インタビュー

「EDENS ZERO Pocket Galaxy」の原作者 真島ヒロ氏インタビュー

仕上がりは100点! 思い出のゲームは「パロディウスだ!」の「ちちびんたリカ」

【EDENS ZERO Pocket Galaxy】

2月24日 配信予定

価格:無料(アイテム課金制)

 真島ヒロ氏による漫画「EDENS ZERO」のスマートフォン用アクションRPG「EDENS ZERO Pocket Galaxy」が2月24日に配信となる。別稿では本作の先行体験レポートをお伝えしているが、本稿では原作者の真島ヒロ氏への合同インタビューの模様をお伝えしたい。

【【公式】EDENS ZERO Pocket Galaxy | ローンチトレーラー】
真島ヒロ氏。1999年に講談社「週刊少年マガジン」にて「RAVE」の連載をスタート。その後「FAIRY TAIL」の連載を経て、現在は「EDENS ZERO」を執筆連載中。漫画家の中でも屈指のゲーマーだが、実はUnityやUnreal Engineも扱える

本格ハクスラと、着せ替えのカスタマイズ要素がウリ

――最初にオファーが来た時、どのような感想を受けましたか。

真島氏:最初いただいた企画は、今の完成形とちょっと違った内容だったのですが、面白そうだと感じていました。そこで、KONAMIさんの“こういうが事やりたい”というのと、僕の“こういうが事やりたい”という意見を調整し、じゃあこういう方向性で行きましょうか? という話を最初にしたのを覚えています。

――具体的にお願いしたことは覚えているでしょうか。

真島氏:まず、キャラクターがマップを移動する見下ろし型アクションにしてほしいとお願いしました。それは僕が結構好きなゲーム体験だったりするので、モバイルでリリースするのであれば、そういうのはどうでしょう? という話をさせていただきました。

――モバイルゲームの場合、間口を広くすることを考えると普段はジャンルとしてRPGなどを選ぶことが多いと思うのですが、本作はどちらかというとアクション要素が非常に強いと思います。どうしてアクションジャンルを選んだのでしょうか。

真島氏:RPGのほうが間口が広くなる可能性もありましたが、実は今回の作品は海外を非常に強く意識しています。海外ユーザーが何を求めているかを考えた時に、モバイルでもアクションゲームのほうがいいんじゃないかと考えたのが一つです。あとは僕自身、RPGなどのモバイルゲームもプレイするんですが、アクションゲームを遊びたいなと思っていた時期だったからというのもありますね。

海外ユーザーも意識して、見下ろし型のアクションゲームとして制作された「EDENS ZERO Pocket Galaxy」

――今回、ゲーマー目線でおすすめしたいポイントはどこでしょうか。

真島氏:ポイントは、本格的なハクスラ(ハック&スラッシュ)要素と着せ替えのカスタマイズ性などですね。原作を知らなかったとしても、ゲーム好きならぜひとも触ってみてほしいと思っています。

――手がけられた衣装デザインのポイントなどを教えてください。

真島氏:一部の衣装デザインを僕が手がけたのですが、こだわったポイントは“ゲームで映える”ようにしたことですね。自分が普段ゲームをプレイしていて、キャラクターにこんな衣装を着せたいな、というちょっとした願望みたいなものを反映した形になっています。

――どのような衣装があるのでしょうか。

真島氏:コスプレ性が高いもの、例えば女性キャラクターですとカウガールやメイドさんの衣装、SFチックなボディスーツなどです。男性キャラクターでは、ちょっとギャングっぽい衣装ですとか。あと、この世界感は宇宙を舞台にした世界なんですけれど、若干ファンタジーっぽい鎧のようなデザインの衣装も作りました。

