インタビュー
「真・三國無双8」プロデューサー鈴木亮浩氏インタビュー
台湾島に行けるようになる!? オープンワールドの魅力と苦労を語る
2018年1月29日 00:21
- 【Taipei Game Show 2018】
- 1月26日~29日開催
- 会場:台北國際世貿中心一館
ほぼ毎年のようにTaipei Game Showに参加しているコーエーテクモゲームスの鈴木亮浩プロデューサー。今年も元気に、「真・三國無双8」のプロモーションでSIETのステージイベントに登場し、「無双」シリーズプロデューサーとしての役目を果たしていた。この後、そのまま空港に向かって中国に渡り、北京でも「真・三國無双8」の中文簡体字版をアピールするということで、今もっとも忙しいプロデューサーかもしれない。本稿では、ステージイベント直後に行なわれたメディアインタビューの模様をお届けしたい。
オープンワールドの「真・三國無双」とはどういうことなのか?
――先ほどのステージイベントで見せてくれた台湾に実際に行くことはできるのか? 今は行けない場合、将来行けるようになる計画はあるか?
鈴木氏:実は台湾には渡れない(笑)。海は泳いで沖まで行けないので島に渡ることはできない。将来はわからないが、三国時代、台湾が呉の勢力下にあったかどうかがいまいち調べきれなかったので、今後そこを調べてみてから実装するかどうか考えたい。
――今回、オープンワールドを採用しているが、オープンワールドゲームの開発でもっとも大変だったところ、印象深かったところは?
鈴木氏:大きく2つある。1つは中国大陸を一枚マップで再現しながら、スケール感を表現することが大変だった。今回、衛星データを使っているので、かなりリアルに再現出来ているが、スケール感があまり広すぎるとゲームにならないので、広さを維持しながらスケール感を表現するのに苦労した。
もうひとつ苦労したのは世界の再現のところ。ある程度のスケール感を再現するところはできたが、その後、ゲーム性との折り合いが付かなくなって、なるべく間があかないように、何もない空間がないように、密度を上げていくというのが大変だった。
――今回のコンボシステムは、今までにない新しいシステムになっているが、なぜここまで大きく変えたのか? その目的もそうだが、ユーザーが使用してなかなか慣れない。
鈴木氏:変えた理由は「真・三國無双7」まで作って、ユーザーの皆さんからも我々開発側としてもマンネリ感を感じていたので、「真・三國無双8」では大きく変えようという方針がまず1つあって、ゲームシステムにオープンワールドを採用しただけでなく、やはりアクションも変えようと。最初から変えようということがあった。
このようなシステムにした理由は、パッと見難しく感じるかもしれないが、今回のシステムも、これまでのシステムと同様に、慣れるまでそんなに時間が掛からないし、慣れると非常におもしろいシステムだと思っている。従来のシステムは、□と△の組み合わせで、攻撃を自分の意思で出していく。極端に言ってしまえば周りの状況は関係ない。それゆえにプレーヤーの皆さんからはアクションが単調だという指摘もあった。そこを変えるために、今回は周りの状況を見ながら、状況に応じて技を変化させながら戦っていく。状況に応じた戦いができるようにシステムを変えている。
――今回、オープンワールドにゲームシステムを変更したことについて、プレイアブルキャラクターが90人というのは、オープンワールドの中では類を見ないほど多いが、オープンワールドで今までのように鮮明な体験ができるのか、オープンワールドという制限があるなかで、各キャラクターのストーリーをどう表現していくつもりなのか聞かせて欲しい。
鈴木氏:確かにプレイ体験としては、間延びしたというか、寄り道の自由度があるがために、ストレートにシナリオを追っていく形ではないので、従来の作品よりは間延びしていると思う。ただ、ストーリーを追っていけるように、ゲームの中で「オススメ任務」というものがあり、オススメ任務に添ってストーリーを追っていけば、間延びしないような作りになっている。それはどのキャラクターでも同じ。
それから歴史の流れはどのキャラクターでも同じなので、キャラクター毎の違いをどう出すかについて、関係性の異なるキャラクターの存在を活かすようにしている。今回のデモでは、大喬が敵将の太史慈に会ったが、この両者のケースでは普通の邂逅イベントになったが、孫策で太史慈に会うと、歴史上、三国志演義の中で一騎打ちしたというエピソードがあるから、それに即したオリジナルのセリフに変わる。このようにキャラクター毎に、シチュエーションによってどういうイベントが発生するかを設定することで、キャラクター毎の違いを出すようにしている。
――今回の繁体字版、簡体字版は、今回の中文ボイスはどうなっているのか?
鈴木氏:ボイスは一種類のみになっている。
――テキストは地域別のローカライズは行なわれているのか?
鈴木氏:今回は繁体字と簡体字は同時にローカライズしたのでミックスになっている。日本語から簡体字と繁体字に訳すだけではなくて、日本語から簡体字にして、そこから繁体字にしたり、テキストによって翻訳の仕方を変えている。昔、10年以上前にPS2でローカライズをしたときは繁体字から簡体字に翻訳して音声を取ったため、翻訳がおかしいといわれたが、今回はそういうことはなくて、音声は直接簡体字を直接翻訳する形で、違和感が出ない形でローカライズを行なっている。
――全キャラクターに独自のエンディングがあるということだが、オープンワールドのゲームは通例1人のキャラクターに対してエンディングを用意するものだが、全員分というのはどういう意味なのか、1人あたりのプレイ時間はどれぐらいになるか?
鈴木氏:今回は「三國志」の登場キャラクターは活躍期間がまちまちで、早く亡くなる武将も多い。そこは今回は割り切って、嘘のストーリーにして生き延びさせるよりは、ちゃんと活躍した期間をしっかり描いて上げようというポリシーで、キャラクターによっては1章で終わる人もいれば、長いキャラクターだと10章ぐらい続く人もいる。プレイ時間も1章だけなら1~2時間だが、10章は10時間以上になることもある。今回は歴史や演義に忠実にすることで活動期間を設定したので、逆に短命のキャラクターでもエンディングがないとかわいそうというか締まりがないので、全員分用意するという決断を下した。
――オープンワールドのゲームはバグが付き物だが、「真・三國無双8」は開発の過程において、このバグの問題をどのように対処したのか?
鈴木氏:これはどんなゲーム会社もやっていると思うが、モニター時間をなるべくたくさん稼ぐのが一番で、今回特別なこととしては、モニター用のオートプレイ機能を開発段階で導入していて、普通は人の手を介してモニター時間を稼ぐが、人の手に頼らずとも、自動的にプレイしてゲームを進めていくという手法で、無人でモニターできるようにしてモニター時間を一杯稼いで、不具合が出ないように頑張っている(笑)。