インタビュー
Wargaming.net CEO Victor Kislyi氏インタビュー
「World of Warships」が始まったら2日間で戦艦大和を取る!
(2015/4/27 00:59)
- 4月25日、26日開催
- 会場:Expo XXI(ポーランド・ワルシャワ)
Wargaming.netを強烈なリーダーシップで牽引するVictor Kislyi CEO。パワフルなパフォーマンスとパワフルなボディをトレードマークに、いまやWargaming.netを象徴する存在だ。「World of Tanks The Grand Finals 2015」にも初日から元気な姿を見せてくれたが、発表内容そのものより、おそらく20~30kgは痩せたと思われる“激やせ”ぶりが話題になるなど、話題には事欠かない人物だ。
本稿では、そのVictor Kislyi氏に、本大会の感想を含め、Wargaming.netの今後の展開について話を伺った。
ついに息子と「WoT」を遊び始めたVictor氏。プロになりたいと言ったらどうする?
――以前と比較してかなり痩せたが、どうやって痩せたのか?
Victor氏:毎日ジムにいってトレーニングしている。そしてヘルシーフードを食べている。具体的には野菜を多めにして、質の良いステーキを食べている。日本食も好きで、とりわけ2つ好きな食事があって、良いものと悪いものがある。良いものは椎茸、悪いモノは神戸ビーフだ(笑)。
――第2回「The Grand Finals」開催の感想を聞かせて欲しい。
Victor氏:言うまでも無く今回は昨年より成功していると思っているし、向上していると思っている。ただ、我々が認識しなければならないのは、e-Sportsはまだ世界にとって新しいものだということ。「WoT」だけでなく、「League of Legends」や「Dota2」といったタイトルが、毎年毎年成長している。この現実は大変喜ばしいことだと思う。なぜならゲーム産業においてe-Sportsもその一部だからだ。e-Sportsが成長しているということは、我々も成長していっている証だと思うから。e-Sportsの目まぐるしい成長をみていると、いずれe-SportsはTVやアニメなどの他のエンターテインメントに引けを取らない存在になるのではないかと思っている。そして我々はゲームだけにこだわっているわけではなくデジタル、オンライン、ソーシャル、ストリーミングといった部分においても世界が新しい領域に突入しつつあると感じている。一番大事なのは地域に特化することではなく、グローバルなものを目指しているということ。将来的にはe-Sportsをフットボールやバスケットボールといったより規模の大きいスポーツに並ぶ存在に成長させていきたいと考えている。
――ポーランドでの開催にこだわる理由は?
Victor氏:Wargamingではグローバルe-Sportsイベントのために約50人の社員が働いている。そしてイベントを実施するにあたって様々な要因をふまえて開催地などを決めている。たとえば、候補地にどれぐらいの「WoT」のプレーヤー人口がいるか、e-Sportsが適した施設はあるかなど。ポーランドにはご覧のように沢山の「WoT」プレーヤーがいて、施設や街中でのプロモーションにおいても協力的で、交通の便も不便ではないといった理由からポーランドが選ばれた。
――2回ともワルシャワでの開催だが、となると3回目もワルシャワになるのか?
Victor氏:3回目もワルシャワになるとはまだ約束できない。2回目が終わった後、新しいWargaming.net Leagueがはじまり、10カ月後に「The Grand Finals」に出場するチームが決まる。それに前後して、全世界を対象に様々な要因を考慮して開催地が決められる。
――新ルールの導入についてどう考えているか?
Victor氏:私の中では大成功だと考えている。去年と比較して展開が早くなり、様々なドラマや興奮を視聴者に与えることができていると思っている。
――プレスカンファレンスで発表した新しいリーグシステムでは、GOLDリーグはサラリーが出るということだが、具体的な内容を教えて欲しい。
Victor氏:現時点で言えることは、まだ明確なルールは作られていないので、これから試行錯誤していかないといけない。未知の領域なので、まだ誰も正しいと言えない。なので、まさに今他の企業や社内で検討して検証しているところなので、具体的な数字、確定している数字はまだない。
――日本市場のユーザー数についてはどのように見ているか?
