【連載第23回】オンラインゲームの楽しさを再認識しよう!


てっちゃんのぐだぐだオンゲーコラム


運命の人と親しい友人はどっちが大事?「ルーセントハート」ならではの3角関係
出会いが生まれる“ほしとも”システムで自らに宿った“嫉妬”の炎


 オンラインゲームならではの出来事として、ユーザー同士での恋愛がある。ゲーム世界の中で彼氏彼女になったり、結婚したりするというのは多くの人が体験しているし、そのサポートを積極的に行なっているゲームも多い。そのまま現実でもつきあうという人もいるし、果てには結婚まで結びついてしまう人もいる。様々な状況を一緒に過ごし、絆を深めるというのはオンラインゲームならではの要素だ。

 今回は「ルーセントハート」の「キューピッドシステム」を取り上げたい。このシステムは、自らの情報を登録しておくと、条件の中から“運命の人”である「ほしとも(星友)」を探してくれる。ゲームシステムが自動的に“運命の人”を探し出してくれるというドキドキさせてくれるシステムだ。僕はこの「ほしとも」でちょっと苦く、切ない思いを味わった。今回はその体験を語ろう。


■ ドキドキして待っていた運命の人“ほしとも”は友達とともに登場。微妙な3人の関係

ほしともとだけできる「恋人専用エモーション」。ちょっとドキドキさせられる要素だ

 「ルーセントハート」はギリシア神話と星座をモチーフとした世界観を持つかわいらしいキャラクターの活躍するMMORPGだ。エモーションに「ウッウッーウマウマ」を取り入れたり、各種タイアップを実施するなど様々な点でユーザーにアピールし、今なおガマニアを代表する人気作となっている。

 この「ルーセントハート」で大きくアピールしているのが「キューピッドシステム」だ。このシステムは街にいる「愛神クピド」に話しかけて条件を入力することで、ゲーム内の条件の合う異性のプレーヤーキャラクターを探し出してくれるシステム。クピドを通じて、ユーザー同士の“出会い”を楽しむことができる。

 条件のあったプレーヤー同士は「ほしとも」になれる。ほしとも同士は、「恋人専用エモーション」が使用可能になる。最初は男性キャラクターが女性キャラクターの手の甲にキスし、その後関係を深めることでふざけ合ったり、抱きしめたりとエモーションが増えていく。このエモーションはMP回復速度が上がるなど実用的な意味も大きい。

 2人の関係はラブポイントという数値で表示され、シンクロテストを繰り返したり、恋人専用エモーションで増加する。ラブポイントは時間がたつと減少してしまう。ラブポイントを増やすためには密接な関係が必要となる。システムのサポートによって恋人となり、そこからさらに関係を深めていくことで、ゲームプレイ上大きなメリットがあるという非常にユニークなシステムなのだ。

 僕も偶然の出会いからの関係を求めて、「キューピッドシステム」を使ってみた。そして選ばれた人にメールを出したところ、返事があったのだ。そして時間を決めて出会うことにした。かなりドキドキしたことは覚えてるし、そこからなんか発展するかもなどと、淡い期待も抱いていた。来てくれるかなと待ち合わせ場所の前に立っていた僕の前に現われたのは、ほしともさん……とその友達だった。

 話を聞くと、ほしともとその友達は他のゲームの仲間で、一緒に「ルーセントハート」に来たという。その後3人で遊んだ。ラブポイントは3人パーティーでも貯まるし、パーティープレイは楽しかったが、やっぱり僕が期待していた「ほしともと2人の時間」とは決定的に違ってしまっていて、「そりゃ以前の友達との関係がいいよねえ」と頭でわかっていながらも、自分より深く知り合っているほしともの友人に対してちょっとした“嫉妬”の感情があった。


イラスト:ミズノ マサト

「俺のほしともなのにっ!」

 その後も何度か3人で遊んだ。ほしともと2人で遊ぶこともあったが、後から友達が合流してきたりもした。僕がログインできない時も、ほしともとその友達は2人で遊んでることも多かったようだ。ほしとも同士ができる恋人専用エモーションはちょっとドキドキしたが、やっぱりどうしてもその友達に勝てない気がした。ゲームが選んだ偶然の相手と、古くからの友達、どっちに親しみを感じるかそれは自問すればわかるのだが、結局自分の中でのもやもやとした感情を解消できなかった。

 客観視してみれば面白い心の動きだ。MMORPGではプレーヤーは長い時を一緒に遊んで関係を深くしお互いの絆を強めていく。ところが僕はこのゲームシステムが生んだ「偶然の出会い」という小さな絆で、ほしともの女の子を独占したいという気持ちがあった。「そんなシステムが決めた絆にすがるなよ」と自分に突っ込みを入れてしまうのだが、ほしともとその友達の仲の良いところを見ていると、「俺のほしともなのにっ!」という思いをどうすることもできなかった。結局その微妙な気持ちを抱えたまま、しばらく3人で遊ぶ日々が続いたが、僕はほしともにもその友達にも自分のもやもやをぶつけることをせず、次第に彼等と距離を取るようになってしまった。

