【特別企画】

オリンピックが延期ならゲームで楽しめばいいじゃないか! 「東京2020オリンピック The Official Video Game」を今こそ遊び倒す

【東京2020オリンピック The Official Video Game】

4月17日大型アップデート実施

 2020年7月に開催が予定されていた東京オリンピックだったが、新型コロナウイルスの影響で来年への延期が決定した。東京開催ということで観戦チケットを手にして開催を心待ちにしていた人には誠に残念なお知らせだ。

 2020年の東京オリンピックは幻となってしまったが、ゲーム業界には“オリンピック公式ゲーム”が存在する! リアルでは延期になってしまったが、ゲームなら家に居ながら2020年に東京オリンピックを堪能できる! ということで、「東京2020オリンピック The Official Video Game」で、高まったオリンピック熱を爆発させたいと思う。

 ちなみに「東京2020オリンピック The Official Video Game」は、2019年7月のリリースから現在までコンスタントにアップデートを重ね、順次新競技が追加されてきた。4月17日の最新アップデートで最後の競技である「4×100mリレー」が追加。ついに全種目が実装された。本稿では、アップデートで追加された新競技4種目も含めて、東京オリンピックを一足先に味わっていく。

自分好みの選手を作って、オリンピックに参加だ!

 早速オリンピックに参戦したいところだが、まずはゲームで使用するアバターを作成する必要がある。国籍、性別の選択から始まり、体格や顔、ボイスや利き手まで、エディットできる項目がかなり多い。項目ごとにさらに細かい調整も可能で、体格なら縦幅と横幅の大きさはもちろんのこと、筋肉量の設定なんていうマニアックな項目まで用意されている。

細身からガチムチまで、理想のアスリートが作れる

 顔にいたっては目と眉の形から、パーツの大きさや位置の調整、まつ毛の長さやクマの量など、とにかくめちゃくちゃ細かい。ここまで細かく設定できると、プレーヤーが理想とするアバターが文句無しに作れるハズだ。全ての項目をこだわってエディットすると想像以上にアバター作りに時間が掛かるが、キャラクリエイト好きにはたまらないだろう。

顔の設定だけでこんなに細かい

 さらに、作ったアバターには衣装やマスクなどの着せ替えもでき、個性を溢れるアバターに仕上げることができる。衣装のラインナップは正統派なユニフォームから、スポーツとは全く関係のない忍装束や甲冑などのネタ系衣装も豊富に用意されていて面白い。

 衣装は競技で獲得したポイントで交換することができ、メダル獲得などの競技の成績によって獲得ポイントが変動するのでゲームプレイに熱が入る作りになっている。

お気に入りの衣装で競技に挑むことができる

 なお、今回評価機では試せなかったが、4月17日より実装される新要素として「キャラクターコード」の項目が新設される。コードを使って作成したキャラクターをシェアしたり、誰かが作ったキャラクターを登録することができる。

【キャラクターコード】

ついに開幕! 自宅で東京オリンピックを満喫!!

 キャラクターが作成できたら、いざオリンピックに参戦だ。本作にはオリンピックの数ある競技の中から代表的な18種の競技が収録されており、特定の種目に偏ることなく陸上、水泳、球技など、バラエティに富んでいる。

 本作の最大の特徴は、ゲームルールと操作のシンプルさ。「ボタンの連打」や「タイミングよくボタンを押す」などの操作が主で、普段ゲームをあまりプレイしない人でも簡単に楽しむことができる。

 どの競技から遊ぶか迷う所だが、やはりここは陸上競技の花形種目である「100m」からプレイしていきたい。

 全種目の中でこの競技がもっともシンプル。スタート前にパワーを溜めて、タイミングよくスタートを切ったら後はもう連打のダッシュあるのみ。複雑なルールや操作を覚えるのは苦手な筆者にはかなり好印象。連打オンリーのゲームなので、開始早々にサクッと金メダルを獲得することができた。

 連打ダッシュでライバルをぶっちぎるのも爽快だが、イチゲーマーとしては、やはりもう少しゲーム性が欲しいところ。そこでプレイしたのが「110mハードル」だ。

 ゲーム的には100mの発展型で、連打のダッシュだけではなく、タイミングよくスティックを傾けてハードルを飛び越えるジャンプアクションが加わっている。リズムよくハードルを越えるのがなかなかに爽快だ。

