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手応え“超弩級”!! 「World of Warships」クローズドβテストレポート

駆逐艦、巡洋艦、戦艦、空母。全部にハマれる多彩な面白さ!

3月12日よりクローズドβテスト実施中

ド迫力の海戦を手軽に楽しめる

 Wargaming.netが放つ新作オンライン海戦ストラテジー「World of Warships」のクローズドβテストが3月12日よりスタートしている。このβテストではサーバーの状況を見つつ順次参加枠を拡大していくという形で展開中だ。テスト終了日がアナウンスされていないためいつまでプレイできるかはわからないが、そう遠くないうちの正式サービス開始を予感させるような完成度に仕上がっている。

 また今回のβテストは、Tier 1からTier 10までの全艦種をいきなりプレイ可能という贅沢な形で公開された。そこでわかったのは、駆逐艦、巡洋艦、戦艦、空母という、本作を彩る各艦種それぞれに、全く違ったタイプの遊びと楽しさが秘められているということだ。海戦ファンならずともドハマり間違いなしのの手応えをご報告しよう。

ゆったりとしたゲームテンポに秘められた極大のカタルシス

いきなりTier 10まで開放。全艦種でプレイできた
「大和」対「大和」なんて対決はゲームならでは
標準的な交戦距離は5~10km。遭遇までに有利な位置を占めることが重要だ
逃げ場はない。互いにボロボロになりながら勝利を目指す

 本作「World of Warships(以下『WoWS』)」は、ご存知のオンラインタンクバトルゲーム「World of Tanks(以下『WoT』)」を展開中のWargaming.netが開発中のオンライン海戦ゲームだ。広大な海と巨大な船をフィーチャーするだけあり、アクション性の高い「WoT」よりもずっと展開がスローで、戦術・戦略に寄ったゲーム性が特徴だ。

 なにしろ船というのは小回りがきかない。例えば戦車のように小刻みに動きながら“撃って隠れて”を繰り返すようなことはまず不可能。交戦中に小手先のテクニックでどうにかなる範囲は非常に狭いため、それよりも、接敵前にあらかじめ有利な条件を作るという、戦略的な思考と判断が強く求められるゲームになっている。

 基本的なゲームルールは「WoT」と変わらず、1つまたは複数の拠点占領を巡って2チームが対決する形が基本ルール。ただし1ラウンドにかかる時間は10~20分と、「WoT」の倍くらいだ。なにしろ各マップは1辺が50kmほどの広大さで、なおかつゆったりと動く巨大な船同士の戦いである。あれやこれやと忙しく操作する時間はごく少なく、大半の時間は有利な状況を作り出すための艦隊運動に費やされる。

 例えば、高い火力と防御力を誇る戦艦。種類にもよるが最高速度は25ノット前後、180度の方向転換をするにも1分近くかかる。本作最大の戦艦である「大和」に至っては、展開方向を読み違えて戦場に再突入しようと大回りしていたら、旋回運動だけで戦闘が終わってしまうこともあるほどだ。だから、本作ではマップと味方の様子をよく見た上で、早め早めに的確な判断を下すことが何よりも重要。まさにストラテジーゲームなのだ。

 このようにゆったりとしたテンポで進行する本作だが、いったん敵と接触してからのテンションはすこぶる高い。戦艦砲の一斉射撃がクリーンヒットすれば駆逐艦なら轟沈、巡洋艦も数回の斉射で大破、同等の戦艦であっても甚大な被害を受ける。その一撃をいかに的確に命中させるかが勝敗を分けるが、これが難しい。なにしろ、標準的な交戦距離は10km前後もあり、山なりの弾道で打ち出される砲弾は着弾まで5~10秒ほどもかかる。当てるためには的確な見越し量を加えた照準が必要だ。最大限の集中力で操艦と照準を行なう。決着までの数分間、手に汗握るような瞬間が連続する!!

 また、モジュールへのダメージにどう対応するかという要素にも「WoT」以上の深みが与えられている。被弾による砲塔、副砲の損壊。徹甲弾や魚雷による浸水や、機関部損傷による推進力の喪失。どれも戦闘力を大きく下げる要因になるが、それより致命的なのは操舵装置の損傷だ。修理が完了するまでまともな操艦が不可能になり、浅瀬に突っ込んだりすればジエンドである。損壊したモジュールはリペアコマンドで即座に修理できるが、それが使えるのは数分に1回だけ。どこまで耐えてくれるか? いつ修理するか? 激しい砲戦の中ではわずかな決断の遅さが命取りになる。

 本作はこのように頭を働かせながら戦う傾向が強いゲームになっていると同時に、敵を追い詰める、被ダメージを抑える、的確な射撃を加えるといった部分では、かなりテクニカルな側面もある。その両方がバランス良くまとめられているのが本作の素晴らしさといえるだろう。

 戦略と技術を駆使し、たっぷりの時間をかけて有利な状況を作り出し、決定的な瞬間に最高の一撃を叩き出す。時間をかけて高まっていくカタルシスが、一気に爆発する瞬間だ。この極端ともいえるメリハリが、本作を非常にユニークで手応えの強いゲームにしている。

