インタビュー
「CS:GO」日本代表SCARZ Absolute、決勝トーナメント進出決定!
最強中国チームを相手に「自分たちも視聴者の皆さんも楽しめる試合をしたい」
2017年10月21日 01:21
「Counter-Strike: Global Offensive」のAPACトーナメント「ZOWIE eXTREMESLAND CS:GO ASIA OPEN 2017」に出場している日本代表チームSCARZ Absoluteは10月20日、1勝1敗同士で並んでいたモンゴル代表KhARUMと2位決定戦を行ない、2対0(BO3、16:3、16:14)で勝利し、21日以降の決勝トーナメントにコマを進めた。
14の国と地域で競われているeXTREMESLANDも会期2日目を終え、決勝トーナメントに出場する8チームが出揃った。優勝候補である中国の3チーム(ViCi、Flash、Eclips)と、Aグループで日本を破ったオーストラリアKing'sの4チームに加え、シンガポールのB.O.O.T-d[S]、タイのBeyond.Maple、そして日本のSCARZ Absoluteが勝ち上がった(ちなみに4チーム目はインドネシアのReccaとアラブ首長国連邦のNASRの勝者となるが、試合開始が遅れに遅れ、10月20日23時現在、まだ試合が始まっていない)。
日本の2位決定戦の相手となったモンゴル代表KhARUMは、HLTVのランキングは359位と、国際大会に出場するチームとしてはかなり下位ランクに位置するが、逆に言えば、作戦や戦術が不明なため要注意の相手だ。
1ゲーム目は、SCARZが最初のピストルラウンドを勝利すると一気に5ラウンドを連取。その後、Laz選手のスナイピングが精細を欠き、2対1の状況でも撃ち負けるなどして、2ラウンドを取り返されたものの、本日1戦目のオーストラリア代表King'sとの1戦の逆パターンのような圧倒的な試合内容で勝利した。
完全にゲームを決めたのは16ラウンド目のピストルラウンド。12:3でもはや後がないモンゴルチームが、ピストルラウンドではあまり見られない一気に敵陣地近くまで踏み込む速攻を見せ、SCARZを2:3まで押し込んだが、SCARZの残存メンバーは落ち着いて1人ずつ対処。実力の差を見せつけた。
16:3という大差での勝利にSCARZのメンバーには笑顔も見られ、早くも楽勝ムードが漂ったが、そうはいかないところが「CS」というゲームの恐ろしいところだ。
2ゲーム目は、テロリスト不利の「トレイン」が舞台で、1ゲーム目と同様、5ラウンド連続で取ったものの、その後立て続けに負け、まさかの8:7で折り返す展開に。スナイパーライフルを得物とするrisen、Stormrageの2人がポイントゲッターで、彼らがスナイパーライフルを持つと、たちまちSCARZのメンバーを倒していく。あたかも、SCARZメンバーの行動パターンを読み切っているかのようで、嫌なムードが漂った。
この流れを止めて反転攻勢の糸口を掴んだのが、最年少選手t4k3j選手。CT(カウンターテロリスト)側、10:7、最後の1対1の局面で、ギリギリのタイミングでスモークを炊いて爆弾解除に成功。彼に限らず、SCARZはタイムアップギリギリでの爆弾まわりの立ち回りが非常に上手い。
その後、一進一退の攻防が続き、13:14で逆転されたときには、3ゲーム目までもつれ込むのは不可避だと誰もが思ったところを、ポンポンポンと3ラウンド連取し、16:14というギリギリのスコアで勝利を決めた。
SCARZ Absolute モンゴル戦勝利インタビュー
決勝トーナメント出場が確定したSCARZは、明日10月21日の第3試合に登場し、対戦相手は、前大会の優勝チームであり、世界ランク43位(10月21日現在)のViCiとなる。世界ランク162位の日本と比較すると、明らかに格上であり、胸を借りるつもりで全力で戦って貰いたいところだ。
最後に、モンゴル代表に勝利した直後のインタビューの模様をお届けしたい。
――勝利おめでとうございます。試合の感想を聞かせて下さい。
Laz選手:ありがとうございます。ファーストマップはなかなかうまくいったんじゃないかなと思いますが、セカンドマップは接戦になってしまって、最初は良かったんですけど、理由はわからないですが、途中から取れなくなってしまったので、そこが不安材料ですね。
――モンゴル戦の勝因は?
