【特集】

ゲームでお正月を味わおう! 初詣や年越しの花火など、メタバースやオンラインゲームで正月体験

 ついに今年も残るところあとわずか。年越しの瞬間は、家族と、友人と、はたまた1人でゆっくりと過ごす方もいるだろう。

 街はお正月ムードで、なんとなく浮足立つ雰囲気を感じるはずだ。お正月ムードはリアルだけでなく、ゲームの中も同じ。タイトルによっては、お正月イベントなどでマップが飾り付けられ、正月気分を味わえうことができるようになっている。

 また、大人数のプレーヤーが集まれるオンラインゲームや、仮想空間で他プレーヤーとのコミュニケーションを楽しめるメタバースなどでは、年越しの瞬間にしか味わえない体験がある。

 そこで本稿では、MMORPGやメタバースでお正月気分を味わう過ごし方をお伝えしたい。メタバースプラットフォーム「cluster」をはじめ、「リネージュ」や「ファンタシースターオンライン2」などでどういう体験ができるか、実体験を元にお伝えしていく。

筆者が2021年の年越しを過ごしたのは「メタバース」と呼ばれるバーチャル空間の中だった

冒険を共にした仲間達と語り合うお正月は格別。絆の強さは現実世界より濃い

 まずはオンラインゲームでお正月気分を味わう方法を紹介したい。

 オンラインゲームには出会いも別れも本当に多い。筆者も、敵味方をすべて含めれば延べで数百人以上のプレーヤーと関わってきた。もはやオンラインゲームはもう1つの世界だ。喜んで、笑って、怒って、泣いたこともある。そこには文字通り喜怒哀楽のすべてがあった。

 ゲームの中で出会った友人たちと、感情が動かされる数々のエピソードを紡いできたのだ。しかも現実世界では体験できない冒険や強大なボスモンスターとの戦い、敵対するプレーヤーとの競い合いなどの体験をしたのだから、その絆が深まることは当然である。顔を知っている、本名を知っている友人たち。そんな友人たちの絆も非常に強力だが、この世界で一緒に過ごしてきた友人たちにも強い絆がある。

 そんな絆で結ばれたプレーヤー達と過ごす、お正月は現実で過ごすお正月とは違った魅力的なお正月ではないだろうか。

オンラインゲームのロビー的な場所に集まり、友人やほかの冒険者たちと目標などを語り合うお正月は唯一無二な楽しさがある
タイトルによってはお正月らしいデコレーションが行われるものもある。画像は「ファンタシースターオンライン2」より

 ゲームの中に広がる仮想の世界で、お正月らしく新年の目標を語り合うのも良いだろう。「今年はあのボスを倒したい」、「あのレアアイテムを入手しよう」、「あの敵対プレーヤーにリベンジしたい」など語り合うことは無限にある。

 そういった語り合いはリアルの友人たちと1年の目標を語り合うのと同じくらい、いや、もしかしたらそれ以上に濃厚で楽しい時間であると思う。

 実際に筆者も何度かオンラインゲーム上の世界で何度か年越しを体験してきた。

 特に、筆者がどっぷりとハマり、年越しを過ごしたMMORPGはPC用「リネージュ」だ。ゲーム内アイテムで花火が入手でき、ゲームの中で花火を打ち上げながら新年を祝うことができた。筆者にとって同作はコミュニケーションツールという役割も兼ねており、普段からゲーム内で知り合った友達と語り合って時間を過ごしてきた。その延長線上としてゲーム内で年を越すというのは筆者にとっては特別なことではなかった。

 オンラインゲームという仮想世界で、花火を打ち上げたり、チャットをしながら年越しの瞬間を迎える。それは、その世界に生きていた筆者にとって、友人たちと思い出や、新年の抱負、目標を語りあう楽しい時間だった。

 今でも時々思い出す。あのとき一緒に冒険をした仲間たちと、一緒に語り合い年を越したこと、お祭り騒ぎのような正月を過ごしたこと。それは筆者が過ごしてきたお正月の過ごし方の中でトップクラスに入る思い出だ。

「リネージュ」上でほかの冒険者達と年越しを迎え、お正月を楽しんできた

仮想空間上で巨大なホームパーティも楽しめる。メタバースで過ごすお正月

 そして、時を経た2023年の今、筆者はいわゆる「メタバース」と呼ばれるオンライン上の空間で長い時間を過ごしている。その単語自体を聞いたことがある読者の方も多いと思う。特に2022年に大きな話題となった「メタバース」。様々なメディアで取り上げられたのは記憶に新しい。

