクト」の標準モードで自分のマトリクス(テトリミノを積み上げていくフィールド)で「テトリス」をプレイしていく。

「CONNECTED」、「ZONE BATTLE」、「SCORE ATTACK」の基本の3モードをプレイできた。ダントツで印象に残ったのが「CONNECTED」だ
3人で協力して魔物に立ち向かう。プレーヤーがいない時はCPUに入ってもらうことも可能だ
最初は3人がバラバラのマトリクスで「テトリス」をプレイしていく

 魔物側はラインを消すとプレーヤー側の3人を妨害することができる。魔物は十二星座をモチーフにした12種類にシークレットの3種類を加えた全15種類があり、魔物ごとに異なる妨害パターンになっている。例えば何もない空間にブロックが出現したり、逆に積み上げたブロックを消されることもある。他にも超巨大テトリミノが落下してきたり、2つのテトリミノが合体して出現したりと、ユニークな妨害パターンも用意されていた。

 プレーヤー側はそういった妨害をうまく受け流しながらラインを消していく。そして3人で一定以上のラインを消すと「CONNECT ZONE」という効果が発動する。この効果が発動すると3人のマトリクスが“繋がり”、1枚の巨大なマトリクスが出来上がる。ここに各々のプレーヤーが順番に自分のテトリミノを降らせていくのだ。

魔物の種類によって妨害の種類は異なる
3人が一定以上のラインを消すと「CONNECT ZONE」になり、マトリクスが繋がる

 大きく広がっているが横一列に並べればラインが消えるというルールはそのままなので、他のプレーヤーの置き方を見ながらテトリミノを降らせていく。ZONEという文字が入っている通り通常モードの「ゾーン」のように消したラインが下に積み重なっていくのは変わらない。

 こうして「ゾーン」中に消したラインの数に応じて魔物側のマトリクスの下からブロックがせり上がっていき、魔物側のプレイを妨害することができる。こうして魔物を攻撃し、魔物がブロックを上まで積み上げてしまったらプレーヤー側の勝利、というルールだ。ちなみにプレーヤー上まで積み上がってしまっても他のプレーヤーが健在であれば、音楽にあわせてボタンを押すことでゲージを貯め、ゲージが一定以上に貯まると復活することができる。

ゾーン中にプレーヤー同士で協力してラインを消していく。そうすると魔物のプレイを妨害することができる

 ちなみに魔物側は基本的にCPUだが、週末など期間限定で開催される「CONNECTED VS」というモードではプレーヤーが魔物側をプレイすることもできるという。こちらもユニークなゲームプレイになりそうな印象だ。

 本モードを通して感じた“繋がる”という体験が2つの意味で新しかった。1つは各プレーヤーの3枚のマトリクスが繋がり大きな1枚のマトリクスになること。こんなに巨大な「テトリス」はプレイしたことがないし、1つのマトリクスを他のプレーヤーと共有したことはない。

 そしてもう1つがプレーヤー同士の繋がりだ。1人用プレイにせよ、対戦にせよ、「テトリス」というのは孤独な戦いだと思う。コンピューターが送り込んでくるテトリミノを上手く積み上げながらラインを消していくという戦いだ。だがこのモードには仲間がいる。「隣のプレーヤーはここにテトリミノを落下させようとしている、じゃあ自分はその横にしよう」というような無言のコミュニケーションが生まれる。エモート機能があるのでそれで気持ちを表現しても良い。「テトリス」で仲間と繋がっているというのは初めての体験だ。

マトリクスが繋がるという体験、そして他のプレーヤーと繋がるという体験は初めてである

 繋がる新しさはもちろんだが「テトリスエフェクト」らしい感情に訴えかけるゲームプレイも健在だ。「CONNECT ZONE」が発動するとBGMはリラックスというかヒーリングというような心地よいBGMに変化する。そこにテトリミノを落下させていく落下音、ラインが消えたときのエフェクトなど、プレイしているだけで気持ちが良くなる感覚は健在で、「安らぎ」のようなものを感じた。

 個人的な好みが他のプレーヤーと順番にテトリミノを落下させるリズム感だ。1人でプレイしていると完全に自分のペースだが、この効果中は他のプレーヤーのリズムも入ってくる。落下音を他のプレーヤーと一緒に奏でている感覚。このイレギュラーな感覚が心地よく、他者と繋がっている感覚を強く感じた。

