PS3/Xbox 360「End of Eternity」開発者インタビュー
プロデューサー島野光弘氏、ディレクター勝呂隆之氏が語る「End of Eternity」の魅力

2月1日収録

 

 株式会社セガより1月28日に発売されたプレイステーション3 / Xbox 360「End of Eternity」(EoE)。RPGといえば、剣と魔法というイメージが定番というなか、本作では銃撃多重奏というジャンルの通り、主に銃を使って戦う。特にバトルシステムは他に類をみないほど独特なものとなっている。

 開発元の株式会社トライエースは「スターオーシャン」や「ヴァルキリープロファイル」などRPG開発を得意とするメーカー。今回はセガの島野光弘プロデューサー、トライエースの勝呂隆之ディレクターへのインタビューの模様をお伝えしていこう。



■ 「End of Eternity」はどのようにして生まれたのか?

株式会社セガ 島野光弘プロデューサー
株式会社トライエース 勝呂隆之ディレクター

GAME Watch編集部: まずは「EoE」の開発コンセプトと開発経緯を教えてください。

島野氏: 兼ねてより、セガからハイエンド機でRPGをリリースしたいという意図がありました。そんな中、トライエースさんから企画書をいただき、今回ご一緒させていただくことになりました。

勝呂氏: 戦闘が派手なRPGを目指して開発しました。

編: プレイステーション 3とXbox 360で違いは何かありますか?

勝呂氏: PS3なら「トロ・クロ」の衣装があるなど、それぞれのプラットフォームで専用の衣装がある程度で、基本的に違いはありません。

編: 完全新規の大型タイトルとして注目を集めている本作ですが、どのような層をターゲットとしているのでしょうか?

島野氏: 基本的にはRPGファンです。加えて、トライエースさんのファン、新しいゲームに敏感なファンをターゲットとしています。

勝呂氏: 作り手としては、昔ながらのやり応えのあるゲームを遊びたがっているプレーヤーを意識しました。

編: RPGと言えば「剣と魔法」というのがベーシックなイメージですが、銃を選んだ理由はなんですか?

勝呂氏: 剣と魔法だとオーソドックスすぎて新鮮味がないですし、戦闘シーンを派手にしたかったこともあります。剣だと近寄らないと攻撃できないので、カメラワークも面白みに限界がきやすいんです。そこで遠距離攻撃ができる銃を選びました。

編: 逆に離れてしまうことで迫力が出しづらくはなかったですか?

勝呂氏: たしかに、カメラワークでの新鮮味は大きいんですが、離れて撃つため、“敵をやっつけている”という感覚が出しづらく、かなり試行錯誤しました。デザイナーは撃っている主人公を見せるようにしがちなんですが、必ず撃っているターゲットを映すようにしてもらったり。

島野氏: 迫力や爽快感は課題だったのですが、追撃や撃ち落しが入ってきてから、爽快感や迫力が一気に増しましたね。

編: カメラが回り込んだりするのは自動制御ですか?

勝呂氏: 地面へのめり込み対処などを含めて半々位ですね。そういえば、カメラ以外でも、テンポを考えて攻撃モーションも短くしてもらいました。

編: 銃だと攻撃モーションに派手な動きが出しづらいのではないかと思ったのですが?

勝呂氏: そうですね。斬撃であれば派手な動きがつけやすいんですが、銃だと難しい。引き金さえ引けば攻撃できてしまいますからね。最初から苦労するのはわかっていましたが、派手さをつけて見栄えを良くするのはなかなか大変でした。



■ 元々の設定に囚われず、声優さんからのフィードバックも取り入れて作ら上げられた登場人物達

主人公たちはもちろんのこと、サブキャラクターも個性溢れる人物が多い

編: では次に本作の世界観についてお話いただけますでしょうか?

勝呂氏: 本作では「バーゼル」という閉じた世界を舞台に物語が繰り広げられます。RPGというと、海や山など広大なフィールドで冒険することを期待される方もいらっしゃるとは思いますが、今では当たり前になってしまいました。そこで絞り込んだ状況で楽しめるものを考えて、今回のバーゼルという限定された世界を舞台とすることにしました。きらびやかなものではなく、若干荒削りな古臭い世界観を意識しました。

編: ストーリーについてもお願いします。

勝呂氏: 平凡な日常を送る主人公と、ある計画を企ている支配者階級のカーディナルのストーリーが平行して進行しつつ、バーゼルに秘められた機能が原因で徐々に両者が交わっていく、という構成になっています。

編: コミカルなシーンや主人公たちの私生活が垣間見えるようなシーンも多くありますね。

勝呂氏: メインとなるストーリーは、バーゼルとカーディナルを中心に進んでいきますので、主人公たちについては軽いタッチにし、各エピソードにオチをつけ、飽きのこない作りにしてあります。

編: 主人公たち以外にも、「ペーター」や「ガリジャーノン」といった個性的なキャラクターが多く登場しますが、これらのキャラクターにモデルはいるんでしょうか?

