ガンホー、PSP「ラグナロク~光と闇の皇女~」先行体験&インタビュー
戦争を多角的な視点で描く、ストーリー重視のシミュレーションRPG


7月27日収録




 ガンホー・オンライン・エンターテイメント株式会社は、PSP向けのシミュレーションRPG「ラグナロク~光と闇の皇女~」を10月27日に発売する。5,985円の通常版に加え、8月25日までの限定予約販売で10,290円のプレミアムボックスを発売する。

 「ラグナロク~光と闇の皇女~」はMMORPG「ラグナロクオンライン」のスピンオフ作品で、グランツリッター半島を舞台に戦争をテーマにした物語が展開される。プレーヤーは仲間を率い、戦争に介入していくことになる。

 今回発売に先がけて本作を体験し、プロデューサーを務めるゲーム事業部モバイルコンシューマ本部プロデュース部コンシューマ課課長代理の横山正純氏と、アシスタントプロデューサーのコンシューマ課主任畠山寛生氏に作品への想いを聞いた。



■ 「ラグナロクオンライン」の要素を詰め込みながら、オリジナルの世界で戦争を描く

3つの陣営のどこに荷担するか、選択することでストーリーが進行する。章ごとに勢力は変更可能だ
ゲームシステムはオーソドックスなシミュレーションRPGだ。戦場では8人のキャラクターを操作する
フィールドは2Dグラフィックスで描かれる。天候や時間で変化する

 「ラグナロク~光と闇の皇女~」は「ラグナロクオンライン」とは全く違う舞台となる「グランツリッター半島」での物語となる。この半島にかつて海を越えて侵攻してきた民族がいて、彼等の末裔は「ブランシャルド皇国」という国を建国した。グランツリッター半島ではブランシャルド皇国に対抗するため原住民族が「連合国家アウラ」を作った。

 長い時がたっていくなかで両国の住人達は交流していったが対立関係は続いた。時には戦争に発展し、時には膠着状態となった。「ラグナロク~光と闇の皇女~」では、つかの間の平和から戦争へと進む時代が描かれる。プレーヤーは傭兵団である「トレーネ義勇団」出身の傭兵として仲間を募ってギルドを作り、「ブランシャルド皇国」と「連合国家アウラ」に介入していく。

 「ラグナロク~光と闇の皇女~」は、ギルドマスターとして最大30人の仲間と共に戦乱の世を戦い抜いていくシミュレーションRPGだ。「トレーネ義勇団」、「ブランシャルド皇国」、「連合国家アウラ」のどの立場に付くかでストーリーが変化していく。1度の選択が結末を決めるのではなく、ステージごとにどの勢力に荷担するかを選択できる。各勢力には魅力的なNPCが配置されており、彼等と織りなすドラマに注目である。NPCの中には所属勢力を離れ、主人公と行動を共にすることを選ぶ者もいる。いくつかの選択により、エンディングは変化していく。

 そして1度エンディングを迎えた後が本作の本当の始まりといえる。「A.I.Z.(アナザー・イフ・ザッピング)」というシステムにより、シナリオを最初からやり直す際に違う選択が可能になり、3つの勢力の戦いをより広い視点で見ることができるようになる。キャラクターの能力は持ち越しできるので、さらに高みを目指したり、1度目とは違うキャラクターを育成することも可能だ。ストーリーとしての深さと、キャラクター育成をたっぷり楽しめる、やり込み型のゲームなのである。

 プレーヤーキャラクターや仲間キャラクターは「ロードナイト」、「チャンピオン」など、「ラグナロクオンライン」でおなじみの職業から1つを選んで作成する。キャラクターのスキルも基本は「ラグナロクオンライン」と同じものだが、スキルはアレンジされている。いつでも転職が可能で、獲得したスキルの組み合わせで更なるスキルを獲得することも可能だ。1度の戦闘に出撃できるのは最大8人。シナリオで仲間になるのは10人で、オリジナルキャラクターは19人まで作成可能だ。

 職業でも2周目は楽しみが待っている。本作オリジナル職業「カプラ」、「ジョンダ」が選択可能となるのだ。カプラはショットガンを、ジョンダは2丁拳銃を使うキャラクターとなっており、本作では少ない射撃型キャラクターとなる。この他2周目では「ダークナイト」、「シャーマン」等の職業も選べるようになる。

 「ラグナロク~光と闇の皇女~」のグラフィックスはフィールド画面が2Dでキャラクターが3Dという「ラグナロクオンライン」とは逆の手法で描かれている。各キャラクターのスキルが本作ではどのように描かれているかファンは期待して欲しい。またフィールドは天気や時間で大きく変化する。本作はターン制ではなく、キャラクターの行動順はステータスのSPD(スピード)で決まり、敵も味方も入り交じって行動する。移動範囲やスキルをどう組み合わせていくか、戦略を練るのも楽しい。「ラグナロクオンライン」の要素を取り入れながら、独自の面白さがたっぷりと楽しめる。

