★ PS3/Xbox 360ゲームレビュー★
このイカれた、イカした世界で戦い強くなれ!
数万種の武器が登場するRPGシューター
「 ボーダーランズ2」
ジャンル:
  • RPGシューター
発売元:
  • テイクツー・インタラクティブ・ジャパン
開発元:
  • Gearbox Software
プラットフォーム:
  • PS3
  • Xbox 360
価格:
7,140円
発売日:
2012年10月25日
プレイ人数:
1~4人
レーティング:
CERO:Z(18歳以上のみ対応)

 「ボーダーランズ2」がついに登場した。本作はタガの外れたユーモア溢れる、過激で痛快なRPGシューターだ。プレーヤーは死の淵から蘇った“Vaultハンター”として、惑星パンドラを支配するハンサムジャックに立ち向かう。氷雪に包まれた世界、襲ってくる野生動物と無法者のバンディット、そして冷酷なハンサムジャック……この世界で生きていくのは並大抵のことではない。しかし住人は脳天気だ。立ちふさがる者には容赦なく銃弾を浴びせかけ、善も悪も吹っ飛ばして生き抜いていく。そんなたくましい住人になりきれる作品である。

 敵は常に数を頼んで、しかも物陰から銃弾を浴びせてくる。こちらの銃は火力不足なことも多く、リロードにも時間がかかったりする。カバーアクションのような要素もない。しかし、それでも“勝つ”のだ。時には倒れ、時には逃げる。しかし良い武器を集め、徐々にスキルを育て上げ、やがて強大な敵にもひるむことのない強靱な肉体と、大ダメージを与える火器、敵を打ち倒す特殊能力を獲得していく。並み居る敵をブチ倒しながら進む最強戦士を目指していくゲームだ。

 「ボーダーランズ2」に関しては、プレビューと、マルチプレイ体験レポートでもお伝えしている。今回のレビューでは、シングルプレイにフォーカスし、ストーリーと武器の感触を紹介していきたい。


■ 狙うは星の支配者ハンサムジャック! 氷河から蘇ったVaultハンターの戦い

ハンサムジャックを倒すために集まった4人のVaultハンター
いきなりこちらをしもべ呼ばわりするクラップトラップ。彼が道先案内人となる
サルバドーレは、ガンザーカーという2丁持ちの特殊能力を持つ
キャラクター登場時には派手な演出が入る

 主人公達Vaultハンターは、惑星パンドラでエイリアンが持つ未知のテクノロジーが詰まった“Vault”を探し求める者達だ。Vaultはイリジウムという鉱石と密接な関係を持ち、ハイペリオンという企業がパンドラを支配しようと他の住民を武力で制圧している。このハイペリオンのリーダーこそが、ハンサムジャックだ。

 そのハイペリオンが、巨大なVaultを見つけた。時同じくして、Vaultハンターもその存在をかぎつけた。Vaultハンター達はハンサムジャックに戦いを挑むが、それは罠だった。ハンサムジャックを襲撃するため乗りこんだ列車に爆弾を仕掛けられ、大爆発と共に雪原地帯に放り出される。しかしたくましいVaultハンター達は死ななかった! 彼等は、クラップトラップというロボットと知り合い、その導きで「サンクチュアリ」という場所を目指す。そこにはこの星で唯一レジスタンスがハンサムジャックに対抗している場所らしい。こうしてプレーヤーは死の淵から蘇ったVaultハンターとして、ハンサムジャックを倒す長い旅をはじめることとなる。

 「ボーダーランズ2」は会話が楽しいゲームだ。出迎えるクラップトラップがまずヒドイ。いきなりプレーヤーを“しもべ”扱いだし、故障を直してくれるハマーロックを間抜け呼ばわりだ。自らは偉く見せたがり、他の人には罵詈雑言の言いたい放題。どうやらこれは思ったことをそのまま言ってしまうプログラムのせいらしい。クラップトラップ自身も自分の言動でかなりひどい目に遭っているらしく、サンクチュアリに行くのはこの暴言を止めたいからだというのだ。

