インタビュー

「交響組曲エオルゼア」吉田氏、祖堅氏、植松氏インタビュー

思い出深い18曲のオーケストラコンサートを語る

7月15日 放送

左から、植松伸夫氏、吉田直樹氏、祖堅正慶氏

 スクウェア・エニックスは、東京国際フォーラムで「ファイナルファンタジーXIV」のオーケストラによるコンサート「交響組曲エオルゼア」を9月23日、24日の両日、計4公演開催している。

 この公演は、「新生エオルゼア」と「蒼天のイシュガルド」で使われたBGMの中からえりすぐった18曲を、フルオーケストラ用にアレンジ。栗田博文氏の指揮で、東京フィルハーモニー交響楽団が演奏するというもの。

 フォーマルに身を包んだプロデューサー兼ディレクターの吉田直樹氏が司会・進行を行ない、サウンドディレクターの祖堅正慶氏や、スペシャルゲストの植松伸夫氏、「Answers」や「Dragonsong」の歌姫、スーザン・キャロウェイさんに、ファンフェスでは祖堅氏との連弾で会場を沸かせたピアニストのKeikoさんまで、豪華なメンバーが結集した。

 オーケストラの背後にはスクリーンがあり、演奏されている楽曲が使われているゲーム内のコンテンツの、思い出深い戦闘やカットシーンが流れた。この映像に登場する戦闘は、例えば「究極幻想 アルテマウェポン破壊作戦」のエーテル波動で出てくる玉の頭割り処理や、邂逅篇2層の玉で流行った、時間切れ待ち、侵攻1層のブライテッドブーケ、侵攻3層のバリスティックミサイルや地雷、侵攻4層の隕石マラソンや天地崩壊、天動編4層のタイムゲートなど、当時の装備をつけて、そのころ必死で練習した攻略法が再現されており、あの当時の苦労やクリアした時の感動を思い起こすことができた。

 「新生編」ではバハムートをめぐるやり取りが、「蒼天編」ではメインストーリーの思い出深いシーンが流れて、衝撃的なシーンにショックを受けたことや、初めて見た時の感動を思い起こしつつ演奏を聴いた。オーケストラの背後には、先だっての14時間放送の中でユーザーアンケートを取って名前が決まったミィ・ケット合唱団が、「白銀の凶鳥、飛翔せり」、「英傑 ~ナイツ・オブ・ラウンド討滅戦~」や「heavensward」といった声楽が印象的な曲を、素晴らしい声量で歌い上げた。

スーザン・キャロウェイさん

 また、スーザンさんも、「新生」と「蒼天」のテーマソングである「Answers」と「Dragonsong」を、情感豊かに歌った。十分に音響設備が整っていないファンフェスの会場とはまた違い、感動的に完璧な歌声を聞くことができたのは、このコンサートならではだろう。

 筆者はオーケストラの造形が深くないので、一般的な指揮者がどういったものかはわからないが、栗田氏の指揮は躍動感があり、ある時は飛び跳ねるほど激しく、ある時にはさらりと滑らかに、極に合わせたパフォーマンス性たっぷりの指揮が、曲をさらに盛り上げていた。演奏中には、サプライズも用意されているのだが、ここでも指揮者のパフォーマンス力を見ることができた。

 今回は、終演後に行なわれた、吉田氏、祖堅氏、植松氏へのインタビューを紹介したい。すでに当日ではあるが、インタビューを読んで聞いてみたくなったら、まだ当日券があるそうなので、ぜひ現地に足を運んで、素晴らしい演奏を実際に聞いてみて欲しい。

指揮の栗田博文氏

――まずは祖堅さんから、1日目を終えた感想を聞かせてください。

祖堅氏: 僕は父親がオーケストラの団員だったので、昔からオーケストラのコンサートはよく見ていたんですが、国際フォーラムでやるとかね――。しかも4公演? なんだそれ? ――って率直にそんな感じだったんですが、今日終えてみて、結局のところプレーヤーさんに支えられているタイトルだなとつくづく思いましたね。僕が作った曲とか、植松さんが作った曲というよりも、プレーヤーさんがゲーム体験をサウンドで蘇らせて楽しんでくれているんだなという姿を見たら、このタイトルはプレーヤーさんに支えられているんだなと改めて思いました。

――音楽的なことよりも、まずはプレーヤーの皆さんへの感謝を感じたということですか?