勝呂氏: 特定のモデルはいません。シナリオやカットシーンの演出を考慮にいれてキャラクターを作りました。声優さんからのフィードバックによって手直しした部分も多いです。収録時は仮組みの絵を見てもらいながら声を当てていくのですが、うまくアドリブを入れていただけたので、声にあわせて後からシーンを変更することもあったくらいです。実は檜山修之さんにペーターのCVをお願いしたときのことなんですが、コーディネーターの方にペーターのイラストをお渡ししたら、「もっとかっこいいまともなイラストはないんですか? これではお願いにいけません」と言われたりもしましたね(笑)。

編: 見た目と喋り方と声のギャップがものすごいですよね。

勝呂氏: 見た目にあった声か、かっこいい声かを考えて、かっこいい声に決めたんです。

島野氏: 開発スタッフ内にはペーターファンが多くて、出番が多くなったほどですよ(笑)。



■ 3人で戦う必然性を持った独創的なバトルシステム

アクションゲームと見間違えてしまうほど派手な戦闘シーンも本作の魅力のひとつ
敵からの攻撃を一切受け付けず、走りながら攻撃する「インビンシブル・アクション」

編: 戦闘システムに関してですが、まず、「スクラッチダメージ」、「ダイレクトダメージ」という2種類のダメージを採用した経緯を教えてください。

勝呂氏: 本作では操作キャラクターが3人います。3人で戦う必然性を考え、2種類のダメージを採用しました。複数人がバトルで戦う場合、1人いれば残りのメンバーはいなくてもよいのでは……ということになりがちだと思うんですが、これら2種類のダメージを採用することで、“2人以上いないとトドメがさせない”というようにしました。さらに仲間2人の間を通ることで発動できる「レゾナンス・アタック」は3人いないと出せないようにしてあります。

編: 2人の間を通るというルールは、どういう経緯で決まったんですか?

勝呂氏: アイディアは初期の頃からあったもので、“おはじき”のようなイメージです。3人で戦う必然性のあるものとして用意しました。製品版のシステムに至るまで、このルールをどう実装するかかなり悩みました。最初はシューティングゲームの“ボム”のように、貯めたポイント次第で敵に大ダメージを与えるようなものでしたね。

編: 「レゾナンス・アタック」に必要なポイントをためるために必要な「インビンシブル・アクション」はダメージを受けることなく、走りながら攻撃できますが、このシステムはどのような経緯で入ったのでしょうか?

勝呂氏: インビンシブル・アクションは、シナリオの設定を考慮しつつ考えました。本作では主人公たちは死ぬべき状況下で、死ななかったという設定なんですが、死なないとゲームにはならないので、その辺りを考えつつ落とし込んでいって辿りついたのが現在の形です。

島野氏: 企画書をいただいた際に、“ハリウッドのアクション映画のように銃弾の嵐の中で銃撃を受けずに走り続けるシーンをイメージしてほしい”と言われました。アクションゲームではないので、攻撃する必要があるが、逃げなくていい。攻防が一体となった戦闘システムだと。これは当初の企画のコンセプトどおりなんです。実は開発中にはジグザグに自由にルートを決められる時期もありました。それはそれでとても面白かったのですが、もしそのままだったら、レゾナンス・アタックは生まれなかったかもしれませんね。

編: インビンシブル・アクションを使おうとして、最初は“決定はA(PS3版では○)ボタン”という概念に囚われて、慣れるまでX(PS3版では□)ボタンを押してアンカーを出して方向を決めたあと、A(○)ボタンを押してしまって、ノーマル・アタックが出てしまうことがありました(X(□)ボタンが正解)。

