レビュー

PC版「Marvel’s Spider-Man Remastered」レビュー

最強画質で蘇るスパイディーアクション。続編に向けた復習としてもオススメ

【PC版「Marvel’s Spider-Man Remastered」】

ジャンル:オープンワールドアクションアドベンチャー

プラットフォーム:Steam、Epic Games

発売日:8月13日

価格:5,900円(税込)

 ソニー・インタラクティブエンタテインメントは8月13日、PC版「Marvel’s Spider-Man Remastered」を発売する。本作は2018年に発売されたPS4版「Marvel's Spider-Man」、そしてそのリマスターとして2020年に発売されたPS5版「Marvel's Spider-Man Remastered」のPC版となる。

 「Marvel's Spider-Man」は、世界の人気キャラクター「スパイダーマン」を操作するオープンワールドアドベンチャーゲーム。スパイダーマンとしてニューヨークの街を飛び回り、市民を助けたり、数々のヴィラン達との激闘を味わえる。

 今回はPC版としてリマスターされるにあたり、より高品質なグラフィックス表現によって「スパイダーマン」の世界をより鮮明な姿で楽しむ事ができるようになっていおる。早速その進化したスパイディーワールドを紹介していきたい。

【『Marvel's Spider-Man Remastered』PC版 機能紹介トレーラー】

まさに最強! とにかくグラフィックス表現の進化がすごい

 今回のPC版「Marvel’s Spider-Man Remastered」の大きな特徴は、さらに最適化・高品質化されたグラフィックスの進化だ。PCならではのスペックの高さをフルで活かした、今までにない映像美を味わう事ができるようになっている。

 最も大きいのは、陰影表現がさらに向上し、数多くのモードを設定できる「レイトレーシングリフレクション」があることだろうか。ニューヨークの街並みは本作ならではのリアリティある表現になっており、さらにフレームレートの上限がなくなったことによってPCのスペック次第でムービーやアクション中の動きもより鮮明になっている。

公式よりリリースされた各種スペック詳細と実際のゲーム内での設定画面。PCならではのウルトラ画質にする事も可能だし、スペックに合わせた設定で誰でも快適にプレイできる

 さらに通常のゲーム画面よりもさらに横幅に広く視野を広げられる「ウルトラワイドディスプレイ」にも対応しており、より広大な視野で今作のグラフィックスを満喫可能だ。もともと、ニューヨークの街を自由に飛び回る事自体が楽しい本作だが、その爽快さや楽しさが描写や設定の強化でさらに向上したと言える。

 またPCで遊ぶにあたり、各種ワイヤレスコントローラーにも対応。さらにマウス+キーボードでの操作も可能となっている。操作方法がさらに自由になった事で、自分に合ったプレイスタイルでスパイダーマンを操作できるようになっている。

 マウス操作とコントローラー操作を瞬時に入れ替える事も可能で、アイテム選ぶ際やパズルなどはゲームパッドからマウス操作に切り替えて遊ぶと便利だった。

ゲームパッド、マウスの両方とも設定画面でカスタマイズする事が可能。筆者はポインターでアイテム選ぶ際やパズルなどの謎解き要素をする際はマウスで操作するといった感じで使い分けていた

 続いて実際にプレイした所感をまとめていく。やはりまず圧巻だったのが、今作のレベルの高すぎるグラフィックス表現とそこから自然と繋がるモーション表現の数々だ。

 ストーリー進行等で挟まるムービーは勿論、特に舞台となるニューヨークの街並みの力の入れ具合は“えげつない”と感じるほど。朝・夕・夜で絶妙に雰囲気が変わる感じや、高層ビルの上から見る絶景、リアリティのある影の表現やビルの窓ガラスに映る自分自身の姿など、細かい部分にこそ凄みを感じる。

 その光景は、街を飛び回っているだけでも楽しめてしまうほど完成度が高い。オリジナル版は2018年の発売だが、そのグラフィックスが進化したPC版のレベルの高さに素で驚いてしまった。

時間帯によってニューヨークの雰囲気もガラッと変わる。色んな時間帯の街を飛び回って見るだけでもかなり楽しいのが本作の凄い所だ
メインストーリー中に流れるムービーもしっかり美しく描かれている。バトルからムービー、ムービーからバトルへの移行が途切れず自然な場面が多いため映画のような臨場感でゲームに没入できる

 そんな高い完成度の街並みの中で我らがスパイダーマンを操作し、流れるようにスパイディーアクションの数々を決められる爽快感は、本作でなければなかなか味わえない感覚だ。

 糸を駆使して街を滑空しながら自由に高速移動する、糸を使って相手を捕縛したり周りの物を投げつけるといったような正に「スパイダーマン」ファンがやりたかったことを本作では全て体験させてくれるのがエラすぎる。

 流石にリマスター版を含め3度も発売される人気作品だけある。特に序盤は、2秒に1回は「これカッケェ!」と「これスゲェ!」を思わず連呼していた。

空中でコンボを決めたり周囲の物や敵が投げた爆弾、はたまた敵自身を糸でぶん投げるアクションが超爽快!
糸による高速移動で夜の街を逃げまわる敵を追跡したり、潜入ミッションの際は見つからないように空中でサイレントキルをしたりなど「スパイダーマン」でやりたい事を全てやらせてくれるのが嬉しいポイントだ

まさに「スパイダーマン」なアクションと戦闘

 アクションゲームとしてバトルの感触も素晴らしかった。超人的なパワーによる華麗な肉弾戦と糸を応用した敵の捕縛・攻撃の回避・敵や物の投擲など、戦闘に用いるアクション性がスパイダーマンならではの操作ばかりで非常に面白い。

