インタビュー

MMORPG「Horizon」はNCSOFTのラブコールで実現。「あなたたちなら信頼できる」と開発を託される【G-STAR2025】

PS5版は? 日本版は? NCSOFTエグゼクティブプロデューサー、イ ソング氏インタビュー

【Horizon Steel Frontiers】
リリース日:未定
価格:未定

 11月13日、NCSOFTが電撃的に発表したAndroid/iOS/PC用MMORPG「Horizon Steel Frontiers」。発表会場となった韓国でのゲームイベント「G-STAR 2025」にて、NCSOFTで本作のエグゼクティブプロデューサーを務めるイ ソング氏へのインタビューをお送りする。

 イ ソング氏は、NCSOFTのChief Business Officer (CBO) and Vice Presidentでもあり、過去には「リネージュ」「リネージュM」「リネージュ2M」「リネージュW」など数々の「リネージュ」シリーズに携わり、また統括してきた人物。NCSOFTを率いるイ氏がなぜ「Horizon」を次作の舞台に選んだのか。その狙いを聞いた。

【『Horizon Steel Frontiers』アナウンス映像】
NCSOFT「Horizon Steel Frontiers」エグゼクティブプロデューサーのイ ソング氏

イ氏の「Horizon」愛がプレゼンで炸裂

 「Horizon Steel Frontiers」を改めてご紹介しておくと、本作は「Horizon」シリーズをベースとしたMMORPGだ。「Horizon」シリーズは、動物の姿をした機械「機械獣」が闊歩する自然世界を冒険するアクションゲームシリーズ。オランダのGuerrilaが開発し、SIEがパブリッシングを行なっている。

 「Horizon Steel Frontiers」の開発は、2019年にイ氏からSIEに声をかけたのがきっかけではじまったという。もともとMSXやファミコンにはじまり、コンソールゲームをずっと好きでプレイしていたというイ氏は、当時「Horizon Zero Dawn」にどハマリ。世界をくまなく探索したというが、一方でシングルプレイ作品であったことから、「この世界を大人数で冒険できたらもっといいのに」と感じてもいたそうだ。そして、NC社内でも、「リネージュ」ではなく何か新しいものを作るべきタイミングでもあった。

「Horizon Zero Dawn」

 そこでSIEに所属する知人にコンタクトを取り、それまでのコンソールゲームへの思いも含めて企画を持ち込んだという。そして今度は開発元のGuerrilaへ話が行き、プレゼンの場が3回に渡って設けられることになる。プレゼンでは、いかにイ氏が本気であるのか、いかに「Horizon」への愛情を持っているのかを説明。結果、情熱が伝わり、Guerrilaから「あなたたちなら信頼できる」と太鼓判を押された。そのためGuerrilaはストーリーの大枠の設定や世界観の監修で携わっているものの、本作の開発は基本的にすべてNCSOFT側で行なっている。

 「Horizon Steel Frontiers」の体験の大きな軸となるのは、多人数での協力による狩猟だ。シングルプレイから多人数の協力プレイによる狩猟になることで、「Horizon」らしいアクションの幅が大きく広がっていく。協力による狩猟がポイントになるため、PvPは存在しない。武器に関しては追加され、弓のほかアナウンストレーラーにも登場していた大剣、また大型の弓や双剣など、現時点で近距離6種類、遠距離6種類を構想しているそう。

 近距離と遠距離双方に武器が追加されているのは、パーティー内での役割のバランスを考えてのこと。ソロプレイで狩猟する際も、近距離武器と遠距離武器の両方を使うアクションが求められるそうだ。また直接攻撃しないでも、縄のようなもので機械獣を縛り、拘束することで他のプレーヤーが攻撃しやすくするような、サポート的な立ち回りも可能という。

 現時点では16人によるパーティープレイまでの内容は完成しており、今後はそれ以上が参加するような、数百人規模の大規模レイドのような戦闘も考えているとした。

トレーラーでは大剣らしきものが登場している(アナウンス映像より)
大人数による戦闘も登場(アナウンス映像より)

生活コンテンツも登場。流行時のMMORPGの楽しさを意識

 ゲーム内にはいくつか部族が存在していて、プレーヤーはそのどこかに所属することになる。部族ごとにストーリーがあり、サービスが経過するごとに展開していくという。本作では生活コンテンツも充実しており、武器や服、料理などを作ることができる。極端に言えば、狩猟に出ないで村の中で生活することも可能ということだ。構想段階ではあるものの、キャラクタークリエイトはプリセットをゲーム内で販売できるようにして、作者に利益が行くような仕組みも考えているそう。

 こうした生活コンテンツが存在することで、「Horizon」世界のなかで暮らしていくというMMORPGならではの味わいが出てくる。ここはイ氏が明確に意識しているというポイントで、「2010年頃に人気を博していたMMORPGの楽しさを、今の若い子に楽しんでほしい」という思いがあるという。部族の暮らしを描く「Horizon」らしさを、MMORPGのなかでうまく活用するようだ。

人々が暮らす様子(アナウンス映像より)
料理をする人の姿も(アナウンス映像より)

 なお、本作のロケーションは「Deadlands」と呼ばれる新たな土地。「Horizon」本編の2作がアメリカの北側を舞台にしていたのに対し、「Horizon Steel Frontiers」は南側が描かれる。そのためアリゾナ、テキサスの風景を参考にしているそうだ。

 あくまで構想段階だというが、本作のビジネスモデルは基本無料で、オプションとして月額パスプランを予定している。有料タイトルとしないのは、より多くの人にプレイしてほしいから。月額パスは加入でキャラクターのカスタマイズ要素だったり、アイテムが獲得しやすくなったりするものの、加入必須にはならないようだ。また、ガチャや確率で入手するようなものは入れない、と明言してくれた。こうした「優しいビジネスモデル」にすることで、「『リネージュ』シリーズを超えるくらいの多くの人に遊んでほしい」、と意気込みを語ってくれた。

アリゾナやテキサスが風景モデルとなっている(アナウンス映像より)

PS5版も前向き! サービス開始に向けた情報展開にも期待

 「Horizon Steel Frontiers」は公式発表ではサービス時期未定となっていたが、おおよそ2026年末から2027年頭にかけて世界同時のリリースを目指している。今年の頭には「開発がキャンセルになったという間違った噂が広がって戸惑った」そうだが、発表時にはポジティブな驚きの声が多く、出だしは上々とのことだ。

 また発表ではPURPLE(PC)とモバイルが対応プラットフォームとされていたが、技術的に可能ということで、プレイステーション 5版の配信も前向きという。インタビュー時点では協議中ということだが、ぜひ朗報に期待したいところだ。

 またサービスに向けては、日本語ボイスの実装も予定。「日本でサービスするのに日本の声優陣を起用しないのは自分の首を絞めるのと同じです」と語ったイ氏。グローバルリリースのなかには、もちろん日本も含まれているという。ぜひ、来年明かされるであろう新たな情報に期待したい。