勝呂氏: それについては社内でもよくあった意見で、何度も検討したんですが、やはりボタンアサインは“走り出すときはX(□)に統一したほうがいい”という結論から今の形になりました(編注:レゾナンス・アタック時も走り出すのはX(□)で統一されている)。慣れだけの問題なので、慣れないうちはノーマル・アタックが出てしまうこともあるでしょう。アンカーが出ているときにA(○)ボタンを押した場合、ノーマル・アタックが出ないようにすることもできましたが、慣れてくるとアンカーをキャンセルする操作が煩わしくなるので。一般の方はPS3、Xbox 360の両方でプレイされることはないと思いますが、開発スタッフは両方をプレイするため、Xbox 360からPS3に持ち替えるとボタンの位置が違うので、混乱することはありましたが(笑)。

編: 追撃や撃ち落しをすると、通常よりも敵からのアイテムドロップが増えますが、同一の敵であってもヒット数やダメージ値によって変化はあるのでしょうか?

勝呂氏: 追撃や撃ち落としのドロップアイテムは、弾丸1発に対して確率が設定されています。また、チャージ数が上がると確率が上昇します。

編: システムの理解度に応じて難易度の受け取り方にばらつきがありそうですが、難易度調整で苦労した点はありますか?

勝呂氏: このゲームは基本的にじっくりと次の1手を考えられるようになっているため、簡単すぎるとつまらない作業になってしまうんです。そのあたりのバランスが難しかったです。また、人により、簡単すぎる、難しすぎるの幅が出やすいため、1周目は若干やさしめで、誰でもプレイできるようにしてあります。ですが、マップ上の赤いマスではその段階で想定されているより、強い敵が出てくる。知らない人は勝てないと思いますが、わかっている人は勝てるくらいの調整になっています。

編: 他にも調整関連で何かありますか?

勝呂氏: RPGにありがちな、“この敵はこの属性に弱いから”という作り手が設定した情報を解き明かして攻略するものではなく、極力情報を知らなくても攻略できるように設計しました。基本情報さえ知っていれば、その人次第というものにしたかったので、個人的には属性攻撃も入れたくなかったんですけど、あまりにも色気のないゲームになってしまうので若干入れてあります。

編: “自分が理解できた”という感覚がゲームから返ってくるのがモチベーションに繋がると思うのですが、このゲームではどういった工夫をされましたか?

勝呂氏: 元々ストラテジー要素を強くする意図はありました。RPGですので、自分が強くなった感覚を求める人は多い。ですが、本作ではレベルがあがっても、チャージできる回数が増えたり、チャージ回数に応じてスキルが発動するだけで、システムを理解してプレイしないとレベルアップの恩恵にはあずかれない。レベル2になれば、攻撃力2倍ということはないんです。レベルに応じてキャラクターが強くなるだけだと上達した感は得られにくくなるので、現在の形にしました。

編: レベルといえば、キャラクターのレベルは3種類の武器の合計になっていますね。

勝呂氏: 武器はハンドガン、マシンガン、グレネードの3種類しかないので、“ゼファーはハンドガン”などと、キャラクターと武器を固定されたくなかったんです。強制的に全ての武器を使ってもらえるようにこの形にしました。また、それぞれのキャラクターは武器により攻撃モーションが変わるので、それを見てもらいたかったという意図もあります。システム上、マシンガンのレベルがそのキャラクターのレベルともいえます。「ダイレクト・ダメージ」を与えられるハンドガンやグレネードは、マシンガンでの「スクラッチ・ダメージ」を確定した分、一気に熟練度が稼げるからです。

島野氏: 「ダイレクト・ダメージ」を1でも当てれば、「スクラッチ・ダメージ」の分も与えられますからね。レベルに差が開いても一気にレベルを上げられます。

編: 武器はどれくらいあるんでしょうか?

島野氏: 全部で10種類程度ですね。

勝呂氏: 最初はキャラクターごとに持ち替えながら使うことになりますが、後半になるとどれも2丁持ちできるようなバランスにしています。また、銃は後から手に入れたものがあれば、最初に使っていた銃はいらなくなるようにはしたくなかったので、数も含めてそのようなバランスにしています。

プレーヤーが試行錯誤して楽しめるようにと考案された銃のカスタマイズ

編: 銃のカスタマイズは決められた箇所をただ変更するのではなく、パーツの組み合わせを考えるものになっていますね。

勝呂氏: 単純にパーツをつけていくだけだと面白くないので、プレーヤーが試行錯誤して楽しめるように考えました。銃を売りにしているので、ガンマニアの方から、“そんなカスタマイズができるわけがない”という意見が多くあるんじゃないかと思っていたんですが、そういう意見はあまりなく、意外とバカっぽい改造をして楽しんでいただけているようでほっとしています。