緻密に描かれた艦艇の姿も本作の見どころ。大正期から戦中まで、日本の艦艇だけでも30種類近くがカバーされている

遊びのテイストがガラリと変わる、艦種毎の際立つ個性

駆逐艦による魚雷攻撃。直撃すれば大型艦も1発だ
速力と火力のバランスが良い巡洋艦。その運用が海戦の要だ
的のでかい戦艦は撃たれてナンボ。精密射撃でそれ以上のダメージを与える
空母はトップビューで戦略的にプレイ。適宜に攻撃隊を送り込む
敵艦の接近を許せば轟沈あるのみ

 本作における各Tierの戦場を彩るのは、駆逐艦、巡洋艦、戦艦、空母という4つの艦種だ。戦車のゲームである「WoT」にもこれに似たようなクラス分け(軽戦車、中戦車、重戦車、自走砲)はあったが、本作における艦種毎の役割のちがいというのは「WoT」よりもずっと極端なものになっているところが面白い。

 まず俊足を誇る駆逐艦。40ノット近いスピードと高い操舵性能で戦場を駆け巡り、魚雷でもって戦艦や空母といった大型艦艇を沈めるのがメインの役回り。耐久力は低いが、的が小さく小回りも効くため、鈍重な戦艦に対して優位だ。全弾命中すれば戦艦も一撃で沈めるほどの威力を持つ魚雷をいかに当てるか。島影に隠れる、煙幕を使うなど、トリッキーな方法で敵のスキを突くことが主な頭の使い方となる。

 巡洋艦は、そこそこの火力とそこそこの速力を持つ、中量級の戦闘艦だ。中距離からの魚雷を問題なくかわせる程度には運動性もあり、装填速度が速く破壊力も充分な主砲は駆逐艦狩りに最適だ。防空能力にも優れるため、戦艦や空母といった大型艦のサポート役としての役柄が強い。仲間と上手に連動し、艦隊の戦闘能力を底上げする。他の艦種よりも戦略的なマインドが強く求められる印象だ。

 戦艦は、強大な主砲と分厚い装甲による高い生存性を誇る。全艦種の中で唯一、戦闘中の船体修理(体力回復)が可能なこともあって、RPGでいえばタンク役とダメージディーラーの両方の役割を負っている感じだ。主砲は超射程かつ破壊力抜群で、巡洋艦との撃ち合いなら一方的に勝利できる火力がある一方、リロードが非常に長く(30秒~1分!)、また動きが鈍重すぎて奇襲に弱い。背後から駆逐艦に襲われれば簡単に魚雷で致命傷を受けてしまうため、ごちゃごちゃした地形に入り込むのは危険だ。いきおい、遠距離での砲撃がメインの戦いとなるので、高い射撃センスが必要だ。

 そして空母。爆撃隊と雷撃隊からなる攻撃部隊と直掩用の戦闘機隊を抱えており、マップ全体を攻撃範囲にできる。このためプレイ画面も他の艦船とは異なり、戦略ゲームライクにトップビュー固定だ。「WoT」で言えば自走砲的な役割を果たすが、航空機が敵に到達するまではかなりの時間がかかるため、先々の展開を読んで優先目標を見極める戦略センスが自走砲以上に必要となる。敵の防空網で航空機を失うリスクを常に考えつつ、最大の効果を上げるにはどうすればよいかという、戦場全体を俯瞰する、視野の大きさが必要なクラスといえる。

 という感じで、本作に登場する4つの艦種は、同じ戦場にありながらも遊び方や勝負どころが全然違う。このため、違う艦種で遊ぶだけでも全く新鮮な体験が味わえる上、攻略までの道のりはまた果てしなく遠い。

 中でも筆者のお気に入りは駆逐艦による雷撃戦だ。戦艦の主砲弾の直撃を喰らえば即轟沈という最高のスリルを味わいながら、巧みな操艦で敵戦艦に急接近。狙いを絞った魚雷を全門斉射してからの高速離脱。煙幕を炊いて文字通り敵を煙に巻きながら、さっきまでピンピンしていた戦艦が轟沈するさまを眺める。これはすごく楽しい。

 かと思えば戦艦の砲撃でドカドカやるのも全然違った雰囲気で面白いし、空母で敵の急所を探りつつ攻撃隊を送り出すのも面白い。中間的な役割を持つ巡洋艦は没個性といえばそうだが、本作の最も中核となる要素……複数の艦種によるチームプレイをより深いレベルで楽しむことができる。

 いわば本作は、海戦というものをネタに、4つの全く異なる遊びが用意されているようなものだ。とても贅沢で、とても優雅なゲームだ。太平洋の戦いをテーマとしていることで日本の名艦艇が多数フィーチャーされていることもあり、正式サービスに向けてますます注目度が高まっていくことも間違いない。個人的には「WoT」よりも好きになりそうである。Wargaming.netは本当に良いデベロッパーだ。

(佐藤カフジ)