祖堅氏: 始まる前にゲネプロがあったんですが、ゲネプロが終わってから、関係者口のガラス窓越しに、有楽町駅から東京駅に続くプロムナードに3往復くらいの行列があるのを見て唖然として……。本当にプレーヤーの皆さんに支えられているタイトルだと思いました。音に関していうと、自分の作った曲がこういう大舞台で、しかもゲームを愛してくれているユーザーさんに届けられるのは本当に幸せだと思いました。

――オーケストラの譜面は祖堅さんがすべて書き起こしたのですか?

祖堅氏: さすがにそれは……(笑)。最終的なところは専門家に頼んでいます。基本的なところは自分でやって、お化粧直しを専門家の方にやっていただいたり、もともとできているオーケストラの音源を、僕はゲームに合わせるためにしか作っていないので、それをオーケストラで演奏できるようにうまいこと譜面にしてくれている方とか、そういう色々なパターンで今日演奏できるような譜面を用意しました。なので僕だけではなくて、たくさんの人に手伝ってもらいました。

――その中で新しい発見などはありましたか?

祖堅氏: オーケストラ譜面って案外細かいなということです。文字が小さいな、と(笑)。

会場は5,000人収容可能な大ホール。会場の外には、長い入場待ちの行列ができた

――これだけのものを準備するのは大変だったと思います。どのくらいの期間がかかりましたか? また、その中で大変だったことは何ですか?

吉田氏: 会社に話す前に会場を押さえてしまったので(笑)。去年の9月くらいかな、音楽出版のとある人から「吉田さん、来年の9月23日・24日だったら、今決断してくれたら押さえられますよ。どうします」と言われて、1回だけかもしれないけれど、その時「FFXIV」がどうなっているかもわからないけれど……、1回だけなら、何とかなるんじゃないかなと。たとえ8人しかお客様がいなかったとしても、やる価値があるのではないかと思って、「よし、押さえろ」と。

 言ってから、さてどうやって会社を説得しようかなと(笑)。ちゃんと興行にならなければならないですし、当然本業の「FFXIV」できちんと会社貢献をして、――利益的なものもそうですし、お客様の満足度も作っていかなくてはならないので。結局、僕らが頑張れるのは、「紅蓮のリベレーター」までの期間を楽しんでいただいたうえで、「紅蓮」をどれだけ最高の拡張で出せるかというところで、そこに集中すればいいのかなと。後は、興行で入っていただいたPROMAXの皆さんと、僕や祖堅がというよりはマネージャーチームだったり、音楽出版の人たちだったり、本当に数えきれないくらいの人たちに動いていただいて1年がかりでやってきました。

祖堅氏: 譜面は2年がかりですね。

――さらに1年も前ですが、将来的にこういったイベントのために用意をしていたのですか?

祖堅氏: そうです。あれだけプレーヤーさんに言われたら、いつかはやらなければいけないだろうと思っていたので、プロデューサーにもナイショでずっと作っていました。

吉田氏: 知ってたけどね。

祖堅氏: バレテーラ(笑)。

吉田氏: やるからには大きなハコでやりたかったんです。それは僕らの自尊心というよりは、プレーヤーの方が来たときに、俺たちが遊んでいるゲームはこんなに凄いんだと思ってもらいたいという気持ちが強かったからです。やるからには大きなところで突っ走ってみようという感じで。そこに向かって走って、今はよかったなと思います。祖堅の繰り返しになりますけれど、やはり「FFXIV」は光の戦士たちに支えられて今があるんだなと、今日ステージに出て改めて思いました。

吉田氏はタキシード姿でMCを務めた

――タキシードを着る機会はあまりないと思いますが、実際着てみていかがですか?

吉田氏: どちらかというと僕が感想を聞きたいです。自分では似合っていないとしか思ってないので。

祖堅氏: たいへんだったんですよ。普通のシャツを着たら、みんなから「地味だな~」と言われて。

吉田氏: 祖堅は早かったんですよ。念願なので燕尾(モーニング)が着たいと言って。チョッキだチョッキだと喜んでいて。また、似合うんですよ。僕も燕尾服が着たかったんですが、さすがに2人で壇上に並ぶのに、2人とも燕尾服だとおかしいので、必然的にタキシードになったんです。でもシャツを着たら、みんな首をひねるんですよね(笑)。蝶ネクタイをして、普通にシャツを着てからタキシードを着たんですが、何か違うなという雰囲気で。もうちょっとキャラに寄せたほうが……みたいな?(笑)