編: プレーヤーによって個性の出るカスタマイズになりそうですね。

勝呂氏: 弾数やチャージ速度に重きをおくなど、人によって違いますね。あまり気付かれないことなのですが、集弾率は基本的に集まる方向でカスタマイズすると思うんですが、あえて集弾率を下げることで範囲攻撃のように使うこともできるんです。開発スタッフには意図的に集弾率を下げる人もいました。

編: クリアまでのプレイ時間はどの程度でしょうか?

勝呂氏: 50時間前後です。ただ、人によっては90時間かかったという人もいますね。ミッションをどの程度やるかどうかでも大きく変わるため、ばらつきは大きいです。ミッションを全てやる人は少ないと予想していたのですが、思ったより多いようです。

島野氏: 関係者でマップを全て埋めるまで次に進まないという人がいまして、そのやり方だとかなりの時間がかかっていました(笑)。ただ、遊び方は人それぞれ自由ですので、好きなようにプレイしてほしいですね。

編: マップといえば「エナジー・ヘキサ」でマップを開拓していくのはとても新鮮でしたが、どのような発想から生まれたのでしょうか?

勝呂氏: 当初ダンジョン攻略用に考えていたのですが、ダンジョン攻略が面倒になってしまう恐れがあったため、ワールドマップに採用しました。ダンジョン攻略用ではもっと構想があったのですが、ワールドマップ向けなのでシンプルになっています。ただ、見た目が昔のゲームっぽくて受け入れられないかなという不安はありました(笑)。

編: ミッションを複数同時に受けられる部分は個人的に嬉しい配慮だと思ったのですが、ここにもこだわりがあったのでしょうか?

勝呂氏: 特に意識はしていません。自然とこの形になりました。ミッションは住民がやってほしいことが掲示板に書いてあり、やりたい人だけやってくださいというものになっています。基本的には依頼人に話しかけてスタートというイメージです。自分達がプレイしていて面倒なことは多少無骨な作りになっても、面倒をなくしてスッキリさせたかったのです。その分、多少突き放した感はあるかもしれません。例えば、チュートリアルについても最初はバシュロンで通常攻撃しか使えず、徐々にシステムが解放されていくものでした。ですが、社内からチュートリアルが終わるまでつまらないという意見もあり、プレイを始めて数時間苦行を強いるのはよくないと思い、最初から全てできるようにしました。じっくりプレイしたい人はチュートリアルを見ながらプレイしていただけたらと思います。

編: ミッションはどのくらいの数があるのでしょうか?

島野氏: ストーリーに絡むものを含めて約200ほどです。



■ 多くのパーツが用意されたコスチュームチェンジ、長く遊べるクリア後のお楽しみ、大御所2人によるBGM制作

約400ものパーツを組み合わせて楽しめるコスチュームチェンジ。クオリティの高さは見ての通りだ

編: キャラクターのコスチュームをカスタマイズできますが、こだわりや苦労した点はありますか?

勝呂氏: 衣装はデザイナーがそのキャラクターのことをよく考えて作ってくれました。バリエーションを用意することはさほど大変ではなかったですね。実は衣装のカスタマイズは元々の企画にはなかったものなんです。元々ゼファーのジャケットが白だったんですが、アートディレクターと相談し、3人のバランスを考えて今の色になりました。でも、白ももったいないから、切り替えられるようにしようかという話が膨らんで今の形になったんです。

編: 衣装のパーツはどのくらいあるんでしょうか?

島野氏: 約400ほどあります。

編: ゲームクリア後にやり込める要素はありますか?

勝呂氏: おまけダンジョンを用意しています。また、2周目以降では獲得した衣装を引き継げるようにしてありますので、もう1周遊んでもらいたい気持ちが大きいです。難易度的にも2周目がお勧めです。

編: おまけダンジョンといえば、知っている人ならニヤリとするような名前が付けられていますね。

島野氏: 実はその部分はあまり触れてほしくない部分だったりします(笑)。

勝呂氏: 最初はネバーランドという名前だったのですが、色々ありまして、あの名前になりました。ただ、海外版はネバーランドという名前になっています。

編: 2周目は1周目とどのような違いがあるのでしょうか?