 僕のこの出会いは偶然ならではだったが、仲の良いプレーヤー同士は「キューピッドシステム」を偶然ではなく、「必然の出会い」にするために利用したカップルも多かったという。「キューピッドシステム」では相手に求める個性や外見などを設定できる。あらかじめ示し合わせ、相手が特定できる細かい条件付けを行なうことで、意中の人とほしともとなる人達もいた。

 最近のほしともの利用状況をガマニアに聞いてみたところ、最近ではキューピッドシステムの使用率は少し減少傾向にあるようだ。ゲーム社会が成熟し、知り合いが多くなる中で、偶然の出会いを求めるユーザーは少なくなってきているという。それでもほしともを求める公式の掲示板は盛況だし、恋人だけでなく自分と共に強くなる同レベルのパートナーを探したりもしている。また運営側で、ほしともを見つけるためのゲーム内イベントを定期的に開催しているという。

 他のゲームでもまず結婚を申し込んでからお互いの関係を深めていくというプレイの仕方もある。僕の場合はさすがに身を引いてしまったが、強引に突っ走るような方向もありだったかもしれない。偶然の出会いから始まる関係というのは刺激的だった。他のゲーム以上に関係を深めていく過程が楽しめる「ルーセントハート」はやはりユニークなゲームだし、理不尽とは思いつつも嫉妬心がわき出してしまう心の動きも、今になってみれば面白い。あの時の僕のほしともは、今はどうしているだろうか。


■  てっちゃんの割とどうでもいい話 「かたくなにパーティを組まない人達」

出現場所に陣取り、敵がポップするのを待つ

 「ルーセントハート」はクエストを進めていくことで経験値を得ていく。クエストのほとんどは「何々を何匹狩ってこい」というもので、MMORPGでポピュラーなスタイルである。僕が体験したサービス初期は狩場に人が一杯で、モンスターの取り合いがすごかった。

 多くのプレーヤーが敵が出現するところに待ちかまえ、争って奪っている。狩場にはぴりぴりとした緊張感があった。しかし実はこれらのクエストはパーティーメンバーが倒してもカウントされるのだ。プレーヤーに比べ絶対的にモンスターが足りない状況は、パーティーを組めば解消されるのに、何故かみんなパーティを組まないのだ。僕は「パーティ組みませんか?」と募集を出した。そうするとあっという間に埋まっていく。結局みんな誰かが募集をはじめるのを待っていたのである。

 規定数モンスターを倒した人はすぐにパーティーから離れていく。僕もリーダーを他の人にまかせて出た。しかし次の狩場でもやっぱりパーティーがないのだ。結局、狩場が代わる度に僕がリーダーになってクエストを進めた。いざ募集すると、たくさんの人が参加する。ほんのちょっとのことなのに、それをせずソロで四苦八苦しながらも進める。自分からパーティーを組もうとしない人ばかりだった。他のゲームでも昨今は特にもうどうしてそこまで無理をするのか、と言いたくなるようなソロプレーヤーも多く感じる。

 また、パスワードで鍵をかけて特定の人しか入れないパーティー募集も「ルーセントハート」以外のタイトルでも目立つ気がする。なんでそこまで出会いを、繋がりを拒否するのか。ソロや仲間だけで固まる人達にそう問いかけるのは「大きな御世話」というところではあるが、何だか最近はMMORPGにおいてドンドン「積極的に知らない人と交わる」という感じがなくなってきているなあ、と寂しく感じる。これらの傾向は、ギルドを作り、小さなコミュニティが濃くなることで感じなくなってはいくのだが、それとは別に、「知らない人と気軽に遊びにくい」というのは、MMORPGプレーヤーの面白い傾向といえるだろう。



~今回ぐだってしまったオンラインゲーム~

「ルーセントハート」

「ルーセントハート」はアバター要素も充実していて、人が集まると服装チェックも楽しい

 「ルーセントハート」は台湾PlayCooが開発したMMORPGで、運命で選ばれた友人「ほしとも」と親交を深める事のできる「キューピッドシステム」、プレーヤーがイベントを主催できる「ハッピーパイロットシステム」などユニークなシステムを搭載している作品だ。かわいらしいキャラクターと、ギリシア神話をモチーフとした世界観も魅力だ。

 2011年4月では、手持ちの騎乗ペットを使って専用コースで1着を競うレースが楽しめる「ペットレース」なども実装された。ペットの能力を強化させたり、レース中に特別なスキルが使える本格的なコンテンツだ。

 8月3日には大型アップデート「Viola」が実装された。様々な要素を紹介するムービーが公式ページで公開されている。新たな場所「神界」、新インスタンスダンジョン「崩壊したガイラス」では「灼龍オーザス」というボスが待ち受ける。ほしともとの新エモーション、デートができる新マップなどほしとも向けのコンテンツも追加された。


【スクリーンショット】
4月に実装された「ペットレース」。駆け引きも熱い
ゲーム内イベント。楽しそうな雰囲気が伝わってくる

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(2011年 8月 23日)

[Reported by 勝田哲也]