 「メタバース」とは何か。様々な解釈があるし、人によってその考え方は分かれる。あえて筆者なりの解釈をすると「多種多様なアバターを使って好きな姿になり、モノづくりなどクリエイティブなことができ、ほかの住人たちとコミュニケーションを取れる、オンライン上にあるバーチャルな世界」だろうか。

 「メタバース」は厳密に言えばオンラインゲームとは違うだろう。ゲームとカテゴライズできるかと言われると個人的にはノーだ。倒すべきボスも、入手したいレアアイテムもない。だが、バーチャルな世界でコミュニケーションをするという部分ではオンラインゲームと似ている。

 この世界でも様々な物語が生まれる。倒すべきボスはいなくても、一緒にメタバース内にあるゲームで遊んだり、夜更けまで語り合ったり、一緒に音楽イベントで騒ぐこともできる。そういう体験を共にして生まれる友達の絆は、現実世界の友達とは異なるが、強い絆であることは間違いない。

 そう、「メタバース」でもかけがえのない友人たちを作ることができるし、そのかけがえのない友人たちと共にお正月を過ごすこともできるのだ。

メタバース上でもかけがえのない友人たちを作り、ともに過ごす貴重な時間を作ることが可能なのだ

 実際に筆者のある年の年越しからお正月の過ごし方について紹介したい。

 2021年の大晦日に「cluster」というメタバースプラットフォームで、有志によるカウントダウンの音楽イベントが開催された。パフォーマンスするのも、遊びに来ているのもメタバースに慣れ親しんでいるプレーヤーたち。そういう意味では現実世界で言うところの、巨大なホームパーティのようなイメージだろうか。

 バーチャルな世界とはいえ、友達と思い切りはしゃぐのは本当に楽しい。音楽にあわせて踊ったり、会場を走り回ったり、ジャンプしたり。現実世界では繋がりはないし、全員がバラバラの場所にいる。だか我々は間違いなく、あの時間、あの場所で、あの興奮と楽しみという体験を共有していた。その楽しさのコアな部分は筆者がオンラインゲームで年越しを迎えたときと変わらなかった。

 そのイベントが終わった後はclusterの中にあるユーザーが作った神社に移動して初詣をした。仲の良い友人たちとイベントで盛り上がり、クールダウンして、バーチャルで初日の出を見て、神社に参拝する。その体験は確かに現実世界とは違うが、とても大事な友達と体験を共有したという点で、ほかにはないかけがえのない体験だと思う。我々はそんな年越しを過ごしたのだ。

 実際にこういった遊び方をするためには、一緒に遊ぶ友達さえいれば簡単だ。「cluster」の中にはほかのプレーヤーと一緒にゲームが遊べるワールドや、お化け屋敷のようなホラーワールドというものもある。こういったところで遊びながら友達を作るのが楽しみ方の最初の一歩だろうか。中にはイベントホールを模したワールドや、ライブハウスを模したワールドなどが有志の手によって作られている。基本的にはこれらのワールドに自由に入ることができるし、中で好きなように遊べる。

 「イベント」という少し特殊な方式でこれらのワールドを使おうとすると、作者の許可が必要なワールドなどもあるが、それは仕様上1つのワールドに入れる人数の25人を越える参加者がいる場合など、少し特殊な場合なのであまり気にしなくても良いだろう。前述の通り、神社を模したワールドも作られており、そこで初詣をすることもできるのだ。ユーザーの手で作られた様々なワールドがあり、そこで異なる遊びや体験ができる、それが「cluster」やメタバースの魅力なのだ。

メタバース内で開催された音楽イベントで年を過ごした。さながら大きなホームパーティのような気分だった
神社を模した場所もある。友人たちとお参りをしたのも大事な思い出だ

 オンラインゲームやメタバースなどのバーチャルな世界で過ごすというのは現実世界で過ごすのとは確かに少し違っている部分もあるが、ユニークで貴重な体験ができる。

 この記事を読んで興味がでた読者の方にもぜひオンライン上に広がる仮想空間に遊びに来て欲しい。そして、そこでできた仲の良い友人たちと、一緒に年越しを過ごし正月を迎える。それは現実で過ごす年越しよりも密度が濃いかもしれない。