――ほかの漫画原作のあるゲームでは、着せ替え要素はあまりOKを出さないことが多いと聞いたのですが、今作では先生がOKした理由を教えてください。

真島氏:ユーザーさんは、衣装を変えるのが好きな人が多いんじゃないかなと思ったのが一つと、僕自身が衣装替えができるゲームが大好きだからですね。

――これから先、どのようなキャラにオリジナル衣装を登場させたいでしょうか。

真島氏:また何か思いついたら、こういう衣装を出したい、と相談してみたいなと思います。比率的に、本作は女性キャラの方が多いので、今は女性用の衣装のほうが多数を占めていると思うんですけれど、今後は男性キャラでネタに走った衣装を作ってみたいですね。

――原作者の立場として衣装を作るにあたり、何か意識されたことなどありますか。

真島氏:僕自身は衣装替えができるゲームがすごい大好きなので、まず最初にこのゲームの打ち合わせをした時に、KONAMIさんに対して衣装替えできるシステムにして欲しいというお願いをした記憶があります。

――そのとき、“これはやらないで欲しい”とリクエストした項目はありますか?

真島氏:それは、ほとんどなかったですね。基本的にはゲーム好き原作者ということで、ほかの原作者なら“絶対やめてほしい”というところでも、僕は意外と通しちゃうことが多くてですね……まあゲームなんだからと言う理由で、なんでも通してるところはあります。もちろん、キャラクターのイメージが著しく崩れるような描写はやめてほしいとは思っていますが、絶対そんなことはないので、衝突はありませんでした。

多数の着せ替えカスタマイズ要素が盛り込まれている。現在は女性キャラの着せ替え比率が多いが、徐々に男性キャラ用も増やしていくそうだ

自身の作品がゲーム化されるのは、嬉しいの一言

――3Dで描かれたストーリー部分を見て、率直な感想を教えてください。

真島氏:すごい細かいところまで、3Dで作っていただきました。本来なら“ここはスチールで良くない?”というところまでネタを作ってる場所などがありまして、すごい労力をかけて作ってくださっているのがわかり、感謝してますね。

――キャラクターは3Dアクションで動きますが、これも先生が監修されたのでしょうか。

真島氏:あまり監修していません。KONAMIさんの方で作ってもらったものを見て、OKかNGかという判断をしたくらいですね。ただ、非常に素晴らしいモーションが多かったので、NGを出した記憶はほとんどないです。あ、こんな動きだったのか! と僕も驚いています。

――プレイしてみて、グラフィックス面以外の部分で気づいたことを教えてください。

真島氏:なるべくキャラクターボイスを多めにして欲しいという無茶なお願いをしたのですが、しっかり対応してくださいました。文章に起こされてない文字や台詞とかもしゃべってくれたりですとか、細かなシーンもフルボイスで演技してくれたりと、見てるだけじゃなくて聞いても楽しい作品になっていると思います。

――今回、ゲームオリジナルのストーリーやキャラクターが出てくるかと思いますが、それらの要素を原作に登場させようかな、ということを考えたりはするでしょうか。

真島氏:原作は今、新しい要素を入れる隙が今ない状態で描いていますが、そういう試み自体は好きなので、もし気に入ったキャラクターとか出てきたら逆輸入させてもいいかなと思っています。

ストーリー紹介部分も3Dで描かれている。各キャラクターのアクションは、真島氏のお墨付きだ

――自身の作品が他の人によって作り変えられていくことについて、どのような考えを持っているでしょうか。

真島氏:これはもう本当に、嬉しいの一言です。もちろん、僕以外の人が作るのでまったく同じ作品になるわけではないですし、特にゲームでは関わった人のアーティスト性のようなものが反映されてくると思うのですが、僕自身がすごいゲーム好きというのもありまして、どのようにゲーム化してくれるのかなと、いつも楽しみにしているという、とても嬉しいコンテンツの一つですね。

――ゲーム化にあたり、今まで見えてこなかった新しい一面が見えたキャラクターなどはいましたか。

真島氏:僕はピーノというキャラクターが好きなのですが、アニメ化に際してどんな声になるのかなと想像していたら、キャストの井澤(詩織)さんがとても素晴らしい演技をしてくださいまして、イメージ通りでとても満足しました。それ以外にも、メインキャラクターのキャストをつとめてくださってるみなさんもイメージ通りです。原作の漫画を執筆している最中に、ふと、シキの声やレベッカの声、ワイズの声などが自然に聞こえてくることがあって、描いていて心地いい感じがありますね。

現時点でのゲームの仕上がりに関しては、100点満点!

