「ジャストコーズ3」レビュー
ジャストコーズ3
縦横無尽に動き、大・大・大爆発を巻き起こせ!
ハチャメチャなオープンワールド革命アクション
- ジャンル:
- アグレッシブ・アクションアドベンチャー
- オープンワールドアクション
- 発売元:
- 開発元:
- アバランチスタジオ
- プラットフォーム:
- PS4
- Xbox One
- 価格:
- 7,800円(税別)
- 発売日:
- 2016年1月21日
- プレイ人数:
- 1人
- レーティング:
- CERO:Z(18歳以上のみ)
(2016/1/21 00:00)
「ジャストコーズ3」がいよいよ発売だ! 本作はとにかく大爆発が楽しめるド派手なオープンワールドアクションである。筆者はE3で本作の派手なデモを見てその魅力に一瞬で囚われ、東京ゲームショウのインタビューや、年末の体験会で本作をプレイし、発売日を心待ちにしてきた。PVなどで本作に惹かれ筆者のようにプレイする日を心待ちにしていた人も多いのではないだろうか。
本作のその最大の魅力は「爽快感」にある。ワイヤーを打ち出す「グラップリングフック」で自分の体を引き上げ、パラシュートで空中に浮かび上がり、ウイングスーツで滑空する。RPGや手榴弾で敵を吹っ飛ばし、燃料タンクを撃とうものならすさまじい炎が吹き上がる。多くの敵を相手に大暴れできる作品だ。独裁者に支配された国を舞台に、革命の炎を燃え上がらせるのだ!
「こんなにド派手なんだぜ、さあ楽しめ!」という声が聞こえてきそうなゲーム
CIAのエージェントとしてこれまでも様々な地域で独裁者と戦っていた主人公リコは、“第2の故郷”である地中海の島国「メディチ」に帰ってきた。この島は独裁者「ディラベロ」により支配されており、リコの幼なじみマリオは、反乱軍に身を投じ戦っていた。リコはマリオ達反乱軍を助け、島に革命をもたらすために戦いを開始するのだ。
ゲームでは登場キャラクターや派手な爆発シーンが紹介されるオープニングが終わると、いきなり空を飛ぶ飛行機の上で対空砲火が飛び交う中、弾数無限のRPGを地上の地対空ミサイルに向かって連射することとなる。その後も高空からパラシュートで舞い降りマリオを救った後、戦車を奪って大暴れ、バルカンで敵をなぎ倒しまくりと、ド派手なシーンが続く。
さらに科学者ディマによる新装備のチュートリアルも面白い。ワイヤーを使ってオブジェクトを引っ張ってぶつける「グラップリングワイヤー」は、ガスタンクが密集しているところで使うと大爆発が巻き起こるし、目もくらむ崖から「ウィングスーツ」を使って滑空、そして設置型爆弾での橋を壊しての敵軍壊滅。他のゲームのクライマックスシーンの様な場面が矢継ぎ早に展開していくのだ。「『ジャストコーズ3』はこんなにド派手なゲームなんだぜ、さあ楽しめ!」というスタッフの声が聞こえてきそうだ。
「ジャストコーズ3」では、グラップリングワイヤー、パラシュート、ウィングスーツが他のゲームにはない爽快感をもたらしている。リコはワイヤーを使って高速移動ができ、高い場所にも一気に上れる。この移動時にパラシュートを開くことで空中に舞い上がることもできる。充分な高さを確保できたらウィングスーツでの高速滑空だ。
そしてリコは3つのメインウェポンを使いこなす。対人用の2丁の銃は拳銃からサブマシンガン、対物もこなす重機関銃やショットガン、さらにロケットランチャーやグレネードランチャーなど多彩な武器が用意されている。そして敵の乗り物にはワイヤーでとりつき瞬時に乗っ取れる。すさまじい攻撃力と機動性を持つリコをどう使いこなすか? プレーヤーは彼のポテンシャルを活かすためにゲームにのめり込んでいくだろう。どう操作すればよりカッコ良く、より派手に、そしてよりスマートに戦えるか? ゲームをやり込むほどさらにうまく戦いたくなる。プレイ動画で人気を集めそうな作品だ。
日本語吹き替えにより一層楽しくなったキャラクター描写も大きな魅力だ。脳天気で無茶苦茶なマリオ、その上機嫌が独特の不気味さをもたらすトム・シェルドン、研究のことしか頭になくかなり失礼な物言いも連発するディマ……彼らはベテラン声優の吹き替えによる演技でキャラクターの描写が掘り下げられていると感じた。ディマは様々な特性をもたらす特殊鉱石「バベリウム」に関わった科学者であり、その力こそディラベロに力をもたらしているのだが、彼女はバベリウムの有用性を見いだした罪悪感に囚われており、ふとしたときにその苦渋をもらす。
そしてディラベロだ。彼は冷酷な独裁者で、ゲーム上では完全な悪役として君臨するのだが、コレクタブル要素として各地で入手できる「音声テープ」により、彼がどのような意思と思想で実権を握り、独裁者になったかが語られる。このドラマは非常に渋く、楽しい。集めたくなる要素だ、
この他、軍事基地が反乱軍の手に落ちたときそれをごまかそうとする「公営放送」が面白い。「危険のため閉鎖された」、「利用価値がないので廃棄した」などなど膨大な軍事施設それぞれに異なる放送となっていて、アナウンサーはやけくそ気味に「ビバ・メディチ!」と叫ぶ。収録されている音声データは膨大な上、1つ1つが面白い。開発者と共に、吹き替えスタッフの力の入れようも強く感じるゲームである。
独裁者の象徴を破壊し、革命の炎を大きく燃やせ!