美しいビジュアルエフェクトとサウンドは「テトリスエフェクト」の素晴らしさをそのまま受け継いでいる

王道の対戦モード「ZONE BATTLE」と「SCORE ATTACK」

 「テトリスエフェクト」らしさを全面に生かしたマルチプレイモードという視点で「ZONE BATTLE」にも注目したい。シングルプレイの「JOURNEY MODE」などに採用されているルールをベースに対戦を行なう、いわば「テトリスエフェクト」のスタンダードな対戦モードとも言える内容になっている。

 こちら側でラインを消すと相手のマトリクスの下からブロックがせり上がってくるという妨害ができる。妨害されてもこちらもラインを消せば相殺できるし、それ以上にラインを消せば相手に妨害ブロックを送り込むことができる。パズルゲームの対戦らしいスタンダードな要素だ。

 本作ならではの要素がやはり「ゾーン」だ。ラインを消していくとゲージが溜まり、ゲージが一定以上貯まると「ゾーン」モードに入ることができる。このモード中は時間が止まったようになりテトリミノをドンドン消すことができるようになる。本モードのゾーン中は対戦相手の妨害も停止されるので、短時間ながら自分のペースでラインを消すことができる。受けている妨害は相殺しつつ、相手のマトリクスに妨害を送り込むことができる。

 このモードをプレイしていると頭脳はフル回転で相手からの妨害に必死で耐え、アドレナリンがドンドン放出されている中、アップテンポなBGMとビジュアルのエフェクトでどんどんゲームの世界に吸い込まれていくような、そんな感覚を感じた。それは「対戦相手を倒したい!」というヒートアップした気持ちではなく、程よい興奮で心地良いものだった。

ブロックを消すと相手のマトリクスにブロックがせり上がってくる
「ゾーン」を使いながらラインを消していくのだ

 似たようにスタンダードな「テトリスエフェクト」のルールを使いながら、直接相手を妨害するような要素がないのが「SCORE ATTACK」だ。このモードではプレーヤーのどちらが高いスコアを出せるを競う。

 「SCORE ATTACK」は「ゾーン」などがあるのスタンダードなルールでお互いにハイスコアを目指し競いあっていくモードだ。2人でプレイするが基本的にはテトリミノが上まで積み上がらない限りゲームは終わらない。ただスローペースで時間を稼ぐことを防ぐために、先にゲームオーバーになったプレーヤーよりスコアが低い場合、カウントダウンが始まり、一定時間内にそのスコアを越えられなかった場合はその時点でゲーム終了になる。

 そして「CLASSIC SCORE ATTACK」というモードもあり、こちらは「NES版『テトリス』」と呼ばれる、ハードドロップなし、ホールドなし、ブロックの回転の挙動なども今のスタンダードな「テトリス」と異なるルールで行なわれるスコアアタックだ。スコアが低い方のプレーヤーに時間制限が設けられる要素などは「SCORE ATTACK」と共通になっている。

直接相手を妨害する要素はないのが「SCORE ATTACK」
先にゲームオーバーになったプレーヤーよりスコアが低い場合、カウントダウンが始まり、一定時間内にそのスコアを越えられなかった場合はその時点でゲーム終了になる

 今回のプレイを通して感じたのはあまりにも完成度の高い“繋がる”体験だ。水口氏は「『テトリス』の楽しみ方はもう一方で人と繋がって対戦するとか、協力プレイする楽しさもある。エンハンスなりにどういう『CONNECTED』があればいいんだろう、という議論、トライ・アンド・エラーや実験を乗り越えたのが今回の3モードです」と語る。

 本作を振り返りながら「どういう形で楽しんでもらえるか、満足してもらえるかで喧々諤々としていました。『テトリスエフェクト』の繋がり方はどうあるべきか、今の時代も含めてどうあるべきか。色々なパターンを試して、ギスギスするのはいやだなと。マルチプレイというのは簡単だけど、対戦か協力かどっちの方向に持っていくかで全然違うので、今作はすごくいいところに落ちたかなという気がしています」と自信たっぷりに話す水口氏。

 誰しもが知っている「テトリス」のルールで、誰かと繋がり、そしてエモーショナルなゲーム経験を共有する。それは本作ならではのゲーム体験だ。本作はXbox Series X|S/PC向けに11月10日に発売され、追って2021年夏ごろに既存の「テトリス エフェクト」の無料アップデートとして配信予定だ。