 しかし、クラップトラップだけが格別にイカれてるのではなくて、みんなおかしい。「めんどくさい、自分で死んでくれないか?」と通信してくるハンサムジャック、野生動物を愛しているのか心底嫌ってるかわからないハマーロック。周辺を牛耳る悪党フリントと手下はハンサムジャックからの賞金目当てで襲いかかってくる。最初のボスのブーンブーンは、「てめーらまとめてブーンだぜ!」という掛け声のもと、語尾に「ブーン」をつけながら、激しい攻撃をしてくる。本作は英語音声も入っているが、日本語音声の声優の熱演も聞き所だ。特に雑魚バンディットの、小者っぷりが楽しい。

 主人公キャラクターは4人。アクストンは自動砲台を呼び出せる戦士。マヤはエイリアンのテクノロジーで特殊能力を得た“セイレーン”の1人。サルバドーレはガタイのいい小男で、武器を両手持ちできる筋力の持ち主。ゼロは日本刀のような刀と、自分のホログラムを囮にして戦うアサシンだ。プレーヤーは彼等の中から1人を選び、育てていくことになる。

 今回はサルバドーレでプレイしたが、このキャラクターは4人の中でも特に“うるさい”キャラクターだった。一定時間武器を両手に持って戦える特殊能力「ガンザーキング」を発動させると、実にまあ叫びまくりなのだ。発動時に「2丁だぜえ!」と嬉しそうに叫ぶこともあれば、「大っ嫌いだー」と叫んだり、「あばばばばば」などと意味のわからない声を上げることもある。しかも発動中は獣のような激しい息づかいをしている。異常なまでのハイテンションに筆者もノリノリになり、結果として前に出すぎて倒されてしまうことも多かった。

 それでもやはり、サルバドーレは楽しい。ガンザーキングを発動させる度にどんな台詞を言うのか楽しみだし、バンバン撃ちまくるのは爽快だ。成長してくるとこのガンザーキングがさらに強力になっていくのだから、キャラクターへの愛着はゲームを進めるほど深くなる。本作のボリュームはたっぷりで、まず1キャラクターを極めるのが楽しいと感じた。ゲームが進んでいくごとに、強力で派手な武器が増えてきて、ガンザーキングでのテンションがさらに上がっていった。もっともっと強力で派手な武器が欲しくなっていく。サルバドーレを極めていきたいと思う。

 とはいえ、本作は複数のキャラクターを作ることができるので、複数のキャラを体験するのもオススメしたい。筆者はマヤでも序盤プレイしてみたのだが、サルバドーレとは全く戦い方が違い、こちらにも魅力を感じた。マヤはフェイズロックという能力で敵を空中に固定し、そこから追加攻撃を行なっていくため、少数の敵と戦うのにかなり有利だ。敵を行動不能にして他を狙うということもできる。ストーリー展開そのものは同じなので、サルバドーレでの経験が活き、敵の場所なども把握しやすく、スムースにプレイできた。1度エンディングを見てから、全く違うキャラクターでプレイをするのも楽しい、長く楽しめるゲームだと感じた。


オープニングムービー。Vaultハンターは罠にはまり、雪原地帯に投げ出される
クラップトラップと、自分をAIだという少女からのメッセージに導かれ、サンクチュアリを目指す。バンディット達は賞金を得るために主人公達を狙う
この地域のボスフリントとは、氷河に持ち上げられた巨大な貨物船の上で対決となる
マヤでも序盤をプレイしてみた。サルバドーレとはプレイ感覚が大きく異なる


■ 電撃、火炎、爆発! 様々な特性や性能の武器を組み合わせ臨機応変に戦え!