 100mとは違い、ハードルを飛び越えられなかった際に発生するタイムロスもあり、なかなか簡単には金メダルを取らせてくれない。遊び応えのある難易度である。

シンプルな連打勝負の「100m」
「110mハードル」は、テンポの良いゲーム性でとても面白い

 球技も「野球」、「サッカー」、「バスケットボール」など、豊富種類となっている。中でもスカッと気持ちよく遊べたのは「テニス」だ。

 サーブやレシーブはもちろん、ボレーやライジング、スマッシュまで、全て1ボタンで打つことができる。状況に応じて自動的に適当な打ち方に切り替わるので、難しいことを考えずバンバン華麗なショットを決められるのが面白い。ただの1ボタン操作なのに、剛速球の打ち合いは“デキるプレーヤー感”を味わうことができるのが最高に楽しい。

「テニス」は簡単操作で熱い打ち合いが楽しめる

 ゲームでもお馴染みの分野である格闘技なら、拳と拳のぶつかり合いの「ボクシング」がオススメだ。

 直感的な操作感が特徴で、左右のアナログスティックと左右の拳が連動しており、スティックの傾けでガンガン強力なパンチを繰り出すことができる。ライトユーザーでも白熱な試合を楽しめる設計である。

 操作は簡単ではあるものの、ただシンプルなだけのゲームではない。相手の攻撃を見切って回避する「ステップ」や、相手の攻撃を弾く「ジャストガード」など、ゲーム上級者向けのシステムも用意されており、奥深い戦いが楽しめるのもボクシングの見所。CPU戦に慣れてきたら、オンラインで世界中の猛者と対戦してみたい競技だ。

ボディブローやストレート、アッパーなど、多彩な技が簡単に繰り出せる

4つの新競技も、のめり込んでしまうほど熱い!

 続いて4月17日に実装されたばかりの新競技にもチャレンジしてみた。追加された新競技は4つともゲーム性や操作性などがそれぞれ大きく異なり、競技ごとの楽しさを堪能することができた。

 はじめにご紹介したいのは「4×100mリレー」。プレイ前は「100m」と同じひたすら連打操作の競技だろうと思っていたのだが、いざ蓋を開けてみると連打は連打でも“一定のリズムをキープしての連打”という新しい操作感。

 ボタン連打のダッシュ中はランニングゲージが表示され、連打するとカーソルが上昇し、連打を止めるとカーソルが下降している。連打の加減でカーソル位置を調整して、ランニングゲージ内にあるピンクのエリアをキープすることで走る速度が上がっていくのだ。

 リレーならではのバトンパスも重要。タイミングよくスティックを倒してバトンを繋げば、次の走者が超加速で走り出せる。連打力とリズム感、その2つが求められる競技だ。

 操作自体はシンプルなのだが、最初のうちはピンクのエリアにカーソルを安定させるのが難しくブレまくり。バトンパスのタイミングもズレてグダグダな走りに。初見では難しく感じたが、プレイを重ねれば重ねるほど上達していき、どんどん面白さに引き込まれていく。

【4×100mリレー】
連打は早すぎても遅すぎてもダメというシビアさ
レーンの青のラインと白のカーソルが重なった瞬間にスティックを倒すと、ベストのバトンパスとなる
慣れてくるとタイムがどんどん縮んでいき、達成感を味わえる

 昨年、ワールドカップで空前のブームを巻き起こした「ラグビー」もかなり面白い。

 ラグビーの細かなルールはゲームでは簡略化されており、ざっくりとしかルールを把握していない筆者でもすんなりと遊べる内容となっている。

 ボールを持った選手はゴールエリアまでボールを運んでいくのだが、この間のオフェンス側とディフェンス側の攻防がとにかく熱い。

 相手選手がタックルを繰り出して来たらタイミングよくガードをし、その場で踏ん張ってボールを守ることができる。次々と迫り来る攻撃を防いでトライを決める瞬間は爽快の一言。

 トライ後のコンバージョンキックでは、吹いている風の流れを計算してボールを蹴る方向を決めなければならない。爽快なアクション性だけではなく、じっくりと思考する要素もあり、戦略性のある試合が楽しめる。

【ラグビー】
一点集中でボールを取りに来る相手選手。この包囲網を突破するのもラグビーの醍醐味
ゲージが溜まれば、スペシャルダッシュで豪快なトライが決まる
風の抵抗を計算してキックするのだ

 格闘ゲームさながらの、1対1のガチンコ勝負が熱い「柔道」。

 互いに間合いを取り合い、リーチが短くスキが少ない「えりつかみ」と、リーチが長くスキが大きい「そでつかみ」の2つのアクションを駆使していく。

 相手を掴んだら攻撃側と守り側の攻防が発生。互いにボタンを連打してカーソルを押し合い、カーソルが青いエリアで止まれば技あり、赤のエリアに止まれば一本が決まる。攻撃側は2つのエリアにカーソルを運び、逆に守り側は2つのエリアにカーソルが止まらない様に妨害していくのだ。

