インタビュー

待望の新シーズン開幕直前「オーバーウォッチ」開発者インタビュー【BlizzCon】

新キャラ「ドクトリン」は実装初日から最前線で戦う実力派

【BlizzCon 2026】
2026年9月12日、13日 開催(現地時間)
会場:米国アナハイムコンベンションセンター
エクゼクティブ・プロデューサーのBen Bell氏(左)とアソシエイト・ゲーム・ディレクターのAlec Dawson氏(右)

 Blizzard Entertainmentのファンイベント「BlizzCon」では、「オーバーウォッチ」の新サポートヒーロー「Doctrine(以下、ドクトリン)」と新エスコート・マップ「WATCHPOINT: GRIMSVÖTN」が発表された。

 2月に開催された「オーバーウォッチ:スポットライト2026」で、タイトルからナンバリング「2」が削除され原点回帰し、様々な改善や調整がなされ、競技シーンなども盛り上がりをみせている「オーバーウォッチ」。待望の新シーズン5開幕が目前に迫り、徐々にその全貌が明らかとなってきている。

 シーズン5で追加予定の新キャラクターであるドクトリンは吸血鬼をイメージしたビジュアルで、コウモリ型のドローンを使う新サポートヒーロー。PCのキーボードおよびマウス操作では左クリックで攻撃と回復を行ない、「Shift」キーの「Shrouded Momentum」は水平方向へ高速移動しながらダメージを軽減する。

 また、「E」キーの「Invigorating Drones」は味方1人にドローンを飛ばして継続回復しつつ、攻撃速度を上昇させるバフを付けることも可能。アルティメットの「Deliverance」はドローンの群れを放って、敵の最大HPを減らし、味方にはオーバーヘルスを付与する。

 右クリックで発動する「Infuse」という技は非常に特徴的だ。クリックすると発動準備の状態になり、次に何を使うかで効果が変化する。例えば、直後に使うのが左クリックなら、攻撃は大型の貫通弾になり回復は強化される。「Shift」キーを使うと、高速移動が自由飛行に変化し、「E」キーではドローンが味方だけではなく自分にも付く。

 ドクトリンはシーズン5から正式に登場する。9月12日から9月15日まで期間限定のトライアルが始まっており、ゲーム内で実際に使うことができる。

 「WATCHPOINT: GRIMSVÖTN」はドクトリンが収監されていたアイスランドの監獄。発表されたトレーラーではドゥームフィストたちが助け出す様子が描かれている。

【脱獄|ドクトリン ヒーロー・トレーラー|オーバーウォッチ|BlizzCon 2026】

 また、オープニングセレモニーの発表では、ソンブラとロードホッグの大規模リワークも発表された。ソンブラはDPSからサポートへ役割が変わるようだ。

 今回、「BlizzCon」現地にてエクゼクティブ・プロデューサーのBen Bell氏とアソシエイト・ゲーム・ディレクターのAlec Dawson氏から発表された新要素について話を聞くことができたので、本稿で紹介したい。

新ヒーロー「ドクトリン」は典型的な「オーバーウォッチ」ヒーロー

――「ドクトリン」についてどのようなキャラクターなのか、特徴などを教えてください。

Keller氏: ドクトリンはエイム型ヒットスキャン・サポートです。エイムが必要で、敵を攻撃し、味方を回復します。「Invigorating Drones」はザリアやバスティオン、ソルジャー76など、攻撃頻度の高いヒーローと組み合わせると非常に効果的です。そして、ドクトリンの能力構成のカギとなるのは、「Infuse」と呼ばれるセカンダリーファイアです。

 「Infuse」は使用すると、次のアビリティをパワーアップさせます。蝙蝠(ドローン)を出すときに使うと自分にも付き、プライマリショットに敵を貫通する能力が付きます。クールダウンのある2チャージのアビリティなので、いつどこで自分のどのアビリティを強化するかは戦いの中での重要な決定要因となります。

ドクトリンのアートワーク
ステッキのような武器を持ち、闇をまとった吸血鬼風の見た目がクール

 私たちはドクトリンを、「オーバーウォッチ」の典型的なヒーローだと考えています。表面的には親しみやすい要素があり、理解しやすいです。しかし「Infuse」やその他のアビリティの活用方法には戦略的な深みがあります。彼は私たちが最近プレイしている中でも最も楽しいヒーローの1人です。社内のプレイテストでも非常に楽しかったので、皆さんにプレイしていただくのが待ちきれません。

プライマリファイアを味方に使うと回復できる

――サポートロールにしては高機動なキャラクターになると思いますが、チーム構成においてどういうバリエーションを考えていますか?

Keller氏: ドクトリンは多くの異なるポジションを取ることができます。なぜなら完全な飛行が可能だからです。ドローンが活用できる多くの構成でプレイが可能です。ドローンは彼の役割のカギとなる要素です。特定のヒーローと組み合わせるとあまり効果がないかもしれませんが、ドゥームフィストに与えてもあまり効果的ではない一方、シエラのように攻撃速度上昇を活用できるヒーローに与えると、敵チームにとっては非常に危険な状態になります。

蝙蝠の群れのようなドローンを呼び出せる

――ドクトリンの性能を聞いてキリコとかぶっている印象を受けました。先日、キリコが大幅にナーフされましたが、それはドクトリンの実装と関係がありますか?