様々なアイテムが入手できる。パラメーターが低くても特性が有用な場合も
死んでも、ゲージがなくなる前に敵を倒せばセカンドウインドで復活できる
ショップでは様々なものが売っているいる。右上に表示されているのがオススメアイテムだ

 「ボーダーランズ2」の最大の楽しさが武器の収集だ。本作では「Diablo」シリーズのように、膨大なアイテムがプログラムで自動生成され、敵からドロップされたり、宝箱(本作ではなぜかトイレだ)から現われる。膨大なアイテムから必要なものを選び出し、使いこなし、強大な敵をなぎ倒していくことこそ本作の根幹をなす楽しさである。

 武器には、ピストル、サブマシンガン、ショットガン、アサルトライフル、スナイパーライフル、ロケットランチャー、そしてグレネードがある。威力の他、弾倉や、命中精度、リロード速度などのパラメーターがある。弾倉が小さいとリロードが頻繁になったりと、パラメーターで使い勝手はかなり変わってくる。

 本作の武器のおもしろいところは、武器の性能がパラメーターだけではないところだ。各アイテムには“メーカー”が決まっていて、特殊な性質が付与されている場合がある。たとえば、「Tediore」というメーカーの武器はリロードするときは武器を投げ捨てるとその武器が爆発し、手元に装弾したものが“再構成”されるというトンデモ兵器だ。ロケットランチャーの場合は、ランチャーごと飛んでいってしまうのが楽しい。「Bandit」は命中精度は低いが弾倉が2つついてたりと、装弾数が多めでデザインがぶっ飛んでいる。「Maliwan」はSFチックなデザインで、属性が付与されている武器が多い。

 属性も様々なものがある。エクスプローシブダメージは弾が爆発し、周辺ダメージを与える。ファイアダメージは当たった敵が着火し、継続ダメージを加える。ショックダメージはシールドを持った敵に有効な電撃ダメージ、スラグ効果というのは、敵を紫色に変えダメージ量を増やせる。この他にも酸のダメージなどもある。これらの特性を考え武器を使いこなすと有利に戦える。盾を持った敵などは通常の弾では効果が薄いが、エクスプローシブダメージで盾を突き抜けダメージを与えられる。

 武器の性能は、属性やメーカーだけではないのだ。スコープがついていると拳銃でも狙撃に非常に便利だし、銃剣がついていると格闘攻撃にボーナスがつく。アサルトライフルカテゴリーで、エクスプローシブのステータスがないのに、手榴弾のような爆発する弾を出す銃を入手したこともあった。

 グレネードでは10個に分裂して爆発が広がるものや、酸や電撃をまき散らすものもある。シールドもなくなると爆発ダメージを与えたり、近接した敵にファイアダメージを与えたりする。ランダムで様々な武器が入手できるため、どんなアイテム・武器を使うか、プレーヤーによって全く変わってくる。

 そして、敵や状況に合わせてこまめに武器を代えるのが楽しい。エクスプローシブダメージのショットガンで蜂の巣にするのは楽しいが、敵が近付いてこない場合はスコープ付きの武器でちまちまと削っていくのが有効だ。敵が火炎系のロケットランチャーを使ってきたときは強すぎてまともに戦えず、遠距離からスナイパーライフルで撃つ、という戦い方で突破したこともあった。

 ガンザーカーを使って大きな敵と戦うとき、1つめの武器を広範囲に攻撃できるもの、もう1つを1点集中できるスナイパーライフルにしたらかなりの大ダーメージを与えられた。おもしろいのは武器の交換サイクルで、良い属性の武器を持っていても、いずれ力不足になるところ。「属性は平凡だけど、高いパラメーターの武器」を入手したときは特に悩ましい。使ってみてから前の属性付き武器に戻してしまったりと、試行錯誤しながらその時々のベストな戦い方を模索していく。「あの時はあの組み合わせで突破した、強かったな、あの武器は」というように、武器がそのままゲームの進行の記憶になっていくのは、RPGならではの楽しさだ。

 スキルに関しては、レベル5以降はスキルポイントが得られ、様々な特性を上げていける。「耐久力と回復力が増す」、「リロード速度が増加する」など、スキルはパッシブなものが多く、しかも5段階もあって、1段階上げただけでは効果がわかりにくく感じた。正直最初は地味で、スキルを取っても劇的な強さは感じられなかった。しかし、レベル15あたりから、自分の力が底上げされていることに不意に気がついたのだ。今回はサルバドーレのガンザーキングに関するスキルを上げていったのだが、装弾数が多くなり、ガンザーキングの持続時間も増え、はっきりと強くなっていた。ここからさらにタフで強力なキャラクターに育てていくつもりだ。本作のレベルキャップは50であり、どう割り振っていくかさらに考えていきたい。