 戦闘にアクセントを加えるのが「オーバードライブ」と「バーストストライク」という特殊スキルである。オーバードライブは戦闘開始より様々なアクションを行なうことでオーバードライブゲージが上昇していき、消費することで1行動で複数のスキルが使える。例えばチャンピオンの「阿修羅覇凰拳」は練気功、爆裂波動、練気功とスキルを使ってはじめて使用可能になる。このため通常は4回の行動が必要だが、オーバードライブを使うと1回で使用できる。他にも回復を数回かけて大量のHPを回復したり、様々な使い方ができる。

 バーストストライクは戦闘開始時にゲージが満タンで、消費することで仲間との連係攻撃が行なえる。バーストストライクは2人もしくは3人で連携できる。職業の組み合わせによって様々な効果を発揮する。特別な効果を発揮する組み合わせもあるので、様々な連携を試そう。オーバードライブ、バーストストライクは派手な演出が楽しい。

 また、「ラグナロクオンライン」と同じ様に「カードシステム」を搭載しており、350種類以上のカードが用意されている。「ラグナロクオンライン」ではカードを武器や防具のスロットに埋め込む形で使用し、一度はめると外すことができない。一方本作ではカードの機能はシミュレーションRPG向けにアレンジされており、使用法もまったく異なっている。本作ではキャラクターがカードを装備する形となり、いつでも自由に変更可能だ 。

 ゲームを触った感触は、オーソドックスなシミュレーションRPGで間口の広い印象を受けた。ただし、スキルが多彩なためちょっと複雑に感じるかもしれない。オリジナルキャラクターが多数参加する点はユニークだと思った。「ラグナロクオンライン」プレーヤーは友達の名前をつけたキャラクターでギルドを組むのも楽しそうだ。「戦争」という重厚なテーマを複数の視点で描くという硬派なストーリーにも注目したい。

 この他、“すれ違い通信”に対応しており、他プレーヤーと「ギルド情報」を交換することで選抜メンバーと対戦が行なえる。対戦はリアルタイムではなく、他プレーヤーの選抜メンバーはCPUが操作し、勝つと報酬が得られる。またアイテムのコピーを配信することができる。他プレーヤーにアイテムを配ってもオリジナルはなくならず、一定数配信すると強力なアイテムを入手できる。今後はアイテムやカード、追加シナリオなどダウンロードコンテンツも用意するという。


本作のキャラクターは3Dモデルで描かれる。オリジナルの味を持たせながら、アレンジを加えている
最大30人のキャラクターでギルドを結成し、8人のキャラクターを戦場に投入する。装備やスキルは「ラグナロクオンライン」と同じ名称であるため、ファンは一層の思い入れを持ってプレイできそうだ
複数のスキルを一気に使うオーバードライブ。準備が必要な阿修羅覇凰拳も1行動で繰り出せる
仲間との連係攻撃が行なえる強力なバーストストライク


■ 重厚なストーリーと共に、カード収集キャラクター育成などのやり込み要素もたっぷり

プロデューサーを務めるガンホー、ゲーム事業部モバイル・コンシューマ本部プロデュース部コンシューマ課課長代理の横山正純氏。後ろが横山氏お気に入りのキャラクターのフィオナ
アシスタントプロデューサーのコンシューマ課主任畠山寛生氏

 インタビューでは、プロデューサーを務める横山正純氏と、アシスタントプロデューサーの畠山寛生氏に作品への想いを聞いた。今作は「ラグナロクオンライン」のコンシューマーゲームを作るという企画からスタートしている。出された企画にはシューティングゲームや、スポーツゲーム、学園恋愛アドベンチャーなどもあった。

 そこからスキルと職業に注目しシミュレーションRPGとなった。開発を担当するアポロソフト、チャイムというメーカーは共に「ブラックマトリクス」、「サモンナイト」といった作品を担当し、キャラクター性を前面に出したシミュレーションRPGを得意としている。

 「ラグナロク~光と闇の皇女~」では「ラグナロクオンライン」とは別の地域「グランツリッター半島」を設定し、新しく1からその地域の歴史を設定し、国家間の思惑とキャラクターの1人1人の想いが絡み合う重厚なストーリーが展開される。「戦争を多角的な視点で描きたい」という想いの元、コンセプトを煮詰めていった。

 「連合国家アウラ」は半島に元々いた民族で、「ブランシャルド皇国」は侵入者の国だ。しかしその後数百年たち、国家の対立は残っている物のそこの住人達は交流が進み、外見的差違はなくなっている。「姿が違うなど、民族的差違は出したくなかった」と横山氏は語る。その戦いの中で「戦争の真相はどこにあるか」をプレーヤーに考えてもらいたいという。メインのテーマは深く重厚だ。