祖堅氏: 今回はフォーマルでいきましょうというお題があったので、フォーマルにしたら、何か地味だなと。それでだんだん色々付けていったら……。

吉田氏: ここにシルバー入れてみましょうとか。

祖堅氏: ヒョウ柄のカマーバンドを付けてみましょうとか。

吉田氏: ヒョウ柄はひどかったよね(笑)。ヒョウ柄があるということ自体にびっくりでしたが……。

祖堅氏: 赤を入れてみましょうとか。いろんな案が出てきて、最終的には歌舞伎町の男になってました(爆笑)。

吉田氏: そこでみんな正気に戻って、こうならないようにするんじゃなかったの、と(笑)。そういうことを経て今の形になりました。なかなか着慣れないから、最後に東フィルさんの名前を噛んだのは、タキシードのせいということにしておいてください。

――植松さんは「Distant Worlds」で「FF」のコンサートとしてはもう100回以上公演されていて、かなりのベテランですが、今回「FFXIV」でコンサートをするに当たって、何かアドバイス的なことをされたりしましたか?

植松氏: アドバイスが欲しいくらいですよ(笑)。シリーズ単体でこれだけ集客力があるっていうのは。「Distant Worlds」で、同じ会場で4公演は難しいと思うんですよね。さっきも吉田さんと話したんですが、とにかく「FFXIV」はファンの人たちが熱いです。海外で演奏しても、今日プログラムの最後にやった曲(「天より降りし力」)をよく最後に演奏させてもらうんですが、海外のファンも熱いですね。なぜ「FFXIV」ってこんなに熱いんだろうなと思っていたんですが、吉田さんたちと話していると、やはり彼らの熱量が熱いんですね。それがユーザーに伝わっているんだと思います。

 もう僕はこの年齢ですから、頑張ればうまくいくなんて思ってないんですね。いくら頑張ってもうまくいかないことって、世の中にはたくさんあるんですが、でも頑張ってないとうまくはいかないんですよね。ぼんやりしててもうまくはいかない。だから、何年か前の「FFXIV」はうまくいかなかったこともありましたが、あそこからここまで立ち直らせた彼らの熱意が、今日のお客さんを見ていてもよくわかりますね。だから本当にどうやればあんなにお客さんを入れられるのか、アドバイスして欲しいですよ。

吉田氏: 褒められなれてないから恥ずかしいな(笑)。

祖堅氏: 返す言葉がなくて、何を言っていいかわからないですね。

――植松さんから見て、今日の公演の雰囲気から「FFXIV」が海外で単独公演をするのは可能そうですか?

植松氏: 可能だと思いますね。だって、ファンフェスティバルで、オケコンではないですがステージ上でピアノとスーザンさんのボーカルで十分、これはいけるという感触は得ていると思いますよ。

吉田氏: もちろん「FFXIV」はグローバルタイトルなので、海外の方からも、お膝元の日本で開催するのはわかるけれど、上手くいったら海外でも、という声は本当にたくさんいただいています。PROMAXさん、ぜひ海外公演の企画があれば(笑)。もしくはどこかに興行してくれる方がいれば。今回1回やりきったことで、ひとまずパッケージにはなったと思うので。可能ならば海外にも届けていきたいと思います。

――「忘却の彼方 ~蛮神シヴァ討滅戦~」についてお伺いします。シヴァ自体は「2.0」の蛮神だったわけですが、なぜ「蒼天編」のほうに組み込んだのですか? そしてなぜ弦楽四重奏というアレンジにしたのかを教えてください。

祖堅氏: まずそもそもあれはシヴァのテーマではあるんですが、今回オーケストラで組曲として乗せたのは、イゼルのテーマとして扱ったからです。シヴァはよくファンフェスティバルでやっているように、ガーっという感じですが、これがイゼルとなると。彼女は、竜詩戦争の歴史を知っていて、色々と想うこともある。それを表現するには、か細い線と線が絡み合ったという表現をするために、何が一番適切なのかなと思った時に、弦を4つ絡ませて、線と線を表現しようかなと思って弦楽四重奏にして、イゼルのテーマなので「蒼天編」に組み込みました。

――そのアイデア自体は祖堅さんのものなのですか?

祖堅氏: そうです。

「忘却の彼方 ~蛮神シヴァ討滅戦~」はしっとりした弦楽四重奏アレンジ

――「新生編」のラストの3曲は、まさに「バハムート組曲」という感じの構成になっていました。新規の人だと、まだ「大迷宮バハムート」をプレイしたことがない人もいると思いますが、「新生編」の最後を「バハムート」関連にしたのはどういう理由からですか?