ショットガン、マシンガンなど武器は様々。スコープがついていれば狙撃にも使える
ファイア、エクスプローシブダメージ。右はエイリアンテクノロジーの銃
ロケットランチャー、スナイパーライフル。右は分裂して爆発が広がるグレネードのMOD
武器の外見もじっくり眺めることができる


■ 前作のキャラクターも登場。ハチャメチャな戦いははさらに加速していく

前作のプレーヤーキャラクターの1人、リリス
強烈なインパクトのエリー。声はとてもかわいらしい
乗り物に乗った戦いも。冒険のフィールドも広大になる

 「ボーダーランズ2」のストーリーは、氷雪地帯からの復活の後、サンクチュアリへ向かうため、ハンサムジャックの支配の元、幅をきかすバンデットのリーダーフリントとの正面対決へと展開していく。高い建物の屋上、火柱を上げるステージでの撃ち合いがカッコイイ。戦う場所は雪原地帯ばかりなのだが、荒廃した地域は“乾いた”感じがあって、西部劇のテイストも感じさせる。

 フリントを倒すと船を手に入れ、サンクチュアリへ向かうこととなる。サンクチュアリからは、様々なサブクエストも増える。サブクエストの中には、ハンサムジャックの虐殺の現場の記録を探すものや、ハマーロックの生態調査に協力するもの、暗殺者と戦う者など様々だ。

 「ボーダーランズ2」らしいなと思ったのが、「レッツジェノサイド!」という武器屋のマーカスから受けるサブクエストで、縛り付けたバンデット相手に、エクスプローシブ、ファイアなど、各属性の武器を試し撃ちするもの。また、エイリアンの銃を確かめるためにそこら辺のバンディットをを撃ってこいというものもある。「空き室無し」というクエストでは、機能が止まった建物を復旧させるため、バンデットの稼働中の機械から部品を抜いてくることまでするのだ。どっちが悪役かわからなくなるクエストも多い。

 主人公がサンクチュアリにたどり着いたときには、レジスタンスのリーダー「ローランド」はバンデットに囚われており、彼を探す過程で女性の特殊能力者「リリス」に出会う事になる。前作をプレイした人にはローランド、リリスという名前に見覚えがあるだろう。この2人は前作の主人公を務めたキャラクターである。今作では堅物のローランドに思いが伝わらずやきもきするリリスという淡いロマンスもあったりする。

 とはいえ炎を操るリリスを勝手に“炎の神様”にあがめたて、自分たちの体に火をつけて生け贄になりたがる一団が出てきたりと、殺伐エピソードもバッチリ用意されている。また、ローランドを救出するときには恐ろしいハンサムジャックの力の一端を見ることとなる。ハンサムジャックはハイペリオンのロボット軍団を手足のごとく使い、バンディットの1つの拠点を簡単に壊滅させる力を持っている。彼は何を企んでいるのか。主人公はローランドと出会うことで、ハンサムジャックに対抗するための本格的な活動を開始することになるのだ。

 「ボーダーランズ2」はストーリーを楽しみながら、武器収集とキャラクターごとの戦いを極めていける優れたRPGだと感じた。そしてマルチプレイも楽しい。マルチプレイでは、4人でより強力な敵を倒していく楽しさがあり、マルチプレイ前提の難関サブクエストも用意されている。鍛え上げたキャラクターで是非挑んでいきたい。


何とかサンクチュアリに到着する。ここはハンサムジャックに対抗するレジスタンスの街だ。右下はイリジウムでアップグレードができるブラックマーケット
闇医者の外科手術を手伝ったり、試し撃ちをしたり、サブクエストはハチャメチャなものが多い
前作に登場したリリスと協力して戦ったり、ローランドを助け出すことも。ローランドとリリスの不器用な関係を見たりもする。ここからハンサムジャックとの戦いはさらに激しくなっていくのだ

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(2012年 10月 25日)

[Reported by 勝田哲也 ]