 アシスタントプロデューサーの畠山氏は特に人間ドラマに注目して欲しいと語る。人と人との戦い、意見の対立……同じ陣営でも「国のために仕方なく戦う」と思っている人もいれば、「立身出世のチャンスだ」と捉えてる人もいる。戦争に対してプレーヤーに考えてもらいたいゲームになっているという。

 一方、ゲームシステムは奇をてらわず、オーソドックスなシミュレーションRPGを目指した。そこにオーバードライブ、バーストストライクというシステムを盛り込んだ。武器名、スキル名などはファンならばお馴染みのものだ。ユーザーが持つイメージも大事にしつつアレンジしたという。戦闘の演出は過多にせず、遊びやすくしっかりしたゲームを目指した。敵を倒すのに頭を使うと言うよりも、味方をどう活躍させ、どう育成させるかに注力したという。

 お気に入りのバーストストライクの連携は、横山氏は女ハイプリースト、女アサシンクロス、女ダークナイトで、この組み合わせで行なうととてもかわいらしいという。畠山氏はダークナイトとチャンピオンとスナイパーがかっこいいという。畠山氏は特にダークナイトに思い入れが深いとのこと。

 2周目からの「A.I.Z.(アナザー・イフ・ザッピング)」によるシナリオの深さも注目して欲しいと横山氏は語る。1つのシナリオでの事象のきっかけはどの陣営のストーリーで起きているかなど、自由に時間を遡りシナリオをプレイすることで、戦争の真相へ迫っていける。ストーリーへの深い理解が可能になる。

 ただし、主人公達キャラクターの記憶やストーリーは2周目だからといって変化しない。「A.I.Z.」ではプレーヤーが多角的に戦争を見れるがシステムなのだ。「記憶などを持ち越してしまうとストーリーが難しくなってしまうのは避けた」とのことだ。2周目以降でしか到達できないエンディングも用意されているという。

 この他、カードやレア武器収集用にやり込み型のコンテンツも用意している。本編では人間同士の戦いが中心だがこちらではモンスターのバトルとなり、より「ラグナロクオンライン」に近い雰囲気が味わえる。隠しダンジョンもありより強い敵、「ラグナロクオンライン」にも登場した巨大ボスも待っているという。

 ちなみに横山氏は「トレーネ義勇団」に所属するフィオナというキャラクターが幼い感じがして大好きとのこと。畠山氏は義勇団リーダーのトレーネが「良くできた人間で、深い知識もある渋いオヤジだから」大好きだという。登場キャラクターの多くは「ラグナロクオンライン」の職業からイメージがふくらまされている。自由に作ることができ原作に近い雰囲気の傭兵キャラクターとは別に、大きくアレンジされたNPCも注目だ。

 また、「ラグナロクオンライン」ユーザーに向けては、本作の発売時期に合わせて本作に関連するクエストを実装する。その時は「ラグナロクオンライン」のプレーヤーキャラクターが時と時間を超え、連合国家アウラとブランシャルド皇国の戦争を目撃するという。クエストをクリアすると報酬アイテム「ティアドロップ」が得られる。「ティアドロップ」は「ラグナロク~光と闇の皇女~」の8月25日までの限定予約販売のプレミアムボックスについてくるアイテム「ダークエイジ」とセットで利用すると、タナトスタワー 1Fから6Fまで瞬時に移動できるとのことだ。詳細は公式ページで発表されるという。

 最後にユーザーへのメッセージとして畠山氏は「今回は勧善懲悪ではない、人間同士の深いドラマを描いています。プレーヤーの皆さんの心に残るものになると思います」。横山氏は「システム面では、特にやり込み要素が豊富です。160面以上のマップ、隠しダンジョン、多彩な武器にカード……。たっぷり楽しめるタイトルです。是非やり尽くしていただきたい」と語ってくれた。

 「ラグナロクオンライン」の要素をたっぷりと詰め込みながら、戦争という重いテーマを描くというストーリー重視の作風は、いかにも王道的な「日本のゲーム」という印象を受けた。「ラグナロクオンライン」ファンならずとも興味を惹かれるタイトルだと感じた。


やり込み要素の1つカードシステム。右は「ZOC(ゾーン オブ コントロール)」効果で、範囲にはいると移動力を多く消費する。活用することでよりうまく戦える
左と中央は早期購入特典として店頭でもらえるキャラクター「アデレイド」。職業がプリンセスの強力キャラクターなので、2周目から使える。右は「謎の少女」こちらは初回生産パッケージに同梱されている

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(2011年 8月 5日)

[Reported by 勝田哲也]