山村智美の「ぼくらとゲームの」

連載第46回

いろいろ解った「Nintedo Switch」の中でも“HD振動”に可能性を感じていたり、まだ何かないかなと期待している話

この連載は、ゲーム好きのライター山村智美が、ゲームタイトル、話題、イベント、そのほかゲームにまつわるあれやこれやを“ゆるく”伝えるコラムです。毎週、水曜日に掲載予定。ちなみに連載タイトルは、本当は「ぼくらとゲームの間にある期待の気持ち」。新しい体験の、その発売を、いつでも楽しみにしている期待の気持ち。そのままだと連載タイトルとしては長すぎたので……「ぼくらとゲームの」。

先週末に開催された「Nintendo Switchプレゼンテーション&体験会」にて、本体や専用ソフトの詳細が、“だいぶ”明らかになった任天堂の新ハード「Nintedo Switch(以下、『ニンテンドースイッチ』)」ですが、みなさんも発表内容や本体の仕様、タイトルラインナップなどはチェックされましたでしょうか。

「Nintendo Switchプレゼンテーション&体験会」の取材でいくつかのタイトルも試遊させて頂いたのですが、プレゼンテーション冒頭にて、ニンテンドースイッチの理念を説明された、取締役の高橋伸也氏の言葉が非常に印象的でした。

その言葉というのは、

「ファミリーコンピューターでは、2つのコントローラーがついていました。」

「ゲームボーイでは、ビデオゲームを外に持ち出せるようにしました。」

「スーパーファミコンでは、A・Bボタンに加え、ゲームをより楽しくするためにX・YボタンとL・Rボタンを加えました。」

「ニンテンドー64では、世界で初めてアナログ入力のできる3Dスティックをつけ、コントローラーを振動させる振動パックを開発しました。」

「ゲームキューブでは、持ち運び用の取っ手をつけました。この頃から家庭用据置型ゲーム機を持ちだそうというのを提案していたのですが、ちょっと早すぎたようです。」

「ニンテンドーDSでは、画面をタッチスクリーンにしました。」

「Wiiリモコン(Wii)では、モーションコントロールができるようになりました。」

「Wii U GamePad(Wii U)では、テレビの前から離れてゲームができるようにしました。」

「ニンテンドースイッチでは、娯楽のDNAをしっかり受け継ぎ、これら全てを詰め込みました。もっと楽しく、もっと笑顔に。任天堂は常に娯楽を追求しています。そして、2017年にお届けする新しいご提案がニンテンドースイッチなのです。」

というもの。

Nintendo Switchプレゼンテーションより、取締役の高橋伸也氏による「ニンテンドースイッチは娯楽のDNAをしっかり受け継いでいる」という紹介の言葉が印象的でした

これを聞いて「あ、なるほど!」っという気持ちになって。それまで結構もやもやしていたニンテンドースイッチのことがすっきり理解できたんですよね。

左右に2個のコントローラーがあり、外に持ち出せるハードであり、ボタンやアナログスティックもフルに備え、画面はタッチスクリーンであり、モーションコントロールも備えていて。

Wii Uを所有している人ならおそらく1度は「Wii U GamePadだけで、どこでもゲームがプレイできたらいいのにな」と思ったことがあると思うのですが、そこもクリアした完成形とも言えるハードになった、ということで。

そうした「これまでの任天堂ハードのなかでも良かったポイント」を集約して、できる限りスマートにまとめるとこの形になったんだなーと、納得。

やっぱり驚かされたのはコントローラーの「Joy-Con」ですね。あのサイズのなかにWiiリモコンのように動きで操作できる「モーションコントロール」あり、amiiboなどのデータ読み書きのできる「NFCリーダーライター」あり、物の形や距離を読み取れる「モーションIRカメラ」あり、グラスに入れた氷の数やコップに水が注がれたような様々な感触を表現できるという「HD振動」あり。

特に面白そうな予感がするのは「HD振動」ですね。

僕が体験会で試遊したのは、「ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド」、「ARMS」、「1-2-Switch」(時間的な都合があってプレイしたのは『ガンマン』のみ)の3タイトルで、この「HD振動」を体験できなかったのが、今思うとものすごく残念なのですが。

いろいろと考えてみると、この「HD振動」という方向性が面白いなと。そもそも「HD振動」っていう名前からして、最初はなんだろそれって思いますよね。振動機能ってそれこそ1997年にニンテンドー64用の周辺機器として発売された「振動パック」からはじまり、今ではだいたいの据置ゲーム機用コントローラーには搭載されていますけど、大きな進化というのはしていないんですよね。