祖堅氏: 当時実装されたばかりの頃の「大迷宮バハムート」はセンセーショナルな存在で、幾多の光の戦士を駆逐してきた(駆逐したらだめなんだけどな、と吉田氏がつっこむ)特別な敵で、開発にとって思い入れの強いコンテンツなのですね。今日の公演中にも言いましたが、「親の声より聴いた曲」みたいな言葉が生まれるくらい、サウンドを聞いただけで、色々な想い出や、効果音や、ゲーム体験が蘇る。今日来ていただいた方の中には、「新生」からプレイしている方もいると思います。その方たちにとっては「バハムート」は特別なはずなので、やはり「新生編」の締めを飾るコンテンツは「大迷宮バハムート」であるという意見で一致したんです。だから、あの3曲は最後に持ってきました。

吉田氏: 先輩たちが過去に「FF」を作ってこられる中で、召喚獣というものがあって、「FFVII」で映像も含めて極めるところまでいって――。バハムートという存在がなければ、たぶん「新生」のアイデアも出ていないと思います。メテオとか。だから僕らにとっては、バハムートは特別で、きっと「FF」ファンの皆さんにとってもそうなので、あそこは揉めずにあっさりでしたね。僕らが「新生」するきっかけだったので、僕らにとっても思い入れが違うので。

祖堅氏: 入口に開発者のメッセージボードがあるんですが、圧倒的なお気に入りの曲は「試練を超える力」なんです。「バハムート」のオエッとする曲です(笑)。きっと同じ思いがプレーヤーさんにもあるだろうと思ったので、入れたかったんです。

――まだ「大迷宮バハムート」をクリアしていない方に向けて、大事なコンテンツだからプレイして欲しいというメッセージというわけではない?

吉田氏: そこまで深くは考えてないですね(笑)。制限解除で行ってくれるといいなあ、くらいです。

会場の入り口に設置されていた、開発者からのメッセージボード

――祖堅さんは、かねてよりサウンドはゲーム体験によりそうべきとおっしゃっていますが、今回のコンサートでもそれを強く感じました。祖堅さんの曲と、東フィルさんの演奏の相乗効果が寄り添っている感じを出しているのでしょうか?

祖堅氏: そこは譜面の段階からかなり意識しています。やはりゲーム体験ありきなので、いきなり全く違うオーケストラアレンジの曲を始めても、コンテンツに対しての思い入れって、なかなか蘇らないと思うんです。今回はだいたい2ループするような形でオーケストラの譜面を作っています。1巡目は割と実直に、ゲームで鳴っている音をそのままオーケストラでやったらどうなるかというところに神経を使って譜面を作っています。オーケストラならではの、こういうこともできるんだよというところを2巡目に持ってくることで、ゲームプレイとの相乗効果で、オーケストラってすごいなというところも、わかりやすくなるのではないかと思っています。

――確かに、ゲームが頭の中に蘇るとともに、後半になるにつれてオーケストラのすごさみたいなものを感じました。

祖堅氏: それは狙ったところなので、「やった!」って感じです。

――選曲の中に「クリスタルタワー」の曲があったと思います。植松さんの「Distant Worlds」ではなかなか選ばれない曲だと思うんです。ご自身が27年前に作られた曲を、祖堅さんがアレンジして、こういう場で披露されるというのは、植松さん的にはどういう気持ちですか?

植松氏: 嬉しいような、恥ずかしいような。自分のコンサートではやったことがない曲ですし(笑)。

祖堅氏: めちゃめちゃいい曲じゃないですか。

植松氏: いくら欲しいの?(おこづかいを出すそぶりで一同爆笑)

祖堅氏: こうやって言っておくと、次のパッチとかで植松さんが作ってくれるかも(笑)。

吉田氏: 「悠久の風」をやりたかったんですよ。だけど、「FFXIV」の曲じゃないよなと。個人的には聞きたかったんですよ。

祖堅氏: クリスタルタワーメドレーみたいなものもあったんですが、尺がめちゃくちゃになるので。でもクリスタルタワーは、通常時と戦闘時を一曲にまとめるような工夫はしました。

吉田氏: 実際「クリスタルタワー」を攻略すると、フィールド曲からスムーズにバトル曲に移行します。あのコンテンツのために作ったシステムで、あれ以降もいろいろなところで使っていますが、それをオーケストラでやったのは、それもゲーム体験を再現するということも近いのかなと思いましたね。

――おそらく今回演奏された18曲は「FFXIV」の膨大な曲からすると一部だと思います。曲の選定はすんなりいったのですか? それともこれはやりたかったけど、尺の都合で泣く泣く落としたというものもあったのですか?