――真島さんはゲーマーとしても知られていますが、ゲームのプレイ時間はどのように確保しているのでしょうか。また、寝られてはいるのでしょうか。

真島氏:まず最初に、睡眠時間はしっかりとれています。毎日7時間くらい、ちゃんと寝ていますね。ゲームのプレイ時間は、大体寝る前の2、3時間です。もちろん、忙しい時は全然プレイする時間がない日もありますし、逆に仕事が早く終わった場合などはもっと時間が取れて、1日中ゲーム三昧という日もあります。

――ゲーマーとして好きな、思い出に残っているKONAMIのゲームがありましたら教えてください。

真島氏:好きなゲームは「メタルギア」シリーズ一択なんですけれど、「パロディウスだ! 〜神話からお笑いへ〜」も大好きで、ステージ2に登場する“ちちびんたリカ”ですが、初めてゲームセンターで見た時に度肝を抜かれましてですね、ずっとそれが頭から離れないんですよ。

 今回、本作の開発をしているKONAMIの皆さんにその話をしたところ、若い人が「“ちちびんたリカ”ってなんですか?」と言ってきて、ちょっと悲しくなったりもしました。「ウイニングイレブン」シリーズも好きですし「パワフルプロ野球」シリーズも遊んでますし、「悪魔城ドラキュラ」シリーズも大好きですし、挙げたらキリないです。

――やっぱりゲームは楽しい、と思った作品を教えてください。

真島氏:「SNATCHER」ですね。もの凄く大好きなんですが、ゲーム中にあるトラップがあったんですけれど、そういうのも大好きです。もう一つ、僕の前々作の「RAVE」という作品、ここに登場するキャラクターの一人にエリーというヒロインがいるんですが、その元ネタが「SNATCHER」だったりします。

――そんなゲーマーな真島さんから見て、リリース前の満足度としては、どのくらいですか。

真島氏:まだ最初から最後まで、全部をプレイしたわけじゃないので最終的に百点満点とは言えないんですけど、今のところは百点満点と言いたいです。ただ、非常に楽しいゲームとして仕上がっているとは思いますので、リリースされたらぜひ僕もプレイしてみたいなと考えています。

――全体を通じて、ゲームがどのような作品になっていって欲しいと考えていますか。

真島氏:長期間運営が続くと衣装もどんどん増えていくと思うので、いずれ僕が考えた衣装だけではなく、ユーザーを巻き込んでのユーザー衣装コンテストを開催したりして、そこでの優秀賞をゲームに反映する、というユーザーとつながりがあるようなイベントができたら嬉しいなと思っています。

――原作を知らない方には、どのようにオススメしますか。

真島氏:ゲーム好きなら、ハクスラって言葉には結構反応してしまうんじゃないかなと思います。あとは、衣装チェンジですね。こういうところは、原作を知らないゲームファンにも、ぜひプレイしてほしいと思っています。

 ゲーム好きの要望が結構詰まったゲームになっていると思いますので、原作を知らない人でもハクスラアクションを手軽に体験してみたいと思った人は、ぜひ触ってみてほしいです。そこから原作の漫画なりアニメなり見てもらえると、さらに嬉しいなと思っております。

――ありがとうございました。

原作を知らなくても、ゲームファンならばハクスラと衣装カスタマイズが楽しめるので、ぜひプレイして欲しいとのことだ