「GTA Online」大満喫連載 急がば奪え!
「GTA Online」大満喫連載 急がば奪え!
オンラインの向こうに待つ、イケてる奴ら
(2014/10/9 00:00)
「Grand Theft Auto(以下、「GTA」)」の世界がオンラインで楽しめる! 「Grand Theft AutoV」にはオンラインモードの「GTA Online」があり、フランクリンやマイケル、トレバーとして暴れ回ったロスサントスで、自分だけのキャラクターを生み出し、日本中のプレーヤーと楽しむことができるのだ。
そして12月11日には、プレイステーション 4とXbox One版の“次世代機向け”「GTAV」の発売が決定している。しかも現在PS3やXbox 360で「GTA Online」を楽しんでいるプレーヤーは、次世代機版にデータを引き継ぐことができるのだ。この機会にぜひたくさんの人に「GTA Online」を始めてもらい、そして次世代機版での変化を一緒に楽しんで欲しいという思いで、「GTA Online」の楽しさを伝えていくのが、この“「GTA Online」大満喫連載 急がば奪え!”なのだ!
自由溢れる人生を、イカした奴らと共に満喫できる世界、「GTA Online」
「Grand Theft Auto(GTA)」シリーズの魅力は一言で言うと「自由」であることだと俺は思う。「自由」と言っても単純に何でもできることを指しているのではない。これまで歩んできた自身の人生とは別の“生き方”を模索するためのシミュレーションと言っても過言ではない。
ギャングとの銃撃戦や警察からの逃走劇など、映画のようなスリリングな一瞬を体験することもできるし、他人から蔑まれるような人殺しや強盗などの行為もこの世界では許される。もちろん今の人生以上の楽しさを追求して、大自然の中を無造作に走り回ったり、人があまり立ち入らないような場所に行ってくつろいだり、スポーツやカーレースで自身の技術を向上するような楽しみ方もできる。
ところがこうして充実させた第2の人生も、オフラインで楽しむ「GTA」ではあくまで個々の楽しみにとどまってしまう。これを仲間や他人と共有したり、第3者とのコミュニケーションすらゲームの中で体感できるようになるのが、「GTAV」に収録された「GTA Online」なのだ。
「GTA Online」はまさに、「GTA」の「自由な」世界をそのままオンラインゲームにしている。与えられたミッションをクリアしていく楽しみも、車を強奪して、勝手気ままにドライブする魅力も、街中で銃を撃ちまくって警察に追い回されるスリルも含めて、「GTA」の魅力が全て詰まっている。それに加えて、従来の「GTA」のように1人だけでなく、これら全てを友達や他人と一緒に楽しめる、まさに究極の「GTA」と言っても過言ではない。
「GTA」シリーズは、「GTA:San Andreas」を境に大きく変わったと俺は思っている。「GTAV」は特に顕著で、主人公たちのキャラクター性がすごく強く、個性的なキャラクター達が織りなすドラマと映画のような演出が魅力的になっている。ここはもちろん大好きな部分だが、個人的には“物足りない”と感じているところもある。「GTA:Vice City」までの主人公の、セリフもなくただ黙々と任務をこなす「無個性さ」が俺は大好きだった。無個性だからこそ、自分がキャラクターと同化し、ドライブをしたり、ハチャメチャなことができたのだ。
だから「GTAV」でドライブしていても、「フランクリンはこんな車に乗らないんじゃないか」、「トレバーはのんびりドライブしないんじゃないか」と思ってしまうことがある。しかし、「GTA Online」でのドライブは“俺のドライブ”なのだ。かつて「GTA III」や「GTA:Vice City」で俺が楽しんでいた、“俺のドライブ”を再び楽しめている。俺はこの点が最高に楽しい。
そして、イカした野郎との出会いが最高だ。「GTA Online」を初めたばかりの時、俺らに協力してくれたのが“著者近影”で紹介した謎のアライグマ仮面だ。さすがベテランという感じの手際の良さで、次から次へと様々なミッションを助けてくれた。楽しい時が過ぎ、最終的にミッションを終えて去っていった仮面の男だったが、街に戻った直後になぜか再び我々の眼前に姿を現わした。
いきなり撃たれることも多いこのゲームなので最初は緊張したが、彼はしばらくジェスチャーで色々こちらにアピールしたあと、おもむろに自分の車に乗り込んだ。彼はそのままその場で待っていたので同乗してみると、やおら車は速度を上げ走り出した。「どこに連れて行かれるんだろう」と、不安な気持ちのままゆられていると、彼はなんと俺を乗せたまま軍基地に飛び込んだ! しかも、通常は入れないくらい高いフェンスを山の斜面を利用して飛び越してしまったのだ。
軍基地は不法侵入者を許さない。蜂の巣をつついたような感じで兵士達から銃弾を浴びせられる中、アライグマ仮面は見事な手際で戦闘機を強奪、飛び去ってしまった。いきなりの軍基地への侵入に戸惑っていた俺はあっさり銃殺刑となったが、厳重な軍基地への侵入と、戦闘機強奪という見事な“お手本”をヒヨコの俺に見せてくれたカッコ良さは、オンラインならではの忘れられない思い出だ。
自由溢れる人生を、イカした奴らと共に満喫できる世界、「GTA Online」
さらにオンラインならではの楽しさを掘り下げていこう。「GTA Online」では、色々なミッションや金の稼ぎ方があり、その中の1つに、シミオンの依頼で車を盗み売り払うものがある。そこそこいい金がもらえるので、暇な時の金稼ぎにはちょうどいいのだが、この場合、全てのプレーヤーのマップに盗むべきターゲットが表示される。つまり、他のプレーヤーとの“競争”に勝たなければお金は得られない。
数回やった限りでは、他の人に奪われたこともないし、必ず警察に追われるしで、駆け出しの自分以外はこの金稼ぎには興味がないのかなと思っていた。しかし、盗んだ車の色を塗り替え、届けようとした瞬間、待ち伏せを食らったのだ! 気が付くと目の前のプレーヤーの銃撃で俺も車も豪快に吹っ飛び、あの世行きとなってしまった!