そんな振動機能さんなんですけど、ただ震えるのではなく、振動によって触感を表現するという領域に進化するというわけで、まさしくそれは振動機能のHD化であると。HD振動というのはそういう名称なんだろうなぁと思います。

「振動によって触感を表現する」というのは、まだ未知の領域というか、実体験している人が少ないものだと思うのですが、僕が体験したものだと、iPhone 7のホームボタンなんかがそれですよね。iPhone 7のホームボタンは、ボタンではなく感圧式のセンサーであり物理的には一切動かないのですが、指で押すようにすると「パコッ」という押し込んだときのクリック感が伝わってくるというもの。これも振動による錯覚なのですが、不思議な触感があるんです。

実際のところニンテンドースイッチのHD振動はまだ未体験なので、どれぐらいの表現力なのかは定かでないのですが……でも、“振動の表現力”っていう言い回し自体が、これまであまりなかったものですし、その表現力が高まれば高まるほど、発展性や可能性を感じる要素だと思えます。VR(バーチャルリアリティ)方面とも相性が良さそうな技術ですよね。

振動の表現力で触感を再現するという「HD振動」。新しい可能性を感じさせます

コントローラーが自然に2つ標準搭載されていることも、個人的にはすごく大事なことだと思うんですよね。一緒に遊ぶっていうことは、やっぱり大切で強いです。そして、誰かと一緒に遊ぶ機会を逃さないという意味で“持ち運べるハードであること”も、重要だったりしますよね。

その両方のポイントを押さえているうえで、タイトルのラインナップに「1-2-Switch」、「スーパーボンバーマンR」、「ぷよぷよ テトリス S」と、直感的に遊べたり、定番感のあるタイトルがあるのが、いい感じだなと思います。誰かと一緒に遊ぼうと思っても、複雑なゲームだったりすると上手く楽しむ空気ができないままに終わっちゃったりもするんですよね。特に大人だとそうなりがちだったり。

「1-2-Switch」はもうそれこそ直感的の極みみたいなタイトルですし、「ボンバーマン」と「ぷよぷよテトリス」なら、知っている人も多くて、すぐに理解していける。人の集まるときに積極的に持っていきたいハードとソフトになるんじゃないかなと思います。

本体と同日発売のソフトは8本。直感的な「1-2-Switch」、定番感のある「スーパーボンバーマンR」、「ぷよぷよ テトリス S」といった、誰かと一緒に遊ぶのに適しているタイトルがあるのがポイントですね

逆に、“1人で楽しむ、使う”という方向を考えると「タブレット端末」として使えるようになったりしないかな、というのが個人的に気になっているところ。

画面が静電容量方式のタッチスクリーンだということも新たに伝えられましたし、なにしろあの形状ですから連想するところですよね。ゲームだけでなく、タブレット端末としてWebサイトを見たり、動画を再生したり、電子書籍を読んだり、それこそスマホアプリなんかも動いちゃったりしないのかなって、思うんです。

残念ながらSIMカードスロットはないようなので、単体で通信して外でもタブレットとして使えるという方向性はなさそうですが。

まだタッチスクリーンをどのように使うのか、ゲーム以外の機能周りがどうなっているのかは、不思議と触れられていない感もありますので。「実は……」なんていう展開を期待したいです。

さてさて、個人的にいろいろとすっきり理解できたこともあり、活用シーンも見えてきて期待の高まったニンテンドースイッチですが、店頭やネット通販サイト等で1月21日から予約開始、マイニンテンドーストアでは1月23日から予約開始(マイニンテンドーストアでの支払い方法はクレジットカードによる一括でのお支払いのみとなるそうです)ですので。いちはやくゲットしたい人はがんばって予約しましょうー。

あ、セガゲームスさんは「イチニのタントアールとボナンザブラザーズ。」の移植をお願いします! ほら、一緒に遊べますし。

「スパイVSスパイ」とかもやりたいよねー。

こういう画面分割タイプのゲームも、コントローラー2つ標準装備&持ち運び可能なニンテンドースイッチなら、一緒に遊ぶチャンスが多くなりそう。セガゲームスさん「ボナンザブラザーズ」遊びたいので、よろしくお願いします!

ではでは、今回はこのへんで。また来週。