祖堅氏: めちゃめちゃ揉めましたね(笑)。

吉田氏: 主にここがね(吉田氏と祖堅氏を指す)。

――今回演奏できなかったけれど、これをやりたかったなという曲はありますか?

祖堅氏: ざっくり言うと三国プラスイシュガルドはやりたかったです。後はダンジョンメドレーみたいなものをやりたかったです。例えば「シリウス大灯台」なんかは最後まで当落線上にあったんですが、尺が長いといって落っこちちゃいました(笑)。

――今回「新生」、「蒼天」とやったので、いつかは「紅蓮」を聞きたいなと。

吉田氏: マネージャーから、なんとか「紅蓮」を入れられないんですか、と。アンコールでならありかもと思って「祖堅に聞いてみたら」と言ったら、「何言ってるの、間に合うわけないじゃん」と(笑)。

祖堅氏: 締め切りを2週間ほど超えた後の話でしたから、さすがの僕も「それは無理だよ」と(笑)。今回はしっかりしたクオリティをプレーヤーさんにお届けしたかったので、付け刃で作ったような譜面を演奏することは避けたかったんです。だからNG出しちゃいました。やるからにはしっかりやりたいです。

吉田氏: 今回全力でやって、もし次もというお声をいただけるのであれば「紅蓮編」として、第1部アラミゴ編、第2部ドマ編でもいいし。

祖堅氏: まだまだ「新生」と「蒼天」でもやっていない曲がたくさんありますから。

吉田氏: 「紅蓮」にたどり着かないじゃないか(笑)。また次もやるとしたら、曲選びで取っ組み合いがあるんだろうなとは思います。開発だけではなくて、運営やマネジメントをやっている人たちも「FFXIV」の音楽に思い入れがある人が本当に多いので、意見を聞き始めると収拾がつかないので、権力順に決めていくことにします(笑)。

――音楽と一緒に映像が流れていましたが、音楽とすり合わせながら映像を作るのは大変だったのではないでしょうか?

吉田氏: あれは、海外公演を視野に入れたものになっています。日本のオペレーションをやっているPAさんは、非常に細かく演奏と映像を合わせてくださるんですが、世界各国でやった時に必ずしも同じレベルで合わせてもらえるかどうかはわからないので。

 といって、海外公演用に別の映像を作るとなると、ものすごい数の映像を作らなくてはならなくなるので、実はあれは敢えて合わせていないです。僕が最初に字コンテを書いて、高井浩と前廣に構成を頼んで、戻ってきたものをチェックしました。ただ「究極幻想」だけは起動からバトルに曲の盛り上がりを合わせました。そこくらいです。後は多少ずれてもうまく混ざるように、という感じで編集しています。合わせるというよりは、そういうニュアンスになるように作っています。あの映像は題字が英語で、下に小さく日本語が入っているんですが、グローバルでどこででも使えるようにそうしました。

祖堅氏: なので海外での公演のお声がけをお待ちしております(笑)。

吉田氏: 石油王とかね(笑)。

――最後にファンへのメッセージをお願いします。

植松氏: ファンの人は絶対に来たいでしょうね。くるべきだと思うし、こういう会場に来て、同じ「FFXIV」ファンの皆さんと一緒にあの熱気を感じると、さらに「FFXIV」に対する思い入れが強くなるんじゃないでしょうかね。スーザン・キャロウェイさんの歌も会場で聴くと説得力が全然違うと思いますので、ぜひ泣きに来ていただければですね。

祖堅氏: 前から言っていますが、現実問題、オリンピックで会場がなかなか押さえられないので、次がいつかと聞かれてもわからないですね。だから、興味があるひとは、絶対に損をさせないので、来たほうがいいです。次回もやりたいですが、いつになるかわからないので、来た方がいいです!

吉田氏: 今まさに祖堅が言いましたが、やろうと思うとファンフェスくらいの熱量を使うので。またもちろんファンフェスもやりたいねという声が上がっているので、この規模は、やってみた実感としておいそれとできるものじゃないなという気持ちが実感としてあります。またやりたいですが、次はいつですとはまだ言えない状態なので、あと2公演。当日券が若干ありますから。迷っている方がいらっしゃれば、損は絶対にしないと思いますので、ぜひ泣きに来ていただければ幸いです。

祖堅氏: だまされたと思って来てみなということですね!

吉田氏: そうそう。

カーテンコール