Keller氏: キリコとはかなりプレイスタイルが変わります。ドクトリンは非常にエイムベースのヒーローです。距離をとって後ろからエイムを定めて撃ちます。機動力があるアナという感じなので、アナが好きだけれどもう少し機動性があり、アクティブなものを求めている人には、こちらのヒーローがより適しているかもしれません。

後方からエイムを合わせて戦うスタイル
蝙蝠ドローンの群れを呼び出すアルティメット

ソンブラはサポートにすることでバランス調整の方向性が明確に

――ソンブラをサポートクラスに変更するリワークはかなり驚きました。リワークの理由と、ソンブラのスキルがどう変化するのかを教えてください。

Keller氏: 私たちは彼女のステルス性能とハックによる沈黙効果、キル能力という3つの能力のバランスを調整する必要があると考えていました。彼女をサポートに移行することで、非常に強力なサポート能力を持たせつつ、敵を倒し切るような火力を減らすことができました。 そうすることで、ソンブラの位置付けが明確になりました。DPSロールの時のようなキル能力の高さはなくなりましたが、彼女の物語性を損なうことなくDPSっぽさを出すサポートにしたいと思います。

ソンブラはサポートにロールを変更

 私たちは、ソンブラを非常にアクティブなサポートキャラクターだと考えています。ソンブラをダメージ役からサポートに移したからといって、ただ後ろで回復するだけにするつもりは全くありませんでした。実際、彼女はそんな役割ではありません。

 彼女は主に「Hotfix」という能力を通じてチームを回復させます。このスキルは味方をハックして少量回復すると共に、その味方に12秒間継続する200HPの継続回復を付与することができます。例えばゲンジにあらかじめ回復をかけた状態で、ゲンジが「龍撃剣」を使うような場面で追加回復を得ることができます。

 ソンブラを危険な存在のままにしておくことはとても重要でした。彼女の最も興味深い部分を単になくすだけにはしたくなかったのです。だから「ハック」がなくなった代わりに「Cyberspace」という新しい能力を与えました。

 これは「ウイルス」の代わりになるものです。範囲を作り、そこに入った味方を回復しつつ、敵にはダメージを与えて回復量と与ダメージを50%低下させるデバフを付けます。この能力によって、彼女は「ハック」に似た形で敵と関わることができます。

 例えばキャスディーがアルティメットを発動した時に「Cyberspace」を当てることができればダメージは半分になります。そういったことを通じて、相手を無力化することができます。「ハック」のように直接相手の技を封じることはできませんが、戦闘に勝つために敵を無力化できる強力な妨害手段となります。

ロードホッグはチームでの立ち回りを強化

――ロードホッグはリワークでどのように変わるのでしょうか? チェイン・フックが好きなので、なくなると悲しいです。

Keller氏: ロードホッグのチェイン・フックは残っています。主な変更は、「スクラップ・ガン」が2発のバーストに分かれたことです。1発の大きなショットガンの代わりに、ポンポンと2発撃つようになります。ダメージはその2発に分散されるので、両方を当てる必要があり敵を倒すのが少し難しくなります。

――ロードホッグはこれまでは単独で動き回るヒーローのように感じられましたが、それが改善されているのですか?

Keller氏: リワークによってチームにもっと適応させようとしています。彼の新しいセカンダリファイアのアビリティ「Trash Compactor」は敵の弾を2秒間吸収し、その後大きなスクラップの塊の弾を敵に向かって発射します。これによって味方が前に出やすくなります。「テイク・ア・ブリーザー」で自分だけが敵の攻撃を耐えるだけではなくなります。

――ハイペースな頻度でヒーローが追加されていますが、全体のバランス調整や新しいプレイヤーの受け入れにどういった影響を与えていますか?

Keller氏: 新しいヒーローがリリースされるたびに、彼らが「オーバーウォッチ」のメタに影響を与え、人気の構成が変わることが非常に重要だと思います。特にドクトリンでは実際にそうなると思います。

 「Invigorating Drones」のような強力なユーティリティがあれば、実装初日から構成がすぐに変わるでしょう。そこで何が起きるかは正確には見てみないといけませんが、シーズン5が始まる時にはドクトリンがメタの最前線にいる構成が見られると思います。

 もちろん既存のヒーローに適切なケアを施すことも重要です。だからこそソンブラとロードホッグについてお話することができて本当に嬉しいです。これらのリワークはずっと温めてきたものですが、ようやく準備が整ったのでシーズン5でお披露目できることに開発チーム全員がワクワクしています。

マップのリワークには使いやすさと世界観を重視

――既存のマップにも大規模なリワークが続いていて、今後についても期待しています。どのマップにリワークが必要なのかどのように決めているのですか? 例えば勝率やマップの投票データ、プレイヤーからのフィードバックなど、どのような要素を重視してリワークしているのですか。

Keller氏: いくつかの要因が関与しています。マップの投票はその1つです。プレイヤーが「このマップで過ごしたくない」と思っているかを知るのは重要です。私たちがそのマップに対して、良いアイデアを持っているかどうか、プレイヤーが抱えるフラストレーションにどうアプローチするかも重要です。例えば通過が難しすぎるチョークポイントや、保持が簡単ではない位置、守備側が隠れる場所が少ないといった場所を見ています。

 しかし私たちがリワークで重要だと考えているもう1つは、世界設定とマップが食い違っていると感じることです。だからこそパライソのリワークには本当に満足していますし、ルシオのクラブ(Clube Sinestesia)が本当にクラブになり、「オーバーウォッチ」の世界観に沿った空間になったからです。マップのメカニクスだけではなく、美術的にも向上させることができることが一番のリワークだと思っています。

――シーズン5で1年間続いてきた「帝国の覇者」がいよいよ完結します。2027年以降「オーバーウォッチ」の世界を広げるためにどのような物語やビジョンを持っていますか?

Keller氏: もう少し秘密にさせてください。シーズン5で物語を完結させることによって、プレイヤーのみなさんに驚きを提供したいと思っています。来年の目標としては、さらに上のレベルのエンターテイメントを目指しています。もっと強い物語を出し、世界観をより深くしていきたいと思っています。

――ありがとうございました!