勝呂氏: 2週目以降は難易度が変更できます。同じ難易度であれば衣装だけでなく強さも引き継いでプレイできるようにしてあります。敵の強さだけでなく、コスチュームを変えてイベントを見ると印象が変わるので、そこも楽しんでいただけたらと思っています。

編: 難易度はどれくらいあるのでしょうか?

島野氏: 結構あります。具体的な数は今は秘密ということにしておいてください(笑)。

勝呂氏: ただ、50レベルとかはありませんよ(笑)。

編: BGMを桜庭 統氏、田中公平氏の2人に依頼した経緯は?

島野氏: オリジナルタイトルなので、プロモーション展開についても慎重に考えていました。そこで大御所2人が共作するということを思いついたんです。トライエースさんだから桜庭先生は外せないなと、もう1人は!ということを考えたときにセガに縁のある田中先生がいいんじゃないだろうかと思い依頼しました。



■ DLC、続編など「End of Eternity」の今後の展開はいかに

「バーゼル」の外がぼんやりと見えている。「バーゼル」の外が冒険できるような続編はあるのだろうか

編: DLCの予定はありますか?

島野氏: 検討していますが、現段階では未定です。

編: 気が早いかもしれませんが、続編はあるのでしょうか?

勝呂氏: 続編についてはセガさん次第ですね(笑)。

島野氏: どんなタイトルでもそうですが、続編を出したい気持ちはあります。今後の状況次第で続編の制作が決定するといえるでしょう。

編: 「End of Eternity」以外でのセガ×トライエースのタッグでタイトルがリリースされる可能性は?

島野氏: ご縁があってやってきましたし、「End of Eternity」の評判もいいですから、やっていきたいと考えています。



■ とんでもないキャラクターが登場!?開発秘話

編: 開発中にあったこぼれ話などがあれば教えてください。

勝呂氏: セガ社内向けのプレゼンテーションの話なんですが、ギャグ的なテイストがある本作でも初期の頃は特にふざけたものがありました。そのロムを使って、島野さんがセガの偉い人の前でプレゼンテーションをした時にシーンとなっていましたね(笑)。

島野氏: 当時ワニのキャラクターがいて、「戦闘だワニ!」とか言うんですよ。えらい人しかいない中で、クスリともされなかったですね(笑)。大事な会議ということもあり、当然といえば当然なのですが。どうしてもそのシーンを経ないと戦闘が見せられなかったんですよ(笑)。

勝呂氏: 製品には入らなかったのですが、デミヒューマン的なワニ人間がいたんです。戦闘開始時に「戦闘だワニ!」と言う。あれは申し訳なかったと思っています(笑)。

島野氏: プレゼンといえば、色々新しいことをやっているので伝わりづらく、コテンパンにやられることもありました。

勝呂氏: 製品版ではいらない部分をバッサリ削ってスッキリさせているのですが、開発中はスマートでない部分や、これを見せられても……というものもあったかもしれません。

島野氏: ただ、トライエースさんはハイエンド機の開発技術が高く、物理演算やエフェクトなどを見てもらって納得してもらいやすかった。なのでプレゼンではグレネードを投げまくりましたよ。デカイ敵がガシャーンと派手に倒れる様が見せられますからね。それでハイエンド機はスゴイなという空気は出せたかもしれません(笑)。



■ 面白いと思ったら人には勧めて欲しい!勝呂氏、島野氏からのメッセージ

編: 最後に本稿を読んでいるファンの皆さんへのメッセージをお願いします。

勝呂氏: 勝呂:これまでにないシステムなのでとっつきが悪いと感じる人も多いでしょう。ですが、慣れてくればシンプルなのがわかると思います。歯ごたえのあるもの、じっくり考えるゲームをプレイしたい方に手にとってもらいたいです。

島野氏: どうしても言いたいことがあるんです。最初のオープニングが2種類ありまして、それが重要なのでしっかり見てもらいたい。スタートせずにタイトル画面の後に出てくるロエンとサリヴァンのムービーです。そのムービーが前提でストーリーが進んでいくので、必ず見てほしい。それを本当に伝えたいです。

勝呂氏: ネットを見てて、面白いけど人には勧められないという書き込みが見受けられましたが、是非とも面白いと思ったら人には勧めてください(笑)。

編: ありがとうございました。



(C)SEGA
Developed by tri-Ace Inc.

(2010年 2月 10日)

[Reported by 木原卓 ]