車を先にとられたのが許せなかったのか、それとも単に自分のことをからかいたかったのかわからないが、襲われたことに腹が立った俺は復活するなりその“イカれた野郎”に戦いを挑んだ。しかし相手は銃のスキルも武器のレベルも段違いで、全く勝てない。いつか強くなってやると誓ってその場は敗走することになった。「これが『GTA Online』の世界か……」と思い知った瞬間だった。
数人のユーザーで挑む「ミッション」でも衝撃の体験をした。ミッションでは他のプレーヤーと協力して多くの敵を倒したり、車を護送するなど凝った展開が楽しめる。今回の話は、ラマーからの指示でギャングが取引している“包み”を回収するミッションを相棒のRIAと俺に加えて、2人の高レベルプレーヤーを交えた4人で実行した時の事だ。
取引中のギャングを撃退し、後は“包み”を届けるだけの段階で、肝心の“包み”を手にした1人の高レベルプレーヤーが、そのまま建物の中に駆け込み、鼻くそをほじりながら居座ってしまったのだ。このままでは時間切れで失敗になる。味方の弾が当たらない設定のためどうにもできず困っていると、彼は突如建物を飛び出し、車に乗り込み、後を追った俺達に突進してきた! 結局俺はひき殺され、最終的に彼も自爆し、ミッションは失敗となってしまった。
ここまできてようやく彼の行動が理解できた。つまり彼は最初からミッションを成功させるつもりはなく、ミッションを失敗させるためにこのミッションに参加してきたということだったのだ。荷物を奪い、建物に逃げ込む、その手慣れた行動からは邪魔をするために、かなり練習と研究をしたことがわかる。それからも色々なミッションをプレイしたが、みんなミッションには協力的で、こういった衝撃的なプレーヤーに出会ったのは1回しかないのだが、今でも忘れられない体験だ。邪魔するためだけに一生懸命になる。そういうプレーヤーもアリなのが、「GTA Online」なのだ。
とにかく色んなイカした、イカレた野郎がいるのは間違いない。もちろんミッションの円滑な進め方を伝授してくれたり、駆け出しの連中に最高の逃走ルートを教えてくれる頼もしいプレーヤーが数多くいてくれるからこそ、逆に邪魔をする彼等の存在が強く印象に残る。面白いプレーヤーとの出会いを楽しみ、気楽に挑むのが「GTA Online」の魅力だと感じた。
最後に、“急がば奪え!”のタイトルに対して語らせて欲しい。「GTA」プレーヤーにとって街に走っている車は全て“俺のモノ”だ。誰が乗っていようと関係ない、どこかに移動したいときスムーズに車泥棒(Grand Theft Auto)をする。それが「GTA」のプレイスタイルだ。
そして、「GTA Online」はそういう奴らの集まる世界。それでいながら自分のお金や装備はしっかりと守りたい。車に保険をかけたり、手に入れた金はすぐ銀行に預けちゃったりする。“おまえのモノは俺のモノ、俺のモノは俺のモノ”というジャイアニズム溢れる世界なのだ。強くなるために、金を得るために、良い車を持ち、豪邸に住み、ヘリで飛び回るためにはまず奪え。俺たちのこの「ロクデモナキスバラシイ世界」での生活はまだ始まったばかりだ。
(C)2014 Rockstar Games, Inc.