Victor氏:基本的にウォーゲーミングジャパンはうまくやっていると考えている。ただ、日本はモバイルゲームやコンシューマーゲームが強いので、ゲームをPCでプレイする方はそんなに多くないと思っている。「WoT」は1年半前にXbox 360版をローンチしたが、いまXbox Oneに向けて開発を行なっている。日本はコンソールゲームが強いので、Xbox One版には期待している。
――そのXbox One版の開発状況、リリース時期は?
Victor氏:正確なリリース時期はまだわからないが、シカゴの開発チームがマルチプラットフォーム展開として素晴らしい仕事をして、開発は終わりへと向かっている。詳細についてはまだお伝えできないが、それでも近々お伝えできるはず。Xbox One版は遅くとも今年の終わりまでにローンチしたいと思っている。
――まだトーナメントの途中で、現在優勝候補のNAVIが戦っているが、どのチームが優勝すると予想しているか?
Victor氏:それはわからない。私は中立な立場でなければならない。準々決勝から非常にタフな戦いが続いている。どのチームもとても良いチームだが、ロシアからも2チームが参加しているので、とても興味深く見ている。拮抗した戦いでどちらが勝ってもおかしくない。
――昨年はアジアチームが躍進したが、今年は完全にスイープされている状態だが、どのように見ているか?
Victor氏:準決勝に中国のErongが残っている、この結果は悪くないと思う。e-Sportsはスポーツなのでチャンピオンは1つしかないが、たとえばサッカーで、ドイツが優勝しないから弱いという話にはならない。良いゲームをしてるかどうかであって、優勝できないから弱いというのはナンセンスな考え方だと思う。
――強いという意味では、TGSでVictor氏のチームはとても強かったが、どこで練習しているのか?
Victor氏:それに関しては妻に対してとても良い言い訳があって、「仕事なのでやります」といってゲームを遊んでいる(笑)。息子は2カ月前に7歳になったが、奥さんと話して「WoT」をプレイさせて良いという話になったので、「World of Tanks Blitz」を遊ばせている。毎日15分から20分程度一緒に小隊を組んで戦っている。息子はとてもうまく、しばしば私より多くの車両を撃破していて「WoT Blitz」での記録は5キル。7両中5キルなのでかなり良い。私は1キルぐらい。妻は我々が遊ぶのを観て、父と息子のベストなコミュニケーションの取り方だと褒めてくれた。
――子供がプロのe-Sportsプレーヤーになりたいといったらどうする?
Victor氏:とても良い質問。(長考する)基本的には良く話し合うと思う(笑)。その際に反対はしないが、ゲーム開発者や科学者、シェフ、機長など、ほかの選択肢についても話すと思う。もちろん、成長後は彼の選択。息子はどんな仕事でもやっていいが、例外を作るとすれば、Wargamingに関係する仕事であれば喜んで勧めると思う。
――日本人はシャイなのでなかなかチームを組みたがらないが、アップデートによってそれは解消されたと思うか?
Victor氏:すべての機能をすべてのプレーヤーに提供しているので、より多くの方に知って貰って使って貰いたいと思っている。
――日本ではゲームの生中継はニコニコ動画の一強状態で、PS4にもシェア機能はあるが、「WoT」がゲーム側で対応する予定はあるか?
Victor氏:我々の仕事は良いゲームを提供して、e-Sports選手を生み出し、見応えのあるショウにすること。Twitchやニコニコはまた別のビジネスで、そことのパートナーシップは、ウォーゲーミングジャパンを始めとした各リージョンのブランチの仕事だと思っている。
――現在クローズドβテストを実施している次回作「World of Warships」について、βテストの手応えと今後の抱負について聞かせて欲しい。
Victor氏:「WOWS」は、とてもいい数字が出ている。接続者数、ユーザーのリテンション、プレイ時間などすべての項目がすべてのリージョンにおいて良い結果が出ている。唯一中国はまだβテストを実施できていないのでわからない。あと個人的に考えていることは、CBT終了後はOBTをはじめるが、OBT終了後は正式サービスを開始するが、その後2日間、有休を取ろうと思っている。その2日間で、戦艦大和を作ろうと思っている。これはかなり真面目な考えだ(笑)。