【連載第53回】韓国最新オンラインゲームレポート

韓国Nexon、「カバティーナストーリー」第2次CBTレポート
細かい仕掛けが楽しい! 今年イチオシのカジュアルアクションRPG

5月7日~5月16日第2次クローズドβテスト実施




 韓国NEXONは5月7日から5月16日まで、同社の新作アクションRPG「カバティーナストーリー」の第2次クローズドベータテストを行なった。本作はNEXONのフラグシップともなっている2DアクションRPG「メイプルストーリー」の開発チームが制作した最新作だ。

 本作品は見た目こそ3Dだが、基本的には奥と手前の2列上で2Dベースのアクションが展開される。ゲーム性は「メイプルストーリー」を彷彿とさせるカジュアルなテイストそのままで、まだ第2次CBTであるにも関わらず、非常に高い完成度を見せてくれた。早速本作の魅力をお伝えしよう。



■ 2009年カジュアルアクションRPGの台風の目はこの作品だ!

上上・下下と方向キーを2回押しすることで手前・奥の列を移動する。3Dアクションながらも2Dのカジュアルさを重視しており、非常に敷居の低い作品に仕上がった

 「カバティーナストーリー」では、プレーヤーは女神「メイラン」と共に時を奪われた世界を取り戻すために旅に出る。

 プレーヤーはゲーム開始時に「ファイター」、「サイキック」、「ゴースト」の3種類の職業の中からひとつを選択する。ファイターは等身大ほどもある巨大な両手剣で敵をなぎ倒していくタイプで、ゴーストはアサシンタイプで素早く敵を刻んでいくタイプ、サイキックは小さな体から放つスペルで敵を翻弄するタイプだ。

 

 筆者がプレイしたのは「ファイター」。直線方向にモンスターを串刺しに強打するスキルや、回転して左右にいるモンスターに打撃を与えるスキルが特徴的だ。スキルの派生は本格的で、盾を使ったスキルや防御に特化したスキルなど、バリエーションあるキャラクタ作りが楽しめそうだ。本テストでのファイターは片手剣と盾という武器の取り合わせはできず、基本3職種からさらなる派生があるのかもしれない。

 最初に降り立つ都市「ユズ」では、空中に浮かぶ島が年輪状にマップ上に配置されて広がっている。島と島の移動は画面に向かって手前・奥方向に点在する地面を大砲のようなオブジェクトに入って吹き飛ばされながら移動する。遠方になってもきっちり描写されているのが特徴的で、画面のずっと奥のほうで他のプレーヤーが戦っているのを遠巻きに見て取れるのも面白い。

 

 アクションは、奥と手前の2列を使った横移動が中心で、敵や障害物をかわす際などは上下キーで移動するレーンを変えながら進んでいく。豊富なオブジェクトの愉快なギミックに加えて、キャラクターモーションも爽快そのものだ。

 また、アクションそのものが非常に楽しくなっている。高いところから落ちても死んでしまったりするようなこともないし、ジャンプ中にもう1段階ジャンプを重ねることも可能で、高所へ向かってタイミングよく飛び地をジャンプしていくようなアクションも、2段ジャンプシステムのおかげで難易度がぐっと低く、ビギナーでも楽しめる絶妙な作りという印象を受けた。

 ゲームは「ワールド」単位で進められていく。ワールドは複数のフィールドに分かれており、各フィールドにはクエストを支給するNPCやワールド内を移動できるワープポイントや街が存在する。クエストは主に「○○というモンスターを10匹狩って欲しい」といったことやアイテム集めなど簡単なものが中心だ。レベルはこれらをクリアしていくだけで短時間のうちにサクサク上がっていく。

 プレーヤーは、ワールド中に点在する中ボスを倒していき、最終地点にいるボス戦を目指す。「ユズ」に隣接する1つ目のワールド「メスガイラ」では古代の地球がイメージされ、恐竜などのモンスターや、石器時代の暮らしを彷彿とさせるオブジェクトが配置されている。今回のテストでは「メスガイラ」までが実装されていた。行き先はすべて1本道となっておりスピーディーなプレイが楽しめた。

明快なチュートリアルとあわせてゲーム自体にはつまずくポイントが非常に少なく、ユーザービリティの高い作品に仕上がった。一方で、「メスガイラ」ワールドのボス戦の直前のマップに差し掛かると急激に敵のレベルが上がり、敵に対してまったくといっていいほどダメージが与えられなくなる。この場所まではいろいろと寄り道しながらでも3時間ほどで到達できるのに、同じくらいの狩りがレベル上げのためだけに本格的に必要になってしまった。経験値や所要時間のバランス調整が今後の課題となるだろう。


ワールドは現在、物語の基点となるユズと最初のワールドの「メスガイラ」が実装されている。「メスガイラ」は古代の地球がモチーフになっている
フィールド内のエリアはしばしば分断されており、大砲などのオブジェクトを利用して行き来する(左)、パーティーメンバーを持ち上げて、放り投げることもできる。フィールド上の高いところから引っ張りあげるようなアクションがあっても面白そうだ(右)