ゲームの基本的な流れは、「各地の開放」である。メディチはいくつもの島で構成されており、多くの街と、軍事基地がある。「ジャストコーズ3」のフィールドは1,000平方キロメートル。「東京都の約半分」という。最初ゲームを始めてマップ画面を見てフィールドを見てから、さらにマップが拡大できるのに驚いた。他のオープンワールドのゲームを大きく凌駕するマップだ。
本作ではこのマップにいくつもの軍事基地と街がある。これらは全てディラベロの支配を受けている。リコはいかにしてこれを解放するのか? もちろん「破壊」である。街ならば「ディラベロの石像」、プロパガンダを流し続ける「スピーカー」、「プロジェクター」といった支配の象徴をぶっ壊し、さらに占拠された警察署の燃料タンクや通信施設を木っ端みじんにする。
警察のドアを開け反乱軍を招き入れたり、監獄に囚われている仲間を助け出すことも求められる。このほか街の各所にある「モニター」の機能を停止するには一定時間内にモニター全てを止めなくてはならないので、素早い移動能力が求められる。パラシュート、ウィングスーツで距離を稼ぎ、正確なグラップリングフックの操作でモニター装置の近くに着地しなくてはならない。
軍事基地ではさらに破壊目標が多くなる。アンテナやレーダー、電力を供給するコンデンサーなどいくつもの施設を破壊する。攻撃が当たり大爆発する様はとても爽快だが防御は堅く、あっという間に兵士がリコを取り囲み嵐のような銃撃を浴びせてくる。プレーヤーはリコを素早く移動させ、攻撃を行なわねばならない。敵はとにかく数が多く攻撃力も高いためまごまごしているとあっという間に倒されてしまう。戦車やヘリもリコを付け狙う。
ヘリや戦車は実は奪い取ることで反撃しやすくなる“チャンス”でもある。しかし特にヘリは軍事基地では多くの地対空ミサイルが設置されていて落とされてしまう場合も多い。このため破壊目標を壊すだけでなくミサイルを“ハッキング”することもかなり有効だ。ハッキングしたミサイルは敵ヘリを落としてくれるかなり有効な味方になってくれる。しかし敵の歩兵が多い場合はハッキングを妨害されやすく注意が必要だ。
軍事基地を制圧するとヘリや戦車が使えるようになる。後述する「物資投下」だけでなく、基地にある武器や乗り物も使えるので攻撃ヘリなどを奪い他の軍事基地を攻撃することも可能だ。小さな基地などは嵐のようなミサイル爆撃だけで壊滅させることができるようになる。街や基地は最初はマップに表示されていない。そこに行くことで破壊目標などもマップに表示できるようになる。このためスピードの速い「ジェット戦闘機」でマップを飛び回る「偵察」も非常に有効だ。
さらにストーリーを進める「ミッション」もある。こちらは列車に乗ったり、船に乗って戦うシーンや、戦闘機で戦うシーンなどもある。護衛任務中敵の乗り物を奪って大暴れするなど、ド派手なシーンも多い。特にプロモーションビデオや、オープニングで見ることができる「ミサイルの上に乗るシーン」はプレイしていて思わず声を上げるほど気持が盛り上がる展開だった。ミッションは街や軍事基地との戦いとは一味違う、よりユニークで派手な展開が待っている。これからプレイする人は楽しみにして欲しい。
様々なチャレンジに挑み、よりド派手な大活躍を目指す!