 攻撃以外にも「スパイダーセンス」を上手くシステムに反映していて、相手の攻撃タイミングを感知してギリギリでの回避ができたり、発射するウェブの使い分けが可能な「ガジェット」の存在で状況に合わせた攻撃方法の選択や戦略にも幅が広がっている。「スパイダーマン」の原作をリスペクトしつつ、ゲームとしての体験が面白くなるようなシステムが数多く存在している部分に愛を感じる。

 ボス戦なども上手く飛び回る事で回避しながら、周囲の物やガジェットを駆使して隙を生み出すなど、“これぞスパイダーマン”なバトルが可能だ。攻撃や戦闘のたびに、余裕な感じでスパイダーマン=ピーター・パーカーが相手を小馬鹿にするような軽口を叩いてくれるのも本当にスパイダーマンらしくて最高なポイントだろう。

死角からの攻撃であっても、スパイダーマンが危険に晒されていると頭上に攻撃を察知したようなエフェクトが現われる。この表示にあわせて回避などを行なう、まさに「スパイダーセンス」な仕様だ
戦闘中に使用するガジェットを切り替えて、自由自在にウェブを発射する事ができる。相手を痺れさせたり、壁際まで敵を一気に吹っ飛ばせるもの、自動で敵を攻撃するガジェットなどその種類は様々だ
序盤のボスである「ショッカー」戦では攻撃を避けつつ周囲の物を投げつける事によって隙を作り、接近して格闘をぶち込むという本作の基本的な立ち回りを体験する事ができる。序盤なのにド迫力かつ中々の難易度だ……!

 さらにスパイダーマンを自分好みにビルドできるのも本作の大きな魅力の1つ。経験値を得てスパイダーマン自身の新しい技を開拓できたり、各種クエストや街の散策で入手できる「トークン」を消費して新しいスーツやガジェットの強化・開発によるビルドも可能となっている。

 行なえるアクションが増える事は勿論ながら、スーツを開発すればスパイダーマンの見た目もカスタマイズする事が可能。様々な姿でニューヨークの街を飛び回る事ができる。最終的には全ての強化を開放することが目標だが、物語中にどの順番で強化していくかはプレーヤーの自由なので、その場その場の自分好みのビルドで様々なヴィラン達との激闘を楽しめるようになっている。

スーツを変更すると、操作時だけでなくムービーの中にもその姿が反映される。好きなスパイディーの姿で物語を楽しむことが可能だ

続編「Marvel's Spider-Man 2」に向けた復習としてもオススメ!

 そして本作でさらに驚いたのがその圧倒的ゲームボリュームだ。少し大人なピーター・パーカーの日常と非日常の両面を描いた大長編のメインストーリーに加えて、広大なニューヨークのあちこちで発生する大きな騒動から小さな問題まで解決する正に「あなたの親愛なる隣人」を体現したかのような数多のサブクエストが用意されている。

 他にもスパイダーマンの強化に必要な「トークン」を獲得できる「ランドマーク」撮影や「バックパック」回収など街の探索も重要な要素となるため、オープンワールドのゲーム性と合わさって無限に感じるほどニューヨークを飛び回って遊べてしまうゲーム性となっている。

オットー博士の元でエンジニアとして普通の青年として生活を送るピーターと、スパイダーマンとなって謎の仮面組織「デーモン」を追う街のヒーローという2つの側面からメインストーリーは展開される。ガールフレンドだったMJと1回別れていたり、スパイダーマンとして生きる以外の道を模索していたりなど少し大人びたピーターが特徴的だ
サブクエストの内容は多種多様! 野鳥を追いかけまわしたり偽スパイダーマンを助けたり等、街の困りごとを解決して行くのもスパイダーマンの務めなのだ!
街のあちこちで問題を起こすギャングを懲らしめる、ニューヨークの「ランドマーク」で写真撮影を行なう、街に散らばっている「バックパック」を回収する、リサーチステーションのミッションをクリアする等、街の散策で出会う様々なイベントがそのままスパイダーマンの戦力強化になるのはありがたい!

 他にもリマスター版の特典として「ブラックキャット」や「ハンマーヘッド」等の人気キャラクターが登場する追加DLC「摩天楼は眠らない」も3部作全て収録されているため、本作の全てをこのリマスター版1本で楽しめる。

 メインストーリー、サブクエスト、街の探索、スパイダーマンの強化、追加DLCと、広大なニューヨークの街は常に何かしらの体験が用意されている。そのため、ゲームの止め所が分からない位の大ボリュームだ。

 他にも「フォトモード」を使って映えるスポットを見つけて写真撮影を行ったり、スパイダーマンファンなら「バックパック」でゲットできるコレクションからスパイダーマンの活躍に思いを馳せたりなど、楽しみ方は数限りないと言って良い。

 総じて、マーベルファンもゲーマーにもお勧めできる大満足の作品だ。初めてのプレーヤーは勿論ながら、グラフィックスの進化がえげつない事になっているため過去にプレイした事のあるプレーヤーでも、対応するPCを持っているなら改めて今回のリマスター版もお勧めしたい。

 ピーターが登場する続編「Marvel's Spider-Man 2」の発売も決定している事から今の内に復習として本作を再びプレイするのも悪くないだろう。さらに洗練されたグラフィックスのニューヨークを、スパイダーマンとなって飛び回ってみてはいかがだろうか。