Laz選手:ミスが少なかったからだと思います。チームの自体の強さはモンゴルのチームもかなり強いほうだと思うので、作戦がうまくいったから勝てたんじゃないかと思っています。もちろん、相手によって作戦がうまくいったり、いかなかったりはあるんですけど、結果的にうまくいってラッキーでした。
――オーストラリア戦での反省材料がたくさんあるということでしたが、その辺は今回の戦いではうまく修正できたんですか?
Laz選手:反省会の後、大本からガラッと変えました。具体的に言うと、役割を変えたんです。僕とt4k3jの役割分担を変えて、t4k3jの役割を少なくして、その分を自分が見るようにしました。
――その役割変更はうまくいきましたか?
Laz選手:そう思います。ただ、本来、役割というのは変えればすぐできるというものでもないので、たまたまかなとも思います。
――1ゲーム目は、SCARZらしい連携の取れた戦いを見ることができてスカッとしました。実際に戦っている皆さんはどのような手応えを掴んでいましたか?
Laz選手:うまくいきましたね。撃ち合いやすい状況ができてて、撃ち合いの結果は相手に依存することが多いので、相性が良かったかなとも思います。
――反対に2戦目では非常に苦戦していましたが、何が原因だったのでしょう?
Laz選手:もともとトレインというマップはテロリスト側が非常に攻めにくいマップで、序盤はうまくいったんですが、途中からうまくいかなくなりましたね。役割変更の影響もあるんですけど、2戦目については相手がうまかったと思いますね。
――そうですね、モンゴルチームには常に2人のスナイパーがいましたが、いずれも高いパフォーマンスを発揮していました。
Laz選手:スナイパーに対処することはできるんですけど、あのスナイパーは、僕たちがセットで投げものをよく使うというのを理解した立ち回りでしたね。うまく読まれてしまって、それにしっかり対応してきたという感じですね。相手がうまかったと思います。
――このモンゴル戦で良かったところ、悪かったところを1つずつ挙げていただけますか?
Laz選手:良かったところは、1戦目の内容そのものですね。作戦がうまくいきました。悪かったところは、2戦目の途中から押されてしまったことと、押され始めた時にミスが増えてしまうので、それが出ちゃったかなと思います。
――私はこれまでの試合を見ていて、Laz選手のスナイパーの精度が、いつもより低いのかなという印象を持ちましたが、ご自身ではどう思いますか?
Laz選手:スナイパーは、外れるときは外れるものなので、外れても仕方がないので、外れた瞬間にそのことを忘れて次にいっています。特に外れているという印象は持ってなくて、いつもどおりですね。
――明日の決勝トーナメントでは、準々決勝で優勝候補のViCiと当たるようですが、どのように戦っていきますか?
Laz選手:戦い方については、細かいことはまだ決めていないのですが、こうした大きな大会で中国の凄く強いチームと対戦できることはとても貴重な機会だと思っています。大事にしていきたいと思っています。
――本大会で日本語配信を行なっているGALLERIAさんによると、配信開始から徐々に視聴者数が増えているということです。明日は土曜なのでさらに増えることが予想されます。視聴者の皆さんにメッセージをおひとりずつお願いします。
t4k3j選手:1ラウンド1ラウンド大切に試合をしていくので応援よろしくお願いします!
crow選手:たぶん海外の「CS:GO」の大会で、日本のチームが決勝トーナメントに進んだのはこれが初めてだと思います。この機会を大切に、丁寧に戦っていくので応援よろしくお願いします。
barce選手:がんばりまーす!
poem選手:僕たちだけじゃなくて視聴者の方も楽しめる試合をしたいと思っています。自分たちも楽しみながら試合をして、そして勝てるように全力で頑張っていきたいです。
Laz選手:オンラインでもオフラインでも、日本でも海外でも僕たちはほとんど同じ事をしていて、うまくいったりいかなかったりしますが、「CS」に興味のある人は、細かい部分に気をつけて観戦すると楽しいと思います。具体的には、相手の対応次第でうまくいったりいかなかったりすることがよく分かると思います。
――ありがとうございました。決勝トーナメント頑張って下さい。