インタビュー

スクエニ「キングダム ハーツ -HD2.5リミックス-」インタビュー

誰でも楽しめる一方で、歯ごたえもしっかり。新しい驚きも野村氏が次々に提案

誰でも楽しめる一方で、歯ごたえもしっかり。新しい驚きも野村氏が次々に提案

――スタッフの方にはシリーズに深い思い入れをお持ちの方も多いと思うのですが、思い入れからのこだわりが出すぎて大変だった、というような事もありましたか?

安江氏:あー(笑)。東京のチームにいるキャラデザイナーで、初代「KH」から手がけている人がいるんですけど、とにかく「KH」が大好きで。今回もものすごくキャラクターの描き込みを加えてくれたんですけど、「これメモリ足りないよ」となったりとか(笑)。

 チームのスタッフはみんな「KH」大好きですからね。こだわりたくなるところと、PS3のスペックとの折り合いをつけるところに苦労しました。がんばってくれたがゆえの嬉しい悲鳴といいますか。

――こだわりのリファインということですが、安江さんから見て「このシーンが見違えたなぁ」と感じた場面はどんなところがありましたか?

安江氏:全般的にそうで、見る度にそう感じるんですけど。この前、パイレーツオブカリビアンのシーンを見た時に「画面が広がって、ディテイルがアップして、色が鮮やかになってキレイだなぁ」って感じましたし、「KHII」のロクサス戦とかも良いですよね。グミシップのメニューもキレイですし。大体、全般的に見違えた感がありますね。クリアでくっきりしているというのがまず印象にあって。誰が見てもわかると思います。

――「KH1.5」と「KH2.5」のHD作品で、安江さんはシリーズ作をHD化し、「キングダム ハーツ3D」も手がけられたわけですが、安江さんの今の目線で、「キングダム ハーツ」という作品はどのようなものに映っていますか?

安江氏:難しい質問ですね(笑)。壮大なストーリーで、ダークシーカー編という一連の物語が終着に向かっているというところなわけですが。昔からの伏線がありつつ、新しいものもどんどん追加されています。世界観やストーリーについて野村から、僕らも「えぇ、そうだったのか!」と驚いてしまうようなことが出てくるんですよね。

 過去作の古いものも大事にしつつ、新しいところに挑戦しているので、古く感じないというか。常に新鮮な作品になっていますね。ディズニーさんとご一緒しているという点では、ディズニーさんもまた新しい作品をどんどん世に出していますから。そういうところもどんどん取り入れていますから。飽きが来ない作品ですよね。

――ご自身が原作で携わっていないタイトルの中に、感心させられたり、驚いたりなど、そういったトピックはありましたか?

安江氏:それ、結構ありましたね。最近はほぼ毎日、「KH2.5」で「KHII」のボス戦を触っているんですけど、XIII機関あたりはすごくよくできているなぁと感じます。戦い方を工夫しないとなかなか倒せない。そういう歯ごたえがいいなぁと思いますね。勝てた時に達成感がしっかり味わえるんです。

 あと、過去に自分が作ったものでも、もう結構忘れていたりするんですよね。だいぶ経っているので。やり直してみると「あぁ、こういうところ色々と工夫したな」とか思い出します。「KHBbS」は結構そういうところがあって。最近ヴェントゥス編のシンデレラの家で、毛玉に乗って敵をポンポン吹っ飛ばした所をチェックしましたが、遊び心があっていいなと。「KHBbS」は初めての作品だったのでゲームシステムで新しい物をどんどん取り入れて開発がとても刺激的でした。その点では「KHII」もとても洗練されていて、誰でも感動できるものになっています。ライトな方でもちゃんと楽しめる。

――「キングダム ハーツ」はファンの層も幅広いでしょうし、あまり足し算をし過ぎない、複雑にし過ぎないところも大事ですよね。一方で、何度もやられてしまう歯ごたえのあるボスもいたりと、結構ギャップも入っていると思います。

安江氏:そうなんですよ。ここぞという場面では歯ごたえのあるボスが出現しますよね。全般的にライトな印象があるシリーズとは思いますが、案外そうでもないところがあります。そうした歯ごたえのあるところはコンテンツの魅力で引っ張っていきたいですし、歯ごたえがあるからこそ達成感が味わえるというところで。そこは今後も変わらずに攻めていきたいところですね。

 ちなみに「KH2.5」でもそうしたバトルバランスは変えていないです。「KHII」や「KHBbS」はオリジナル版をプレイしたユーザーさんからの評判が良かったので。なので、そこはいじらずに進めました。

――わかりました。なお、現在の開発状況というのはどのようになっているのでしょうか?

安江氏:今は各パートがほぼ一通りできあがっていて、最終的なカットシーンなどの組み込みを行なっています。これからバグなどを取っていったりですね。発売に向けて順調に進んでいます。

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(山村智美)