 掴み合いをしているとスタミナゲージが消耗していき、ゲージが0の状態で掴まれると問答無用に一本が決まってしまう。長期戦になると一発で負けてしまう状態になってしまうので、スタミナが切れる前に勝負を決めるのが重要。

 読み合いやプレーヤーの技量が顕著に出るゲーム性となっているので、対人戦はかなり盛り上がれそうだ。

【柔道】
掴みに成功。連打による攻防がとにかく熱い
カーソルをうまく止めて、一本を決めるのだ

 最後に紹介するのは「スポーツクライミング」。壁を登っていき、ゴールまでのタイムを競うという、4つの中でもっともシンプルなゲーム性。しかしこれが、筆者が一番熱中した競技である。

 操作もシンプルで、使うのはアナログスティックのみ。青く光るホールドを掴むことができ、ホールドの方向にスティックを弾くと飛び移って壁を登ることができる。

 ミスなく登っていくとスピードが加速し、赤く光るホールドにも飛び移れるようになる。赤のホールドを掴んで進めばショートカットとなり、タイムを大幅に縮めることができる。

 しかし、赤いホールドを掴むにはスティックを反対方向(真上のホールドを掴む場合なら、スティックを真下に弾く)に弾かなければならない。瞬時に判断して正しい方向にスティックを弾くのが非常に難しい。一瞬の判断力が要求されるのも、この競技の面白さだ。

【スポーツクライミング】
青のホールドと赤のホールドは同時に表示されるので、咄嗟に反対操作で赤を掴むのが難しい

 スティックを弾くというそれだけの操作なのだが、初見のプレイでは頭と手が全然着いていけず、一番遅い初戦の相手にさえ勝てなかった。最初のうちはボロ負け状態が続いたが、負けるたびに筆者は俄然やる気に燃えた。その理由は“自分のミスが明確に分かる”競技だからだ。

 例えば連打勝負の「100m」で、特にミスをした訳でもなく全力の連打で負けたらどこか釈然としないものを感じるが、スポーツクライミングの場合は“判断が遅い”、“ショートカットをミスした”など負けたときの理由がハッキリしているのだ。

 自分がミスしやすいポイントを注意してプレイしているとメキメキ上達していき、決勝戦まで進むことができた。決勝の相手だけあり、ノーミスで登っていっても横並びの状態。相手を引き離すことができないままゴール目前。最後のところで気が緩み、ショートカットをミスしてしまった。結果、0.13秒遅れてのゴールとなってしまった。

 金メダルが目と鼻の先にあっただけに、銀メダルは非常に悔しい結果である。運やまぐれ勝ちなどの要素が無く、100%実力がものをいう競技なので、自分の詰めの甘さも際立つがかなり熱くなれた。またいつかリベンジをして金メダルを狙いたいところだ。

【スポーツクライミング決勝戦】
ゴールタイムは僅差。最後の局面で青のルートを進んでしまい、先を越されてしまった

来年はリアルで、今年はゲームでオリンピック!

 スポーツ観戦が趣味ではない人でも、誰もが楽しめるのがオリンピックの魅力だが、それは本作「東京2020オリンピック The Official Video Game」にも通ずるものを感じた。

 一通りの競技をプレイしたが、どれもシンプルかつ白熱できるゲーム性で、普段はスポーツゲームをあまりプレイしない筆者も熱中してハマり込んでしまった。本作は誰がプレイしても楽しめる、まさしく“オリンピック”といえるだろう。

 オリンピックが来年に延期になりガッカリしているスポーツファンはもちろんだが、「どうせ連打だけでしょ?」と、旧世代のオリンピックゲームのイメージを引きずっているゲームファンも、ぜひ遊んでもらいたい1本だ。

どの競技も、初めてコントローラーを握る人でも楽しめるであろうお手軽さ

 オリンピックの延期が決まったこのタイミングで、今回「東京2020オリンピック The Official Video Game」を遊び倒した。プレイ前は正直「今年開催されないオリンピックをゲームで堪能するって、ちょっと寂しい遊びじゃないですか?」とも、ほんの少しだけ思っていたのだが、ゲームを始めてすぐにそんな考えは消え、時間を忘れて遊びまくった。

 東京オリンピックが来年になってしまったと嘆いている人に声を大にして言いたい。「東京オリンピックは2020年に開催しているぞ! それも自宅で!!」と。