さらに「ジャストコーズ3」にはたくさんのゲーム要素が詰まっている。乗り物でのタイムアタックや、ウィングスーツでのエアレース、さらには決められた時間での破壊活動を行なう「ディストラクション」など様々な「チャレンジ」が用意されている。
チャレンジは多彩で、難易度も様々。やり込むことでより高いスコアを追求できる。ウィングスーツを使うチャレンジではいくつものコースが用意されていたり、ディストラクションではどの順番で破壊していくのが効率がいいか、かなりやりこめる要素がある。
これらのチャレンジでは得点に応じ「ギア」が入手できる。一定数のギアを集めることで「ギアMOD」がアンロックされリコが扱うガジェットがパワーアップできる。空を飛ぶ性能がアップしたり、弾数制限のアップ、車や飛行機にニトロが付属できるなど様々な追加能力がもたらされる。
このほか「物資投下」でいつでも戦車やヘリコプターを呼び出せるというのも面白いところだ。軍事基地を開放することでどんどん呼び出せるモノが増えていく。敵基地を攻撃中に弾を補給するというのも有効だ。呼び出すといきなり巨大なコンテナが降ってくるのが面白い。
「ジャストコーズ3」ではフィールドを開放するとコレクタブル要素もマップ上に表示されるので集めやすい。前述のディラベロの音声テープだけでなく、様々な武器のパーツや、反乱軍の慰霊碑がある。かなりの数がありフィールドは広大なので集めるのは大変だが、ミッションや戦いそっちのけで集めてしまいたくなる。また、走ってる車も街の「ガレージ」に入れることでストックできる。ヘリやボート、巨大なダンプなどもコレクションできるので、こちらも1度始めてしまうとかなりハマってしまうだろう。
お気に入りのスポーツカーやプロペラ機、モーターボートなどで島を巡るだけでも楽しい。地中海に浮かぶメディチは街にはオレンジ色の屋根瓦のある家が建ち並ぶ。広い畑は麦やラベンダーひまわりなど様々。あちこちにはギリシア風の遺跡もある。バイクやスーパーカーなどでドライブするのも、プロペラ機で空を巡るのもいいだろう。
「ジャストコーズ3」は本当にそのボリュームがスゴいゲームだ。だからこそやり込みそしてうまくなりたくなる。爆撃のできる戦闘機でいかにうまく基地を沈黙させられるか、軍艦を奪いその砲撃で敵を倒すか、グラップリングワイヤーでどこまで大規模な破壊ができるか、さらには補給物資をいかに効率よく使うかなど、様々な戦い方を試してしまいたくなる。
ゲームの部分では、「もう少し耐久力が高くなっても良いんじゃないか」と思う部分もあった。筆者は目標物の破壊を優先するあまり強引に突っ込んだあげく、敵に囲まれ、何度も倒されながら敵の施設をつぶしていくというかなり格好悪い戦い方になってしまった。特に敵の歩兵の耐久力が高いのと、戦車や戦艦の正確な攻撃がきつかった。グラップリングフックとパラシュートや、他の乗り物を活用し縦横無尽に敵を翻弄できればもっとうまく戦えそうだ。
しかし、「ジャストコーズ3」はゲームバランスを考えるより、「いかに華麗に戦うか?」というテーマを極め、練習して実現するゲームだと思う。自分のカッコイイ活躍をシェアして自慢するゲームだ。ヘリコプターをワイヤーで結びつけて墜落させたり、戦車を釣り上げて動きを封じることだってできるかもしれない。敵に囲まれた場所から華麗に脱出し、爆撃で敵を一網打尽にしたり、爆薬を仕掛けたオブジェクトをぶつけて大爆発させるのも良いだろう。
「ジャストコーズ3」は、「こうすれば面白いんじゃないか? こう戦えばカッコイイに違いない!」といった感じで、プレーヤーが思い描いた戦い方を求めるゲームだと思う。スクウェア・エニックスは「面白動画コンテスト」などを主催してはどうだろうか? ユーザーがこのゲームでどんな楽しい遊び方を見せてくれるか、楽しみだ。
Just Cause 3 (C) 2015,2016 Square Enix Ltd. All rights reserved. Developed by Avalanche Studios. Published by Square Enix Co., Ltd. Just Cause 3 and the Just Cause logo are trademarks of Square Enix Ltd. Square Enix and the Square Enix logo are trademarks or registered trademarks of Square Enix Holdings Co. Ltd.