■ 生産システムも実装!シンプルな成長システムを採用

マップ中に点在する採掘・採取ポイントでは、道具屋で購入した採集器具を用いて、アイテム作成に必要な植物や鉱石を採集することができる

 本作ではキャラクタの成長にはレベル制を採用しており、レベルアップすると決められたステータスが上がる仕組みになっている。プレーヤーはキャラクタの基本ステータスには触れることができない。攻撃力に特化させたり、防御力に特化させたりといった細かいステータス振りを一切捨てることで、ひたすら装備品集めとレベルアップを重ねてボスを目指していくことになる。

 レベルが上がるとスキルポイントを得ることができ、スキルポイントを消費して発動するスキルやパッシブスキルなどを新しく覚えたり強化したりすることができる。ゲーム序盤は有用なスキルも限られており、あまり考えずにレベルアップに励めば良いが、中盤以降どのようにキャラクタ間の個性を持たせていくのかが気になるところだ。

 また、道具屋で手に入る採集器具を用いて、フィールドに点在する採集ポイントから、鉱石や植物を採取することができる。アイテム作成NPCが「ユズ」に設けられており、植物からは回復剤、鉱物からは武器や防具を作成することができる。

 本作の素晴らしい点としては、ある意味「無駄な遊び」を大事にしていることが挙げられる。たとえばフィールド上に歩いている「テンイ」という大根のような形をした小さなモンスターは、つかんで放り投げると爆発する。ファイターが保持した状態で移動するとポンポンと「テンイ」をドリブルし、敵にぶつけるとダメージを与えることができる。

 もっとも「テンイ」をぶつけてダメージを上げるよりも斬り掛ってしまった方が戦闘の効率は良いし、そこらじゅうを歩いている「テンイ」を無視していても進行とはまったく関係ないのだが、都合よくとっ捕まえられて爆発するという一連の残酷なカタルシスが良いのだ。「テンイ」はごくまれに金貨を担いで歩いているものがおり、これを捕まえて敵に投げつけると大量のお金を手に入れることができる。また、パーティーのプレーヤーも同様に捕まえて放り投げることができ、プレイした限りでは特に意味を見出せなかったが、こうした「遊び」の要素がほのぼのとした世界観を出すのに非常によく役立っている。


豊富なスキルツリーでレベルアップのたびにスキルを強化していける
フィールド上にはクエストをくれるNPCが点在している(左)。道具屋では消費アイテムやワープスクロールなどが販売されている。不要な装備品は販売する以外にアイテム作りの材料に分解することも可能だ(右)
フィールド上を歩く小さな大根のお化けのような「テンイ」。捕まえて投げつけられて爆発するという不運な(?)存在(左)。3Dの特性をふんだんに使ったギミックも豊富だ。モンスターはかなり頭がよく、1度叩くと障壁などひとっ飛びに追ってくる
武器や防具、消費アイテムは様々な鉱物植物から合成できる(左)、フィールド中には同じワールド内を移動できるポイントや、ボスマップなどの高難易度フィールドには復活ポイントが設けられている(右)


■ 基本に忠実なアクションの面白みはピカイチ。キャラクタの個性をどのように出していくかに期待

今回のβテストでは、ダンジョンをクリアすると経験値を一定量獲得できるシステムになっていた

 今回のファイターでのプレイ全般について、爽快なプレイができた。UIはHPとスキルの発動に必要なマナの2つのゲージ、スキルショートカット、マップが基本となっている。スキルには発動に設けられたディレイと自然回復がうまくバランスが取られており、回復剤を使用するまでマナが欠乏していくようなことはなかった。通常攻撃と1-2種類のスキルを絡ませながら使用していくのがセオリーとなっていた。

 ハードコアなRPGをプレイしてきた筆者からすると、ステータスの配分がないために、「攻撃力は弱くてもスキルを多用するファイター」や「やたら力の強いマジシャン」といった位置づけで細かく或いは極端なキャラクター作りができないことがやや残念だが、それをしてあまるほどの遊びの要素が楽しめると思う。

 「G-Star2008」で開発チーム長イム・テヒョン氏のインタビューの際は、「テンイ」のような微妙なキャラクタを理解するのに非常に苦心したが、遊んでみるとなんでもないキャラクタがそこらへんにおり、そうしたものを利用して仲間と共にゲームの進行とも無関係に遊べるコンテンツが用意されていることで非常に居心地の良い世界になっていると思う。

 インタビューの際には韓国市場向けには「『メイプルストーリー』を卒業したら『カバティーナストーリー』へというスローガンを用意している」との同氏の談話があったが、「メイプルストーリー」の持つカジュアルかつ壮大なストーリーを、もう少しゆるく時間をかけて楽しみたいユーザーにとてもしっくりくるコンテンツとなっている。

 特に筆者のようにゲーム暦が長くなって、のんびり楽しみたいユーザーにはかなりド真ん中の作品だった。日本展開を心待ちにしたい。

フィールド上にぽっかり穴をあけた中ボスマップ。大型のボスモンスターが登場する
スコールゲートと呼ばれるポータルで、ワールド間を移動できる(左)、武器や防具や定期的に修理職人の手で修理する必要がある(右)
クローズドベータテスト最終日に行なわれたモンスター襲撃イベントでは、強力なボスキャラクタなどが「ユズ」に次々に登場した
ゲームの冒頭部分や中ボス戦の後などさまざまな場面で、カットシーンが挿入される

(c) 2009 NEXON Corporation. All Rights Reserved.

(2009年 6月 10日)

[Reported by 三浦尋一]